「これが、証拠の権利書だ。全て買い集めてあるはずだが、確認するかい?」
「………っ………。」
薄ら寒い地下室で、命はそう言いながら、10枚ほどの書類の束を無造作に机の上に放った。
「つまり、君の夫の借金は………いや、君達夫婦の、と言った方が正しいか………。」
「………全て………あなたから借りたことになった、ということですか?」
「まぁ、極めて解かりやすく言えば、そういうことだね。全ての債権は今、私の手元にある。」
黒い文字と赤い捺印が並んだ紙の束を………麻菜美は、恨めしそうな眼で見下ろす。
「それで………私に、どうしろって言うんですか………?」
「さすがだな………そこらの頭の悪い学生よりも、ずっと話が解かるね。」
ほんの少しだけずれた眼鏡の位置を、直しながら………命は、ニヤリ、と唇の端を吊り上げて笑った。
「簡単なことさ。この借金を、帳消しにしてやる代わりに………私の言うことに、従って貰えればいい。」
「え………帳消し、って………本当ですか!?」
「ああ。正確には………私が君に対価を支払って、それに見合った『仕事』をして貰う。その、繰り返しだ。」
「………けど、ウチの借金の額って、結構な………。」
「糸色家の財力を、舐めないで貰いたいね。こんな額で君を服従させられるなら、安いものだよ。」
「………ッ………。」
服従、という、命がここへ来て初めて放った穏やかではない言葉を聞き………麻菜美は、少しだけ表情を硬くした。
だが、今まで散々苦しめられてきたその借金が綺麗さっぱり消えてなくなる、というその申し出は、どうしようも
なく魅力的なものだ。麻菜美は一抹の不安を覚えつつも、命の言葉の続きを待つ。
「女子高生で、人妻、しかもこうして容易に漬け込める隙もある。そうは居ないよ、君のような娘は。」
「………でしょうね。自分でも、解かってます。」
「………しかも、芯が強いときてる。いや、ますます魅力的だ。」
「それで………私は、具体的に何をすればいいんですか?詳しく聞かないことには、なんとも。」
「………そうだな、そこが1番重要だ。だが、なに、至極単純な話だよ………。」
命はそう言って、放った権利書達を再びクリアファイルに収め始める。立ち上がり、麻菜美に背を向け、部屋の
隅に置かれた棚の、鍵のついた引き出しにそれを仕舞いこむ。
そして、振り向いた命の表情を見て………麻菜美は、一瞬、背筋が凍りつくような錯覚を覚えた。
その口が………絶望的な言葉を、口にする。
「借金苦の若い娘が、させられることなんて………だいたい、想像がつきそうなものだろう?」
「………ッッッ!!!」
命の言葉に、麻菜美は愕然とした。心のどこかで、まさかそんなことを要求されるのではないか、と思いながら、
必死で根拠の無い否定を繰り返していたが………やはり、その想像は現実のものとなってしまった。
今までは、借金を取り立てに来た人間に身体を売ることを提案されても、なんとか理由をつけて拒み続けてきた。
夫の収入もそれなりのものだったし、更にパートに励んでいたこともあり、返済できるアテがまるで無いわけでは
なかったから、それが可能だったのだ。相手は、金さえ回収できれば、それ以上のことは望まないはずだった。
だが………今回の相手は、眼の前にいる男はそんな甘いことを考えていない、ということを、麻菜美は直感的に
理解してしまっていた。そもそもこの男は、自分の身体を好き放題に弄ぶ為にこんな行動に出たのだ、故に、仮に
将来的に金を返せるアテがあっても、それは何の救いにもなりはしないのだ………命の口から説明されずとも、
麻菜美には、命のその意図がすぐに察せられた。
「………身体を売れ、ってことですか。」
「そう。君の身体を、その奉仕を、私が買い取る。簡単だろう?」
「待ってください、返せるアテはあるんです。少しずつでも、絶対に………。」
「拒否権は無いぞ?今すぐに、金も身体も渡せないというなら………そうだな、家族と交渉するしかないな。」
「………ッ………!」
一縷の望みに懸けて試みた交渉も、そうしてあっさりと切り捨てられてしまう。
………夫に借金があると知って、結婚を決意したとき。この先、借金のことで家族に迷惑は掛けまいと心に決めた
のだ。この男に、家族への干渉を許してしまったら………きっと、取り返しの付かないことになる。その確信が、
麻菜美の言葉を詰まらせた。
そして、ややって。
「………本当に………。」
「ん?」
麻菜美が、搾り出すように呟く。
「本当に………私が言うことを聞けば、借金を、帳消しにしてくれるんですね………?」
震える声の、しかし、強い視線を命に向けながらのその言葉を聞き………命はまた、ニヤリ、と笑みを浮かべる。
「………ああ。私の望み通りに働いてくれれば、それなりの対価は支払う。頑張り次第では、色も付けよう。」
命の言葉に、麻菜美はほんの少しだけ黙り込み。
「そう、ですか………解かりました………。」
そう、呟いて………その覚悟を示すかのように、おもむろに、制服に手を掛けた。
「はは、積極的だな………やはり、強い。気に入ったよ。」
「何をすればいいですか。あなたに、抱かれればいいんですか。」
だが。冷たい、機械的な声でそう言う麻菜美の腕を………命が、制する。視線を伏せていた麻菜美が、顔を上げる。
「いや………最初は、少し、趣向を凝らしてみようと思うんだ。」
「………っ………?」
はて、と首を傾げる麻菜美の顔を、見下ろしながら………。
「………君に、今の立場を実感させる為にも、ね。」
指先でその顎を持ち上げ、また、寒気のするような笑みを浮かべた。
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そして………その夜。
パートの為に昼にこなせなかった家事を済ませ、遅く帰宅した夫と夕飯を食べ、順番に風呂に入り、2人揃って
ぐっすりと眠りについた………かに見えた、寝室で。
眠りに落ちずにじっと息を潜めていた麻菜美は、ひっそりと、隣で眠る夫に気付かれぬように寝床を抜け出す。
その手には、今さっきメールが着信したばかりの携帯電話が握られ、ほとんど真っ暗な空間に四角い光が漂って
いるような錯覚を起こさせる。
麻菜美は寝巻き姿のまま、足音を立てぬよう慎重に玄関へと向かい………その鍵を解除し、ドアを開けた。
「………夜分遅くにすいませんね、奥さん。」
「早く、入ってください………もし、誰かに見られでもしたら………。」
誰も求めていない冗談を飛ばした命の腕を取り、麻菜美は、命をアパートの1室に引っ張り込んだ。あっという間
に、ドアと鍵が元通りに戻される。
「よろしい、ちゃんと起きていてくれたようだね。」
視界の利かない闇の中、命は手探りで麻菜美の頭を探し、その髪をゆっくりと撫でた。解かれて、肩に掛かるほど
になった髪をしばし弄んで、命は、囁くような声で言葉を続ける。
「………少しくらい、灯りが欲しいんだがな。」
「無理です、もし旦那に気付かれたら………。」
「そうは言ってもな、もしかすると、何かに躓いてとんでもない音を立ててしまうかも知れないぞ?」
至極あっさりと放たれたその脅しに、麻菜美はしばし黙り込み………仕方なく、玄関があるその空間の電球だけ
を灯す。さきほどまでは全て真っ黒に見えていた壁や下駄箱、お互いの姿が、ハッキリと照らし出される。
「よしよし。物分かりの良い娘は、好きだよ。」
再び、頭を撫でられながら………麻菜美は、不安げな顔で命の顔を見上げた。
「あ、の………本当に、ウチで………?」
「ああ、もちろんそのつもりで来たわけだが?」
それでも………命が引く気配は、全く無い。
「………お願いです、頼みますから他の場所で………外でも、どこでもいいですから………。」
「そうはいかない。今回はここでする、私がそう決めた以上、それはもう2度と覆らない決定事項なんだよ。」
有無を言わせぬ物言いに、再び、麻菜美は言葉を失った。もはや、観念するしかない………そう考えると、まるで
全身から力が抜けて、その場に崩れ落ちてしまいそうな気分だった。
失意のまま麻菜美は俯き………そして、寝巻きのボタンに指を掛ける。こうなってしまった以上、麻菜美に出来る
唯一の抵抗は、ただ、一刻も早くこの事態を終わらせることだけだった。
が………昼間、地下室でそうしたのと同じように。命はまた、行為に急ぐ麻菜美の手を、制止する。
「まぁ、待ちたまえよ。どうせするなら………もっとスリルがある方が、楽しめるだろう?」
「な………っ………!?」
寝巻きの上を脱ぎ掛けた手を、掴まれながら………今回は、麻菜美もその言葉の意味を瞬時に察知した。この先の
命の言葉を思い、その顔がみるみるうちに蒼褪めていく。
「ま、待って、ください………無理です、そんなの………!!」
解かりやすいほどに激しく狼狽する麻菜美の顔を、心底楽しそうに見下ろしながら。
「………君の夫が眠っている寝室へ、案内しなさい。」
命は、静かな、しかし一層の強制力を感じさせる声で、その命令を下した。
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布団に包まった麻菜美の夫が、静かに寝息を立てている寝室の戸が開く。
手元、足元が見える程度に、オレンジ色の豆電球の弱い光だけが照らす部屋に、足音を潜めて忍び込むように
踏み込んで………命は、後ろでに引き戸を閉じた。
「この男か………君のように若くて可憐な娘を妻に迎えた、果報者は。」
横たわる夫に静かに歩み寄り、命は、その顔を上からまじまじと覗き込んだ。何か仕出かすのではないか、と気が
気でない様子でそれを見つめながらも、麻菜美は、声を上げることすらできずに身体を硬直させている。
「………さて、と。それじゃぁ早速、始めるとするか。」
「………っ………。」
「失敬するよ、旦那様。あなたの妻は………たった今から、私の奴隷だ。」
何も知らずに眠っているその顔を見下ろしながら、嘲るようにそう言って………命はおもむろに、腰のベルトに
手を掛けた。カチャカチャという金属音に、夫が目覚めやしないか、と麻菜美が肝を冷やしているうちに………
命は、自分のモノを曝け出す。
だらり、と垂れ下がった………夫のそれよりも確実に大きなモノを眼の前にして、麻菜美は思わず息を呑む。
「まずは、しっかり準備をしてくれたまえ。」
命はそれだけ言って、後は何も言わずに腕を組み、麻菜美の顔を見下ろしてその行動を待つ。それがどういう意味
なのかは、もちろん、麻菜美には容易に想像がついた。ほんの一瞬、心の中に葛藤が生まれるが………既に自分に
逃げ道が残されていないことを思い出すと、それもすぐに霧散するように消滅してしまった。
麻菜美はふらふらと、まるで死刑囚が13階段を昇るような重苦しい足取りで命の下に歩み寄り、その眼の前で
跪く。視線よりも少し低い位置でぶら下がるそれを見て、ほんの少しだけ険しい表情を浮かべてから………麻菜美
はその指で、そっと、命のモノを包み込む。
「君なら、何も言わなくても解かってくれると思ったよ………本当にいい娘だ。」
躊躇いつつも、自分のモノに対してゆるゆると奉仕を始めた麻菜美の頭を、命の手が撫でた。
「………ん………っ。」
麻菜美は、どこか慣れを感じさせる手つきで、命のモノをしごいていく。全体を包み込みながら優しく愛撫し、
時折カリの部分を指先で刺激する。さきほどまでの様子はどこへやら、命のモノは麻菜美の手によってあっという
間にその硬さと大きさを増していった。
「………そこで寝ている男は、無償でこんなテクニックを享受できるのか………羨ましいな、全く。」
硬く、太く成長し握りやすくなったそれを、麻菜美は一層強く愛撫し始める。
やがて………命の腰が、微かに痙攣し始めた頃。
「どうせなら………その、可愛らしい口も使ってくれないか?」
「え………ッ………?」
命にそう言われて、麻菜美は、どこか裏返ったような声を上げた。おや、と命は1度首を傾げて………すぐに、
麻菜美に起きつつあるその変化を察し、眼を細めた。。
「………ああ、なるほど………悪いね、夢中になっている所を、邪魔したみたいだ。」
「え、ちょ………夢中って、私そんなんじゃ………!?」
「ほらほら、あまり大声を出すと、目を覚ますぞ。」
命の言葉に、麻菜美は荒げ掛けていた声のトーンを必死で抑える。
「………っ………で、でも、違います、そんなの………そんなわけが………!」
「いや、違わないね。たくさんの『雌の顔』を見てきたから、解かる。君は今………その奉仕に、没頭していた。」
「違っ………違います、私は………!」
「まぁ、無理に認めろとは言わないが………それより、早くしろ。口も使え、と言ったはずだ。」
「………ッ………!!」
結論の出そうも無い会話を一方的に打ち切って、命は、冷たい声でそう命令した。反論する間もなく言葉を抑え
られた麻菜美は、ぐ、と抗議の声を堪えて、奉仕に戻る………が。
「(………ぁ、っ………?)」
眼の前で、いきり立つモノを眼にした瞬間………麻菜美は、不意に、自分の中で何かが疼くような感覚を覚えた。
自分の奉仕を受け、それで興奮して、ひくひくと震えながら膨張したそれを眼の前にすると………なんとも言え
ない気持ちが、身体の奥底から、じんわりとした熱と共に湧き上がってくる。
「(………なん、で………私………?)」
直前の命の言葉が、フラッシュバックする。麻菜美は必死で、自分の中に浮かびかけたその想いを掻き消そうと
するが………その視線が、どういうわけか、眼の前のモノに釘付けになって離れない。
「………どうした?」
その様子を、まるで全てを見透かしているような顔で見下ろしながら、命は意地の悪い声でそう言った。麻菜美の
頭に乗っていた命の手が、それを押さえつけながら、少しずつ自分の身体へと引き寄せていく。どこか惚けたよう
な表情を浮かべた麻菜美は、それに抗おうとはせず………やがてその眼を閉じ、導かれるがままに、命のモノに
口付けた。
「………ん、ぅ………ちゅ………。」
閉じられた瞳が、開かれたとき………その視線には、明らかに、それまでには無かったはずの熱が篭っていた。
「は、ぁ………ん、く、んうぅ………。」
「………ッ………本当に、高校生とは思えないテクニックだな………!」
「ん、ぶっ………ん、はぁ、ぁ………くちゅ………っ。」
その口は、初めはただ熱い吐息を吐き掛けながら、ちろちろと動く舌で命のモノをくすぐるように動いていたが
………程無くして、その動きを激しくしていった。垂れ落ちる先走りを丹念に舐め上げるように、唾液をまんべん
なく塗り込んでいくように………気付けば、麻菜美はさきほどの命の言葉通り、その行為に没頭し始めていた。
「(………ああ………そうか、私………。)」
それまで、どうにかその気持ちを否定しようとしていた麻菜美の精神も………徐々に、その強さを失い始める。
自分の内側から湧き上がる、その、許されざる熱を………肯定し始める。
「(私、本当に………楽しんでるんだ………。)」
眠っている夫の傍らで、別の男のモノを握り、咥え込み、懸命に奉仕をし続ける。自分の奉仕を受けたそのモノが、
眼の前でどんどん大きさを増し、悦んでくれる。その、どうしようもなく危うく、背徳的な状況に………麻菜美
の心と身体は、明らかに、興奮を感じ始めていた。
「(もう、駄目、いけないって解かってるのに………そう、思えば思うほど………ッ………!!)」
やがて、無意識のうちにその右手が命のモノを離れて………その寝巻きの中、下着の内側へと、侵入する。
「おや、おや………あんなことを言っておいて、結局は自分で慰め始めたか。」
「………ん、く、ふぁ………ちゅる………ん、ひぃッッ………!?」
膝立ちになり、自分のモノを必死になって咥えつつも、自慰に耽り押し殺したような喘ぎ声を上げる。その綺麗な
顔を汚しながら奉仕と自慰に没頭するその様子に、欲望を煽られて………命は、1度麻菜美の行為を中断させる。
「………ぷ、ぁっ………?」
引き剥がされ、名残惜しそうに自分を見上げる麻菜美に………命は、それまでにない穏やかな声で、語り掛ける。
「私ばかりでは、申し訳ない………せっかくだ、君にも少しは感じて貰おうか。」
「え、っ………で、でも………。」
「自分の身体を、夢中になって慰めておいて………今更、言い訳はできないだろう?」
「………っ………。」
命はそう言って、麻菜美が黙り込む様子を見届けてから………すぐ隣、さきほどまで麻菜美が息を潜めて横に
なっていた敷布団の上に、相変わらず何も知らずに寝こけている夫と並ぶように、仰向けになる。
「身体を跨いで、あとは、今まで通りに奉仕を続けてくれればいい。」
「………っ………!!」
麻菜美はすぐに、命の意図を察して………図らずも、身体の奥底で何かが疼くような感覚を覚えてしまう。ほんの
少しの躊躇の後、麻菜美は命の言葉通りに、その身体を跨ぐ。
「先に、邪魔なものは脱がせてしまおうか。脚を上げて。」
「あ………ッ………!」
そう言うが早いか、命は麻菜美の脚を持ち上げ、寝巻きのズボンと下着を引き摺り下ろす。股の部分がじっとり
と濡れているのを確認し、人知れずほくそ笑んでから………命は、眼の前で惜しげもなく曝された麻菜美の秘所
を、まじまじと鑑賞した。
「ほう、毛は薄い方か………それと、夫が居るにしては綺麗な形だ。経験回数は、そう多くはないのかな?」
「………〜〜〜ッ!」
「はは、こんなに厭らしく濡れて、びくびく震えて………自分の指がそんなに名残惜しいか。」
その様子を言葉にして聞かされ、麻菜美の顔が熱くなる。しかし、そんなことを恥らっている暇も与えず………
命は、眼の前で開かれた秘所を、指で押し開いた。くちゃぁ、という水音と共にその入り口付近が曝され、命の
細い指を伝って愛液が零れ落ちる。
「は、ふぁ………あ、ぅ、ッ………!?」
「我慢するんだぞ。夫を起こしたくはないだろう………っ………?」
「あ、やッ、し、舌、あぁ………ぁ、ぅぅ………!!」
下半身だけを裸に剥かれ、その秘所を弄ばれながら、麻菜美は地面に突っ伏すように命の身体に崩れ落ちた。
時折腰をビクリと跳ね上げながら、指と舌によってゆるゆると与えられる快感に、その意識が蝕まれていく。
「………誰が休んでいいと言った。そっちも、続けろ。」
眼の前にあるモノへの奉仕を忘れて感覚に溺れつつあった麻菜美の行動、命の言葉が促す。
「は、はひ………ん、あぅぅ………ッ!?」
蝕まれ行く意識の中、麻菜美は必死で、まるで両手ですがり付くように命のモノを握り、その舌を這わせていく。
が………既に充分に高まり、命の愛撫に敏感に反応してしまう今の状況で、まともな奉仕など続けられるはずも
なく。その動きも、命が刺激を与えるたびに中断され、命の身体を高めるには至らない。
その様子に、麻菜美の身体の上体を察し………命は、浅い溜息を吐いた。
「それどころじゃない、か………仕方無いな、全く。」
「ひ、ぁ………ッッッ………!?」
命は呆れたようにそう言って………麻菜美の身体を焦らすのを、止める。
麻菜美の身体の現状維持を続けてきたその指の動きが、突然、容赦のない激しいものになる。浅い位置での侵入
と後退を繰り返していた指が、より深い場所を、愛液を掻き出すように抉り始める。鉤のように曲げられた指の
先が、麻菜美の肉壁の最も敏感な部分を探り当て、そこを執拗に刺激し続ける。
「マトモな奉仕も出来ないような奴隷には、仕置きが必要だな………。」
「は………あ、あうっ………ら、らめッ、吸っちゃ、あぁぁ………!!」
そして。1度、止め処なく溢れる愛液を、音を立てて啜った後。
「これで、終わりだ………くれぐれも、声は出すなよ………!?」
命はそう言って………麻菜美の内壁のある1箇所と、秘裂の端で赤く充血した肉芽を、同時に圧迫した。
神経を焼き尽くす電撃のような感覚が、麻菜美の下腹部から、頭の天辺までを瞬時に貫いた………次の、瞬間。
「あ、っ、っ………〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!???」
麻菜美は、自分の口と喉を必死で塞ぎ、身体の奥底から湧き上がる悲鳴を懸命に抑え込みながら………眼を剥き、
奥歯を食い縛り、全身をガクガクと痙攣させながら、絶頂に達した。
ぷし、と僅かに噴き出した飛沫が、命の胸元に落ちてシミを作る。背筋を逸らし、腰を突き上げたままの麻菜美
の身体を襲った急激な緊張は、ややって、次第に弛緩へと転じていった。
「あ、ァ………ひ、ッ、ぅ、ぁ………ッ!?」
絶叫によってその衝撃を発散させることも許されず、麻菜美はただただ、その身の内でのた打ち回る激しい感覚に
酔いしれる。命がその身体の下から抜け出した後もしばらく、麻菜美は敷布団の上にうつ伏せになったまま、その
余韻に小さく痙攣し続けていた。
………だが。麻菜美がこうして、激しい絶頂を迎えても………命はまだ、その身を満足させられてはいない。
「………さて。前置きはこの辺にして………そろそろ、本番に移ろうじゃないか。」
「………ふ、ぇ………っ………?」
ふるふると震える麻菜美の瞳が闇の中でゆっくりと動き、立ち上がった命の姿をぼんやりと見上げる。
「今度は、私が満足させて貰う番だ………立ちなさい。」
命はそう言うが早いか、麻菜美の腕を引いてその身体を乱暴に持ち上げる。
薄暗闇の中、その身体がまるで糸の切れた操り人形のように、ぶらり、と揺れた。
//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
本当に意識があるのか疑いたくなる程に、何の抵抗も見せない麻菜美の身体を、命は再び敷布団の上にうつ伏せで
寝かせた。その身体を抱え、無抵抗な麻菜美の体を、まるで雌豹のように腰を突き上げたような格好にする。
その体位を取らされ………麻菜美はぼんやりとした意識の中で、命の意図を、察する。その想像を裏切らず、命は
麻菜美の背後に回って膝立ちになり、未だ果てていないモノを、絶頂を向かえた直後で最高に敏感になったその
秘裂に宛がう。
「これなら、奥の奥まで届く。きっと、火照りに火照った君の身体にも、満足して貰えるはずだ。」
「ひ、ぁ………ら、らめ、です、無理です、こんな………っ………!」
そんな麻菜美の抗議も聞かず、命は、上手く口が回らなくなるほど快感に意識を浸食された麻菜美の背中に、覆い
被さるようにしてその身を近づけて………その、直後。
「精々………声を上げないように、気をつけてくれたまえよ。」
命は、そう言いながら………全く躊躇せずに一息で、そのモノを濡れそぼった麻菜美の秘裂に埋め込んだ。
快感の余韻に震えていた肉壁を掻き分けて、それは一瞬で、麻菜美の最深部に達する。先の無い行き止まりまで
を一気に貫く熱が、収まったはずの痙攣を再び呼び起こす。
「か、はッ………あ、ぁ、ァ、ッ、………ッッッ!!?」
絶頂を越えた直後の最も弱い状態の秘所に、太く硬く、熱いモノを捻じ込まれて。子宮の入り口にまで到達した
それに、最深部をノックされて。麻菜美は、思わず上げそうになった悲鳴を必死で喉下に押し留めながら、その
身体をガクガクと震わせた。
その容赦の無い一撃にも根を上げなかった麻菜美の姿を見下ろし、命は、ニヤリと微笑む。
「………よく、我慢できたな。それじゃぁ………ご褒美だ。」
「い、あッ………!く、ふぅッ、ん、ぐ………はッ、あぅッ!?」
獣のように背後から秘裂を掻き回され、その最深部を容赦なく、何度も何度も執拗に小突かれながらも………涙を
流しながら、両手を口に押し当てて必死で声を押し殺す。頬を染めながら、ない交ぜになって襲い来る快楽と恐怖
に意識を持っていかれないよう、死に物狂いで己を保とうとする。
あまりに必死で、健気で、悲惨で………それでいて妖艶な、この上ないほど扇情的な姿。眼の前でそれを見せて
いる少女に、欲望を煽られて………命は、更にその動きを加速させる。ぐちゃぐちゃと、濡れた秘裂を命のモノが
往復する水音が、部屋中に響き渡る。
「ふや、ぁ………もっ、駄目っ、む、無理、ですうぅ………あ、ひゃぅッ!?」
「まぁ、そう言うな………どれ、こっちの相手もしてやろうか。」
「あ、はうッ!?」
命は、本当に獣の交尾さながらの格好のままで、器用にその腕を麻菜美の身体の下に回す。麻菜美の寝巻きの裾
から侵入した命の手が、程よく発達した麻菜美の胸をまさぐり始めた。寝巻きの中で下着だけを上に押し上げて、
そのなめらかで柔らかい双丘を鷲掴みにする。
「や、あ、ぁ………こ、これ以上、は、あ、ぅあッ………ひゃ、ン!?」
「嫌がってるのは、口だけじゃないのか………ほら、こんなに硬く尖らせながら言っても、説得力が無いぞ?」
そう言って、硬く隆起した先端を摘むと、麻菜美はまた抑えた手の下で曇った嬌声を上げた。
同時に、快楽に従順に反応した内壁が、命のモノを絞り上げるように収縮する。思わず小さく呻き声を上げて、
命は胸の先端を責め続けながら、腰の動きを更に加速させた。
更に、その口で無防備な麻菜美のうなじに齧り付く。そのまま、生暖かい舌を首筋に這わせていく。
「か、ふッ、ひぁッ、あ、うぅっ………あ、うあッ、あ、あ、く、ひぃ………!!?」
身体中から刺激を与えられ、麻菜美はもはやまともな言葉を発することすらままならず、押し殺した喘ぎ声だけ
を漏らし続ける。しゅう、しゅうと、荒い呼吸が指の間を抜ける音が、淫靡な音と声に混ざって聞こえる。
やがて………性感を刺激されるたびに、容赦無く締め上げる麻菜美の秘裂の圧力に耐え切れなくなり、命のモノ
が、限界が近いことを2人に知らせ始める。ビクビクと痙攣する様子は、命本人にはもちろん、それを奥深くまで
挿し込まれた麻菜美にも、まるで自分の身体のことのように伝わっていた。
麻菜美の視線が、ふらふらと空中を彷徨い………やがて、こんな事態が起きている隣で平和に眠っている夫の顔の
上で、止まった。別の男に秘所を突かれ、その刺激に素直に快楽を感じている、その背徳感が煽られる。
自分が、無意識の内に腰をくねらせ、命から少しでも多くの快楽を搾り取ろうとし始めたことに………麻菜美本人
が気付くことは、無かった。
「ッ………そろそろ、限界だ………このまま、出すぞッ………!?」
命の宣言で、麻菜美はほんの少しだけ、我を取り戻す。
「は、ふぅッ………そ、そんな、だ、だめですッ、あ、赤ちゃん、出来ちゃいま………あ、ああッ!?」
「大丈夫、私はO型だ………どんな血液型の子供が生まれても、不審には思われまい。」
「そ、そういう、問題じゃ………は、うぅッ!うあ、ァ………ッ!?」
「避妊だって、完璧な方法というものは無いんだ。本当に偶然、子供を授かることだってあるさ………!!」
医者の端くれとは思えぬ言葉を吐きながら、命は抗議の言葉に構わず、麻菜美の身体の中で自らのモノを絶頂へ
と導いていく。やがて、反論することが出来なくなり、命の言葉の意味を理解することすら困難となり………
快楽という毒に侵された麻菜美の頭は、遂に思考することを放棄した。
『絶対に声を上げてはいけない』という、辛うじて残された思いだけが、麻菜美の口を塞がせる。曇った嬌声を
上げ続けながら、麻菜美はその身をガタガタと震わせる。その身体に、命は凶悪なモノを突き立て続ける。
そして。麻菜美の腰が、一際大きく跳ねた、次の瞬間。
「く、ッ………!?」
「あ、ひッ………あ、っ、〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッッッッ!!!???」
限界を迎えた命のモノが、それまでとは比べ物にならない程の熱を、麻菜美の中にぶちまけた。
急激に秘所の内部を満たし、支配していくその熱に、麻菜美はまたその身を震わせて………2度目の絶頂を迎える。
その痙攣が、まるで1滴も逃すまいとしているかのように、命のモノから放たれ続ける精を搾り取っていく。
時間を掛けて、全てを麻菜美の中に吐き出した後………命は麻菜美の腰に手を当て、そのモノを引き抜いた。ごぽ、
という音と共に、麻菜美の秘裂から、泡立った白濁液と愛液の混ぜ物が逆流する。
「………ふ、ぅ………。」
「あ………ふ、ぇッ………ッッ………。」
命が手を放すと、麻菜美の身体は潰れるようにして布団の上に崩れ落ち、その後もしばらく痙攣を続けた。
もはや意識が飛んでしまっているのではないか、と思わせるような、焦点の合わない瞳で眼の前の空間を見つめ
ながら………麻菜美は、その快楽に酔いしれていた。
「(………どうしよう、私………とんでも、ないこと………しちゃった………。)」
全てが終わった今になって………その、後悔の念がぼんやりと浮かび上がる。
………だが。
「(………でも………本当に………。)」
今の麻菜美の、心には………その罪悪感を掻き消す、更に別の衝動が、浮かびつつあった。
「(………壊れちゃう、くらい………気持ち、良かった………v)」
許されざる感情が、麻菜美の中に湧き上がる。麻菜美の心は、しばし理性と欲望の間で揺れ動いたが………あの
快楽を覚えこまされた直後のこの状況で、そのちっぽけな理性が欲望に勝てるはずもなく。麻菜美が、今だけは
この余韻に溺れてしまおう、と決意するまでに、さして時間は掛からなかった。
布団の上、惚けたような顔で、腰と秘裂をひくつかせる麻菜美の姿を見下ろしながら。
「いや………予想以上に、楽しませて貰ったよ。」
部屋にあったティッシュで自分のモノを綺麗にしつつ、届いているのかどうか解からない言葉を放つ。
「約束通り対価は払う、今回は、色も付けてやろう。借金の総額から、差っ引いておくとするよ。」
ふぅ、と1度気だるそうな溜息を吐いてから。
「今日は、これで失礼するよ………それじゃ、次の『仕事』まで、御機嫌よう。」
命は、ぐったりと横たわる麻菜美の体を放置したまま………そっと、寝室を、そしてそのアパートを後にした。
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………まともな意識を保っている者が1人も居なくなった、寝室で。
「………ひ、ぅ………。」
麻菜美の手が、既に蹂躙されつくしたはずの自らの秘裂に伸びた様子に気付いた者は………誰も、居なかった。
(続)