私は何時でも孤独だった。
誰も私に気を留めなかった。
だから、私も。
何も気に留めなかった。
そうすると、段々視界が狭くなった。
周りは暗くなり、視える物が少なくなっていった。
あぁ…。
違う。
私が閉じ籠っただけ。
世界も、視界も変わらない。
私が視ないだけ。
それでも、良いか。
どうせ誰も気に留めはしない。
なら、このままで良い。
別に無理する必要は無い。
このままで良いんだ。
暫く閉じ籠った。
長い時間を暗い世界で過ごした。
段々、それが日常に成ってきた。
もう、何も視たくない。
今更、何も視れはしない。
誰にも私を視られたくない。
だから、このままで良い。
春が来た。
テレビだけは有るから、それくらいは分かる。
でも、私には関係無い。
此処から出るつもりは無い。
誰も気に留めないのだから。
出る意味が無い。
だから、あの日も閉じ籠って過ごしていた。
其処に先生が来た。
私は拒否した。
どうせ誰も私を視たりなどしない。
視られたくない。
拒否した。
外に出る事も。
先生に面識を持つ事も。
だけど先生は…。
私を視てくれた。
方法は不器用だったけど…。
私に気を留めてくれた。
世界を変えてくれたんだ。
嬉しかった。
私は、誰かに視て欲しかったのかもしれない。
殻を破壊してくれる誰かを待っていたのかもしれない。
あぁ…。
少しづつ視界が広くなっていく。
先生を通して視る世界は複雑だけど…。
とても楽しくて、儚げに美しい。
私も、彼を通して世界を視るのではなく。
私が想うように世界を視てみたい。
そうすれば…。
クラスの皆と同じ立場になれる。
先生の隣を堂々と歩ける。
でも、まだ駄目。
まだ、私は弱いままだから。
もう少しだけ貴方に甘えさせて欲しい。
いいでしょ?
先生。