やっぱり今日の可符香さんはちょっと…いや、かなり変だと思う。
いつもポジティブな彼女が珍しくネガティブな発言をしたり、
ずっと光が一切ない暗い瞳をしていたり。
――まぁ、その原因は何となく分かっている訳だけど。
「…可符香さん、今日の君はいつもの君らしくないね…どうしたの?」
「…なぁに言ってるんですかぁ久藤くん、私はいつも通りですよ…ふぁっ…んぅ…。」
僕に剥き出しになった胸を揉まれて喘ぎながら可符香さんは案の定キッパリと否定する。
何度聞いたとしても彼女の答えは同じなのは承知しているので、
僕は黙って行為に専念する事にし淡い色の乳首に舌を這わせた。
「…あんっ…やぁ…んっ…久藤くぅん…。」
ツンと尖った乳首を舌で転がしながら、もう片方の乳首を摘んで軽く捏ね回すと
鼻にかかった甘い声を漏らしながら可符香さんは身体を震わせて快感に悶える。
彼女から僕の携帯へメールで急に会いたいと連絡があり、
こうして閉館時間後の図書室で僕達は淫らな行為に及んでいた。
別の女の子と会う予定をキャンセルしてまで可符香さんに付き合うのは
僕にとって彼女が特別な存在だから…つまり恋愛対象として見ているからで。
…ただそれを可符香さんに伝えた瞬間、この関係は終わってしまう。
けして彼女に気付かれてはいけないのだ。
僕達のこの関係を単純に“セフレ”という範疇に入れるのもしっくり来ない気がする。
じゃあ、それならば何と形容すれば良いのか…もうこの辺で止めておこう。
別に誰かに尋ねられた訳ではないのだから。
「…もう私…こんなに濡れちゃっているんですよ…久藤くん…。」
可符香さんがゆっくりとスカートを捲り上げると愛液でべとべとになった下着が露わになった。
そのまま椅子から立ち上がってスカートの裾を口に咥えながら僕に見せつける様に下着を脱いでいく。
彼女の薄い毛で覆われた恥部と下着の間に半透明な愛液が糸を引いていき、
その淫靡な様に僕は生唾を飲み膨張した股間が堪らなく疼くのを感じた。
「…挿れる前にちょっとだけ舐めさせて下さいね…。」
そう言うと可符香さんは椅子に座っている僕の前に、しゃがみ込んでベルトに手をかけ外していく。
そしてズボンの前を寛げ僕の屹立し熱を持ったペニスを取り出すと
彼女は既に先走りで濡れた亀頭に顔を近づけ舌を這わせ始めた。
「…っはぁ…久藤くんの…凄く大きくなってぇ…れろ、ちゅっ…んっ…ちゅぱ…。」
裏筋から陰嚢にかけて小さな舌で丁寧に舐め回してから、すっぽりと亀頭全体を口に含み吸い上げる。
あまりの気持ち良さと眼下の彼女の淫らな姿に我慢するのが困難になっていく。
「…くっ…可符香さん…このまま続けると君の口の中に…はぁ…。」
「…そうですかぁ?…じゃあ、そろそろ…。」
名残惜しそうにペニスから口を離した可符香さんは僕の股間の上に跨り、そのまま腰を沈めていった。
「…うふふっ…入っちゃいましたよ…久藤くんのが全部…ほら…。」
根元まで僕のペニスを膣内に咥え込むと可符香さんは
再びスカートを捲り上げ結合部分を見せながら艶かしい笑みを浮かべる。
僕が彼女の尻を両手で支え、彼女が僕の首へ腕を回して身体をより密着させてから、
互いに腰を動かし出すと繋がった部分から湿った粘膜の擦れ合う音が響いた。
…可符香さんを抱く毎に自分が心の奥底に隠す独占欲が募っていく。
この手で抱いている彼女の髪も唇も肌も何もかもを他の男…“彼”に触れさせたくなんかない。
今日、可符香さんがいつもと違う原因を作った“彼”には。
「…あ、あっ、あんっ…もぉ私…イッちゃいます、久藤くぅ…んっ、ふああぁっ!」
「…あぁっ、可符香さん…僕も…うっ…。」
同時に絶頂を迎え、ぐったりし弛緩する可符香さんの身体を強く抱き締めながら彼女の中で熱い精を迸らせた。
神様との約束でどんな時でもポジティブを貫こうとする可符香さんだけど、
そう捉えられない物事に直面した時、ちょっとした精神不安定状態になるらしい。
そんな時、彼女は僕との行為を求めてきた…精神安定剤の代用として。
僕はどんな形であれ可符香さんに必要とされるのがとても嬉しかった。
「…久藤くん…もう一度…してくれますか…?」
「…いいよ、可符香さん…僕も、もう一度したいと思ってたんだ…。」
余韻に浸ってから暫くして上気した頬で微笑みかける可符香さんに僕は笑顔で頷いた。
一つに繋がったまま、どちらからともなく唇を重ねて舌を貪欲に絡ませ合う。
彼女の中で大量の精を放ち萎縮したペニスが再び力を取り戻していった。
この先、彼女が僕を必要としなくなるのか、それとも――。
胸にほんの少しの甘い期待と苦悩を抱きながら、
今日も僕は可符香さんの精神安定剤としての役割を果たしていた。
―終―