一のへ組、朝のホームルーム。
「あれ?今日は臼井くん休みですか?」
「ここにいます先生!」
望の目の前にいる臼井が必死に声を上げる。
「そういえば最近臼井見ないよねぇ」
「ぜんぜん学校にきてないもんね」
「それよりも臼井ってこのクラスにいたっけ?」
口々に勝手なことを言う女生徒たち。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!
僕はDonDokoDonの平畠ですか!レツゴー三匹の正児ですか!アイドル夢工場ですかぁ!!」
「…今の声は臼井?」
「いたんだ。」
校舎屋上、一人泣く臼井。
「臼井くん、ここにいたのですか」
「糸色先生…」
「先ほどは君が目の前にいたにもかかわらず、
全く気づいてあげるどころか存在から忘れてしまい、申し訳ありませんでした」
「なんか全然謝ってるように聞こえないんですけど…」
「ところで臼井くん」
「はい?」
「先生、この世から消えてしまいたいのですよ。
どうすれば君みたいになれるのですか?イクラを食べればいいんですか?」
「そんな「Oh!透明人間」じゃあるまいし…」
「とにかく…あれ?臼井くん?どこにいったんでしょう」
「ひ、ひどい!」
―臼井は泣いた。自分の存在感のなさに泣いた。
どうあがいても存在感を出せないので…そのうち臼井は考えることをやめた。
「そうか、存在感が無いならそれを利用してしまえばいいんだ!
女子たちにえっちな事も存分にできるじゃないか!」
・こっそり風呂場に
・こっそり布団の中に
・ひっそり更衣室に
・こっそりスカートの中に
・こっそり(以下自粛)
「ようし、こうなったら青い性の目覚めに従い突っ走るぞ!」
さわっ ドゴッ
ぴらっ ガキッ
もみっ バキッ
「見えてるじゃないか!」
「触れば誰だって気づくわよ!大体あんたは中途半端に透明なのよ!」
パンパン、と望が手を打つ。
「みなさん静かに。今日のホームルームは
『どうすれば臼井くんは半透明じゃなくなるか』これについて話し合いましょう。」
黒板に大きく『どう(中略)なるか』と書かれる。
「いたなー…小学校の頃こういうことを言い出す奴が…」
「ハイ」
「関内くん」
「マリアの国、トテモ貧シイ。子供でも働かナイと家族から無視サレタ。
だから、マリアも一生懸命働いテ家族の中ニ入ろうとシタヨ」
「うーん、なんだか違う方向に行きそうですが
とりあえず何が人生に目標を持つ、ということですかね…」
黒板に『人生に目標を持つ』と書き加えられる。
「はい。」
「木津さん」
「私半透明なのってイライラするんです。
だからいっそのこと臼井そのものを消してしまいたいんですが。」
「えー…ちょっと物騒ですがそれもアリですね」
黒板に『消す』と書き加えられる。(臼井「アリなんですか!」)
「はい」
「藤吉さん」
「攻めか受けか決めればいいと思います」
「…そっち方面できましたか。わかりました」
黒板に『攻めか受けか決める』と書き加えられる。
「はい」
「久藤くん」
「『そらにうかんだくもりガラス』」
・・・・・・・・・・・・・・・・・
号 泣
「うう…セロテープを張り付けられるなんて…先生久しぶりに泣きました」
黒板に『負けない事あきらめない事信じる事それが一番大事』と書き加えられる。
「はい」
「日塔さん」
「えっと、臼井くんは人間関係に消極的なところがあると思うので、
もっと積極的に発言したり場に加わればいいと思います」
「普通!」
「普通って言うなー!!」
「…さて、臼井くん。一通り意見が出ましたがどれがいいですか?」
「どれがって…どれも嫌なんですが…」
「糸色先生」
突然現れた巨乳保険医・新井智恵。
「少年期はうつろいやすく、幻影のようなもの…。彼が大人になれば、半透明じゃなくなりますわ」
「なんだかメーテルみたいな事を…」
「さあ、臼井くんいらっしゃい。先生が大人の世界を教えてあ・げ・る…」
「いきます!ついていきます!アンドロメダまでついて行きます!」
―臼井くん、じっとしてて。あとは先生に任せればいいから。ね?
―は、はい先生…うっ…痛っ…
―大丈夫、痛いのは最初だけ…すぐに良くなるわ…
―うっ…こ、これで僕は…ううっ…大人になれるんですか…っ
―そうよ…ほら、力を抜いて…
「う、臼井!なにその格好!」
そこには全身からもっさりと毛の生えた臼井の姿があった。
・・・・・・・・・・・・
「彼の場合、毛の量に比例して存在感が薄れていたから皮膚移植してみたの。」
「たしかに存在感は出ましたが…キャラ的にはさらに薄くなったような…」
今回の告訴
告訴人:木村カエレ 被告訴人:臼井影郎
告訴事実:被告訴人は公衆の面前で告訴人のスカートを捲り上げ下着を(以下略)