ある朝、糸色望が目を覚ましてみると、見知らぬ部屋で自分が椅子に縄で縛り付けられているのを発見した。
「何ですかこれは!」
「何って、ただの保守小ネタですよ」
後ろから声をかけたのは風浦可符香。
ゆったりとした無駄のない動きで望の前にくると、嬉しそうな顔をして座り込んだ。
「…あの、解いてくれませんか」
「駄目です」可符香の笑みがさっきよりも広がった。
「解いてください」
「そんなことしたら先生、逃げちゃうでしょう?」
「逃げるって、何かする気なんですか!」
可符香の笑みがますます広がった。心なしか顔がどんどん近付いてきている気がする。
「……そういえば、ここはエロパロ板じゃないですか!絶望した!この後の展開に絶望した!」
「大丈夫です。逆レイプとかはしませんから」
可符香の顔は既に目と鼻の先にあった。彼女の吐息を感じて、望は慌てて顔を背けた。
「そう、ですか…」
ふうっと溜め息をつきながら答えると、可符香は望の唇に人差し指を添えて、
「先生、ちょっと残念そうですね」
「大人をからかわないでください!」
大声で叫ぶ望を無視して、可符香は素早く立ち上がる。
「そんなオトナな先生に、是非とも見せたいモノがあるのです」
「見せたいモノ…?どうせエッチなものでしょう!私の股間が反応するのを見て笑うんでしょう!」
「イヤだなあ、そんな分かりやすいことするわけないじゃないですか」
そう答えながら可符香は天井からスクリーンを下ろし、部屋の電気を消した。
「もういいから早く帰してください!ていうかここはどこなん…!?」
縛り付けられたまま吠えていた望だったが、スクリーンの映像を見て口ごもった。スクリーンには裸の男の背中が映っている。
可符香は固まってしまった望を見て小さくガッツポーズをすると、耳元で語りかけた。
「問題です。これは何でしょうか?」
「これは…私の…」
「そう、背中ですね。ちなみに何をしているかと言うと…」
「いやあああああああ!!」
望は気付いてしまった。風呂でもないのに裸で部屋に座り込んでいる。しかも隣にはティッシュ…
「これが前からのアングルです」
「やめてください!」
否応なしに画面が変わる。こちらでは望の顔がばっちり映っていた。右手を自らのバベルの塔にあてがい、増築に勤しんでいる。
「バベルの塔はベールに覆われてますけどね」
「言わないでください!」
「でも、結構大きいですよねぇ。それとも男の人はみんなこれくらいなんですか?」
「知りませんよ、そんなの……」
「これ、オカズにしてるのって隣の女子大生さんの写真ですよね」
「ちょっ!…それは絶対に他言しないでください!」
様々な場所から撮られた映像が次々に切り替わっていく。一体いつの間に設置したのだろうか……
そうして、バベルの塔から白い液体が放出されて幕は下りた。
「…ああ、絶望した!かつてないほど絶望した!」
「そんな悲観しないでください」可符香が望の肩をポンと叩いた。
「この間この映像を一人で見たときに何だかドキドキしちゃって、私も一人で盛り上がっちゃいました」
「ぶっ!!」
突然の告白に勢い良く吹き出す望。めったに自分のことを話さない可符香の口から出たことなので、なおさら驚かされた。
「最初は指だけだったんですが、やっぱり我慢できないでしょう?持ってるオモチャを全部出して、いっぺんに装着してみました。それがもう凄くって、一日中…」
「分かりました、私の行為があなたの糧となったのは分かりました。そろそろ解放してください…」
涙ながらに訴えてみたが、残念ながら部屋は暗いため可符香に伝わることはなかった。
同じように可符香の顔も見えない。
「では、とりあえず部屋を明るくしましょうか」
彼女がそう言ってすっと移動すると、部屋が明るくなった。
それを確認し、安堵の溜め息をつく望。
「じゃあ、解いてください」
「イヤだなあ、終わりだなんて言ってませんよ?」
え、と望が答える間もなく、可符香は望の足元に飛び込むと、彼の袴を一息に破り取った。
「いやああああああああ!!!」
本日二度目の絶叫。可符香が残った袴の切れ端を取り除くと、固くなった彼の息子が顔を出した。
「何するんですか!何するんですか!」
めそめそと年甲斐もなく泣き叫ぶ望。そんな担任を無視して、可符香は彼の息子に話しかけていた。
「こんばんは、今日からあなたのお母さんになる可符香です」そう囁いて、既に限界まで肥大化している望の息子をつつく。
「ひうっ!何をふざけて、る、です、かあっ!」
望の抗議には全く耳を貸さず、両手を使って息子に刺激を与えていく可符香。ひとしきり触ってから、やっと望の顔を見上げた。
「ところで先生、私が触る前から大きくしてましたね」
「それは…仕方ないでしょう!」
「自分のオナニーを見て感じちゃったんですか?変態さんですね」
「違います!あなたのオナニー告白が……あ」
うっかり口を滑らせてしまった。教師たるものが、自分の生徒の自慰行為を想像して興奮したということを、その生徒本人に話すだなんて。ていうか、今はその生徒にしごかれて興奮しているのだが。
そんなことを考えてどよんどしている望に対し、可符香はニッコリして言った。
「そんな気に病むことはありません。正常な反応です」
「ひゃう!」
「完全に枯れてたらどうしようかと思いましたが、杞憂だったようですね」
息子への刺激が再開された。可符香はさっきと同じように、両手を使って熱心にしごいている。
どうせなら口で奉仕してくれないかなーと考え、慌てて頭を振る。
しかし、もうどうにでもなれという気分はどんどん高まっていった。
しばらく身を任せて快感を楽しむことに没頭していると、可符香がいきなり立ち上がった。まだ放出していない息子は依然として自己主張している。
どうせならイかせてもらえないかと頼む方法を思案しているうちに、足に重みを感じた。
見ると、可符香が足にのしかかっている。彼女の口が望の耳に触れるくらい近付いた。吐息が耳にかかる。
「先生……先生も限界かもしれませんが…私も限界なんです…」
そう言って、可符香は恥ずかしそうに俯いた。
え、何ですかそれはつまり私のあそことあなたのあそこをいやそれはまずいでもやりたいでもやばいでもやりたいやりたいやりたいやりたい
「入れますね…」
望の理性と本能の争い(と言っても、ほとんど本能の圧勝だったが)を気にすることもなく、可符香の服は既に乱れ、臨戦態勢に入っていた。彼女の指が望の息子を誘導する。
「はあっ…先生のお子さん、凄く元気ですね…っ、ふあっ、あぁん!」
可符香の体が跳ねる。入れただけで軽く達したようだ。望の方もほとんど限界だったが、わずかに残った理性とプライドが、ギリギリのところで射精を止めていた。
「はっ、ふうっ、あなた、痛くないんですかっ」
「ふぁ、さっきも、あんっ、言いました、けどぉ、オモチャ、あはっ、使ってますからぁ、はあぁあんっ!」
言いながら、可符香の腰は激しく動く。もはやどうにでもなれと投げやりになっている望は、目の前でぷるぷると揺れる可符香の乳房にしゃぶりついた。
「ひゃん!それ、凄くイイですっ!」
歓喜の声を聞いてますます高ぶってきた望は、一層激しく吸い上げた。
「やあっ、それだめぇ!それ、だめぇ…っ!ふあっ、あんっ、イっちゃう、イっちゃ……っ!」
可符香の全身がビクビクと震えるのとほぼ同時に、望は射精した。我ながらよく持ったものだ、と自賛しながら、望はまどろみの中へ落ちていった。
そして目が覚めた。
目の前の景色は眠る前と何も変化がなく、変わったことと言えば、可符香が服を着ていたことと縄が解かれ自由になっていたことくらいだ。
「おはようございます、先生!」
「…絶望した!夢じゃなかったことに絶望した!」
「そんな絶望先生にプレゼントです」
可符香はどこから持ってきたのか袋を出すと、中から一冊のアルバムを取り出した。
「何ですか、これは」
自由になった両手で受け取る。表紙には『隣の女子大生 BEST』と書かれている。
「まさか、これ…!」
「先生のより良いオナニーのお供に!隣の女子大生のオナニーシーン集です」
「さらっと言わないでください!」
「イヤだなあ、オナニーくらい誰でもしますよ?先生もまだまだ現役じゃないですか」
「いや、そういうことではなくてですね…」
「先生が欲しいのなら、いくらでも撮ってきてあげますよ。では、また今度もここで楽しみましょうね!さようなら!」
「え、あの、ちょっと!……絶望した、今度っていつなのか聞こうとした自分に絶望した!」
…私はそう口にしましたが、本当は今度がいつなのか具体的に決めなかったことに絶望していました。絶望した!