ある夏の日の宿直室。いつもの様に望はだらだらと過ごしていた。
TVのチャンネルを何となく回したり、本を読んだり。何かと難癖を付けて絶望してみたり。
そうして今日も霧がやって来た。
「先生、おはよう。」
「あぁ、おはようございます。」
本に見入っている望は空返事を返す。
気のない返事に不満を感じ、霧は頬を少し膨らませている。
しかしすぐにいたずらを仕掛ける子どもの様な笑顔をわずかに浮かべ、望にすっと近づいていった。
横になってくつろいでいる望の後ろに回ると霧はそこに座り込み、望の読んでいる本を頭越しに覗き込む。
「何読んでるの?」
「小説ですよ。」
「そう…ねぇ先生。」
「ん?何ですか?」
「えいっ!」
不意に霧はさっと望の眼鏡を奪った。
「な、何をするんですか?返してください!」
「だーめ。私の質問に答えて」
「え?一体…なんでしょうか?聞いたら返してくださいね。」
このままでは周りが全く見えない、何より小説の続きを読めないので望は霧に従うことにした。
それにしても変ないたずらなんて彼女らしくありませんねと望ぼんやりとした視界で霧を眺めながらが思っていると、霧から思わぬ言葉が出てきた。
「先生…水着見たい?」
「…へ?」
予想だにしない展開に望は間の抜けた声を上げた。水着?どういうことだろう。
学校でプールでも開いているのだろうか?いや、夏休みに授業なんてないし、そもそも小森さんは外に出ない…
そんなことを考えているうちに望の頭の中に水着姿の霧が浮かんできた。
白い透き通るような肌を惜しげなく面積の少ない水着で披露している霧。
望は頭に血が昇ってくるのを感じた。
「そういうことだよ先生…見たい?私の…」
望の表情から何を考えているのか読み取ったのか霧は再び尋ねた。
これは彼女なりに私のことを誘惑しているのだろうなと望は思った。
精一杯甘く誘うような声色、霧としては大人っぽくしているつもりなのだろうが、抜け切らない子どもっぽさが望には少し滑稽に思えた。
その声音を聞いて望はおかしく思えた。
しかし、それ以上に自分のために、そういうと思い上がりかもしれないが、いろいろとこうしてやってくれる霧のことをとてもいじらしく思えてきた。
「ふふ…」
「…わ、笑わないでよ…」
霧はちょっとムッとした様な声で抗議する。
彼女なりに妖艶な雰囲気を出そうとしたのだろう。そう思い、そのぎこちなく可愛らしい誘惑に望は誘われることにした。
「すいません。つい。ええ、是非見せてください。」
「あ…うん。」
「それじゃあ眼鏡を…」
「まだダメだよ、恥ずかしいから…まだだよ。」
「はいはい。」
霧はそう言うと身体にかけている毛布を床に脱ぎ落とした。
霧はジャージ姿だった。チャックは首元までしっかりと閉められている。
俯いて霧はチャックに手をかけてゆっくりと下ろしてゆく。
「こ、小森さん!?」
「え?なに?」
徐々に開けていくその隙間から霧の白い肌と純白の下着が現れた様に望には見えた。
望はこの場で着替えると思い、うろたえた。
「こ、ここで着替えるというのは少し…」
「…先生。もう水着は着てるよ…」
「え…?あ…そうなんですか。」
「もう…」
霧は既にジャージの下に水着を着ていた。望には白い水着が下着に見えていた。
しかし目の前で霧が服を脱いでいるということに興奮を覚えざるを得ない。
なまじ視界がぼんやりとしているため、余計に想像が働いてしまう。望はその様を思わずじっと見つめてしまう。
「そんなじっと見ないで…」
「あ…すみません。」
想いの人の前で自らまとっている服を脱いでいく、霧はその行為に極度の羞恥を感じているのが霧の一挙一動にわかる。
そうして霧は下のジャージものろのろと脱ぎ捨てた。
「じゃあ眼鏡…返すよ。」
身長差があるため霧は背伸びをしてやっと僅かに震える手で望に眼鏡をかけさせようとする。意識的かどうかわからないが霧はかなり密着している。
鼻腔をくすぐる甘ったるい匂い、胴のあたりに感じる柔らかな膨らみ、今すぐに抱きしめたい衝動に駆られたが、今は霧の姿をはっきりとした視界の元で捕らえたいと思い望は堪えた。
やっとで眼鏡をかけてもらった望の前にはっきりとした霧の姿が現れた。ぼやけた視界で想像していた姿より魅力的に望は感じた。
無地の白い水着は純真な霧のイメージに一致していて、またその白に勝らずとも劣らない肌の白さを再確認できる。
水着を着ることによってより際立つ胸から腰までの豊かな曲線は幼い顔立ちとのアンバランスさも相まってより魅力を増している。
霧は頬を少し赤く染め恥ずかしそうに視線を望から逸らしている。髪をかきあげながら霧は望に尋ねた。
「どう…かな?」
「とてもきれいですよ。似合っています。思わず…見とれてしまいます。」
「えへへ…うれしい。」
そういうと霧はくるっと回ってポーズをとって望に笑いかけた。しかしすぐにますます顔を赤く染めて、いそいそと毛布にくるまってしまった。
「やっぱこういうの苦手…」
「小森さん。」
「なに?」
「先生的には…展開的にも収まりがつかないので…開けさせてもらいます。」
「ひゃっ…あ、開けないでよ…」
今の仕草が望にとって決定打になったようで、少々強引に霧から毛布をはぎ取ると霧を抱きかかえた。
「さて、どうしますか?」
「…どうするって…先生の好きでいいよ…」
「わかりました…いいんですね?」
「いいよ…ん…」
望は霧を抱きかかえたまま、軽く唇を交わした。そして昨晩から敷かれっぱなしの布団へと霧をゆっくり下ろした。
黒の艶やかな髪が放射状に広がる。その中心にある霧の瞳は望を求めて既に潤んでいる。
その瞳に射抜かれ、捕らえられた望は再び霧と唇を交わした。今度は深く、相手の中まで。
霧はそれを受け入れ、舌を絡ませ合う。
「ん…はぁ…んぅ」
「ふぁ…ん」
二人の声が漏れる。お互いを十分堪能した後、望はそのまま耳を経て首筋へと舌を這わす。
そして舌を下へ、鎖骨を甘噛みする。霧の身体がぴくんと震え、嬌声が漏れる。劣情はじょじょに二つの膨らみを求めてうごめく。
霧はそれを感じて、望の手を手探りで捜し、手を絡める。望はそれを解くと霧の手首を抑える。
「やぁ…せんせぇ…」
霧が弱々しい抗議の声をあげると、望は霧の手を自由にした。
望は片方の手を霧と絡ませ、もう片方で霧の身体を愛撫していき、柔らかな、吸い付く様な肌の感触を楽しむ。
弱いポイントを責めるたびに霧はきゅっと手を握る力を強め、可愛らしい声をあげる。
それが望にはとても可愛く思えて、執拗に霧の性感帯を責め続ける。
水着越しにも弾力の確かな豊艶な胸を揉み、舌を這わせ、吸い付き、口づけの痕をつけていく。
隙間に手を入れて乳首を指で弾いたり、固くなった乳首をこりこりとこね回す。
望は水着を脱がそうと少し思ったが、自分のためにせっかく着てくれたのだろうと思い、またこの可愛らしい水着を着ている方が魅力的に思えたため、思い留まった。
次に望は霧の太腿の内股の付け根当たりをさすり焦らした。決して秘所には触れない様にし、手を何度も往復させる。
霧は太腿をもじもじと擦り合せて、望に懇願の瞳を向けていたが望は構わず焦らし続けた。
「せんせぇ…そこ…さわってぇ…きゃぅ…やあぁぁん!」
望は霧が口でねだるまで焦らした。そうして霧がねだると存分に愛撫を霧の秘所に加えた。
望があらかた満足し、霧と繋がりたいという欲情を抑えきれなくなってきた頃には、霧は顔を上気させ、肩で息をして汗を滲ませていた。
霧はぐったりとして蕩ける様な目を望に向けている。その表情はさっき望に笑われた時にあった幼さは抜け、艶めいている。
「はぁ…せんせぇ…今日元気だね…」
休みない痺れる様な快感の波に翻弄され、意味を成さない喘ぎを発していた霧はやっとで言葉を発した。
「小森さんがそんな格好で来るからですよ。それに…」
「…それに?」
「あなたが今日、とてもいじらしかったから…」
そういうと望は霧を抱き上げ耳元で囁く。
「そろそろいいですか…?」
「うん…」
霧はこくりと頷く。
望は霧の頭を軽く撫でてやると袴を解き、自身を取り出せる様にした。
それは既に固く努張し反り立っていた。
望はあぐらをかく様な形で座ると組んだ足の所に霧を招き入れた。
霧はそれに従い、足を広げて望に跨がった。
霧は望の首に手を回し、ぴったりと望に密着してこれからやってくる快感に備えた。
「じゃあ入れますよ…」
「ん…はああぁん!」
望は愛液で濡れそぼった水着を少しずらして霧の秘所を露にし、そこから自身を侵入させた。
霧は望が侵入した快感に耐えるためよりいっそう望に強く抱きついた。
望も侵入時の射精感に耐えるためにしばらく動かない様にして霧の頭を撫でたりしていた。
やがて望は霧が抱きつく力を弱めるのを感じた。霧は首をもたげると、望と向き合った。
お互い無言で見つめ合う。しばらくすると示し合わせる様に顔を寄せ合い、唇を重ねた。
相手を慈しむ様に優しく触れ合わせる。長い時間そうしていた様に望は感じた。
唇を離すと望は霧に優しく囁いた。
「動きますよ…」
「うん…動いて…」
そういうと望は腰を動かし、霧を突き上げ始めた。突き上げるたびにおとがいをあげて霧は泣く様に喘ぐ。
前戯で十二分に責めを受けていた霧は過敏なくらいに感じやすくなっていた。
突き上げられたびに目の前に火花が散り、視界が真っ白になりそうになる。
その霧の中はきつく、襞の一つ一つがしっかりと、まるで精を搾り取る様に望に絡みついてくる。
これだと長く持たなそうだと望は思ったが、霧に少しでも長く感じてもらいたくて、迸る射精感を動きを緩めたりして何とか堪える。
霧は既に全身が弛緩し、すがりつく様に望に抱きついている。
霧が絶頂に達するのは時間の問題だった。
「やんっ!せ、せんせぇ…ふぁあん!もう…もうダメェェ!」
「小森さんっ…!私も…もう出しますっ…!」
望は抱きかかえていた霧を布団の上に下ろして自身を霧から引き抜くと、霧の腹部を白濁で汚した。
霧も達したようで望の腕にすがりついていた手から徐々に力が抜けていき、完全に脱力してだらりと両の腕を下ろした。
そして霧は自分の腹部にかけられた白濁を指ですくいあげ、焦点の定まらない目でぼーっと眺めている。
その眼差しを望に向けると霧はふと一瞬、妖艶な微笑みを浮かべてるとゆっくりと瞳を閉じ、そのまままどろみに落ちていった。
望は霧の髪を梳きながら、寝息を立てる穏やかな満ち足りた寝顔を覗いた。
さっきまでの淫媚な表情は消え失せ、年相応の、それよりも幼く感じられる横顔の頬を望は指でちょんと突いてみた。
柔らかな感触とともに、霧はむずがるようなつぶやきを発して『せんせぇ…』と甘えた声をあげた。
「こうして見るとまだまだ子どもですね…」
苦笑しながら望は呟いた。
しかしその幼い少女の顔に浮かんだあの妖艶な表情、寝顔からは想像もつかないあの笑み。
その表情を霧に与えたのは自分だと思うと、望は罪悪感と征服感がない交ぜになった気持ちになった。
数十分後、布団に包まり睦言を交わし合う二人。
霧は望に腕枕をしてもらい、望の二の腕に頬をすり寄せて至福の時を感じている。
「すみません、水着を汚しちゃいましたね。」
「いいよ。洗えばいいし、そんなに着ることなんてないから。」
「そうですか?私としてはもっと見てみたいですけどね。」
「ん…ありがと。プールとか行けたらいいんだけど…」
「そうですね、いつか行ける様になれればいいですね…あ、でも…」
「どうしたの?」
「他の人には見せたくないですね…あなたのその格好は。」
「…もう。」
望は霧の頬が朱に染まっていくのを見て何故か望は照れを感じた。
「いや、まぁ勿論外に出れるようになることは大事ですよ?
そういうのは目的があった方がやる気になりますし、なにより…」
望の弁解は霧の唇によって中断された。そして霧は望から唇を離すと、望の胸に顔をうずめてぽつりと呟いた。
「……先生にだけだよ…先生だけ…」
頭の中にその言葉が満ちていき、いても立ってもいられなくなる。
思っている以上に私はこの娘に捕われてしまっているみたいですね…
望は心の中で呟き、霧を抱き寄せ愛しい存在を確かめ、幸せを確認した。