「まったく、うちに来るのは家族ばかりだな。」  
「良いじゃありませんか、お兄様。この街の皆さんが健康な証拠ですわ。」  
「たぶん違うと思う。」  
「まあまあ、いつもの事でしょう。それよりどうぞ、お土産です。」  
皆さんでどうぞ、と望が菓子折りを命に差し出した。  
 
糸色医院を経営する糸色命、医者としては致命的なまでに不吉な名前の絶命先生。  
その命のもとに彼の弟と妹である望と倫が訪れた。というか遊びに来た。  
診療時間はとうに終了しており、命以外のスタッフは既に帰っている。  
 
「悪いな、ちょっとやっとかなきゃならない事があって…すぐ終わるから待っててくれ。」  
診察室のデスクに向かって何やらガリガリと作業をしながら命が言った。  
「あら、でしたら私が何か入れてきますわ。紅茶でよろしいですか?」  
「ん、じゃあ頼む。」  
しばらくして倫が紅茶を持って戻ってきた。  
望と倫が診察用のベッドに並んで座り、お喋りをして命を待つ。  
程なくして命の用事も終わったようだ。ぐっと伸びをして椅子を回し、望と倫の方を向いた。  
 
「ふぅ…っと…」  
命は倫の格好が気になるようで、少し不思議そうな面持ちで倫の姿を見ている。  
「似合いませんか、これ?」  
「いや、そういうわけじゃ…単に見慣れてないだけだろう。」  
「兄さんは見たことなかったんですか、つい最近ですもんねえ。」  
倫が望のクラスに転入してきたのが、数日前のことだ。  
普段は和服であるし、住んでいる場所が離れているせいもあって機会がなく、命の目にセーラー服の倫は新鮮に映った。  
「それで、どうしたんだ今日は?二人して来るなんて珍しいじゃないか。」  
それも倫は制服、おそらく学校から直接来たのだろう。  
「ええ。倫にですね、この辺りを案内して欲しい、と言われまして…」  
 
望の勤める学校に突然転校してきた倫は、当然のことながらこの辺りの地理には詳しくない。  
それで、本日、倫は望に学校が終わった後に色々案内して欲しい、と頼んだのだ。  
その間、時田には離れてもらい、二人で食事をしたり、買い物をしたり、うさんくさい博物館に行ったり…  
先ほどの土産の菓子折りもその一環だ。  
そして一通り回った後、命の医院が近くにあったのでそのまま遊びに来た、という事だった。  
 
(それで、さっきから倫の奴ご機嫌な訳か…まだまだ子供だな。)  
望に構ってもらえて嬉しいんだろう、と命は笑った。  
 
三人で紅茶を飲みながら話をする。会話の内容は主に学校での望の事だ。  
二人で望をイジりながら、とりとめのない話をして時間が過ぎていった。  
 
 
「…倫、これ片付けてくれないか?」  
「ええ、わかりましたわ。」  
しばらく話をしているうちに紅茶を飲みきってしまい、三人のカップは空になった。  
命にその片付けを頼まれた倫は快諾し、診察室から出て行った。  
倫が出ていったことを確認して、命が望にうつむきながら話しかける。  
「……望…お前もか?」  
「お前もかって…まさか兄さんも!?」  
望は、つい先ほどから自身に違和感を感じていた。どうにも下腹部が熱い、そしてひどく興奮する。  
「なんなんですかコレは…?」  
「さっきの紅茶…というかスティックシュガーにだな。何本か一緒にして置いてたんだ…」  
「…って何を?」  
とても嫌な予感がする。  
「まあいわゆる…エッチなおくすりってのを…な。」  
「兄さん、なんで職場にそんなモノを…」  
「私は……医者だからな。」  
「そんな台詞はもっとカッコイイ場面で使ってください!」  
望が大きくため息をついた。  
さっきから倫を見るたびにうずくのはそのせいか。  
先ほどの作業に気をとられていたために、その事を命は失念してしまっていたのだろう。  
 
「で、どうするんですか?こんなのとても倫には見せられませんよ。」  
服で誤魔化してはいるが、望のそこはすっかり大きくなってしまっていた。  
「どうするって…とりあえず倫を先に帰らせて、自分で処理するしかないだろう。」  
「はぁ…なんでこんな目に…」  
「……お前のせいだ…お前が総受けなんて地位に甘んじてるせいで…とんだとばっちりだ…」  
「なんですかその理屈は!?」  
「いやお前が…っ…!?…まずいな、本格的に…」  
顔を上げた命が望を見るやいなや、バッと視線を逸らした。  
「今、お前が…可愛く見えた…」  
「んなっ!?」  
ああそれは本当にまずい。かく言う自分もムラムラと情動が高まっているのを感じる。  
命がどうということはないだろうが、倫が居ればさすがに自分もグラついてしまうかもしれない。  
「とにかくっ!倫を帰したあと、できるだけ離れて…わかるな?」  
 
「倫、時田を呼びますから先に帰ってください。」  
「え?」  
「ちょっと兄さんと話したい事があるんで。」  
「そんな…それくらい待ちますわ、一緒に帰りましょう。」  
今日は遅くまで望と過ごしたので、倫は望の宿直室に泊まる事になっていた。  
明日の用意等は、時田が翌朝持ってきてくれる。  
それまで暇をやっている時田を突然呼ぶのは、少し気が引ける。  
「結構時間のかかる話で…とにかく帰ってください。」  
「…何かあったんですか?」  
「何もありませんよ。」  
「命お兄様?」  
「何もない。」  
どうにも倫が戻ってから二人の様子がおかしい。  
望はうつむいたまま、けして目を合わせようとしないし、命はデスクに向かい、黙って何かを書いている。  
診察室の雰囲気はピリピリと張り詰めていた。  
倫は望のことが心配になる。  
望のかわいそぶりがただの構って貰いたがりであるのは百も承知だが、元来落ち込みやすい性格であるのは事実なのだ。  
最近は低い位置で安定しているが、今の様子は尋常ではない。  
 
「…私には話してくださいませんの?」  
「だから何でもありませんって…」  
「お兄様っ!」  
倫が、ベッドに座ったまま目を合わせようとしない望の顔を両手で挟みこんで、自分の方へ向かせた。  
今日は、ずっと二人で過ごしていたのに、さっきまで三人で話をしていたのに、あんなに楽しかったのに。  
突然自分だけ除け者にされたような疎外感を感じ、無性に悲しくなる。  
「どうしてそんなっ…」  
倫が何か言っているが、望には聞こえていない。  
頬に触れる倫の指に、肌に触れる倫の黒髪に、ゾクゾクとした感覚を覚え、望の理性が揺さぶられる。  
倫を見てしまった望は、眼前で動く倫の唇に目を奪われた。とても、柔らかそうだ。  
「えっ?……お兄様?」  
望が、倫がそうしている様に倫の頬にそっと手をやり、顔を近づけてその唇を奪った。  
思った通り、いや思った以上に柔らかい。  
「んぅ…お兄様……?んむ…」  
一度唇を離した望だが、すぐにまた唇を重ね、倫を味わおうとむしゃぶりつく。  
そのまま位置を入れ替えて、倫をベッドに押し倒した。  
倫は突然の兄の暴走に混乱し、口を利く事も出来ない。  
続いて望が唇を倫の首筋へと移し、鎖骨へ至るラインに沿って舌を這わせながら倫の胸を揉みしだく。  
「っ…お兄様ぁ……やぁっ…」  
「はぁ…倫………」  
「待て、望!」  
さらに倫のスカートの中へと手を伸ばそうとした望の肩に命が手を置いて静止した。  
「あ…すいません、兄さん…倫……すいません…」  
「…なあ倫、頼むよ、帰ってくれ。」  
命が倫から目を背けたまま言った。今の倫の乱れた姿は刺激が強すぎる。  
「そんな…こんな事までされて…わけのわからないまま帰れだなんて…聞けるわけありません。」  
「……わかった。わかったよ、言う。」  
 
 
「…呆れましたわ。」  
「だろうな…」  
「どうなさるつもりなんですか?」  
「まあ、まずはお前に帰ってもらって…あとは自分で…な。」  
「ご自分で…って…」  
つい想像してしまって、少し赤面した倫は咳払いをして誤魔化した。  
少し黙って何か考えた後、望に向かって訊く。  
「それで大丈夫ですの、お兄様?」  
「…ええ。」  
「…私には不安です。さっきのお兄様を思い出すと、今のお兄様はつまらない女にでも手を出してしまわれそうで…」  
「そんなことは…」  
ない、とは思うが、妹を前に理性が崩壊してしまった望である。しっかりと言い切ることが出来なかった。  
うつむき、自己嫌悪する望の手に倫がそっと触れた。  
「っと!?倫!」  
「お兄様が…お兄様が望むのでしたら…私を使ってくれて構いません…」  
「倫…」  
倫が望をじっと見つめる。その潤んだ瞳に望の理性がグラグラ揺れる。  
「……そんなこと…」  
出来るわけない、と言おうとした望の口を倫がキスで塞いだ。  
「…お兄様?」  
「………すいません…お願いします…」  
倫の誘惑に、ついに望は陥落した。  
 
診察室のベッドで四つんばいになった倫の前に望が座り、その局部を倫の前にさらしている。  
そそり立つ望の肉棒を前にして一瞬固まってしまったが、倫は手を伸ばして望のそこに触れた。  
望の内にこもった熱が倫の指へと伝わって、それに呼応するように倫自身も熱くなった。  
そんな弟と妹の状況を目の前にして、命は頭を抱えている。だが、二人から目を離す事も出来なかった。  
「何考えてるんだ…」  
「あの、命お兄様もよろしかったら私が…」  
「出来るかそんな真似!」  
命の発言に、倫は誰に話すでもなく「そうでしょうね…」と小さく呟いて意識を望に戻した。  
そっとつまむ様に望に触れている指を擦らせて、望を刺激してみる。  
「こう…ですか、お兄様?」  
「んっ……もっと握るようにして…強く、お願いします。」  
「はい。」  
言われた通りぐっと肉棒を握り、ごしごしとしごいた。  
こんな事をして痛くないのか、と心配になったが、倫の目に映る望は実に気持ち良さそうだった。  
「はぁっ……倫…っ!」  
望に更なる快感を与えようと、倫が舌を伸ばして望の先端をちろちろと舐めた。  
実の妹に性器を舐めさせているという背徳的な光景に、望の興奮がぐっと高まる。  
続けて倫が望の肉棒をかぷりと咥えこみ、倫の口内の暖かな感触に望は包まれた。  
(そこまでしてくれるんですか…)  
そっと倫の頬を撫でると、倫はくすぐったそうにして望の顔を見た。  
ぞぉっと望の背筋を何かが走る。  
にゅるにゅると絡みつく倫の舌は、怖いほどに気持ちが良い。  
「倫…っ……ん…っ…!」  
堪らず望が倫の口内へ放った精液を喉奥に受け、反射的に倫は口を離してしまった。  
倫の口から開放された肉棒は、なおも射精をやめず倫の口元とセーラー服に望の精液がべっとりとこびりついた。  
 
「はあ…はあ……すいません。」  
「いえ…楽になられました?」  
「ええ…」  
自身の精液で白く汚れた倫を前にして、望は罪悪感を感じてしまう。  
望はベッドの傍らに置かれたティッシュを手にして、倫の口を拭いた。  
「ん…お兄様?…それくらい、自分で出来ますわ。」  
「やらせてください、せめてこれくらいは。」  
(そんなことされたら…余計に恥ずかしいじゃありませんか。)  
赤面しながらも、倫はきゅっと目を瞑り、望に身を任せた。  
倫の口元と服に付いた精液を取りながら、望は倫の口内で射精したときの感覚を思い出す。  
(きもちよかった…なぁ…う、また…倫には悪いですが…もう一度お願い…しよう…かな…)  
一度射精したとはいえ、薬の効き目は切れていない。未だ望の肉棒はそそり立ったままだ。  
倫の服の汚れを取った望が、恥ずかしいが、情けないが、もう一度倫に頼もうとしたが、それより先に倫が口を開いた。  
「あのお兄様、まだ…」  
「倫…」  
だが、それをさらに命がさえぎった。  
「すまない…私も、頼む…」  
「…はい。」  
 
望のときと同じように、倫が命の性器を口に咥えて奉仕している。  
望と同様、命も倫に与えられる快感に震えていた。  
望は黙ってそれを見ている。  
その光景が望には非常に面白くない。  
ついさっきまで自分がしてもらっていた事だというのに、そして、だからこそ。  
まるで命に倫を独り占めされたような感覚を覚えていた。  
命の番が終われば、倫はきっとまた望の相手をしてくれるだろう。  
でも、それだけでは嫌だ。  
望は今、倫そのものを強烈に求めてしまっていた。  
(何を馬鹿な…倫は妹ですよ…そんな…)  
かぶりを振って自身の感情を否定する。  
だが、その考えを振り切る事が出来ず、望は熱に浮かされるようにふらふらと倫へと近づいていった。  
「倫…」  
「んむっ…お兄様?」  
突然触れられたことに驚いて、倫が命から口を離し後ろへ振り返った。  
倫と目が合った望は、にこりと微笑んだ後、顔を倫のふとももへと近づけてちゅっと口づけをした。  
「やっ…ああ……」  
倫の可愛い声を聞きながら、望が倫のももから付け根の方へと向かって舌を這わせた。  
次第に望は倫のスカートの中へと潜り込んでいき、倫の下着を目の当たりにした。  
舌を離して、今度は倫の下着にぎゅっと顔を埋め、そして肺一杯にそこの空気を吸い込んだ。  
「やだっ…やだお兄様!そんなところ嗅がないでください!」  
意に介さず、望はすんすんと鼻を鳴らして倫の匂いを吸い込む。  
倫の匂い、妹の匂い、そして女の匂い。  
吸い込むほどに望は昂ぶっていく。もっと欲しい、倫が欲しい、と。  
さらにぐっと下着に押し付けた鼻先に、湿り気を感じた。  
指を伸ばして触れてみると、柔らかな感触と共にくちゅっと小さな水音がして、望の頭の中は真っ白になってしまった。  
 
望が倫の下着を脱がせ、さらに倫の脚を掴んでぐっと開かせた。  
倫の秘部は愛液で少し濡れていた。  
望がそこに手を伸ばし、倫の割れ目を指で左右に広げて倫の中を覗く。  
「あ…ああ…おにいさまぁ…」  
羞恥に震える倫の膣内を、指で円を描くようにぐりぐりと弄り回す。  
その度に倫は甘い声を洩らし、愛液がとろとろと溢れ出る。  
「倫…辛いだろうが私の方も頼む。これじゃ生殺しだ…」  
「やっ…はぁ…い……っちゅ…んっ…んぅ…」  
望が倫を責め始めたせいで、放置されていた命の肉棒を再び倫が咥えた。  
倫から与えられる刺激自体は先ほどより緩やかだが、望の責めに震えながら奉仕する倫の姿が命をより興奮させる。  
その様子を見て、望が指に代わり舌を倫の中へ侵入させた。  
望の舌に中を掻き回され、嘗め回される快感におかしくなってしまいそうで、倫は意識を保とうと命の肉棒に集中する。  
だがそれは望の願うところではない、倫にはもっと自分のことを想って欲しいのだ。  
自身の存在を主張しようと、望がじゅずずずっとわざと音を立てるように倫の愛液をすすった。  
カーッと倫の体温が上がって、さらに命の肉棒への愛撫を激しくした瞬間、命の精液が倫の口内に放たれた。  
その一瞬、緊張の糸が途切れた倫は、望に与えられる快楽の波に完全に飲み込まれてしまった。  
ぷるっと震えたかと思うと、命の肉棒を咥えていた口をだらしなく開いてボタボタと口から精液をこぼした。  
「ふあぁぁ……はぁ…はぁ………ひあっ!」  
なおも望の責めは続く。倫の陰核を指でくりくりと弄りながら、望は倫の菊門にちゅうっと吸い付いた。  
「え?え…?や…うそ…でしょう?」  
尖らせた望の舌が倫の菊門を押し広げて、倫の中へと入っていった。  
丹念に皺を伸ばすように望が舌を動かせる。  
まったく予想の範囲外の事をされて、倫は大いに困惑する。  
だが、同時に望に求められている事を感じ、たまらなく幸せな気持ちだった。  
「はぁぁ…おにいさま……おにいさまぁ…」  
絶頂を迎えた倫は、へたりと脱力してうわごとのように兄を呼んでいた。  
 
望の願った通り、倫の頭の中は望のことだけで一杯になった。  
その事に満足した望が倫のヒップから顔を離して、ふと自分の手を見る。  
倫の陰核を弄り続けていた手は、愛液でべっとりと濡れていた。  
指に付いた愛液を舐めながら、今度はちらりと倫の秘部へと視線を移す。  
トロトロとヨダレを垂らす蜜壷が望を呼んでいた。  
ごくっと唾を飲み込んで、望は自身の肉棒を掴んで倫へと狙いを定めた。  
「っと!?ちょっと待て望!それはいくらなんでも。」  
「…え…ああ…」  
望は倫に挿入する寸前で命に制止された。  
「あの…今日は大丈夫ですわ、お兄様。」  
「今日は…ってそういう問題じゃ…」  
「……望お兄様になら…構いません。」  
「お前…」  
「いいん…ですか?」  
「ええ。」  
「待て!」  
再び、倫に挿入しようとした望を命がまた止める。  
だが、今度はただ止めただけでなく、命はガタガタとベッドに手を入れて何かを探し始めた。  
「使いなさい。」  
と、透明な液体の入った容器を望に手渡した。  
望が渡された容器のラベルを見る。それは、いわゆる性交用のラブローションだった。  
「倫のためだ。」  
「まあ…ありがたくいただきます。」  
あんた職場で何やってるんだ、と命に突っ込みたくなったが抑えた。  
たぶん、今の望よりはマシだろう。  
 
にゅるにゅるとした液体を倫の中に馴染ませ、望の肉棒にも塗りたくる。  
たっぷりのローションですべりを良くした倫の膣内へ望がずぶずぶと入っていく。  
命は倫が落ち着けるように、と倫を抱いて髪を撫でていた。  
 
(はあ…お兄様が……お兄様が……ごめんなさい。ごめんなさい、お兄様。)  
とうの昔に諦めたはずの想いだった。  
実の兄に一人の女として愛されたいという願いなど、許されるはずもない。  
だが、今こうして二人は繋がっている。  
判断力の鈍った望に女の体をチラつかせて誘った。  
望のためなどと嘘をついて、さらには命まで誘って自分の気持ちは誤魔化した。  
なんて卑しい女だ。結局は自分が望と体を重ねたいだけのくせに。  
そんな唾棄すべき真似をしたのもこのときのため。  
本日、今だけの、ただ一時の夢のため。  
ぬぷぬぷと音を立てて、兄の男性器が前後に動いているのを感じる。  
少し痛いが、それくらいの方が今日の事を忘れなくていいかもしれない。  
 
「はっ、はあっ…倫ッ…」  
ビクっと望の肉棒が大きく跳ね倫の中で望が射精した。  
じわりと広がるその感触に、倫は今まで感じた事もないほどの幸福を感じていた。  
(お兄様…私、幸せです…ありがとうございます。)  
気を抜いたら涙をこぼしてしまいそうだ。  
そんなもの望には見せられない、と倫はぐっとこらえた。  
 
「私も…いいか?」  
「…はぁ…はぁ…はい…」  
弟と妹の性交を眼前にした命も誘惑に負けてしまった。  
寝転んだ命の上に倫が跨り、腰を沈めて命の肉棒を招き入れた。  
倫が腰を動かして命の肉棒を自身の中で前後させる。  
妹に手を出してしまったという背徳感に興奮を後押しされて、命は倫の体に夢中になってしまう。  
「んん……っ?…あっ…望お兄様?」  
また倫の体に望が不意に触れた。  
望はベッドに上がって、背後から倫を抱きしめている。  
「すいません…わがままな兄で…どうしようもない兄で…」  
「ひゃうっ!あぁ…」  
望が指にローションを絡ませて、倫の菊門へと塗りつけた。  
もう一度指にローションをまぶし、倫の肛門へと馴染ませていく。  
そのまま指を深く倫の中へと挿し込み、ずぼずぼと前後に動かして、さらに四方の壁を指でぐっと押し広げた。  
「っ!あああ…やっぁぁ…」  
指を引き抜いて、今度は肉棒にローションを塗りたくり、倫の菊門へと先端を触れさせた。  
「倫…力抜いて…」  
「へ…あぁぁぁ…」  
みちみちと倫の肛門を押し広げ、望の肉棒が倫の中へ吸い込まれていく。  
きゅっと締める入り口とは裏腹に、その中はふんわりと望を包み込んだ。  
貫かれた痛みと快感が入り混じり、倫はポロっと涙をこぼしてしまった。  
「あ…うぅぅぅ…」  
「…すまん、我慢できそうにない…」  
その衝撃に動けなくなってしまった倫に代わって、命が腰を緩やかに動かした。  
望は倫の胸を制服越しに揉みながら、同じくゆっくりと小さな動きで倫の中を前後に動く。  
三人の激しい息遣いが混じりあい、倫の中に前後から二人の兄の精が注ぎ込まれた。  
 
倫の中へ放出したときの射精感は、生涯忘れられそうにないほどの快感だった。  
だが、それでも…  
「まだ収まらない…か。」  
命が倫に目をやると、倫はこくっと小さく頷いた。  
「…ここじゃ狭いな、場所を変えよう。」  
命に連れられ、三人は部屋を移動する。  
倫は歩くには辛そうだったので望に抱かれて運ばれた。  
 
少し大きめの入院患者用のベッドに場所を移し、また体を重ねあう。  
三人とももう何も身に着けていない。  
倫は命に重なるように座って繋がり、その前から望が貪るように倫の乳首を吸いたてている。  
「やんっ!お兄様、そんなに強く…吸わないでくださいぃ…」  
同時に命の肉棒をくわえ込んだ秘部のほうへ手をやり、倫の陰核をきゅっとつまんで引っ張ってみた。  
「ふぁぁっ……ああ…」  
「倫…」  
倫の瞳からつうっとこぼれた一筋の涙を舐め取って、望は倫と口付けし、舌を絡めあった。  
 
仰向けに寝かせた倫の股を大きく開かせて、命が倫に挿入する。  
命に突かれながら、倫は傍らに座った望の肉棒を緩くしごき、その先端を舌でちろちろと舐めている。  
「はあっ…倫…焦らさないでください…」  
倫が小さく笑い、手首の動きを激しくして、望の尿道を舌でほじくったり、起伏に沿って舌をねっとりと絡ませたりする。  
びくっと望の肉棒が膨張し、倫の胸まわりに白い水溜りが出来た。  
「はぁ…はぁ…」  
「ふふ…お兄様…かっこわるい…」  
この特異な状況でお決まりの台詞を言う倫の頭を、望はばつが悪そうにくしゃくしゃと撫でた。  
 
両膝をベッドに着けたまま腰を浮かす倫。その前に望、後ろには命。  
同様の姿勢で二人の兄は妹を挟み、倫の蜜壷と肛門に挿入している。  
「おにいさまぁ……あんっ…あ…ああっ…」  
前と後ろから交互に出し入れされる感覚に、倫はがくがくと震える。  
倫と望は固く抱き合い、命は崩れ落ちそうな倫の腰を支えている。  
乱れる倫の姿にひどく興奮して、二人の兄は倫の中で果てた。  
 
「っはあ…はあ……薬、切れたみたいだな…」  
「ええ…」  
粘着質な音を立てて倫の内から、二本の棒が引き抜かれた。  
どろりとあふれ出した精液は、どれが誰のものだと言うのも馬鹿らしい。  
その光景に今さらながら命がため息をついた。  
(やっちゃったな…でも、それ以上に…まずいだろ、それは…)  
倫と望は未だ抱き合ったままだ。  
倫は望の胸に表情を隠すように頭を押し付け、そんな倫を望は不安そうな面持ちで、じっと見下ろしていた。  
「倫…どこか痛いんですか?…そうですよね、すいません。」  
「いえ…少し疲れただけですわ…」  
そう言って、倫は望を心配させまいとにっこり笑って顔を上げた。  
その笑顔はどこか寂しそうだ。むしろ望には、倫が今にも泣き出しそうに見える。  
 
「お気になさらないで、お兄様。今日の事は、私も忘れますから…」  
「……倫。」  
「はい?」  
ちゅ、っと望が倫に口づけをした。  
それは今までで一番優しいキスだった。  
「え…?どう…して?」  
困惑する倫に望がもう一度キスをする。  
「…お兄様。」  
倫がちゅ、ちゅ、ちゅと望にキスを返す。そして、どちらからともなく二人は抱き合った。  
(やっぱりか…)  
命がため息をついた。  
だが同時に仕方ない、とも思う。  
もし自分と望の立場が逆だったら、堕ちていたのは自分の方だろうな、と。  
 
(ああ、それにしても…)  
(倫には、言えませんが…)  
成人男性二人の限界以上の性欲を受けきった倫を見て思う。  
絶倫だな、と。  
母のつけた名前はまさに絶妙であった、と二人はその身をもって感じさせられた。  
 

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