薄暗い明かりの元、千里が望の腕に抱かれている。
「ぐすぐす…」
「うわ何で泣くんですか木津さん!?すいません、痛かったんですか?」
「だって…だって先生最近抱いてくれなかったし、それどころか私のこと避けてるみたいで…
先生に嫌われちゃったのかと、ずっとずっと心配で…」
「…すいません、迷ってたんです…なかなか決心がつかなくて…」
「先生…?」
「ですが、もう迷いません決めました、木津さん。」
ぎゅうっと望は千里を抱きしめた。
「え…それって…本当ですか、嬉しい!」
「ええ、一周して気が付きました、やっぱり木津さんが一番です。」
「………一周…?」
望が何やらプロポーズの言葉を続けているが、魚目状態の千里の耳には届いていないようだ。
「ふふふ…一周ですか…先生が立派なだんなさまになるためにはきっちりした躾が必要なようね…」
「あれ?…あの木津さん…なんですかそのスコップは…?」
千里が一糸纏わぬ姿でスコップを水平に構える。
その姿は月明かりに照らされ、この世のものとは思えないほど美しく輝いていた。
埋。