「突然ですが先生」
「ん?なんですか木津さん?」
「抱いてください」
「へ?」
木津千里の突然の申し出に、糸色望の頭は真っ白になった。
「聞こえなかったんですか?抱いてください」
「い、いやいきなりそんな事を言われても…」
「抱くのか抱かないのかハッキリしてください。このままの関係じゃ気持ち悪いんです。」
ぴっちりと真ん中で分けられた前髪に迫られ、たまらず逃げ出す。
「やめてください!「みんなあげちゃう」みたいな展開やめてください!」
ガラガラ…ピシャッ。
「ふぅ…ここまで来れば大丈夫でしょう…」
「先生」
「え?」
本を片手に窓辺に立つ久藤准。
「いつの頃からか…先生の姿を目で追うようになってしまった。
僕は変態じゃない…何度もそう言い聞かせたけど、先生のことを思うだけで体の奥で何かが…」
「やめてください!そんなボーイズラヴみたいな展開やめて…」
「信じられない!久藤×先生なんて信じられない!先生はやっぱり鬼畜攻めでしょ!」
「やめてください!藤吉さんまで先生を801板に誘い込むのはやめてください!」
ドンッ
「センセー!」
「おや、関内くんじゃないですか。失礼しました。怪我はないですか?」
「センセー、せっくす、シヨっ!」
「やめてください!そんな東京ラブストーリーな展開やめてください!」
タッタッタッタッ…
「あ、先生」
「日塔さんですか…今度は何ですか?」
「今度はって…あの、プリントを取りにきたんですけど」
「普通!!」
「普通って言うなー!!!」
・・・・・・・・
「先生、きて…」
「私が欲しければその火を飛び越えて来い!」
「貴方を死ぬまで放さない…」
「送信者:める♪ 件名:昨日は楽しかったよ〜(^o^)」
「はぁはぁ…今日はいったいみんなどうしたんでしょう…
そうか…罠だ!陥れるための罠なんですね!」
脳裏に「淫行教師・糸色望逮捕 クラス全員を肉奴隷」と書かれた新聞の見出しがよぎる。
「きっと私の弱みを握って奴隷にしたり(首輪をつけて半裸で散歩)
単独でホワイトベースに突っ込ませたり(謀ったなシャア)
頭から豚の血を被せたり(キャリー)
ローマの地下にある大きな宝石を取りにいかせたり(JOJO2部)
仮面をとったらユリアじゃなかったり(南斗最後の将)
本人が歌ってると思ったらぜんぜん違う歌手が歌ってるアニメのテープだったり(作者実話)するんでしょう!!」
「な、なんだか最後のほうは罠じゃないような気が…」
「皆はそんなに私が憎いんですか!地獄すら生ぬるいほど憎いんですか!」
「罠なわけないじゃないですか。」
「へ?」
「人間がそんなにも憎しみを抱いて罠にかけたりするなんて、あるわけないじゃないですか。」
「いや、その…風浦さん…」
「ハーレムですよ。」
「はぁ?」
「エロゲによくあるハーレムEDですよ。」
その後のことは全く覚えていない。
気がついた時は保健室のベッドの上に全裸で横たわっていて…
全身が気だるく唾液でベトベトになっていて、アソコはヒリヒリで、あと肛門が少し痛かったこと…。
・・・・・・・・・・
「あ、藤吉さん新刊でたんだ」
「うん、苦手なカップリングだったけど不覚にも萌えちゃって」
手製の看板には『生徒×男性教師ものあります』と書かれていた。