「日塔さん……それじゃ歩けないでしょう。さあ」
「先生……」
望に対抗意識を燃やしたはいいものの、意図した結果が得られない上にあちこち怪我をしてしてしまった奈美。
皮肉にも、そんな奈美に手を差し伸べたのは当の望本人だった。
「いえ、いいです。……痛っ」
「ほらほら…足の裏に何かトゲが刺さってるし、そっちの足首はくじいてるみたいですよ。
それじゃあ歩けませんから。……はい」
「でもぉ……恥ずかしいですよぉ」
「暗いから大丈夫ですって。さあ」
「はぁ……」
こうして奈美は望に背負われた。
「ちょっと宿直室に寄っていきましょう。消毒してから絆創膏を貼らないと。それから湿布も……」
☆
「さ、どうぞ」
宿直室に戻った望は、奈美を背中からゆっくり下ろし、腹這いにさせた。
ストーブをつけると程なく部屋の中が暖かくなった。
ポットにはもうお湯が沸いているようだった。
こたつの上にあったメモを一瞥し懐にしまうと、望は救急箱を持ち出してきた。
そして奈美の足の裏のトゲを抜き、消毒してから絆創膏をぺたぺた貼った。
その後四つん這いにさせると、もう片方の足首には湿布をぺとりと貼った。
「ひゃっ」
「冷たいですか? まあ我慢して……あれ?」
望は、自分の目の前に突き出された奈美の魅力的な尻に目を遣った。
「そこ破れてるじゃないですか」
すぐに丸いヒップを覆うジャージに歯形が付いていることに気がついた。
「……失礼」
「ちょ、ちょっとぉ!」
奈美に構わずジャージを膝まで下ろすと、案の定ピンクのぱんつも破れている。
そしてその奥にある白い肌にも歯形が付き、所々血がうっすら滲んでいるのが見え隠れしている。
望は眉を顰めた。
「これはいけませんね」
望はもじもじしている奈美のぱんつも膝まで下ろすと、お湯で湿らせたタオルで傷口を優しく拭いた。
「先生……は、恥ずかしいですよぅ……」
「バイキンが入ったら大変ですから、こちらも消毒してあげますね」
「はぁ、でもぉ……ひゃうっ!」
奈美の言葉が突如中断された。望が傷口を舐め始めたのだ。
「せ、先生……あん……」
――ちろちろっ……ちろちろっ……
望は犬のつけた歯形の跡に沿って優しく舌先を這わせた。
そして傷穴から毒を吸い出すように、ちゅっちゅっと小さな音を立てながら奈美のヒップに甘くキスをした。
「あ……ん……んっ……」
奈美はくすぐったさがやがて微細な心地よさに、そして柔らかな快感に変わっていくのを自覚した。
背筋が一度ぴくっと震えた。
思わず小さな喘ぎ声が漏れてしまうのをどうしようも出来なかった。
――相変わらず可愛いお尻ですね……
ここで望が次の行動を起こした。
「軸ぶれ」モードに突入したと言ってもいいかもしれない。
傷口を舐めながら、指で奈美のあそこをイタズラし始めたのだ。
「あん! 先生、や……ダメですよぉ」
「しーっ! 大きな声を出すと誰か来ちゃいますよ」
「そ、そんなぁ……んうぅ……」
奈美の浅瀬で指を蠢かしていると、やがて微かにぴちゃ、ちゅく、と水音がしてきた。
これに気を良くした望は、もう片方の手をサンタコスの下に差し入れ、ブラをずらすと柔らかな胸を揉み始めた。
「あん、あぅ……先生……せ、それ……」
奈美はたまらず弱音を吐いた。
一度に三カ所を攻められ、逃げ場のない奈美は、ただ望の手指に連れられて絶頂への階段を徐々に登っていくしかなかった。
望は、奈美の抵抗がほとんどないのをよいことに、久しぶりとなる奈美の若い肢体を堪能した。
☆
望が奈美にのし掛かってきた。
――え? こ、このままされちゃうのかな?
奈美は快感に痺れた頭でぼんやりそう思った。
だが、望はますます両手指の動きを激しくしながら、突然奈美の項にきつく接吻した。
「ひゃうううん!」
奈美は思わず甘い声で鳴いた。
いつの間にか、奈美の中に望の中指が差し入れられ、親指で敏感なところを優しく転がされていた。
――くりくり。……くりくりっ……
「あん、あん!……ふぁ……んうぅ……やぁん」
奈美の乳首がきゅうっと摘まれ、くにくにっと揉み込まれた。
たまらず奈美は望の中指をきつく締め上げた。
「先生、せんせ……あぁ……もう、も……いやあああん!」
髪の毛をかき分けてきた望の暖かい唇で耳に接吻されながら、下の突起を指の腹で優しく押しつぶされると、奈美はついに四つん這いのまま高みに達してしまった。
「はあぁ……あぅ……」
望に全身を抱きすくめられた格好になっているのを幸せだと感じながら、奈美はふっと気を失った。
☆
☆
「じゃあ、お家まで送りますよ」
「……はい……」
望の指技に陥落し力が抜け、奈美は相変わらず歩けないままである。
ジャージに穴が開いていては困るだろう、と望は自分のジーンズ――木野ほどではないが、未来度はかなりのものだ――を穿かせ、再び教え子を背負って家まで送ることにした。
奈美の家の近くまで来たとき、不意に望の背中で奈美が口を開いた。
「先生」
「ん?」
「私、そのぅ……凄いことされちゃいましたよね」
「……はあ……まあ」望は曖昧に相槌を打った。
「……普通の女子高生は、先生にあんなことされませんよね」
「……はあ……ま、まあ……」望は言いよどんだ。
「二人だけの秘密ということで、なんとか……特別ですよ、特別」
「……特別、かぁ」
奈美はしばらく考え込んでいたが、やがてにっこり微笑んだ。
「特別なら、まあ……いいかな…………あ、ここでいいです」
奈美は自宅の門の脇の塀に手をかけ、ゆっくり担任の背中から下りた。
「先生」
「ん?」
奈美が小声で言いにくそうに、だがはっきりと口にした。
「特別ついでに、そのう……もっと特別なことをしてください」
「ふうむ……では」
望は腰を屈めると、奈美の額と頬にちゅっちゅっと軽く接吻した。
奈美はびっくりしたような、幾分不満そうな複雑な表情になった。だが、
「ちゃんとしたのは、また今度……続きを、ね!?」
望に耳元で囁かれ、奈美の頬がバイトで着ていたサンタの衣装の色に染まった。
「はい……」
「じゃあ、おやすみなさい」
「……おやすみなさい」
――私、特別な人になったんだよね……
帰って行く望の背中を眺めながらも、奈美の頭の中にこんな想いがぐるぐると渦巻いていた。
だが、今は冬の夜である。
「へぷしっ!……ぶるるっ」
くしゃみを一つして寒気で震え、ようやく我に返った奈美は、親に「特別なできごと」を気取られないよう、ゆっくりと家の中に入っていった。
「ただいまぁー」
☆
☆
宿直室のコタツの上にあったメモは霧からのものであった。
「お風呂に入ってます あとでまた来るね きり」
今晩奈美を宿直室に泊めることが出来なかったのも、最近霧が泊まり込むことが通例になっているからだった。
霧が長風呂の質なのが幸いして、奈美にイタズラしている時に霧が戻ってくる、というカタストロフィは免れることができたのだが……
奈美を送ってきた望を、果たして霧が宿直室の前で待ち受けていた。
風呂から上がり宿直室に直行した霧は、自分以外の女性がテリトリーに侵入したのを勘で察知したのだった。
その晩、霧はいつも以上に情熱的に燃え上がった。絶棒――いや、望の全身を甘く締め上げ、オシオキと言わんばかりに年上のイタズラッコのエキスを幾度となく搾り取った。
――[完]――