「あれ?先生、どうしたの?」  
 
霧がいつも通り夕食を作りに宿直室へ入ると、  
望は夏だというのに寒そうに震えていた。  
 
「ああ、小森さん。実はエアコンが壊れてしまって強しか入らなくなったんですよ」  
「そういえばちょっと寒いね」  
 
後ろ手で扉を閉める霧。  
 
「ちょっとどころじゃありませんよ!この寒さでよく…」  
 
ぴたり、と停止する望。  
 
(待てよ…)  
「…?」  
 
そして疑問符を浮かべつつも食事を作るために台所へ向かう霧の体を凝視した。  
 
(毛布…ハッ!)  
「それです!」  
 
いきなり立ち上がり、人差し指で霧の体をビシッと指差す。  
 
「…?」  
 
驚いて立ち止まり振り返る霧。  
 
「小森さんのように毛布を被って体温を調整すればいいんですよ!」  
 
 
◇  
 
 
「あの…先生?」  
「どうしました?」  
「…どうして私の毛布に…?」  
 
霧と望は同じ毛布の中で体を密着させていた。  
 
「まあまあ、いいじゃないですか。このほうが温かいですし」  
「…そういう問題?」  
「なんなら、もっと温かくなりますか?」  
「え?ちょっ…」  
 
「ん…はあっ…やぁん」  
 
 

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