ある日、芽留ちゃんは渋谷にブラを買いに行きました。  
 
お店に入ると、早速店員さんが話しかけてくれます。、  
「いらっしゃいませぇ。ウチならAAでもAAAでもカワイイのがありますよぉ。」  
いつも毒舌の芽留ちゃんだって、可愛くなりたい女の子。その目がキラキラ輝きます。  
「お客さん、こんなのありますよぉ。」  
あらあら、エアパッド入りのブラを買わされてしまいました。  
 
今度はそうは行くものか。意気込んで次のお店に入ります。  
さっきは店員に任せてしまったのが良くなかった、自分で選んで持っていこう。  
「もっと大きくなってから来ようね〜」  
おっと、子供扱いされて相手にしてもらえませんでした。  
 
それでも芽留ちゃんは諦めません。何度がっかりしようとも。  
しかし、そうこうしているうちに日が暮れてしまいました。  
芽留ちゃん、仕方なく家に帰ります。  
その様子を影から窺っていたお父さん。  
くう。かわいそうなめるめる。待っていろ、今、この財力で…!  
 
数日後。  
タンスに入っていた見覚えのないブラ。  
こんなの持ってたっけ?まぁいいや。可愛いじゃないか。  
それを着けて、芽留ちゃんは学校にやってきました。  
いつものように絶望先生の授業を受ける芽留ちゃん。  
なんだか様子が変です。  
体が熱い。息が乱れる。…気持ち…いい?  
 
芽留ちゃんのお父さんは、何を思ったのかブラに電動マッサージ機を仕込ませていました。  
タイマーで勝手に作動する物でした。無駄に高機能なのはお金の力。  
…素です。一流職人の仕事に口出ししてまで作らせました。  
ただ、めるめるがリラックスできるようにと。  
しかし、彼の間違いはこれで終わりません。いや、もう、ある意味正しいと主張したい。  
当然のように揃いのパンツまで作らせていたんですね、彼。素晴らしい父親です。  
 
もじもじと動く芽留ちゃんですが、もじもじはいつものことなので誰も気にしません。  
これだけなら不幸中の幸いのようですが、誰かが気にしてくれた方が幸せだったのかもしれません。  
芽留ちゃん、自分で声を出せない。トイレにも保健室にも引っ込めない。  
そしてついに。  
 
「あ……ぁあ……──んんんんんんんっ!!」  
ぷしゃあああああぁぁぁぁぁ。  
芽留ちゃんは達すると同時にお漏らしをしてしまいました。  
ちょろろろろろろろろろろろろろ。  
残酷なほど静まる教室。椅子から床に落ちる水の音が教室中に響きます。  
ぴちゃ……ぴちゃ……ぴちゃ。  
おしっこの勢いも収まった頃、一転教室は騒然となりました。  
 
「みなさん、静かにしてください。…えぇと、」  
「先生!私が保健室に」  
「お願いします、大草さん。」  
うろたえるだけの絶望先生に比べて、大草さんは立派ですね。  
泣きじゃくる芽留ちゃんとそれを慰める大草さんが教室を出て行きました。  
 
その後数ヶ月、芽留ちゃんのお父さんは口を利いてもらうことはありませんでしたとさ。  
 
おわり  
 

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