「日塔奈美………中肉中背、スタイルも並、成績も可も無く不可も無く。まぁ、顔は若干良い方、って所か。」
「………………。」
「本当に、絵に描いたような平均的女子高校生だな。珍しい苗字以外は、本当に、普通だ。」
「普通って言うなぁ!!」
お決まりの台詞を叫んで、奈美は眼の前に立つ命を見上げる。
下校途中、背後から何者かに羽交い絞めにされ、口を塞がれ目隠しをされて車か何かに押し込められ………何も
解からぬ間に連れて来られた場所で。何も解からぬまま、奈美は眼の前の命と向き合っていた。
「で、どうかな?普通なら、拉致監禁なんてなかなか体験できないと思うが………。」
「そ、そこは普通でいいんです!!早く、家に帰してください!!」
「残念ながら、そのつもりがあれば初めからこんなことはしないよ。」
目尻に涙を浮かべながら抗議する奈美を見下ろしながら、命はくい、と眼鏡の位置を直す。
「何なんですか………どうしようっていうんですか、こんなことして!!」
「そんなもの、ちょっと考えれば解かりそうなものだろう?」
命はそう言って、その双眸を獰猛に光らせる………が。
「そんな………う、うちに、身代金になるようなお金なんてありませんよ!!」
「………は………?」
それに続いた思わぬ言葉に、ぽかん、と口を開けた。
「普通もっと、大きい家の子供狙うでしょう!?うちみたいな一般家庭の子供誘拐して、どうするんですか!!」
「身代金………君は、何を………?」
「う、うちのお父さん、最近転職したばっかりで!!その、お給料だってそんなに………!!」
奈美の見当外れな言葉に、誇張の無い、心底呆れたような顔をして………奈美の前に、しゃがみ込む。同じ高さで
その瞳を見つめながら………命は、奈美の頭を2、3度軽く叩いた。
「本当に、この頭は………恐るべき普通さだな。正直、その発想は無かった。」
「だ、だから普通って言うなぁっ!!」
「だが残念、君も言う通り、私は君の家に身代金など期待していないよ。私が、欲しかったのは………。」
「え………欲しかった、のは………?」
「日塔奈美、君だよ。君が欲しかったんだ。」
「………は………?」
今度は奈美が、さきほどの命と同じように、ぽかんと口を開ける。奈美は10秒ほど掛けて、命が放ったその言葉
の意味を反芻し、自分なりに理解して………その頬を、真っ赤に染めた。
「わ、わたっ、私が欲しいって………そ、そんなの困ります!!私、先生のことよく知らないし………!!」
瞬間、命は奈美の再びの勘違いを察し………もっと言葉を選ぶべきだったか、と後悔した。
「そういうことに関しては、別にいいんです!!普通で、ごく普通の恋愛でいいんです!!」
「………あー………いや、そうじゃなくてだな………。」
「あの、ここまでしてくれる気持ちは嬉しいんですけど、その、そうじゃなくてもっと、段階をですね………!!」
「………ああ、もう。勝手に先走るな、うっとおしい。」
命の言葉を完全に勘違いし、突然熱烈過ぎる程の愛の告白をされたものと思い込んで独りあたふたと慌てる奈美の
頭を、命の手が、今度はやや乱暴に左右に振った。その言葉も、徐々に苛立ちを隠せなくなってくる。
「まったく、どこまでも平和ボケした一般人の脳味噌をしているな………面倒臭い。」
「え、あ、あのっ、せ、先生っ………ちょ、首、首が………!?」
「この幸せな思考回路は、彼女と通じるものがあるな………彼女は、普通とは縁遠い異常な精神を持っていたが。」
いつまで経っても真実に辿り着かない、奈美の平和な連想に、命は、可符香をこの部屋に連れて来たときの様子を
思い出していたが………奈美には、命の言う『彼女』が自分の良く知るクラスメイトのことを指しているという
ことなど、知る由も無かった。
「いいか。君の普通の頭でも、すぐに理解できるように説明してやる。」
「ふ………普通、って………。」
「私の目的は、君の身体だ。金が欲しいわけでも、君の心を射止めたいわけでもない。」
「………え………あ、あの、それって………?」
「普通の営利誘拐なら、身の安全は保証されただろうがな。生憎私には、君を大切に扱ってやる義理は無い。」
「………え、そ、それじゃぁ………わ、私、あの………!?」
「君は、私の所有物だ。奴隷だ。君に選択権など無い。これからは何があろうと、私の命令に従うしか無いんだ。」
「え………ええ!?そんな、あのッ………!?」
「私に犯され、穢され、従順な奴隷へと調教される。それ以外に、君に未来は用意されていない。解かるか?」
奈美自身は知るはずも無いが、かつて同じ場所で同じ相手から可符香がされたものとよく似た、余りに露骨な告白
を受けて。奈美は、ようやく………自分が置かれている状況が、自分が思っていたよりも遥かに異常なものである
ということに、気付いた。その顔から、血の気が引く。
「い………嫌です!!そんな………そんなこと、許されるわけないでしょう!?」
「ああ、許されないだろうね。だから、なんだ?」
「なんだ、って、だからそんなこと、しちゃいけないに決まってるじゃないですか!!何考えてるんですか!?」
「何、って………そりゃぁ、いろいろ考えているさ。いかにして安全に、その許されざる行為に及ぶか、とかね。」
「な………ふ、ふざけないで!!早く、ここから出してください!!」
「諦めるんだな。私がこうして行動を起こしたということは、既に全ての準備が整っているということだ。」
「警察呼びますよ!!いいんですか!?」
「監禁されている人間に、そんなことが許されるはずないだろう。私を舐めてるのか?」
眼の前で何を言おうと揺るがず動じず、表情すら崩さない命の様子に………奈美は更に、自分の置かれた絶対的な
危機を実感する。やがて、その言葉も尽き始めた頃………命は、奈美の顎に手を添え、それを持ち上げた。まるで
口付けの前のような………しかし、愛など微塵も感じられないその所作に、奈美が身震いする。
「立場を、明らかにした所で………さっそく、調教に移ろうか。」
「あ、う………ぁっ………!?」
眼の前に立ちはだかる………人の形をした、圧倒的な、恐怖。底知れぬ、悪意。
残虐性に満ちたその眼光に射すくめられて、奈美は、とうとう言葉を発することすらままならなくなってしまった。
「実は君には………少し、特別なコースを用意していてね。」
「………と、特別………って………?」
「今、用意させよう。君の素質次第では………晴れて、普通少女を卒業できるかも知れないな。少し待っていろ。」
ようやく事態を理解し、その瞳を絶望の色に染めた奈美の顔を、寒気のするような笑顔で見つめて………命は、
ゆっくりと立ち上がり、踵を返して部屋を後にした。
独り残された地下室で。奈美は、眼の前で起きた出来事が夢ではなかったことを確かめるように、自分で自分の頭
を壁に打ち付けて………鈍い痛みに、悶絶した。
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数分後。命が、1人の看護婦と共に部屋に運び込んできたその装置を眼にして………奈美は、絶句した。
「………ッ………ッッッ!!?」
「こんなに間近で見るのは………いや、もしかすると、生で見ること自体初めてかな?」
命は、その装置に軽く体重を掛けた格好で、笑いながらそう言った。
2人掛かりで運び込まれたそれを、奈美は、マジシャンが登場するテレビの中か、スプラッタ系の映画か、あるい
は世界史の教科書の挿絵でしか、見たことが無い。だが………その用途は、一瞬で、理解できた。
それは、2枚の板を縦に並べて、その合わせ目に3つの穴を開けて、板同士を鍵で留められるようにしたものに、
土台を取り付けた装置………ギロチンの刃の下で人間を捕まえておく為の、拘束具だった。もちろん、頭と腕を
刎ねる為の巨大な刃は無いが………奈美はそれを見た瞬間に、自分がそこに頭と腕を突っ込まれて身体の自由を
奪われることを想像し、おそらくそれが実行に移されるであろうことを察して、顔を蒼褪めさせた。
「さて、もう解かってると思うが………ちょっと、こっちに着て貰おう。」
命の言葉が、奈美の予想が不幸にも的中してしまったことを告げる。拘束具の留め具を外し、それを上下に開いて
固定し、奈美に歩み寄る。それだけでビクビクと身体を震わせる奈美の腕を、解放する。
「おっと………逃げようとは、思うなよ。外への出口は、完全に塞いであるからな。」
命はそう警告した上で、奈美の脚の拘束も外したが………すぐに、奈美が恐怖で足腰も立たない状態に陥っている
ことに気付き、はは、と嘲笑染みた乾いた声を上げた。ガタガタと震える奈美の腕を乱暴に引っ張り、生まれたて
の子馬のようにふらつくのも構わず拘束具の前まで誘導する。
「さぁ、ここに首と腕を置いて。」
「や………嫌、ぁ………怖い………ッ!!」
「大丈夫。別に首を落とそうとか、絞め殺そうとか、そんなつもりは無いんだ。それでは、私としても困るしね。」
さらりと背筋の凍るようなことを言って、命は硬直した奈美の体を、半ば強引に拘束具に押さえつけた。看護婦と
2人掛かりで、ぎこちない抵抗を続ける奈美を制し………やがて、完全に拘束を完了する。がちゃり、という重い
音が、その鍵が締まったことを………自分が完全に捕らえられてしまったことを、奈美に知らせる。
「嫌っ、や、だぁ………止めて、離して、怖い………怖いよぉ………えぐ………っ!!」
想像を絶する恐怖に、奈美は遂に、ぼろぼろと涙を零し泣き始めてしまう。頭と腕の自由を完全に奪われ、視界も
地面が見えるばかりでほとんど遮られているといっても過言ではないその状況は、奈美にとってあまりに窮屈で、
不安を煽られるものだった。
「ははは。マジシャンのアシスタントでもなきゃ、普通はこんな体験できないぞ。」
命の声が、視界の外から聞こえる。足元で影が動いているのは確認できるが、その姿を見ることは出来ない。
「ひ、っく………や、あぁ………ごめ、ごめんなさい………許して、くださいっ………。」
「そう、怖がるな。すぐに………そんな些細な恐怖なんて、吹き飛ばしてやろうじゃないか。」
恐怖のあまり、ひたすら謝り続けることしか出来なくなった奈美の背中を、命の手がゆっくりと擦る。その指が
僅かに動く度に、奈美の身体が恐怖に引き攣る。そうして、命の指は奈美の背中を滑り、腰を撫で、尾てい骨の
上を通過して………。
「ひ、ぃ………ッ………!?」
突き出された尻の上に、辿り着いた。
「さて、まずは………一応、こちらを確かめておかないとな。」
「ひ、ッ………い、いや、あぁ………ッ!?」
奈美の背筋に寒気が走ったのも束の間、命の指はあっさりとそこを通過して………奈美のスカートの中に潜り込み、
更に、その下着の中にまで潜入する。いきなり、何の前触れも無く、下腹部に接触されて………奈美は、思わず
甲高い悲鳴を上げた。
「や、止めて!!そ、そこは………触らないで、ぇ………あ、ひあぁぁぁッ!!やあぁぁぁ!!」
刺激による快楽などまるで無い、純粋な恐怖による悲鳴は………命の中で燃える嗜虐心に、油を注ぐことになる。
「そうは、言われてもな。触らなきゃ、確認が出来ないじゃないか。」
「確認って、何のですかッ!?いいから離して………もう、触らないでぇッ!!」
「すぐに、触られるくらい何でもなくなるさ。それじゃ………失礼するよ。」
「え………あ、ぁぁぁ………ッッッ!!?」
そう聞こえた、次の瞬間。奈美は、必死で命を拒もうとばたつかせていた両脚が、何者かによって強引に左右に
開かれていくのを感じた。そして、その太股に、何かベルトのようなもので締め上げられる感触がする。
「………これでよし、と。助かった、有難う。」
命は看護婦に、そう礼を言った。その声を聞きながら………奈美は、自分の足が、さきほどまでのように自由に
動かなくなっていることに気付く。一定の間隔で固定されたまま、開くことも閉じることも出来なくなっている。
奈美の眼では確認はできなかったが………そのとき奈美の両脚は、長い棒の左右に首輪を取り付けたような別の
拘束具によって、その自由を奪われてしまっていた。
「やだ、何………何ですか、これ!?な、何したんですかッ!!?」
「硬いことは気にするな。それじゃ………これも、邪魔だ。脱がすぞ。」
命はそう言って、遂に五体全ての自由を奪われた奈美の下着に指を掛け………それを、躊躇い無く引き摺り降ろす。
ちょきん、とハサミの音がして、奈美の脚から下着の感触が完全に消える。
「な、あ、うぁ………きゃあああぁぁぁぁぁぁッッッ!!?」
最も大事なその場所を隠す下着をあっさりと奪われ、奈美は、それまでに無い程の声で絶叫した。
じたばたと、脚を動かす。だが、拘束具に捕らわれた脚を閉じることは適わず、剥き出しになった秘所は、命の
眼の前に晒され続ける。
「やあぁぁぁぁッッッ!!止めて、嫌だぁッ!!かッ、返してくださいっ!!」
「そんなに暴れるな、傷がついても知らないぞ………どれ、どれ。」
「ひ、う、あぁぁぁ………嫌っ、触らないで………う、えっ………!?」
半ばパニック状態に陥り泣き叫ぶ奈美の声など、まるで聞こえていないかのように。命は、遠慮などまるで無しに
………ぴたりと閉じた秘裂に指を添え、それを左右に押し開いた。
「あ………ぅ、ぁぁぁぁぁ………っ!!?」
視界の及ばぬ領域で身体を好き放題に嬲られる恐怖と、まだ誰にも許したことの無い場所を異性にまじまじと観察
されているという気が狂いそうな程の羞恥。奈美は涙の浮かぶ眼を眼一杯に見開いて、それに耐え続ける。
肉を掻き分け、内部に指を侵入させ、時折肉芽を刺激し反応を楽しみつつ………やがて命は、結論を出す。
「ふむ、最近の女子高生ならもしかして、と思ったが………杞憂だったな。やはり、処女か。」
秘裂を押し開いたまま、そこにある純潔の証に、感触を確かめるような優しい手つきで触れる。その慎重な手つき
とは裏腹にデリカシーなど欠片も無いその言葉に、奈美は赤い顔を更に真っ赤に染めた。
「………例えば、このまま指で突き破ったら、さぞかし、良い声で鳴いてくれるんだろうな。」
そして………その言葉で、命が次に自分にどんな仕打ちを受けさせるのかを想像し、戦慄する。
「や………やあぁぁぁッッッ!!や、止めて………止めてください、お願いします、それだけはッ………!!」
「ほら、そんなに暴れると、その気が無くてもうっかり破ってしまうかも知れないぞ?」
せせら笑うようなその言葉に、奈美はビクリ、と一瞬で身体を硬直させた。命の指が、少しずつ少しずつ、奈美の
処女膜に圧力を掛けていく。
「ひ、っ………う、あ、ぅ………っ!?」
だが。命は結局、それを傷つけないまま………差し込んだ指を、引き抜いた。
「冗談だよ。そんなに、硬くなるな。」
「………っ、は………あ、あぁ………。」
ひとまず、背筋の凍るような感覚が去り、奈美はほんの少しだけ安堵する。
だが。命は、その一瞬の隙を突くようにして………その調教の、真の目的を告げる為に、動き出す。
命は、白衣の胸ポケットにさしてあったサインペンで、また、奈美の秘裂に触れた。奈美が、再びの接触に全身を
強張らせた、次の瞬間………命は、ひやりとした感触のそれで秘裂をなぞり上げるように愛撫し………その上部で
震える、菊門へと到達させた。
「こちらは、どうかな?」
「ひ、あぁぁッ!!?」
瞬間、それは奈美が身をすくめるのにシンクロするように、小さくすぼまる。命は、サインペンの尻をを、垂直に
奈美の菊門に押し当て、指1本で押し付けるようにしてそれを支えた。
「こんな風に尻の穴を触られるのなんて、初めてだろうな。」
「や、止めッ………それ、あッ、駄目、は、入っちゃう、ぅ………!!」
「や、実はね………君には、こっちの開発をさせて貰おうと思っていてね。」
「い、やッ………そ、そんなの、汚い………駄目ぇッ………!!」
「普通の娘に、普通の調教をしても面白くない。そんなに不安がらなくても………すぐ、病み付きにしてやろう。」
命は、そう言いながら………サインペンを支える指に、徐々に圧力を加えていく。少しずつ、しかし確実に増して
いくその力を感じ、奈美は下半身に力を込めるが………次の瞬間、命に肉芽を摘まれ、思わずそれを緩めてしまう。
「あ、はうぅっ!?」
その瞬間、命は、一気にサインペンの半分ほどを奈美の中へと沈めてしまった。ぞくぞくと、背骨の芯が震える
ような痺れが、奈美の背筋を這い登ってくる。
「ほら、入ったぞ。解かるか?」
「や………やぁぁ、抜い、て………っ!!」
噛み殺したような声でそう訴える奈美の言葉など、酌むはずもなく。命は指先でサインペンの頭を円を描くように
動かして、角度を付けていく。サインペンの尻が、それに合わせて奈美の内側を抉る。
「ひ、いあッ………だ、駄目、動かさないで………ッッッ!!」
「この程度で音を上げるようじゃ、先が思いやられるな。早く慣れないと、地獄を見るぞ?」
「止めて、き、気持ち悪いぃ………抜いてぇ………ひ、ぐっ………。」
強烈な異物感にひくひくと震える奈美の菊門を、ゆっくりと時間を掛けて嬲り続けて。奈美の尻が、ほんのりと
赤く染まり始めた頃………命はようやく、サインペンを奈美の中から引き抜いた。奈美は、必死で呼吸のリズムを
取り戻そうと、浅く速い呼吸を繰り返す。
が………奈美の呼吸が、ほんの少しでも整う、それよりも先に。
「流石に、初めてだと時間も掛かる………手っ取り早く、こいつで行こうか。」
サインペンよりも直径の大きい、しかし長さの無い物が………緩んだ菊門に、押し込まれた。
刺激が去ったことに油断していた奈美は、その侵入を簡単に許してしまう。沈められた卵形のプラスチックの塊
に繋がったコードが、奈美の菊門から生えて、命の手元のリモコンに繋がる。奈美が、その事態に眼を白黒させて
いる間に………命は、そのローターのスイッチを入れた。
ぶぅん、と、部屋中に響くような振動音が鳴り始める。奈美の両脚が、ビクリ、と突っ張る。
「あ、ああああああぁぁぁぁッッッ!!?」
さきほどまでサインペンに抉られていた直腸を、今度はその振動に嬲られて、奈美はまた悲鳴を上げた。それまで
とは比べ物にならない、全身を這いずり回るような怖気に襲われる。ショックで、半ば意識が飛びそうになる。
だが………完全にその刺激を苦痛と感じているかのように聞こえる、その悲鳴とは裏腹に。奈美の身体には、それ
とは正反対の、その刺激を受け入れ始めている証拠となる反応が、現われ始める。
徐々に湿り気を帯び、やがて………つ、と一筋の透明な液体を垂れ落とした奈美の秘裂を見て。命は、にぃ、と唇
の端を吊り上げる。
「ほう………意外と、早かったな。素質があるようだ。」
片手で、リモコンのスイッチを更に強い振動を示す値に切り替えながら、命は、奈美の秘裂に指を這わせた。その
瞬間は、そんなことに気付く余裕すらない程、ローターの与える強烈な刺激に溺れていた奈美だったが………命の
指に執拗に秘裂を愛撫され、やがて、艶っぽい喘ぎ声を上げ始める。
「や、あ、ぁ………ん、ひぅ………ッ!?」
振動部から背筋を伝って、そのまま脳に流れ込んでくるようなその痺れ。それが、命による愛撫ではなく、自分の
尻に仕込まれたローターから与えられているものだということに、気付き………奈美は、戸惑った。
「自分のココがどうなってるか、解かるか?どれ………片手だけ、外してやろう。」
「………う、ぇ………?」
命はそう言って、1度、奈美の頭と両腕を捕らえるその拘束具の鍵を外す。上の板をほんの少しだけ浮かせ、右腕
だけを解放し、すぐに元に戻す。命は、一応は自由になった奈美の右手を………奈美自身の下腹部へと、導いた。
もはや正常な思考が困難となった奈美は、促されるがままに、ゆるゆるとその指を自らの秘裂に添える。くちゃ、
と湿った感触が指先に伝わり、奈美は、そこで起きている事態を実感する。
「や………な、なん、れ………あ、う、わ、私ッ………!?」
その意味を理解出来ずにいる………いや、おそらくは本能的に、理解することを拒否している、奈美に向かって。
「いや、さっきは失敬したね………普通少女、だなんて。とんでもない、誤解だった。」
命は、せせら笑うような声で、言う。
「いきなり尻にこんなモノを突っ込まれて、濡らすなんてな。これじゃぁ、とても普通とは呼べない。」
「や、嫌ぁ………わ、私、そんなんじゃ………。」
「いや、決して、普通なんかじゃない。弩、が付くほどの変態だよ、君は。」
「ち、違っ!!わ、私、変態なんかじゃ………私、あッ、ふ、普通、で………ん、あぁぁッ………!!」
「普通の女は、無理矢理こんなことされて感じたりしないよ。変態の上に淫乱か、全く救いようがないな。」
ローターの振動に意識を侵されゆく奈美の背中を見下ろしながら、命が、吐き捨てるようにそう言う。
「良かったじゃないか、これは、ある意味じゃ天賦の才能だぞ。おめでとう、普通少女は、今日で卒業だ。」
「ち、違います………変態じゃないです、私、普通です………ただの、女子高せ………う、あッ………!?」
「もう、昨日までの普通の日常には戻れないぞ。………さて、こんなまどろっこしいのは、ここまでにするか。」
うわ言のように、普通です、ただの女子高生です、と普段の彼女なら毛嫌いするであろう台詞を漏らしながら、
ただただ身を震わせる奈美の菊門から………命は、その言葉にほんの少しも耳を貸そうとはせず、乱暴にローター
を引き抜いた。コードがピンと張り詰め、卵型の振動部が、まるで奈美の中から産み落とされるようにして外部に
飛び出してくる。
「あ、ひあぅッッ!!?」
その衝撃に再び、目覚めたばかりの快楽の波が押し寄せる。そして、その余韻にひくつく奈美の菊門を………次の
瞬間には、全く別の、それとは比べ物にならないほど大きな物が、塞いだ。
「あ、うああぁぁぁッッッ!!?」
「おお、これも入るか。」
命はそう言いながら………手にした、無骨な造形のバイブレーターを、既に受け入れの体制を整えていた奈美の
菊門に捻じ込んで行った。サインペンともローターとも比較にならないほどの大きさを持つものに貫かれ、奈美が
ガクガクと全身を痙攣させる。痛みと、不快な異物感の中に、確かな快感が紛れていることを、奈美はもう十分に
理解していた。
奈美が衝撃から立ち直る間もなく、命はそのスイッチに指を掛ける。カチ、という乾いた音に続き、モーター音が
響き始め………バイブレーターが、突起だらけのその身をうねらせ始める。
「い、いだッ………む、無理です、さ、裂けちゃう、う、ぅ………あぁぁッ!!?」
「まだ痛むか………それでも、初めてじゃなかなかこんなもの呑み込めないぞ?やはり、私の見立て通りだな?」
「ぁ………あう、う、ぇ………あ、あ、あぁぁぁぁぁ………〜〜〜ッッッ!!」
「君も、もう解かっているんだろう?自分が、とんでもない変態だということが!」
動き続けるバイブレーターを抜き差ししながら、命は、厳しく攻め立てるような声で、奈美の意識にその認識を
刷り込んでいく。痺れ、蕩け、やがて自ら思考することを放棄し始めた奈美の精神に、命の情け容赦のない言葉が、
じわじわと染み込んで行く。意識が、毒されていく。
「う、ぁ………もう、らめ、れすッ………も、もう、わかッ、解かり、ませ、えあぁぁッ!?」
「自分の体のことだぞ、解からないってことはないはずだぞ。正直に言うんだ、気持ち良いんだろう?」
「あ、ぁぐ………う、あ、あああッッッ!!んやぁぁぁぁぁッッッ!!?」
バイブレーターのうねりが、命の手によって付けられる角度と相まって、奈美の肉壁を容赦なく攻め立てる。
迫り来る絶頂の気配に、奈美が、足腰をガクガクと痙攣させる。
「や、だ、だめっ、あ、ぅっ………く、来る………あ、あうぅぅ!!?」
「処女のくせに、尻の穴を掻き回されて果てるのか?やっぱり、大した変態だよ君は!」
背後から浴びせられる罵声を、まるでどこか、遠くで起きていることのことのように聞きながら………やがて奈美
の身体は、命による蹂躙に屈し、絶頂を迎えた。
今は何も触れていないはずの秘裂から、ぷし、と飛沫が飛ぶ。脚が突っ張り、その腰が、雌豹のように高く突き
上げられてふるふると震える。声にならない悲鳴が、漏れる。
「あ………ぁ、ァ………〜〜〜ッッッ!!?」
そうして、全身を襲った緊張が、徐々に弛緩へと転じ始めた頃。
奈美は、その精神の許容量を大きく越える、気が狂うほどの感覚の渦の中で………静かに、その意識を手放した。
ぐったりと冷たい床に膝を尽き、絶頂の余韻だけで勝手に痙攣をし続ける奈美の身体を見下ろしながら。
「………よし、外してやろう。放っておいたら、窒息してしまうかも知れない。」
命は、動けなくなった奈美の身体を、拘束具から解放した。
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数日後。いつも通りの普通の風景が広がっているように見える、教室の片隅。
「では冒頭から、久藤くんお願いします………。」
担任であり国語担当の望が、珍しく滞りの無い授業を進める中、廊下側後方の、自席で………奈美は、教科書の間
に忍ばせた1枚のメモに、視線を落としていた。
『指定の時間にスイッチを入れるように。診療所にて、内臓の装置で記録を確認する。』
その下に記された時刻と、時計を見合わせる。指定された時刻まで、あと数分だ。
『なお、それとは別にタイマーも設定してあるので、油断しないように。もちろん、外すことは禁止する。』
奈美は今一度そのメモに眼を通した後………指定された時刻がやって来たことに気付き、机の横にぶら下げた鞄に
手を忍ばせ、そこに隠しておいた装置に、触れる。ほんの少し躊躇った後、スイッチを入れると………遠隔操作の
信号を受け取ったローターが、振動を開始した。
「ん、ッ………!」
微かなモーター音と、ほんの一瞬の押し殺したような声が、漏れる。奈美の隣の席の生徒が、1度だけ、おや、と
何かに気付いたような表情で辺りを見回したが………結局その正体には気付かず、その視線を再び、眼の前の机の
上に戻した。
腹の底で、ローターの振動を感じながら………奈美は必死で歯を食い縛り、平静を装う。
『(P.S それ以外の時間でも、君が楽しみたいなら好きなときに使っていい。それも、記録には残るが。)』
どこか惚けたような顔で、朗々とした声で読み上げる准の声を必死で追いながら文章に視線を落としつつ、奈美は
その刺激に耐え続ける。
今名前を呼ばれたら、まずい。人知れず尻にローターを仕込んで、あまつさえこんな風に、授業中にそのスイッチ
を入れ………あろうことか、そこから少しでも快楽を感じているという、余りに背徳的な状況。そんな異常な状況
の中で、席を立たされて教科書の朗読などをさせられたら………恥ずかしさで、気が狂ってしまうかも知れない。
そんな想いが、奈美の脳内を駆け巡る。
そうなったときのことを想像して、全身を掻き毟るような不安に苛まれている自分。一方で、これだけの人数が
居て、そんなことなどあるはずがない、とどこかで高を括っている自分。そして………そんな事態など全て忘れ、
痺れるような感覚に身を任せてしまえば楽になれるのではないか、と、とんでもないことを考えている自分。
自分の中で、様々な想いがぶつかりあうのを感じながら………奈美は改めて、自分が、もう数日前までの平穏な、
普通の学生生活には帰れないのだな、ということを痛感していた。
そして。奈美がそれを感じた、次の瞬間。
「………有難うございます。それでは、続きを………日塔さん。」
「ッ!!」
そんな事態など知る由も無い望の声が………無情にも、奈美の名を呼んだ。
ほんの数分間、たった数ページの文章を読むだけの………地獄の時間が、始まる。
(続)