─chapter 1─
不思議だ。いまこうしてそこへ歩いて向かっている事が自分でも不思議に思う。
麻菜実は道すがら、もう何度考えたか分からない事をもう一度思い浮かべてみる。
本当は、足を止めて、回れ右した方が良いのかもしれない。そんな事まで考えてしまう。
でも、それでは相手に悪い気がする。
だから、とりあえず行ってみる。その後は辿り着いた先で判断できるだろう。
今日の昼過ぎから繰り返し考えた事をもう一度反芻し、麻菜実は溜息をついて足を早めた。
もう、行くと決めた事を考えるのはやめよう。
それより、今日の夕食の献立でも考えておこう。
気分を切り替えるように、頭の中で料理のレパートリーを広げてみる。
盛り付け、手順、材料、買い物…
とりとめなく並べていった所で、まぜか憂鬱そうに眉を下げ、頭の中から払いのけた。
「…材料は、二人分……ですよね。…うん。勿体無くなんてないです。明日のお弁当にだって使えます。」
自分の口から出た呟きに、思わず一瞬足を止め、少し苦しそうな疲れた溜息を落とす。
あとはもう、何も考えずに足先に広がる歩道の石畳を見ながら、早足に歩いて行った。
いつの間にか目的の場所を通り過ぎようとしていることに気がつき、慌てて足を止めて振り返る。
人の姿はそこそこあるが、誰かの姿を見つけるのには多いというほどではない。
麻菜実は人波の中に視線を向け一人一人の姿を確認してゆくが、その相手はあっけなく見つかった。
彼も、私服に着替えているはず。だから注意しないとお互いに見落とす可能性も──
そんな判断も必要なくあっさり見つかった彼は、公衆電話のボックスに半分背をあずけるようにして、
落ち着き無く雑誌のページをめくっている。
あれでは内容など頭に入っていないだろう。
せわしなくページをめくり、時には戻しながら、傍目でみても分かるほどにそわそわしている様子だった。
麻菜実は思わずクスリと笑みを浮べると、横手の方から静かに近付き、彼に声をかける。
「何を読んでいるんですか?」
「あ! ああ!? 大草さん! お、お待たせ!」
即座に少しおかしな返事を返すと、手に持っていた雑誌を閉じ、どうやら置いてあった物らしく電話ボックスの中へと入れる。
麻菜実は少し肩をすくめて笑う。
「お待たせしました。もしかして結構待ってましたか?」
芳賀の言い間違いには触れず、首をかしげてたずねる。
「ぜんぜん! 僕が早くきちゃったからさ…!」
手の平を振って、ぎこちなく笑って見せる芳賀に、麻菜実もつられて笑顔をみせた。
「え、えっとその……」
焦って余裕が無いのか、中々言葉が出せない様子の芳賀に、麻菜実はやや顔を伏せがちにして声をかける。
「じゃ… 行きましょうか? ここだと知り合いに会わないとも限らないですし…」
「う、うん! そうだね。」
麻菜実の言葉に促され、歩き出した芳賀の後ろを、少し離れて困ったような笑みを浮かべながら付いていった。
□ □ □
「──あの ……大草さん、い今、いいかな?」
数日ほど前の、放課後の図書室で、人目をはばかるように声をかけてきたのが彼だった。
もう彼の他には利用者のいない時刻。
本の返却ついでといった様子だったが、しどろもどろの口調で、妙に緊張しているのがわかる。
「はい? なんでしょう?」
とりあえず返却の手続きを行いながら話の先を促し、芳賀の言葉に耳を傾ける。
しばし、静かな図書室にぼそぼそとした低い芳賀の小声だけが聞こえていた。
「……う…ん。割のいいバイトは助かりますけど…… あんまり怪しいのはちょっと… どんな仕事なんですか?」
「それは、その、大きな声では言えないけど……」
ちょと緊張した面持ちで芳賀はカウンターの上に身を乗り出し、
さらに小声になって耳打ちするように麻菜実の方へと口元を近づける。
耳元で、芳賀から説明されたのだろう。
少し麻菜実の頬が赤くなり、眉を寄せて難しそうな顔をしてみせる。
「…やっぱりそういう事はちょっと。私には難しいですよ。」
断りともとれる麻菜実の言葉に、芳賀は慌てて手をぱたぱたと振ってみせ、取り繕うように笑ってみせる。
「そそそうだよね! 変なこと言ってごめん! 今の話、忘れて!」
「…あ、いえ、すいません。お役に立てなくて……」
「いや、お役に立つとかじゃないんだけど…… ごめん!」
顔の前で手を合わせて頭を下げた芳賀に、麻菜実は首を小さくかしげながら口を開く。
「芳賀君が、誰かに頼まれたのですか? その… そういう事がオーケーな女の子の斡旋などを。」
麻菜実の問いに、芳賀は少し困った笑い顔で頭を掻きながら、微妙に目をそらす。
「…いや、別に、誰かに頼まれたとかじゃなくて。…………僕なんだけど。」
「──え?」
てっきり誰かに頼まれて声をかけている物と思っていた麻菜実は、意外なその返答に、
一瞬自分の聞き間違いなのかと耳を疑った。
「え、でも…… じゃあ、その、お相手するのって…… 芳賀君?」
「あ、うう… その、ほんとにゴメン! 聞かなかった事にしてよ!」
ストレートに聞き返されて、さすがに気まずさに耐えられなくなったのだろう。
何度も麻菜実に手を合わせてみせ、いたたまれなさを振り払うように走り去ろうと背を向けた。
「あ!? ちょっとまってください!」
麻菜実の声に、芳賀の足が止まった。
思わず呼び止めたのだが、なぜ引き留めたのか麻菜実自身にもわからずに、
差し出した手を宙に浮かせたまま、しばし次の言葉を探すように目をそらす。
本当に意外そうな顔で芳賀がゆっくりと振り返った。
麻菜実は芳賀に視線を戻し、一呼吸おいて、なるべく落ち着いた声で口を開く。
「お返事、もうちょっと考えてからでもいいですか?」
一瞬言葉の意味がわからなかったのだろう。しばらく、きょとんとした顔をしていた芳賀の目が驚きで見開かれた。
「……う、うん。もちろん。……あ、じゃあ、これ。」
まだ戸惑いの色を表情に残しながらも、努めて事務的な口調で語りかけ、
自分の手帳のページをちぎってそこにボールペンで走り書きを入れる。
ひとつ折りたたみ、そっとカウンターの上へと差し出した。
「これ、僕の携帯だから。いつでも連絡して…… その、もちろん、断っても全然かまわないから! ね?」
「わかりました。」
渡された紙片を丁寧に制服のポケットに入れ、麻菜実は落ち着いた声で芳賀の顔を見ながら返事をする。
正面から真っ直ぐに麻菜実の視線をうけ、芳賀は慌てて顔を赤くしながら目をそらし、
きびすを返して出口の方へと向かう。
「じ…… じゃあ、ね。」
すこし裏返りそうになった声でそう言い残し、芳賀は急ぐように図書室をでていった。
急に人気のなくなった図書室で、一人残った麻菜実はしばし考え込むように宙に視線を漂わせる。
少し憂いを帯びた表情で、薄暗くなって来ている書棚や窓の方を眺め、考えにふけっているようだった。
やがて苦笑交じりの短い溜息をつき、いつもの表情に戻った麻菜実は、何事もなかったように自分も下校の準備を始めた。
□ □ □
「そうだ、大草さん。……とりあえず先に、これ。」
一歩先を歩く芳賀が、思い出したように内ポケットからなにやら小さな紙袋を取り出して、麻菜実に手渡した。
「なんですか?」
一見して小さな焼き菓子でも入っていそうなその紙袋は意外と軽く、少し振ってみると微かに中で何かが動くような音がする。
「…今回の分が入ってるから。あとで確認しておいてくれる?」
「あ…… ありがとう。」
納得した声を出して、麻菜実は紙袋の口を少し開けて中を覗き込み、すぐに口を閉めると肩にかけていたトートバックに入れる。
「いや、お礼を言われると何か変な気がするんだけど……」
微妙に苦笑してみせる芳賀に麻菜実もつられて笑い返し、少し首をかしげるように彼の顔を覗きこむ。
「でも、芳賀くん、こんなに出してしまって大丈夫なんですか? お小遣いってわけでも無いでしょう?」
「や、平気平気! やましい所から出たものじゃないから、大丈夫…… あっと!?」
言葉を途中で切り、彼は足を止めた。
いつの間にか入り込んでいた人気の無い裏路地にある、いかにもといった作りの門構え。
建物の造り自体はシンプルなデザインで、いかがわしさは感じられないが、それでも門前に掲げられている料金表や、
中が見えないようにのれん状に垂れた幕は、ここがただの宿泊施設などではない事をこれでもかと匂わせている。
「あ…… あの、芳賀君?」
突然、足に根が生えたかのように、門前で立ちつくしたまま動きの止まった芳賀に、麻菜実は戸惑いながら名前を呼んでみる。
返事はなく、目はその入り口に釘付けのまま微動だにしない。
背中を軽く、ぽんと叩いてみると、それで金縛りから解けたように芳賀はびくりと体を震わせた。
「──や、やっぱりやめよう!」
「え? 芳賀くん?」
突然首を激しく左右に振って口にした言葉に、麻菜実は驚いて目を丸く見開く。
が、すぐに普段の表情にもどり、困ったような笑みを浮かべて芳賀の背中をもう一度優しく叩く。
「そんな怖い所ではないと思いますよ? お化け屋敷じゃないんですから。」
「い、いやそういう事じゃなくて……」
焦った声で何か反論しようとしたのだろうが、自分に微笑みかける麻菜実の顔を見た途端、言葉に詰まって口を閉じてしまった。
「…大草さんは、どうしてオーケーしてくれたの?」
突然の問いに今度は麻菜実の方が返答に詰まった。
特に理由らしい理由は無いのだが、芳賀の顔を見ているうちに何となく受けても良いように思えてきたのだった。
真剣な面持ちで自分の答えを待つ芳賀の顔に、麻菜実はしばし間を置いて口を開いた。
「…そこまで確かな理由はありませんけど……
どこの誰とも知れない人をお相手するのとは違って、芳賀君はちゃんと知ってる人ですし。……それに、」
そこで一呼吸置き、少し恥ずかしそうに目を逸らしながら麻菜実は続ける。
「それに、私も、そんなに…… 嫌いな方じゃないですから。…………するのは。──だから、たまには良いかなぁ、って。」
顔を赤くしながらそう告げる。
麻菜実はさらにその先に言葉を続けようとしたが、言わなくても良い事だと自分で気がつき、慌てて言葉を切った。
芳賀は、こちらも照れたような表情で頬を掻きながら、麻菜実とは目線を合わせられないままでいる。
その背中をさらに軽く叩いて、そのまま押すように彼の体を前に進める。
「…あんまりこんな場所で立ち話していると恥ずかしいですから…… 取り敢えず移動しませんか?」
「そ、そうだね! じゃ、その、……お願いします。」
妙に神妙な口調の芳賀に麻菜実は苦笑を浮かべ、その背中に手を触れたまま二人の姿は入り口の中へと消えた。
水滴がタイルを叩く軽い音が止まった。
きい、という小さな戸を開ける音を立て、バスルームから少し湿った足音がカーペットの上をこちらに近付いてくる。
僅かにベッドが揺れ、すぐ近くからほんのりと石鹸の香りが漂ってきた。
「あの…… お待たせしちゃいましたか?」
「あ、い、いやぜんっぜん!」
つい先ほどに交わしたようなやりとりをもう一度交わし、芳賀は目を開けてベッドの上に起き上がる。
ベッドの端に腰をおろし、麻菜実はバスタオル一枚を体に巻いた状態で横顔を見せている。
体だけ流したのだろう、小さなポニーテールに結わえた髪はそのままで、濡れている様子は無い。
「…えっと、どうしましょうか?」
ちょっとだけ緊張した面持ちで、芳賀の方に体を向けながら、両足を上げてベッドへと上る。
芳賀の視線が自分の姿に釘付けになっている事が判り、麻菜実は恥ずかしそうに少し顔を伏せた。
白昼夢でも見ているような表情で、芳賀はふらりと体を揺らしながら膝立ちの体勢になり麻菜実の方へと近寄る。
先にシャワーを浴びていた彼は、腰にタオルを巻いた状態のままシーツを被っているようで、
それに気がついた麻菜実は僅かに顔を染めて目線をはぐらかす。
ふと、うつろだった芳賀の顔に表情が戻った。
「……大草さん。ほんとにいやらしいやりかただと思うけど、僕は──」
目を伏せ、沈んだ声を出した芳賀に、麻菜実はハッと気がついたように顔を上げた。
「……僕は、」
「私はオーケーしたんですよ?」
明るい声で芳賀の言葉を遮った麻菜実に、こんどは芳賀が弾かれたように彼女の顔を見つめる。
「芳賀くん?」
「あ、ありがとう。…ごめん! あ、でも、気が変わったらホントに遠慮しないで! ね?」
微笑んで頷いた麻菜実に、芳賀もちょっとぎこちない笑みを返し、二人は少し声を出して笑った。
「さわっても、いい……?」
「…はい。」
返事を返し、目を閉じた麻菜実のバスタオルに包まれたふくらみに芳賀の手がゆっくりと触れる。
触れただけの手をそっと動かし、形を確かめるように手を動かしてさすっていた。
「……これが…… 大草さんの……」
どことなく夢の中にいるような表情になって、バスタオルの生地越しに手の平に伝わる感触を味わっているようだった。
麻菜実は小さく笑いながら目を開け、小首をかしげる。
「おっぱい…… 好きですか?」
「う、うん! 大好き! しかも大草さんのを触っているんだよね……」
あまりに正直な芳賀の答えに、苦笑しながらもどこか解れた表情で、麻菜実はタオルの結い目に手をかけてほどいた。
「…ちょっと、恥かしいですけど。」
うつむき加減で頬を赤くし、麻菜実はほどいたタオルをはらりと腰まで落とした。
タオル地に覆われていた白いふくらみが眼前にこぼれ、芳賀は呆然とした表情でほとんど無意識にそれに手を伸ばす。
もう湿り気も飛んで、さらっとした感触の肌に手を触れる。
「……こんなに大きかったんだ、大草さん。……着痩せするタイプだったんだね。…う……わあ……柔らかい……」
両手をそれぞれ左右のふくらみに伸ばし、ゆっくりと揉み始める。
手先へと直に伝わってくるその感触に、恍惚とした瞳で自分の思いのままに形を変えるふくらみを揉みしだいてゆく。
次第に手の動きが激しくなり、指先を伸ばすと、ふくらみの天辺にある橙色の突起に触れた。
「──んっ……」
軽く指で挟むと麻菜実の口から吐息に交えて小さな声が漏れ、少しずつ固くなってきたそれを指の腹で軽く撫でるようにすると、
麻菜実はビクリと肩を震わせて目を閉じる。
もう我慢しきれないと言わんばかりに、芳賀は麻菜実のふくらみを先端から口に含んだ。
喉に吸い上げるように口いっぱいに柔らかいそれを咥え、舌先で固くなった突起をキャンディのように転がす。
「ん…! はぁっ……!」
「……お、大草さ…んっ……!」
咥えていたふくらみを離し、今度は反対側も味わいたいのか、かぶりつくようにもう一方のふくらみも口に含む。
唇を咀嚼するように動かしながら舌先で先端を舐り、鷲掴みにした両手の指の間からは、収まりきらないふくらみがこぼれ出し、
それを逃すまいとするように捕らえた手は激しく麻菜実の柔らかい双丘を揉みつづける。
芳賀の勢いに押されるように、麻菜実はベッドの上へと仰向けにゆっくりと倒れ込んだ。
麻菜実のふくらみを愛撫する事に夢中になっていた芳賀だったが、唇を離すと、体重をかけないように膝立ちになり、彼女に覆いかぶさる。
両手は変わらず麻菜実の胸に置いたまま、唇をその鎖骨のあたりに触れさせる。
「…あ、強く吸わないで……下さいね。」
「大丈夫だよ…… 大草… さん…」
小声で呟き、芳賀の唇が浮き上がった麻菜実の鎖骨に触れる。
舌先を少し出したまま、肩から首筋へ這い上がるように唇でなぞってゆく。
「やっ……」
ぞくりとした感覚を覚え、思わず声を上げてしまった麻菜実の首筋を舌でちろっと舐めながら、唇を耳元まで持ってくる。
そのまま小さな耳たぶを口に咥え、軽く咬むと、麻菜実の口から鼻にかかった細い声が漏れた。
芳賀が口を離すと麻菜実の耳元に熱い息がかかり、耳たぶにびりびりと染みてくる痺れる感覚に、思わず自分の耳に手を添える。
と、伸ばされたその手を芳賀の手が掴み取った。
一瞬不思議そうな顔を浮かべた麻菜実の細い指に唇で触れ ……そのまま指先を口中に咥えてしまった。
「──ひゃん!?」
体の中では感覚が鋭い場所でもある指先、そこの芳賀の舌が当たり、
麻菜実の指を少しざらりとした柔らかいものが包み込む感覚にびっくりした声が出てしまった。
芳賀は吸い付いたりはせず、そっと舌の表面で触れながら、毛繕いをする動物のように丹念に細い指を舐めている。
「……は、芳賀君! あ…… い、や……」
最初はくすぐられるような感覚だったが、次第に湧き上がってくる快感に麻菜実の声は次第に細い嬌声へと変ってゆく。
芳賀が麻菜実の指を開放し、そのまま頬と喉を唇で伝って胸の谷間に顔を埋める。
ふくらみを這い上がり、交互に、左右の先端にキスをするように軽く口付ける。
名残惜しそうに胸を離れ、彼の唇と舌先は麻菜実の肌をなぞりながらゆっくりと下腹部の方へと移動してゆく。
声こそ上げないが、麻菜実は時折、体を小さくくねらせて自分の体を這う物を感じ取っているようだった。
芳賀の唇が、まだタオルに包まれたままの場所で止まる。
「──見て ……いい?」
「……いいですよ。」
上目使いに伺う芳賀の頭に手を伸ばし、彼の髪に軽く触れながら麻菜実は微笑む。
慎重な手つきで、するすると巻きついているタオルをはだけてゆく。
それはすぐにほどけ落ち、芳賀の目の前に麻菜実の大事な場所が姿を見せる。
息を呑んで自分の秘部を凝視する芳賀に、少し顔を赤くしながらも麻菜実は足の力を抜き、僅かに開いてみせた。
「…こ、こ、れが大草さんの…… お、大草さんの、あそこなんだ……」
ダイレクトな芳賀の感情表現に、麻菜実は耳まで真っ赤になりながら上体を起こそうとする。
「──んっ!?」
が、出し抜けに秘裂に触れた芳賀の指に思わず声を上げ、起き上がろうとした力が抜けてしまった。
彼の指で自分の陰唇が左右へと広げられ、秘肉の奥が晒されて行くのが分かった。
「…すご…い。…奥まで綺麗なピンク色……」
左右の秘肉を指で押さえられ、もっと奥を見ようとしたのだろう、彼の吐息が膣口に吹きかかった事を感じ、麻菜実は体を震わせる。
「は、芳賀くん……! 恥ずかしいです……! あまり奥まで見ないで……」
さすがに羞恥に耐えかねて、懇願するような声を上げた麻菜実に、彼は慌てて指を離した。
「ごめん! ……そりゃそうだよね。つい夢中になっちゃって……」
顔を上げて自分を見つめる芳賀に、麻菜実は困ったように眉を寄せて笑う。
「…恥ずかしいような、嬉しいような、困ったような…… 変な感じです。」
屈託の無い笑顔を見せられ、芳賀も釣られて顔を赤く染めながら緩ませる。
次の瞬間、何の前触れも無しに芳賀は自分の顔を麻菜実の秘所に埋めた。
「や!? はぁっ…!」
秘裂に触れた芳賀の唇の感触に、麻菜実の声が漏れる。
続けざまに彼の舌が秘裂の間を割り中へと侵入され、麻菜実は声にならない甘い悲鳴を上げてしまった。
「……だ…め……! 芳賀く……んんッ…!?」
男性器よりは柔らかく小さいものだが、その分自在に膣内を動き回る舌先を感じ、麻菜実は口を両手で押さえ、
少し涙目になりながら頭を左右に振り、必死に耐えているようだった。
突如、芳賀が麻菜実の中から舌を抜いた。
「……?」
一瞬訝しげに思った麻菜実だったが、芳賀の舌が秘裂を縦になぞりながら上へと進み、小さな突起を探り当てた時、
思わずギュっと目を閉じ体を固く構えてしまった。
「やっ!? あっ! はぁぁっっー!!」
彼の舌先で転がすようにその突起を弄られ、麻菜実は背中を突き抜けた快感に、吐息と共に細い嬌声を上げてしまった。
それが合図でもあったかのように、外の突起を転がし、陰唇を唇で甘咬みし、膣内へと舌を侵入させすくい上げるようにその中を擦り、
息つく間もないほどに彼は麻菜実を攻め立ててゆく。
無意識に仰向けに這いずって逃れようとした麻菜実の腰を、芳賀の腕が脚と共にがっちりと抱え込み動く事が出来なくなってしまった。
いつしかそこは奥から溢れ出した麻菜実の蜜で潤い、彼が口を動かす度にやや粘り気を含んだ水音を立てていた。
どのくらいの間、芳賀の愛撫を受けていただろうか。
ふと気がつくと腰を抱え込んだ腕は解かれ、いつの間にか芳賀は麻菜実の陰部から離れていた。
(……あ…… そろそろ、かな…?)
まどろんでいる時のようにとろんとした色の瞳のまま、麻菜実は視線を下半身の方へと向けながら、
片手はベッド脇のランプスタンドの下に置いてある自分のポーチの方へと伸ばす。
自分の足の先、大きなベッドの縁あたりで芳賀がなにやらごそごそしている様子が目に入った。
(──! ……わぁ …かなり立派です、芳賀くん。)
芳賀の股間に、はちきれんばかりにそそり立った絶棒を認め、麻菜実は思わず顔を赤らめてしまう。
その先端に彼の手がゴムを運び、装着しようとしているようだった。
(……あ……良心的……)
麻菜実は安堵したように少し微笑み、小さなポーチに伸ばしかけた手を戻した。
その間にも、芳賀は焦りからか少々震える手で取り付けようとしているが、先端に被せた状態から中々進まないようで、
さらに焦りを感じた顔色で必死にその半透明の避妊具と格闘している。
麻菜実はベッドの上に体を起こし、四つん這いの格好で彼に近付く。
「…ちょっと…まってて…! ごめん、すぐ──!」
「……あ、いえ。……芳賀くん、もしかして初めてだったりしますか?」
自分を見上げる格好の麻菜実の問いに、芳賀はびっくりしたように目を見開き、すぐに首を激しく左右に振ってみせる。
「いや! 違うけど…… な、なんだか今日は上手くできなくて…!」
慌てた表情の芳賀の顔を見ていた麻菜実は、一拍置いて優しく笑いながら彼の絶棒の根元にそっと手を添える。
「焦らなくても大丈夫ですよ。私、どこにも行ったりしませんから。」
囁くような声を出し、半分畳んだままのゴムを被った先端をするりと口で咥えた。
「──!」
驚いて硬直した芳賀の視線を受けながら、舌と唇を使い絶棒をゆっくりと根元まで咥え込みながら、口の中でゴムを装着してゆく。
一旦、根本近くまで咥え、装着したゴムの端を添えた手で軽く押さえながら絶棒を抜き取る。
呆然とした顔でそれを見ていた芳賀と目が合い、麻菜実は恥ずかしそうな顔をして誤魔化すように照れ笑いを浮かべた。
もうたまらないといった表情で伸ばされた芳賀の両手が麻菜実の肩を掴む。
やや乱暴なくらいの強さで麻菜実の体が押し倒され、二人はベッドの上へ折り重なるように倒れ込んだ。
膝をついたまま、顔は麻菜実の柔らかい胸の中に預け、芳賀は絶棒を彼女の秘所へとあてがう。
麻菜実は彼の頭を両手で抱えながら目を閉じ、意識を繋がろうとしている部分に集中させる。
「……もう少し下に…… もう少し…… あ、そこです……」
麻菜実の声に誘導され、芳賀の絶棒が侵入を始めた。
十分に潤っている秘肉を押し分け、硬く長い絶棒が押し入ってゆくと、たちまち麻菜実のとろりとした蜜と熱を帯びた膣内の襞に絡みつかれ、
薄いゴム越しに張り付くような温かい物を感じて芳賀は思わず呻き声を上げてしまう。
それでも、麻菜実の乳房を両手でゆっくりと揉みながら体を起こし、早く奥までの侵入を果たさんと、ぐい、と腰を突き出した。
「んんっ……!」
ずるり、とした具合に自分の中に入り込んできた絶棒の感触に小さく麻菜実の声が漏れた。
(入ってきた… 大きい……っ…)
膣の中一杯に入り込んでいる絶棒を感じ、麻菜実は瞼をさらに強く閉じる。
目を閉じ、自分を受け入れている麻菜実の表情を見下ろし、芳賀はゆっくりと両の乳房を掌で愛撫しながら腰を動かし始める。
緩やかに、絶棒を秘所の中に突き入れているだけで、自分の物を握り締めるように包み込む麻菜実に芳賀の息は荒くなって行き、
気がつけば無意識に彼女の名を小さく呼び続けている。
「…大草……さん…… 大草さん……!」
「芳賀くん…… そんなに、気持ち良いですか? 私の中…」
やや性急なくらいに攻め立てられ、油断すると溶けそうになってしまう意識を繋ぎ止めながら、嬉しそうな恥ずかしそうな顔で麻菜実がたずねる。
「すごく…! 気持ちいい…… 僕、今大草さんを抱いてる……! 大草さんを……!」
「は、恥ずかしいです…… そん事言われると…」
麻菜実は赤らめた顔を横に向ける。
その乳房に触れていた芳賀の手が大きく動き出し、柔らかい膨らみをまるで餅でもこねるように激しく揉み始める。
同時に腰の動きも激しくなり、麻菜実に突き入れていた絶棒は、粘り気のある水音とお互いの肌を打ちつけ合う音を立てて行く。
「あぁ!? や! あ、やはぁっ…! くんっ! ん、やあぁっ!」
「あああぁ! 大草さ…… ん……!!」
麻菜実を呼ぶと同時に強く奥まで突いた彼の腰の動きが止まり、一度痙攣するような動きを見せる。
そして、続けて二度三度、今度は少し間を置きゆっくりと麻菜実を突いて動きを止めた。
天井を仰ぐようにして、どちらかといえば苦しそうな表情で快感を放出している芳賀の顔を下からこっそりと眺め、
麻菜実は嬉しそうに口元に笑みを浮かべる。
絶棒を覆うゴムがある為、よく分からないが、自分の中で彼自身が何度も震えて快液を吐き出しているのが分かる。
やがて、長い放出が終ったのだろう。
芳賀は力尽きたようにくたりと倒れ込み、麻菜実は彼が大好きと言っていた自分の胸の膨らみでその頭を受け止める。
荒い息をつきながら、ぐったりと体を預ける芳賀の顔を胸に抱き、麻菜実は優しい笑みを浮べてそっとその髪を撫でていた。
どことなく、まともに相手の顔を見れない。
そんな空気を漂わせながら、並んでそそくさと外へ出た二人はとりあえず裏路地を表通りの方へと歩いて行く。
なんとなく話しかけるタイミングを失った感じだったが、そろそろ大通りの喧騒が聞こえてきた所で意を決したように立ち止まった。
「お、大草さん!」
「──は、はい?」
突然呼ばれた事にびっくりして立ち止まった麻菜実に芳賀は体ごと向き直り、まっすぐに彼女を見つめながら再び口を開く。
「また…… また、今日みたいにお願いしてもいい!?」
直球そのままの言い方に、麻菜実は火が出そうなくらいに顔を赤らめて視線を地面に落としてしまう。
数秒感の、無言の空気が流れた後、麻菜実はうつむいたまま小さく口を動かした。
「……私でよければ ……時々なら、大丈夫です。」
「ほ、ホント!?」
舞い上がる芳賀を困った顔で微笑みながら見つめ、
やがて軽く別れの挨拶を残して走りさって行く芳賀の背中を見つめもう一度微笑んでみせる。
時刻はそろそろ日暮れが迫っていた。
麻菜実は自分も帰ろうと歩き出し、ふと、トートバックの中から自分の携帯を取り出して開いてみる。
しばらくそれをいじっていたが、やがて無造作にバックの中へと戻す。
一つ、疲れたような溜息を落として、そのまま何事もなかったような表情に戻り、麻菜実の姿も大通りの方へと消えていった。
─chapter 2─
この時から奇妙な距離感を持ち合った二人が次に会ったのは、一週間後の事だった。
あれから学校で会うことがあっても、お互いの事はおくびにも出さないよう、毎日を過ごしている。
もし芳賀が頻繁に求めてくるような事があれば、さすがに麻菜実も閉口してしまうだろう。
お互いの距離は以前と変わらず、日々を過ごし、少しあの時の記憶も薄れかけてきた頃に二人の関係が再開された。
部活に補習に、まだ校舎の中には生徒は大勢残っているはず。
だがこの部屋は閉め切ってしまえば何の音も入り込んでくる事はなく、逆に外に漏れ出す事もない。
ただ一言「今から会いたい。」との麻菜実への電話の後、放送室で待ちわびていた芳賀に麻菜実はいきなり抱きしめられた。
芳賀はドアに鍵をかけるや否や、待ちきれないといった勢いで麻菜実を強く抱きしめる。
その熱っぽい抱擁に、たちまち上気してきた麻菜実は彼の胸板を頬に感じながら自分の腕を背中にまわし、手を添えて彼を撫でていた。
無言のまま、芳賀の腕が麻菜実の制服の裾から上着の中へと入り、下着の生地越しにとらえた胸を揉み始める。
目を細め、うっとりとした表情を浮かべて、彼の掌を感じとっている麻菜実のスカートの中にもう片手が入り込んできた。
それは細いももをなぞりながら、麻菜実の大事な場所を覆う下着へと指先を伸ばしてくる。
麻菜実は彼の背中に手をまわしたまま、自分の体に触れている彼の手の動きを追っていたが、
やがて密着した自分のへその辺りに当たる硬直した絶棒に気がついた。
(もう、こんなに……?)
驚きながらも、一瞬考え、自分もスカートに中に手を伸ばし、下着に指をかけていた彼の手に覆いかぶさるようにする。
そのまま、するすると下着を膝の方まで下ろしてしまい、片足を少し上げて抜き取ってみせる。
小さくねじれたままの布切れは、片方の腿で止まった状態で置いてあった。
「お、お、大草さん!? …僕、もう!」
自分から彼を受け入れる態勢を見せるかのように下着を脱ぎ去った麻菜実に、激しく感激を覚えたのだろう。
芳賀は震える手で麻菜実をイスに座らせると、背もたれに押し付けるように迫りゆっくりとスカートをめくってゆく。
待ち望んでいた彼女の秘所が現われ、そこを目に焼きつかんばかりに凝視する。
そのまま麻菜実の膝に手をかけ、左右へと脚を開かせた。
丸見えの状態の自分の性器に顔を赤くしながらも、はにかむ笑いを浮かべて麻菜実は芳賀を見上げる。
「ご…めん! もうたまらない…! 入りたい…… 大草さんの中に!」
うわ言のように呟いて、ベルトを緩めるとジッパーを下げ、ズボンを下着を一気に下ろす。
窮屈な場所から解放された絶棒が、嬉しそうにブルンと大きくはねた。
もどかしそうにポケットから取り出したゴムを、今日は意外と手際よく袋の口を切り、自分の絶棒へと被せてゆく。
(……もしかして、練習した…… とか、ですか?)
ちょっとびっくりしながらも、それは口には出さずにそっと目をそらし、
ふと、麻菜実は自分の秘所へと確認するように手を伸ばして軽く触れてみる。
(やだ、もう、濡れて……!)
思わず湧き上がってきた羞恥心に顔を赤らめた時、
目の前に、装着し終わった芳賀が切なそうな表情を浮かべて立っている事に気がいて、麻菜実は慌てて腰を浮かそうとする。
「あ…! ええと…… 机の上… で、しましょうか?」
そう広くは無い放送室にある物は、長机と椅子が数脚くらいである。
しかし、机に視線を向けた麻菜実の両肩を、芳賀の両手ががっちりと掴み、そのまま、再び麻菜実を椅子へと深く座らせる。
「……え?」
きょとんとした表情の麻菜実の両足を開脚させながら、自分もその座席の縁に腰を落とし、絶棒の先端を彼女の秘裂へとあてがう。
「え!? こんな姿勢で……?」
「大草さん、いくよ…… いい?」
うろたえる麻菜実を椅子の背もたれごと抱き寄せながら、芳賀は彼女の耳元で囁く。
余裕のなさそうなその声に下を見下ろして見ると、小刻みに震える手で絶棒を掴みながら、
麻菜実の返事があるまで必死に挿入を我慢しているようだった。
──可愛い。
思わず口から出そうになった言葉を飲み込み、麻菜実は無言のまま、芳賀に伝わるようにコクリと首を縦に振る。
絶棒の先端が、ずぷりと麻菜実の秘裂に埋没した。
麻菜実を抱きよせ互いの距離を縮めてゆきながら、ずぶずぶという音が聞こえて来るような濡れた蜜壺へと自身を突き立ててゆく。
彼女の脚は自分の膝上に乗せながら、最後に一度強く打ち付けるように麻菜実の奥まで貫いた。
「やぁ!? ああぁぁぁ……! そんなに、えぐらないで、下さ……い……!」
背もたれと芳賀の体に挟まれて身動きが取れないまま貫かれた麻菜実は、 嬌声混じりの悲鳴を上げると天井を仰いで何度も激しく頭を振る。
安物の事務椅子を軋ませながら、芳賀が動き出した。
拘束するかのように麻菜実の腕ごと背中に手を回し、きつく抱きしめながら、
あまり大きい動作は出来ないこの姿勢の中、小刻みに腰を打ちつけ、絶棒はほとんど膣内から出さない状態で麻菜実を求めてゆく。
「い、や…、ああっ…! 芳賀君の、硬いのが当たって……! んん、あああ!」
なすがままに芳賀の攻めを受けながら、麻菜実は自分の絶頂が近い事を感じた。
(だめ……! 私、もう…… 恥ずかしい……けど……)
麻菜実が限界に近付いた時、激しく突き入れていた芳賀が呻き声を上げ、奥に入り込んだ絶棒が大きく震えた。
それと同時に麻菜実は押さえつけていた物を、そのまま開放する。
声を上げたのだろうが、自分の耳には届いていないのか何も音は聞こえなかった。
体が軽くなり浮き上がるような感じの中、自分の奥で芳賀が絶頂を迎え、何度も絶棒を震わせながら射精をしているのがわかる。
全身の力を抜いて、首を彼の方に預けながら麻菜実は目を閉じた。
外したゴムをティッシュに包んでいる芳賀をぼんやりと眺めながら、彼に背中を向けて麻菜実も自分の秘所を拭き取り、
脱ぎかけの状態のままだった下着へ足を通した。
そのまま上へと引き上げようとした所で、なぜか自分の動作を眺めている芳賀に気がつき、
麻菜実は恥ずかしそうに笑みを見せると下着を上まで引っ張りあげる。
「どうしたんですか、芳賀くん?」
「あ、いや。大草さんの、その…… おしりって初めて見るなぁって思って。」
その言葉に少し顔を赤らめ、麻菜実は首をかしげてみる。
「そういえば、そうでしたか?」
頷いた芳賀に、ふと何かを思いついたような顔をして、麻菜実は彼に背を向けたまま側の長机に上半身を伏せてみせる。
そして短いスカートに両手を伸ばして捲くりあげ、下着の端に指をかけた。
「では、ちょっとサービスします…… なんて……」
伏せた上体のまま顔だけ振り返り、微笑んで小さく舌を出しながらぺろっと下着をめくり、白いヒップを露出させる。
張りのある小さめのヒップに釘付けとなった芳賀だったが、次の瞬間、慌てて股間を押さえて小さく呻いた。
「あ! ご、ごめんなさい!」
放出して、力なくうなだれていた絶棒が見る見るうちに怒張して行く様に気がつき、麻菜実は慌てて捲ったスカートを下ろして芳賀の側に寄る。
「いや大丈夫、すぐ戻るって…… ちょ! こら! 静まれ!」
焦った声で猛るそれをおさめようとしている芳賀の手に、麻菜実はそっと自分の手を添えて、押さえていたものから離させる。
「あの、私…… まだ時間ありますから。だから……」
その言葉の意味する所を理解し、芳賀が驚いた顔で麻菜実を見つめる。
だが、すぐにハッと気がついた表情になり、慌てて口を開いた。
「あ、いや、でもその…… もう、ゴム無くてさ……」
あたふたと手を振る芳賀に、麻菜実はにっこりと笑って彼の手を取る。
「じゃあ……」
そう言いながら繋いだ手を引き、さっきまで自分が座っていた椅子に芳賀を腰掛けさせて、その正面に膝立ちになった。
「大草さん……! これ……!?」
「楽にしていて下さい。……ね?」
焦りながら立ち上がろうとする芳賀を笑顔で制し、そそり立つ絶棒に顔を近づける。
不意に小さな舌を出して、その先端に突付くように触れた。
「うあ!?」
びっくりして体が跳ね上がった彼の絶棒に手を添えて、横笛を吹くように亀頭の真横に唇を付けた。
もう一度舌を出して茎の裏側に舌先を触れさせ、口付けたまま絶棒の根元までゆっくりとなぞってゆく。
芳賀が声を上げて上体を仰け反ったのを嬉しそうに見上げると、今度は絶棒を指で持ち上げて、その裏側を根元から先までなぞりながら舌を這わす。
声も無く感じている様子の彼に一度微笑み、するりと先端を口に頬張ってみせる。
ヒクつく亀頭を舌の上に乗せて、優しく転がすように動かして舐めてゆく。
芳賀の息が荒くなってきた事を感じると、ゆっくりと舌を棒の外周をなぞるように絡みつかせ、
少しずつ口内の奥へ導いては、また浅く咥える動作を繰り返した。
口の中で、彼の絶棒が悦ぶようにビクビクと跳ねはじめると、麻菜実はさらに深くへとそれを導き、段々としごく動きを早くして行く。
「大草さ… ん… すごく、いい……!」
芳賀の呟きは途切れ途切れとなり、さらに息が荒くなる。
麻菜実は一気に動きを早めた。
唇で茎の部分をしごきながら舌で激しく絶棒に舐めつき、時にはそれに絡みつかせながら、彼の体内から絶棒へと快液を呼び寄せる。
「大草さん、出るっ……! もう、出、ちゃ……! 口、どけて……!!」
苦しそうな芳賀の声と同時に、絶棒の根元に添えた手から駆け上がってくる奔流の予兆を感じ取り、
麻菜実はさっき芳賀がしたように大きく手を椅子の後ろに回して彼の腰をしっかりと抱え込んだ。
「ええ!? 大草さ…… う……っ!」
それと同時に裏側をなぞり上げた麻菜実の舌先に与えられた刺激がトドメとなり、ドクンと痙攣した絶棒から口中へと精液がほとばしった。
とっさに息を止めた麻菜実の口の中で、脈打つように震えながら絶棒が粘り気のある液を大量に吐き出し続ける。
(芳賀くん…… 気持ちよかったんですね… すごい量……)
目を細め、口中に幾度も射精を受けながら、麻菜実はゆっくりと舌を絶棒の幹に這わせ、放出を終えるまでそっとそれを愛撫していた。
─chapter 3─
いつもの時間の、いつもの場所。毎朝乗ってゆく路線バス。
軽い足取りで、ガランとした人気のない車内に乗り込んだ麻菜実は、
いつもの通り後部座席の方へ座ろうとした所で、そこにいた先客に気がついた。
「…あ!」
「……? あ、あれっ?」
上げた声に反応して顔を上げた相手と目が合い、麻菜実はにっこりと頬笑みながらその席の隣へと向かう。
「おはようございます、芳賀くん。今日はこんな早くにどうしたんですか?」
バスが発進し、自分の隣に腰をおろした麻菜実に、やや気まずそうな笑いを返して芳賀は口を開く。
「いや、ちょっと事情があって…… 大草さんはいつもこのバスなんだ?」
そう言って、前の方の座席を眺めてみる。
早い時間帯のせいだろう、動き出した車内には、二人の他には数人の乗客しかいない。
「はい。いつもの通学時間ですけど… 芳賀くん、何かあったんですか?」
不思議そうな顔を向けて尋ねる麻菜実に、苦笑を浮かべて困ったように頭をかきながら、彼はぽつりと言葉を漏らす。
「……まあ、大草さんなら、いいか。」
「はい?」
首をかしげる麻菜実に向けて、芳賀は小声でぼそりと一言つぶやいてみせる。
「直らないままなんだ。……朝立ちが。」
一瞬、芳賀が何を言っているのか分からないといった顔をした麻菜実だったが、すぐに内容を理解し、やや頬を染めて顔を伏せた。
「やっぱ引くよね? こんな事。」
「い、いえ! 男性の生理現象でしょう? 自然なことじゃないですか。」
慌てた様子の麻菜実の言葉に、芳賀はクスリと笑って自分の膝の上に置いた鞄を見つめる。
「だから、今日は木野や青山に合わない時間に登校しようと思ってさ。
教室の席に座っちゃえば、そうそうバレないと思うし。」
笑って説明する芳賀に、うなずきながら麻菜実も笑い返し、彼の鞄に目を落とす。
しばらくの沈黙の後、顔を上げた麻菜実が小声で芳賀の耳元へと囁きかけた。
「あの、芳賀くん。もし… もし嫌じゃなければ…… 私が…」
「──え!?」
予想もしていなかったのだろう。目を丸くした顔で芳賀は驚いた声を上げた。
「…こっそりと手でするくらいなら、他の方には見えませんから。」
「え、ええ? そりゃはっきり言ってうれしい、けど……」
芳賀は一度言葉を切り、微妙に迷った表情で指で頬を掻いた。
「…大草さんとは。やっぱり、ちゃんと繋がってしたいから……」
その返答に、麻菜実は真っ赤になってしまう。
「いえ、それは、その、……また別の機会で、として。今日、手でしてあげたから今回は終わり、
とか言うつもりは無いですから。…あ! 手でされるのって嫌でしたか?」
早口で尋ねる麻菜実に、今度は芳賀が慌てて首を振ってみせる。
「いや! いや、全然! …って言うか、された事もないし。」
少しおどけてみせる芳賀に麻菜実はどこか安堵したような微笑みを見せる。
そして、その細い手が、芳賀の鞄の下へと伸ばされて行った。
黒い学生鞄の下で、ジッパーを下げられズボンの中から取り出された剥き出しの絶棒を、
麻菜実は片手の指で包み込むようにそっと撫でていく。
周りには誰もいない最後尾の座席で、窓の位置からも下になるため、何をしているのか気付かれる事はまずないだろう。
繰り返し優しく茎の部分を撫でていた手を止め、親指の腹を亀頭の傘部分に添えてゆっくりほぐすように動かしながら、
中指で鈴口の周囲をそっと円を描くように何度もなぞる。
じわりと染み出してきた先走りを潤滑剤代わりにするように、亀頭へと塗り広げ、その表面をくすぐるように指を這わせる。
一旦、絶棒の根本まで手を移動させ、親指の腹を裏側に押し当て、他の指で全体を包み込むように握りしめて先端の方へと撫で上げてゆく。
亀頭の傘まで到達すると、人差し指を先端に伸ばし鈴口の真下にあてて揉むように触れながら、再び茎を握った手を根元の方まで戻す。
少しずつ早くしながら動きを繰り返していくうちに、芳賀が切なそうに溜息をついて麻菜実の顔を見る。
「大草さん… 上手いんだ…… すごく気持ちいい……!」
「そ、そうですか? そんなこと言われたの初めてです……」
恥ずかしそうに照れる麻菜実の顔を見ていた芳賀は、 ふと思いついた疑問を投げかける。
「その…… 旦那さんは、言わないの?」
ビクッと肩を震わせて、麻菜実の表情がみるみるうちに曇ってゆく。
「……彼は、もう…… このところ、全然ですから……」
「あ、ごめん! …変なこと聞いちゃったね。」
「全然…… 帰っても、きませんから……」
胸を突かれるような痛みを覚え、芳賀は言葉を失いながらも彼女の空いている掌に手を伸ばし、そっと重ね合わせて握りしめる。
「──大草さん。」
麻菜実は、がば、と顔を上げ、真剣な表情で芳賀の顔を見つめる。
「だから、私! 自分の…… 欲求不満を、芳賀くんで解消しようとしているんです……!
ちょうどいいからって利用しているだけなんですよ。……だから …だから。」
正面に向き合った芳賀から目をそらすように視線を膝へと落とし、ぽつりとつぶやく。
「だから、芳賀くんも遠慮しないでください…… 私もそういうつもりだって事… 芳賀くんが無理強いしてる訳じゃなくて……」
「大草さん。」
静かな芳賀の声に遮られ、麻菜実は言葉を切り顔を上げた。
目の前の芳賀は、少し口元に笑みを浮かべながら、真剣な目で麻菜実を見つめ、その口が開く。
「──大草さんの手で、イかせて欲しいな。」
びっくりしたように目を丸くし、すぐに微笑を浮かべて、麻菜実はこくりとうなずいた。
握りしめたままだった手の動きを再開する。
激しく、だが、けして強すぎないように芳賀の絶棒をしごきながら、麻菜実はポケットからハンカチを取り出すとその先端を包み込む。
「…大草さん。もしかして…… こういう、手とか口とかで、してあげるのって…… 好きだったりするの?」
半分目を閉じ、与えられる快感にうっとりと浸るような口調でたずねる芳賀に、麻菜実は一瞬驚いた顔をし、
すぐに困ったように眉を曲げながらも恥ずかしそうに笑って答える。
「あはは…… わかっちゃうんですか……? …ん。好きなんです。してあげるの……」
「なんとなく、そんな気がして。…どんな所が好き? やっぱり、相手が気持ちよくなってくれるのが嬉しいの…?」
麻菜実は少し頬を染めてうつむき、上目使いで芳賀の顔を見つめる。
「…それも、ありますけど。……もっと、その……」
先ほどからの小声をさらにトーンを落とし、そっと芳賀の耳元へと口を近づける。
「こ… ここが、どんどん硬くなっていって、それで……」
顔を真っ赤にしながら、指で握った芳賀の絶棒を、やや強めなくらいに、ぎゅうと握り締める。
「…うあ……!」
「それで、私の中に入ってきて…… これで、い… いっぱい突かれるんだなぁ、って…… 思うと……」
握り締めた絶棒を、ぐりゅぐりゅと指で揉みしだいてゆく。
「すごく…… 感じちゃうん、です……」
湯気が出そうなほどに赤くした顔を彼の耳元まで近付け、ひそひそと小さな声で囁いて見せる。
消えそうなその言葉の語尾が耳に届くと同時に、芳賀が足を突っ張らせるように力を入れて、苦しそうな声を上げる。
「…も、もう…… 出る……! 大草さ……」
すがる様な芳賀の声に、麻菜実は微笑を浮かべ、その耳元の口を小さく動かした。
「いいですよ。出してください、たくさん…… 私が、受け止めますから。」
そう言って、五本の指をまるで別の生き物のようにくねらせて絶棒をしごき、絶頂を誘う。
低い、芳賀の呻り声とともに、手の中のハンカチが重みを帯び、その中に吸われていく熱い迸りを掌に感じ、
麻菜実は放出が終わるまで優しく彼の物を撫で、快感を与え続けていった。
─chapter 4─
「…もう夏が近いんだなぁ。」
日曜の昼下がり、 日差しの下を歩くと少し汗ばんでしまう程の陽気の中、一人、商店街をブラブラ歩きながら空を見上げる。
休日の朝からいつもの三人で集まって、楽しく馬鹿話に花を咲かせながら街をうろついて、軽く昼をとってから解散する。
とくに予定もなく、暇そうにうろついているだけのいつもの午後を過ごしていた芳賀だったが、
そのポケットから鳴り出した携帯の着信音に思わず足を止め身を固くする。
「この音は……」
慌ててポケットから取り出して誰なのかを確認すると、一つ咳払いをしてから素早く開いて受信ボタンを押す。
「もしもし?」
『あ! 芳賀くんですか!? 私、大草です!』
予想通りの声が電話の向こうから聞こえ、芳賀は思わず笑顔になってしまう顔を引き締め、勤めて冷静な声で返答をしてゆく。
「うん、どうしたの大草さん? 何か焦ってるみたいだけど?」
『突然すいません! 芳賀くん今日は時間は空いていませんか? 手を貸して欲しい事があって……』
「大丈夫、空いてるよ! 超、ヒマ! 何、今どこに?」
軽い調子で返した芳賀の声に、麻菜実が安堵したように息をついたのがわかった。
『ありがとう、助かります…! それじゃ、すいませんが……』
何度もお礼を言いながら芳賀に場所を告げる麻菜実に、二つ返事で了解を告げると、
芳賀は携帯をポケットにしまって、一度びしっと背筋をのばす。
「──よし!」
一声あげて地面を蹴ると、芳賀は商店街の歩道を勢いよく駆け抜けていった。
「…大丈夫ですか、芳賀くん。すいません、突然こんな無理言って…」
「結構暗くて、ちょっと臭いんだねコレ… でも、一度やってみたかったよ、こういうの。」
特設会場の舞台袖に身を隠し、オペレーターのようにインカムをつけた衣装の麻菜実と、
中から芳賀の声で返事を返す怪獣の着ぐるみ姿の二人が開始の合図を待っていた。
「無理しないでくださいね? 気分が悪くなったら、合図すればいつでも戻れますから……」
「平気平気! バイト代もはずんでくれるって監督さんも言ってたし!」
明るい声を出して、おそらく親指を立てて見せたのだろう、ずんぐりした怪獣の腕を麻菜実の前に差し出してみせる。
安心したように笑みを浮かべ麻菜実が小さく笑い声を立てた時、ステージ上に音楽が鳴り始め、インカムに指示が入ったのだろう。
麻菜実は元気な声をあげてステージの上へと飛び出した。
「みんな元気かなー!?」
(おお…… 大草さん、サマになるなぁ… かわいいよ……!)
舞台の影から麻菜実の姿を眺めながら、芳賀はもういちど会場には見えないように親指を立ててみせる。
「おっきなお友達も元気かなー!?」
再び笑顔で声を張り上げた麻菜実の視線がチラリと自分を見た事に気がつき、
芳賀は少し照れながら、さっき説明された手順を頭の中で繰り返しはじめた。
ぼんやりとした意識と視界の中で、まず飛び込んできたのは自分を見下ろしている麻菜実の顔だった。
片手で扇いでくれている ウチワから漂って来る風が、火照った顔に心地よい。
だんだんと目が慣れてくるにつれて、照明が点いていない薄暗いロッカー室の様子が見て取れた。
「……あ、そうか…… 僕は確か……」
「あ! 気がつきました? もう気分は良くなってきましたか?」
心配そうな声の麻菜実に、芳賀は微笑んで身を起こそうとする。
「駄目ですよ。もう少し横になっていないと…… 熱中症は怖いんですよ。」
真面目な顔でたしなめられ、苦笑しながらも起こしかけた体を元に戻した。
麻菜実は、ずれてしまった額の濡れタオルを手に取り、
もうぬるくなってしまっていたそれをもう一度冷やしに行くのだろう、膝の上に乗せている芳賀の頭を持ち上げようとする。
「……大草さん。」
「はい?」
「まだ、膝枕していてほしい。」
突如呼び止められ、思わず目を大きく瞬いて驚いた顔をした麻菜実だったが、すぐに微笑み返してベンチシートの上に座りなおした。
「じゃあ、もう少しだけですよ?」
仕方ない、といった口調で、しかし目は笑いながら芳賀のおでこに人差し指でちょんと触れてみせる。
薄暗い部屋には、小さなすりガラスの窓から入ってくる暮れかけた外の光だけがぼんやりと差し込んできている。
二人の他には人の気配もなく、換気扇の音だろう、低いモーターのように唸る音が静かな部屋に微かに響いていた。
「……今日は、ありがとうございます。」
ゆっくりとウチワを動かし、芳賀の方へと風を送りながら、笑みを浮かべた唇を少し動かしてぽつりと声をもらす。
「結構楽しかったよ。また、いつでも呼んで。……そしたら、膝枕してもらえるし。」
ちょっとおどけた笑みを浮かべた芳賀に、麻菜実はわざと肩をすくめて苦笑してみせる。
そこで会話は途切れ、再び静かな空気が訪れた。
ふと、麻菜実は下からジッと自分の顔を見つめ続ける芳賀の視線に気がつき、笑いながら眉を寄せて首を傾げた。
「何か見えますか?」
「……うん。大草さんの顔が見える。……困った眉が、すごくかわいい。」
麻菜実の頬がほんのりと火照るように赤くなるが、慌てることなく、芳賀の額を軽く指で突付いてみせる。
「誉めても何もでませんよー?」
芳賀は少し嬉しそうに目を細めて、さらに言葉を続けた。
「……それと、大草さんのおっぱいが、見える。……下からだと結構な迫力があるんだね。」
麻菜実はクスリと笑って、手の平で芳賀の頬を軽くペチペチと叩いた。
「──えっち。」
尖らせた口から、喉の奥に笑いを忍ばせるような声で、麻菜実の声が漏れる。
ウチワを持っていた麻菜実の手が止まり、両手が芳賀の両脇にかけられ、背中から体を抱き寄せるような格好でその体は引っ張り上げられた。
「大草さん?」
後頭部を通り過ぎた柔らかい膨らみの感触に思わず顔がニヤけてしまいそうになるが、何とか表情を保ち背中の麻菜実に声をかける。
「……まだ、しばらくは人は来ないと思います。でも、あまりゆっくりは出来ませんけど……」
背中から伸ばされた麻菜実の手が芳賀の胸板辺りをそっとさする。
まだ言葉の意味を図りかねてはいるが、期待と驚きの混ざった声で芳賀はおずおずと麻菜実に尋ねてみる。
「大草さん…… その、これって…… もしかして……?」
「…芳賀くんは、もう準備オーケーみたいですから……」
芳賀は、背中から聞こえたその恥ずかしそうな声に、初めて自分の姿を確認してみる。
よくよく見るとTシャツにトランクスだけの姿で横たわっており、
その下着は明らかに中の物が膨張している事を示すようにテント状に生地が膨らんでいた。
さすがに気まずさを覚え、うまく言葉が出ない芳賀だったが、出し抜けに自分のうなじに麻菜実の唇が付けられ、
そのまま這うように耳の側まで動いて耳たぶを軽く口に咥える。
ぞくりとした感覚を背中に感じ、何とか声は上げずに耐えた芳賀だったが、
その隙にトランクスに伸びた麻菜実の両手が両端を掴み、膝の上までズリ下ろしてしまった。
中にバネでも入っているような弾力で、開放された絶棒が跳ねながらそそり立つ。
「すいません、ちょっとそのまま待っていてくれますか……?」
何か言おうと口を開いた芳賀より先に麻菜実に声をかけられ、困惑した表情のまま、なにやら背後でカバンをゴソゴソとしている音を伺っている。
麻菜実はすぐに芳賀の正面に回りこんで、ベンチシートをまたぐ格好で彼と向かい合う。
手に持っていた避妊具を素早く袋から取り出して、芳賀の絶望へと装着してゆく。
「…びっくりしたけど、何か嬉しいな。まだ次の日まで間があるのに、先取りしてくれ……」
「こら。」
少し怒ったような表情を見せて、芳賀のおでこの上を軽くゲンコツにした手で小突いた。
「……え?」
「今は、私からお誘いしたんですから。……そんな事言っちゃ駄目です。」
怒ったようなすねたような顔の麻菜実を、一瞬、ぽかんと眺めた芳賀だったが、
すぐに満面に笑みを浮かべゲンコツで当てた麻菜実の手を取り、指を絡ませるようにしっかりと繋いだ。
芳賀の腿の上に腰を落とした麻菜実は、ミニのスカートは下ろさないまま少し捲り上げて、
秘所の上を覆っている下着の布を指でずらし、陰部を覗かせた。
「こんな格好でごめんなさい…… 急に人が来ちゃうとまずいですから……」
「……なんだかすごく興奮してきたよ。」
これから自分達が繋がる場所へ視線を落としながら芳賀は小さく首を振って見せる。
見下ろす目線では麻菜実の秘裂はスカートに隠れて見る事はできなかったが、
それでもその手が自分の絶棒を軽く握り、そこにあてがった事がわかる。
麻菜実の手が、絶棒の先端を自分の秘肉に僅かに潜り込ませた状態で、ゆっくりと秘裂をなぞるように上下に動かす。
次第に亀頭が陰唇の中にもぐりこんできたところで、軽く押し入れては戻す動作を何度も繰り返す。
「……ん… あぁ……」
麻菜実の口から小さく吐息がもれる。
自分の絶望にまるで口付けをするかのように、ねっとりと吸い付く麻菜実の陰唇に、芳賀の意識は挿入の期待を抑えきれない絶棒へと集中し、
次第にとろとろと濡れ始めた麻菜実の中へと入る事だけを思い浮かべる。
待ちきれない、このまま一気に挿入したい、麻菜実の中を本能のままに蹂躙したい。
ともすれば弾け飛びそうになる意識を押さえつけ、芳賀は、目の前で蕩けそうな表情を浮かべている麻菜実の顔を見つめる。
「…ふ……うぅ…んぁぁ…あ……」
半分閉じた瞳を潤ませて、麻菜実は快感を噛みしめるようにゆっくりと絶棒を自分の膣内へと送り込みはじめる。
じりじりと、見た目にはわからないくらいにゆっくりと、自分の中へと埋めて行きながら、
麻菜実は小刻みに腰や膝を震わせ、溜息と共に喘ぐ息を漏らしていた。
「……ああ…ん…! んあ……! きゅぅぅ…ん…! …んくぅ……んっ…!」
泣き声にも似たその細い声が上がるたび、絶棒を包み込む麻菜実の膣壁が、きゅうっと音を立てるかのように芳賀を締めつけ、
じらされるように与え続けられる快感に芳賀は泣きそうな程の切なさを憶える。
「芳賀……くぅ……ん… あぁぁ……芳賀く……ん…の……」
頬を火照らせ、嬉しそうに自分の絶棒を感じて、いつの間にか芳賀の名前を何度も呼んでいる麻菜実に気がつき、
芳賀は服の上から麻菜実の膨らみを鷲掴みにすると、やや乱暴なくらい、こねるように揉み上げてその下のブラに包まれた乳首の辺りを指で何度も擦る。
「…やあぁぁぁ……ん…! 芳賀くん……」
麻菜実が嬌声を上げて大きく仰け反った時、少しずつ侵入を続けていた絶棒が根元まで挿入を果たした。
途端に駆け上がってくる物を感じ、芳賀は思わず声を上げてしまう。
「もう…… 出るっ……!!」
その声が聞こえたと同時に、麻菜実の膣内が急速に締まり、絶棒全体を握るように包み込む。
手で握られているような感触が伝わり、その瞬間、芳賀は完全にイった。
すさまじい迸りが絶棒から放出され、ゴムの中が満たされ膨らんでゆくのがわかる。
「芳賀くん……」
汗ばんだ腕で同じように汗だくの芳賀の顔を抱き寄せ、その髪に顔を埋め、
彼の熱い体温と鼓動を感じながら、長い放出が終るまで二人は抱き合っていた。
─chapter 5─
(明日は週末……ですね……)
軽い足取りで夕方が近い廊下を昇降口の方へと向かい、
麻菜実はちょっぴり頬を緩ませながら下駄箱の前に敷かれているスノコを踏み、自分の靴箱へと向かう。
「…あ、大草さん。すいません……! 今、どきます!」
かがんで靴を履いていた少女が身を縮こませるようにして素早く立ち上がり、麻菜実に場所を空ける。
「あっ…… 加賀さん、ありがとう。今帰りですか?」
「すいません! すいません! 私のような者がこんなに遅くまで残って閉門を遅らせてしまってすいません!」
あたふたと頭を下げながら謝る加賀に、麻菜実は困ったように笑みを見せる。
「大丈夫ですよ。閉門まではまだ時間がありますから、加賀さんのせいじゃなくて……」
「ああっ…!? 私なんかに気を使ってもらってすいません!」
「あ、いえ、その……」
必死に謝る加賀をなだめ、麻菜実は自分の靴を取り出して履き替えると、靴箱の戸を閉める。
ふと気がつくと、少し離れて佇む加賀が不思議そうな顔で自分を見ている事に気がつく。
「加賀さん? どうしました?」
麻菜実に声をかけられ、加賀はビクッと引きつり、やや視線を外しながらも小さな声で返事をする。
「あ、すいません……! 大草さん、何か楽しい事がおありになったのでしょうか……?」
「──え?」
思わずドキリと心臓が鳴った麻菜実は、すこしうわずった声を上げてしまう。
「何だか、デートの前みたいに、そわそわしていらっしゃいますから…… は!? 私ったら何というセクハラ発言を!?」
震える声を上げて真っ青になり、加賀は涙目になって口を手で押さえる。
「あの、加賀さん? そんな事ないですよ?」
落ち着き無く跳ねだした心臓を悟られないように平静を保った声を出して、麻菜実はパタパタと手を振ってみせる。
「すいません! 今すぐ自首してきます! 私のせいで大草さんにご迷惑が……! すいません!」
「加賀さん、ちょっとま……!」
制止しようとした麻菜実が声を掛けるより先に、身を翻した加賀は昇降口のドアを跳ね開けて走り去ってしまった。
「……大丈夫でしょうか加賀さん。」
半ば呆然と加賀を見送りながら、まだ揺れている昇降口のドアを開けて外に出てみる。
傾きかけて多少緩くなった日差しに照らされ、麻菜実は眩しそうに目を細めた。
「そわそわ…… ですか……」
無意識に呟いたのだろう。慌てて辺りに人がいない事を確認すると、ほっとした顔をして校門の方へと歩きだしてゆく。
両手でカバンを抱えて持ち、考え事をするようにゆっくりとした足取りで空を眺めながら歩いていたが、
やがて歩みをさらに落とし、携帯を取り出すと小さく頷いて笑みを浮かべた。
日がとっぷりと暮れ、行き交う車のライトとぽつぽつと佇む街灯に照らされた大通りは、
通りすがる人たちも日中とは違い、寄り添い並んで歩くカップルの姿が大きく占めている。
いつかの待ち合わせ場所だった電話ボックスの横に早くも待機している芳賀の姿を認め、麻奈美は慌てて側へと駆け寄る。
「すいません…! 約束は明日だったのに急に変更したりして……」
「全然! 大草さんの都合に合わせてよ。ほら、僕はこう見えて結構ヒマ人だからさ。」
笑いながら答える芳賀につられて、安堵した笑みを浮かべ、二人は取り敢えず並んで歩きだす。
「…あ、それで、どうしたの? 明日、用事ができたとか?」
「ん…… そうじゃないですよ。」
歩きながら、少しもじもじとバッグを持ち替えながら、麻菜実は芳賀の顔は見ずに小声で口を開く。
「芳賀君…… 今日は予定とかありますか?」
「え? いや… もちろん何もないよ。──大草さんだけさ!」
真剣な顔で語尾を強調して答える芳賀に、麻菜実は照れ笑いを浮かべてその顔を見上げる。
「……じゃ ……今夜、ずっと一緒でも、いい…… ですか?」
芳賀の歩みがピタリと止まる。
見ると、のぼせたように呆けた表情で麻菜実を見ているようだったが、すぐに我に返ったのだろう、慌てて首を何度も縦に振って見せる。
ちょっと赤らめた顔で微笑みかけ、麻菜実は芳賀の手を取り、夜が更けてきた大通りを再び並んで歩いて行った。
ドアが閉まる軽い音が聞こえた。
その瞬間、ほとんど同時に背中から抱きしめられ、麻菜実は驚いた表情で顎を上げて自分の頭の上に重ねられた芳賀の顔を見上げる。
後ろにいる彼の顔は前髪とそこから少し覗いた額しか見えないが、その頬を麻菜実のポニーテールにうずめ、
肩から回した腕がしっかりと麻菜実の全身を包み込み、捕まえるように抱きしめている。
両腕にありったけの力を込めて、小柄な麻菜実の体を折れそうな程きつく抱きしめる。
全身を強い力で締め付けられる痛みと息苦しさを感じるが、それも今は苦痛には思えず、
すっぽりと体を抱えられた心地よさに、麻菜実は目を閉じて低い声と吐息を漏らした。
どれくらいの間か、ドアの前から離れようともせずに麻菜実を抱きしめていた芳賀の力が緩み、開放された麻菜実は目を薄く開ける。
「大草さん……」
そっと自分を呼ぶ声に首を横に向け、芳賀の顔を見上げる。
なんともいえない嬉しそうな微笑を浮かべた芳賀の口が開き、言葉を紡ぎ出そうとする。
が、思いなおしたようにその口は閉じられ、麻菜実には自分を見つめる彼の目の奥に、一瞬のうちに様々な感情が揺らいで通り抜けたように見えた。
「…芳賀君?」
返事は無く、いきなり彼の両腕が麻菜実の胸の膨らみを下から鷲掴みにし、上へと激しく揉みしだき始める。
相当にびっくりして持っていたバッグを落としてしまった麻菜実だったが、かつて無いほどに激しい芳賀の愛撫にあっという間に頭に血が上り、
頬は火照り出して、激しく動き回る彼の手を感じて、服の中で膨らみの先端がたちまち硬くなってしまい、恥ずかしさからさらに顔を赤く染める。
あまりに情熱的に揉まれ続ける麻菜実の膨らみは、服の中でブラがずり上がるようにして外れてしまい、
柔らかい膨らみは薄手のシャツの下から直に芳賀の掌を刺激し、それに気がついた彼の手がさらに激しくこね回すように動き出す。
息が荒くなってきた麻菜実の下腹部に芳賀の手が伸び、ショートパンツの生地の上から被さるように触れる。
「!?」
服の上からとはいえ、芳賀の指に自分の秘裂をこじ開けるような動きで攻められ、麻菜実は大きく目を見開き、声にならない嬌声を上げてしまう。
次々と陰部をつつかれる感覚に体を震わせながら、
麻菜実は後ろ手に芳賀の下半身に手を回し、硬くなりかけている絶棒を握り締める。
掴んだ茎は、四本の指をくねらせながら刺激し、親指で先端を撫でるように触れながら鈴口の少し下あたりを、
指の腹でぐりゅぐりゅと掻き回すようにこねる。
麻菜実を愛撫する芳賀の動きが断続的になり、苦しそうに息をつきながらも胸と秘部を揉み続ける。
絶棒を刺激していた麻菜実は、小指をその裏側に回すと根元近くから上へとゆっくりと指先でなぞり上げる。
芳賀の体が震え、苦しそうな声が漏れた。
「大草さ、ん……! ごめん…! やめ……!」
その声に慌てて手を離した麻菜実は、芳賀の絶棒がズボンの中でもう暴発しそうなくらいに膨れ上がっている事に気がついた。
ちょっと残念そうな、でも愛しそうな笑みで、その表面を軽く撫でると振り向きながら芳賀の顔を見上げる。
「……ベッド…… 行きましょう……」
小さくそう告げて、芳賀の手を取った。
柔らかい音を立てて、二人は抱き合いながらベッドの上へと倒れ込んだ。
そこに転がり、互いの服を脱がしながら体を絡ませ、じゃれあうように愛撫を繰り返している。
やがて、ベッドの周りに二人の服が散らばり、何も身に付けない姿になると、
麻菜実を芳賀が下に押し倒す形でその肌の上に舌と唇を這わせている。
麻菜実の首筋から鎖骨を渡り、胸元へ。そして膨らみを上るように進み、天辺の突起を口に含み舌で転がす。
芳賀が動くたびに麻菜実の口から甘い声が細く漏れる。
唇がさらに麻菜実の体を下の方へと移動を始めた。
自分の秘所へと移動してゆく芳賀を感じ、麻菜実はゆっくりと脚を開いて彼の目の前に自分の一番大事な部分をさらけ出す。
芳賀の手が麻菜実の腿にかけられ、彼女の期待に答えるように、すでに濡れている秘裂に唇を吸い付かせる。
「あああぁっ…ぅ!」
唇が触れると同時に彼の舌が自分の中にねじ込まれ、麻菜実はすこしざらついた舌の感触に大きく声を上げ脚をくねらせる。
芳賀の唇が陰唇に吸い付き吸い上げ、小さな突起を剥き出すと舌先で弄り出す。
水音を立てて掻き回すように膣内で動き回る彼の愛撫に、麻菜実はもう遠慮も恥じらいもどこかに飛んでしまったのか、
狂いそうなくらいに乱れた嬌声をあげて、シーツを強く握りしめ自分の陰部に全ての意識を集中させていた。
どのくらいたったか。長い愛撫が終わり芳賀の唇が離れると、麻菜実もう何回絶頂を迎えたかわからない体から力を抜き、
絶え絶えな呼吸を落ち着かせながら首を起こす。
ちょうど頭を上げた芳賀の顔が目に入り、麻菜実はその鼻先に手を伸ばして軽く触れる。
「大丈夫ですか? 首、痛くありませんか?」
尋ねられた芳賀はちょっと笑って一度首を捻り小さくコキリと鳴らしてみせた。
「平気平気。……あ、ちょっと待ってて。」
ベッドの外に顔を向けた芳賀に、その意味を察知した麻菜実の手が伸びて彼の腕を掴んで引き寄せる。
「…大草さん?」
「──このまま。」
「え!?」
口を開けて驚いた顔をする芳賀に、麻菜実は優しく微笑んで握った腕に力を込める。
「今日は、大丈夫な日ですから。…このまま、来て下さい。」
体を半分起こし、動きの止まっている芳賀を抱き寄せるように首に腕を回す。
「いやでも! それはやっぱり……!」
「…芳賀くんを、もっと間近に感じたいん……です…」
瞳を潤ませ、切なそうな表情の麻菜実に芳賀は言葉を失ってしまい、呆然とその顔を見つめている。
「芳賀くん……」
かすれるような声で名前を呼ばれ、芳賀は一瞬真面目な顔で口を横に結び、ゆっくりと麻菜実の背中に手を回す。
「僕も……」
一言だけ告げ、麻菜実の腕に引き寄せられるように、その体の上に倒れ込んでいった。
弾けんばかりの絶棒の先端を、麻菜実の秘裂にあてがう。
柔らかい陰唇と、亀頭の先端が触れ合った途端、二人の体を電撃のような物が一瞬のうちに駆け抜けてゆき、思わず同時に体を震わせる。
「…いくよ?」
幾分震える声の芳賀に、麻菜実はコクリと頷いてみせた。
十分に濡れそぼっている麻菜実の膣口へと絶棒がゆっくりと沈んでゆく。
柔らかい秘肉を押しのけながら侵入して行くそれに麻菜実の中から溢れた粘り気のある蜜が絡みつき、
絶棒と膣壁の隙間が埋められ、お互いの僅かな動きでさえ快感に変えてそれぞれの性器へと伝わってゆく。
「いやぁぁ!? 熱…… 熱い…! 芳賀君の、凄く熱い……で…す…!」
「お、大草さ…! すごく、何か、絡みついて、中に吸い込まれていく…!」
与えられる強烈な快感に二人は口々に叫び声を上げた。
硬い絶棒が麻菜実の膣壁を擦り、肉棒を感じた膣の襞一つ一つがまとわりついて撫でるように男性器を包み込む。
奥へと、もっと深く繋がってゆく毎、互いを求める性器が一つにとろけ合ってゆく快楽に、
二人は本能的に相手の体を強く抱き寄せてそのまま完全に交わり合った。
「…あ……あああっ! ……く!」
「凄……い……! 芳賀君の… いつもより、ずっと…… 硬、くて… 奥まで来てま…す……!」
少し眉を寄せながら目を薄く閉じて口を小さく開け、麻菜実は恍惚とした表情で芳賀の背中に手をまわして荒い息をついている。
芳賀は快感の声を上げながら、しかし麻菜実を貫いたまま微動だにせず、彼女の柔らかい体に覆いかぶさるように身を預けている。
「芳賀く… ん…?」
やがて、汗ばんでいる彼の背中を少しゆさぶり、麻菜実は不思議そうな声を上げた。
芳賀は麻菜実の奥まで繋がったまま全く動こうとはせず、ただ彼女を押さえつけるように抱きしめている。
時折、その蜜壺の中で、絶棒が思い出したようにピクピクと動き、気まぐれに与えられる快感に反応した麻菜実の体が小さく跳ねる。
「…は、芳賀くん……! 動い……てぇ……っ…!」
切なそうな声で息を漏らしながら、麻菜実は芳賀の背中に指を食い込ませて懇願の声を上げる。
だが、やはり芳賀は動かないまま、硬さを保ったままの絶棒がその体内で震えた。
「いやぁ……! 動いて、くださ、い…ぃ……! 芳賀くん……!」
またしても、前触れなく絶棒が麻菜実の中で跳ねる。
目の端に涙を滲ませて首を何度も左右に振りながら、彼の背中に食い込ませた指をさらに深く爪立てた。
「…私…… もう、おかしく、なっちゃい、ます……! お願い、です、芳賀く……ん!」
泣きそうな声で叫ぶ麻菜実の耳元で、芳賀は苦しそうに言葉を漏らす。
「──ごめん、動くと、もう出そうなんだ……! 大草さんの中、気持ち良すぎて…… あっ!?」
言いながら少し身じろぎした刺激で射精感が湧き上がってきたのだろう。
麻菜実の中から自身を引き抜こうとした様子だったが、
一瞬早く、麻菜実の細い両足が彼の腰に絡みついて固定するようにガッチリと抱え込まれる。
「大草さん!? …もう、ヤバ……い…!」
「…大丈夫…です。今日は、何も考えないで、もっと…… 私を、欲しがって…… 下さい。」
笑みを浮かべてそう告げ、麻菜実は自分の腰を上下に振るように動かしながらわずかに後ろに引き、
彼の腰に回した脚と合わせて何度も小刻みに揺らしてみせる。
「うああ!?」
芳賀の腰を両側から締め付けるように内腿を引き締めて膣を収縮させる。
同時に膣内から絶棒が半分ほど引き出され、キツく締まった膣壁と擦れた刺激で、芳賀の体は引きつけを起こしたように痙攣した。
「──私は、とても芳賀くんが欲しい…… です。」
麻菜実の言葉が耳に届いた瞬間、芳賀は鋭く息を吐き出しながら、腰を勢いよく突き出して自身を麻菜実の奥深くへと打ちつけた。
「はあああああっ……!」
仰け反りながら嬌声を上げた麻菜実は反射的に腰を左右にくねらせて、芳賀の絶棒を自分の襞に擦りつけるように動く。
「ううっ!?」
低い呻きと共に芳賀の絶棒がビクビクと跳ね、吐き出された快感の塊が麻菜実の子宮口を叩くように勢いよくほとばしった。
自分の中にじわりと広がってゆく芳賀の体温を感じながら、麻菜実は腰を小刻みに振動させ、更なる射精を促すように絶棒を刺激する。
「お……大草さんっ……! あああっ!」
芳賀はがむしゃらに何度も腰を打ちつけ、次々と麻菜実の中に快液を吐き出してゆく。
「…熱い…… 私の中が…… 芳賀くんで、もう、いっぱいです……」
どこも見ていないような恍惚とした瞳で、麻菜実は未だ射精しつづける芳賀を抱きしめ、自分の中を満たしてゆく温かい物を感じとっている。
芳賀の放出が終わり、お互いの荒い呼吸が収まっても、
二人は繋がったまま離れようとはせずに、汗ばんだ体が冷えてからもきつく抱きしめ合っていた。
長い時間が過ぎ、やがてどちらかともなく起き上がると、お互いに名残惜しそうな顔で結合していた性器を離してゆく。
どろりとしたものが絡まりついた絶棒を抜き取ると、芳賀はすぐさまティッシュに手を伸ばして抜き取り麻菜実の秘所にあてようとしたが、
麻菜実は首を振って自分の秘裂を手で押さえてベッドから降りる。
「…おふろ、行きましょうか。」
恥ずかしそうに振り向いた麻菜実に、芳賀はうなずいてみせると自分もベッドから降りる。
「順番、逆になっちゃったね。」
その言葉に麻菜実は肩をすくめてクスッと笑い、空いている片手で芳賀の手を引きながら、二人はバスルームへと入って行った。
辺りを泡だらけにしながら、じゃれ合うように互いの体を洗い、
その中で悪戯するように触れた場所をいじったり、ふざけあったりしながらも、やがて洗い終わった二人は今は湯船に並んで浸かり、
肩を触れあわせてのんびりとガラス越しに見える部屋の様子を眺めていた。
「ひとつ、聞いてもいいですか?」
麻菜実の声が静かな浴室に響き、芳賀は横に顔を向けると軽くうなずいてみせる。
「うん。なんだろ?」
「…いまさらこんな事聞くのは失礼かもですが。
……芳賀くんは、あの時、私がお誘いを断っていたら…… 他の女の子を誘う予定だったんですか?」
「違う違う!」
即座に首を振り、芳賀は麻菜実の言葉を否定する。
「ごめんなさい、責めてるわけじゃないんです…! ただ、何で私なんだろうって思って……
私の事は、クラスメイトならみんな事情を知ってるはずなのに、なんでかな… って、ずっと思ってたんです。」
ちゃぷん、と水音を立てて、芳賀が体ごと麻菜実の方へと向き直る。
「……大草さんに、ただ交際を申し込んだだけだったら、間違いなく断られると思ってたから……」
「はい……」
ちょっと苦笑を浮かべて麻菜実はうなずいてみせた。
「だから、割り切った関係なら、まだ可能性が── って、考えて。…でも、ほんとは……」
「芳賀くん。」
言葉の先を遮り、麻菜実は湯船の中の芳賀の手を握り締めた。
「ごめんなさい。…なんとなくわかってました。」
麻菜実の言葉に芳賀は苦笑を浮かべる。
「僕も。たぶんバレバレだと思ってた。」
二人とも、どこかにつっかえていた物が外れたように屈託の無い笑顔を見せ、声を上げて笑った。
──ちゃぷ。
「あ、や!?」
軽い水音を立て、出し抜けに芳賀の手が麻菜実の乳房に触れ、驚いた麻菜実の声がバスルームに響く。
「あ! ごめん……! つい、触りたくなって……」
肩まで浸かった麻菜実の膨らみは湯船に浮いて深い谷間を作っており、手を引っ込めた芳賀の視線は麻菜実の胸元に釘付けとなっている。
「いいですよー …触っても。」
他意の無い笑顔でそう言われ、かえって委縮してしまったのか、芳賀はバツが悪そうな笑いを浮かべて頭を掻いた。
そんな芳賀を横眼で見ていた麻菜実は、するすると湯船の中へと口元まで沈んでしまう。
水面の下で、何かを言ったのだろう。動かした口から息が泡となってぽこぽこと音を立てる。
「大草さん?」
全く声にならなかったそれを聞き直そうと芳賀が身を乗り出した時、麻菜実はザバリと立ち上がって湯船を跨いで洗い場に出た。
「お先に出ますね。」
「あ、うん。」
チラリと振り返った麻菜実の後ろ姿を眺めながら、芳賀は気の無い返事を返した。
改めて彼女の全身をじっくりと見るのは初めてになるだろう。
小柄でやや細身ではあるものの、出るところはしっかりと主張しており、全体的に丸みを帯びた印象のスタイルである。
芳賀は、髪を包んでいたタオルをほどいて体を拭き始めた麻菜実を見ていたが、
無言で立ち上がると湯船から出て、無造作に麻菜実の方へと歩みよって行く。
芳賀の足音に気がつき振り返ろうとした麻菜実だったが、一瞬早く芳賀に抱きすくめられて、
壁にある巨大なガラス窓へと押し付けるように捕らえられた。
「芳賀君……!」
眉を寄せて振り返ったが、自分の秘所へと素早く侵入した芳賀の指先に、思わず膝が震えて脚の力が抜けてしまう。
抱きしめられた時から自分のヒップに押し付けられている彼の絶棒の感触に気がつき、思わず苦笑を浮かべて正面に顔を戻した。
「ごめん! 我慢できなくなって…!」
必死な声で秘裂へと絶棒の先端をあてがう芳賀に、麻菜実は困った表情を浮かべつつも、
悪い気はしないのか口元に微笑みを浮かべて少し上体を低くし、腰を後ろに突き出してみせる。
「……こんな格好でするなんて、ちょっと困っちゃいます……」
口ではそう言いながら、さらに腰を突き出した麻菜実の秘裂へと芳賀の先端が埋没してしまう。
「あああ! 大草さんっ!?」
たまらず上げた叫び声と共に、芳賀は鷲掴みのした麻菜実のヒップへと打ち付けるように腰を大きく突き出した。
ずるずるっと秘肉を掻き分けて挿入された絶棒に、今度は麻菜実が声を上げる。
「やあああっ!? いきなり全部っ!?」
強引に芳賀の絶棒で満たされた膣内から全身に広がる快感に、麻菜実は肩をよじらせて目の前のガラスに額を押し当てた。
「大草さんっ! ごめん! もう、自分でも止まらないんだ…!」
麻菜実の腰を抱えて、後ろから激しく自分の腰を打ちつけて、麻菜実の中を絶棒で掻き回す。
何度も麻菜実を呼びながら、攻め方を緩める事は無く、ただひたすら欲望のままに彼女を求め続ける。
麻菜実はぼんやりとした思考の中、ガラス越しに見える室内の大鏡に、バスルームで絡み合う自分達の姿が映っている事に気がついた。
ガラスへと押し付けられた自分の膨らみが潰れて広がり、その上には上気して恍惚とした瞳の自分の顔がある。
相手を求めるように突き出された腰へとしがみ付いた芳賀が激しく何度も自分を突いている様子まで見えた。
羞恥心と共に妙な興奮を覚え、麻菜実はなすがままに芳賀に体を預けて早くも絶頂を迎えそうな予感を覚える。
「…芳賀、君…! とても、硬くて…… 凄く気持ち、いい、です…! すてき……」
うっとりとした声を上げる麻菜実に、芳賀はさらに腰の動きを激しくし、結合部からなんとも淫らな水音を立ててゆく。
「僕も、気持ちいいっ! 大草さんの中、気持ちよすぎて、出ちゃう……!」
その声に、麻菜実は自分も絶頂を迎えようと、体に力を入れて目をギュッと閉じた。
「…芳賀くんっ! 来て! 中に、沢山下さい……!」
「出すよっ!」
その声と共に奥まで突き入れてきた肉棒の先端から熱い体液が麻菜実の中へと注ぎ込まれ、膣壁へと熱の塊のようなものが広がってゆく。
芳賀の放出を感じた瞬間に麻菜実は体の力を抜き、自分の奥底から来るものを受け入れ、
体が浮き上がるような感覚の中、長い絶頂の声を上げた。
自分の絶叫も快楽に浸った耳には入って来ない状態で、何度も吐き出されて膣内を満たして行く熱い物をずっと感じ続けていた。
並んでベッドに寝転び、天井を見上げながら繰り返す他愛も無い雑談に笑い声を上げ、くつろいだ空気が部屋に広がっている。
やがて、それぞれ口にしていたペットボトルの中身が無くなったのを見ると、麻菜実はカラのボトルを二本手にし、ベッドを下りて捨てに行く。
すぐに戻ってきた麻菜実だったが、その姿が自分の横に座り込み、股間に手を伸ばしたのを見ると、芳賀は慌てて上半身を起こした。
「あ! まだ、ちょとその ……さすがに、連続でしちゃったから……」
くたりと垂れたままの絶棒をそっと麻菜実の手で包まれ、芳賀は情けなさそうな声を上げる。
麻菜実はニコリと微笑むと、優しく絶棒を揉みながら口を開く。
「私が、触っていたいだけですから…… 気にしないで休んでてくださいね?」
「う、うん。……気にしないのは無理だけど。」
そう言って素直に寝そべる芳賀に、麻菜実はくすっと笑う。
「体を楽にして、気持ちよくなってくれると私も嬉しいんです。」
「うん! ……じつはちょっと期待してたりする。大草さんにしてもらうと凄くイイからさ。」
「…あら。」
肩をすくめて笑い、しぼんでいる絶棒を指先でつつくと、うつ伏せに寝そべって顔をその前に持ってくる。
指でつまんで軽く揉みながら、舌を出してアイスを舐めるようにゆっくりと全体へ舌を這わせて、そのままぱっくりと口に含んでしまう。
口中で転がすように絶棒を可愛がり、やや膨らんできた事を感じ取ると、吸い付くように口をすぼめながらゆっくりと取り出してゆく。
段々と硬度が感じられてくるそれは、縮んだ状態だからだろう、亀頭の半分ほどまでが皮に覆われた状態になっている。
麻菜実は舌先を亀頭と皮の間に滑り込ませ、じっくりと円を描いて何周も這わせながら、少しずつその皮を剥き始める。
芳賀は、その舌触りに快感を感じているようで、
時折、足先をピクリと震わせている様子を愛しそうに眺めながら、麻菜実は口のなかに絶棒を含んでゆく。
剥けた皮の裏側を舌先で撫でるように何度も舐め、やがて、もう勃起したと言っても良い程に元気な姿になってきた絶棒を丹念に愛撫してゆく。
「……気持ち、いいよ。ずっとこうしてて欲しい……」
溜息交じりの芳賀の言葉に、這わせていた唇を離して手でそれを撫でながら麻菜実もぽつりと答える。
「ずっと、こうしていてあげたいです……」
絶棒に短く息を吐きかけ、再びその先端を咥え込む。
突如、それまで横になっていた芳賀が手を伸ばし、麻菜実の脚を持ち上げると自分の上に被せるようにその体を移動させる。
「あ、え!?」
ちゅぽんと音を立てて口から絶棒を抜いて、驚いた麻菜実は芳賀の方を振り返る。
芳賀は自分の顔の前に麻菜実の陰部を持ってきており、そのまま口でするつもりなのだろう、
麻菜実の脚を広げてまだ湿っている秘所をさらけ出した。
「芳賀君! 駄目ですよ…!」
「……僕も、大草さんに気持ちいい事したいんだ。」
芳賀の言葉に真っ赤になりながら、それでも麻菜実は首を横に振る。
「駄目ですよ…… だって、垂れてきちゃいます… そこの中に、まだ芳賀君のがいっぱい入ってますから……」
ピタリ、と芳賀の動きが止まり、同時に麻菜実の唾液で濡れた絶棒がむくりと動く。
「…そうだ。僕…… 大草さんの中で…… たくさん出した…」
「はい…… 凄く奥まで、芳賀くんでいっぱいになっちゃってました… たくさん、中で出してくれたからですよ……?」
絶棒の様子に気がつき、その根元を撫でながら、麻菜実は先ほどからの深い放出の時を思い出して、耳まで赤くなる。
急速に手の中で絶棒が硬度を増してゆく。
「……また、入りたい。大草さんの中……」
「私も、芳賀君に来て欲しいです…… また一緒に、いって下さい……」
言葉を交わしながら、少しずつ麻菜実の表情が艶っぽく変化してゆき、その吐息が熱くなってくる。
軽く絶棒へと口付けると、体の向きを変えて膝立ちになり、芳賀の体を跨いで絶棒の真上に自分の性器を持ってくる。
「今度は私が動きますから…… 楽にしていてくださいね?」
潤んだ瞳を少し細めて自分を見下ろす麻菜実の視線に、芳賀はゴクリと喉をならして頷いてみせる。
「あ、あの! 大草さん!」
「はい?」
芳賀を導こうと絶棒に手を添えた所で呼び止められ、麻菜実はきょとんと首をかしげた。
「…じっくり、見せて欲しい。……大草さんとつながる所。」
芳賀の言葉に、麻菜実は満面に嬉しそうな笑みを浮かべる。
「いいですよー…… じゃあ、ゆっくり行きますね。」
改めて絶棒に手を添えて真っ直ぐに上を向かせると、もう片手で自分の秘裂を広げて、ピンク色をした密壺への入り口を露出させる。
ゆっくりと腰を落として絶棒の先端と自分の陰唇を触れ合わせる。
微かに柔らかい水音がして、麻菜実の陰唇が亀頭に吸い付くように貼りつき、芳賀は低く呻き声を上げてしまう。
「入れますね…… 私の中に…」
少しずつ腰を下ろし、柔らかい秘所の内部へと芳賀自身を導いて行く。
「お、おおお……」
挿入の快感に歓喜の声を出す芳賀を嬉しそうに眺めながら、麻菜実はさらに自分の深い場所へと誘ってゆく。
「…芳賀くんの、硬いのが…… あっ……! わ……、私の中を押し広げて、入って来ています…」
膣道を押し広げるようにして挿入してゆく様子を解説していた麻菜実だったが、
次第に表情に余裕がなくなって、言葉の中に甘い物が混じり始める。
「は…… 入って…! どんどん奥まで広げられ……て、ますっ……! や… いやっ…… 芳賀君、凄い、です!」
硬い肉棒が自分を貫いてゆく様子に興奮を抑えきれなくなったのだろう。
それでも、最後までゆっくりと挿入を続けてゆき、根元まで咥え入れると大きく吐息をついて芳賀の脚の上に腰を下ろす。
「全部、入りました。奥まで、芳賀君で、いっぱいです……」
「うん…… 大草さんで包まれてる……」
夢見心地な表情で呟く芳賀の絶棒が、麻菜実の中で嬉しそうにヒクヒクと動いた。
「芳賀くんっ!」
麻菜実は芳賀の名を呼ぶと、突然腰を前後にスライドさせ、ヒップの肉を芳賀の腿に擦り付けるように激しく動かす。
「う、うあぁっ!?」
その動きに対応できず、芳賀が短い悲鳴を上げると、今度は腰で円を描いて、絶棒を膣壁全体で擦り続ける。
麻菜実の中の絶棒が縦横無尽に柔らかい襞で擦られ、芳賀は眩暈を覚える程の快感に動く事もできずに翻弄され続ける。
「芳賀君っ……! 芳賀君のが、私の中で暴れて… どんどん硬くなって…!」
腰を動かしながら上体を仰け反らせ、自分の上で乱れる麻菜実の胸に触れようと、芳賀はゆっくりと手を伸ばす。
と、麻菜実が唐突に腰を浮かし、絶望の先端だけ中に残して抜き取ると、
そのまま器用に方向転換して芳賀に背を向ける形で再び腰を下ろした。
「!?」
絶棒の先端を捻るように動いた陰唇の感触に、たまらず背中を弓なりに跳ねさせて芳賀は快感を訴える。
麻菜実は自分の背中を芳賀に預けるように、ゆっくりと仰向けに倒れこみ、背中を彼の胸にピタリと密着させる。
「……背中があったかいのが、好きなんです。」
頭を芳賀の顎に擦りつけ、麻菜実は珍しく甘えるような声を出した。
芳賀は無言で麻菜実を抱きしめると、腕ごと抱え込み彼女の髪に熱い息とともに口付けを落とす。
「芳賀君…… 私の胸、触ってください。……痛いくらい、激しくしてくれませんか……?」
麻菜実が言い終わらないうちに芳賀の掌が両方の膨らみを掴み上げ、乱暴に揉みしだく。
柔らかい乳房を上に下に振り回すように動かし、乳首をつねりながら摘んで転がす。
「……んッ! あ、はうん! 芳賀くん! あぁっ!!」
芳賀に膨らみを揉まれながら自分の手を結合部へと伸ばしてゆき、
麻菜実を突き上げている状態の為、半分ほど秘裂から出ている絶棒に触れる。
小さく腰を揺すりながら親指の先で自分の陰茎をいじり、絶棒の裏側を上下に数本の指を這わせて擦ってゆく。
「うあ!? お、大草さん、それヤバい……! もう… ゴメン……!」
「私も…… 一緒に…… 一緒にいって下さい……!」
先ほどの要領で素早く体の向きを変えると芳賀の上に座りなおし、間を置かずに激しく腰を上下に飛び跳ねるように打ち付ける。
顔の真上で大きく揺れる麻菜実の乳房に片手を伸ばして掴み、もう片手は自分の胸に置かれた麻菜実の手を取り、強く握り締める。
麻菜実の動きが早くなり、断続的な単音節の嬌声を切なそうに漏らしながら膣を収縮させて絶棒を締め付ける。
「い、く! いくよ…… 大草さんの中に……!」
「たくさん… たくさん、出して下さい……! たくさん、芳賀くんが欲しい、ですっ…!」
芳賀は一度だけ、柔らかい麻菜実の中に締め付けられた絶棒を突き上げると、
そのまま快感を解き放って体内から湧き上がってきた自分の分身にありったけの意思を込めて吐き出した。
「ああっ!?」
勢い良く子宮口にかけられた熱い精液を感じて麻菜実も絶頂を迎え、繋いだ芳賀の手を握り締めると、
ぶるぶると全身を震わせて体の芯までその快感を伝わらせてゆく。
芳賀の絶棒から止めなく吐き出される快液が麻菜実の膣から溢れ、彼女自身の蜜と絡まって絶棒を伝い落ちてくる。
どこかに意識が飛んでしまったように、失神しかけて崩れ落ちた麻菜実を正面から受け止め、
未だ最後の一滴まで注ぎ込もうと絶棒をヒクつかせ、長い放出が終るまで麻菜実を抱きしめていた。
今が何時なのか、どれくらい経ったのか。
ここが何処なのかすらも今は忘れ、心地よい開放感に満たされて二人は並んで寝そべり、手を繋いで肩を寄せ天井を見上げていた。
「──これ、夢じゃないよね?」
唐突にぽつりと言った芳賀に、麻菜実はクスッと喉の奥で笑う。
「私も、夢みたいな気持ちです。」
「うん、本当に…… あれ? 何の音?」
芳賀の声に耳を澄ますと、何処からか微かに聞こえてくるメロディがあり、麻菜実は一瞬顔を強張らせる。
「私の…… 携帯です。メールの着信みたいです……」
芳賀は一瞬記憶を辿り、確か麻菜実のバッグは入り口の所で落ちたままになっていた事を思い出した。
「ちょっと拾ってくるよ──」
「あ! いいんですよ!」
起き上がりかけた芳賀を声で制した所で聞こえていたメロディは止まった。
「今日は誰とも話したくないです…… 何も考えずにこうしていたいですから……」
体を横に向けて芳賀の手を強く握り、麻菜実は微笑みを浮かべる。
お互いを向き合いながら寝転び、二人はしばらく無言で見つめあっていた。
優しい眼差しを自分に向ける麻菜実の顔をジッと見ていた芳賀だったが、やがて思い切ったように真剣な表情で口を開く。
「大草さん。──僕と一緒に暮らそう。」
芳賀の一言に、一瞬の間を置いて麻菜実は目を大きく見開き、何度も瞬いた。
「……芳賀くん。」
「どこかに、小さい部屋借りてさ。バイトしまくるよ! 卒業まではちょっと大変かもだけど…
大草さんと一緒なら、大変な事でも何でも出来ると思うんだ! ……糸色先生にもちゃんと説明するさ! だから……」
勢い込んで一気に喋るとそこで言葉を切り、少し息を吸い込む。
「大草さんに、そばにいてほしい。」
正面から自分を見据えてそう告げた芳賀に、麻菜実は一瞬嬉しそうな表情を見せるが、すぐにその顔を曇らせてうつむいてしまった。
「……でも……私には……」
苦しそうな声を出す麻菜実の言葉を遮り、芳賀は大きく首を横に振って握り続けていた麻菜実の掌に、もう片手も添えて握り締めた。
「──わかってる。でも! わかってるけど、手遅れだと思って諦めたくないんだ!
だって、いま、大草さんはこんなに近くにいるのに…… 手を握って、それがすごく暖かくて、ほっぺにだって髪にだってすぐ触れる。
すぐに抱きしめれるくらい近くにいるんだよ…!」
自分の手を握り締め言葉を続けてゆく芳賀の頭に片手を伸ばし、
その髪をゆっくりと撫でながら麻菜実は何ともいえないような愛しそうな顔で芳賀に笑いかける。
「…ありがとう。でも、やっぱり、今すぐに返事は出来ません……」
「もちろんだよ。いくらでも待ってるから……!」
満面の笑みを浮べて力強く頷く芳賀に、麻菜実も優しく笑い返して、芳賀の手を静かにほどいて彼の頭に両手を伸ばす。
彼の耳の辺りを掴んで引き寄せ、そのまま自分の胸にうずめるように抱え込んだ。
「抱っこさせて……下さい……」
そう言って、返事は待たずに芳賀の頭を抱きしめる。
谷間に顔を埋めるような形で抱えられ、芳賀は麻菜実の膨らみに頬を摺り寄せて、その綺麗な肌を感じ取っていた。
「…芳賀君、私のおっぱい、好きですか?」
柔らかい声で尋ねられ、芳賀は顔を麻菜実の胸に埋めたまま何度も頷く。
「うん… 好きだよ。──大好きだよ!」
「嬉しいです。私……」
その顔に幸せそうな笑みを一面に浮かべ、麻菜実は胸の中の彼の頭をゆっくりと撫で続ける。
やがて、芳賀が静かに寝息を立て始めると、ゆっくりと瞳を閉じて彼の髪を撫で続けながら麻菜実も眠りに落ちていった。
─chapter 6─
まどろみながら、伝わってくる心地よい感覚に身をゆだねている。
夢の中ですら、麻菜実に自分の物を撫でてもらっている事に苦笑を浮かべた。
(節操がないのかなぁ、僕は。多分、また朝立ちしているから……)
股間の絶棒を掴み、しごかれる感覚が次第に強くなってくる。
(…? ん? えっ! あれっ!?)
少しずつ覚醒してきた頭で判断し、芳賀は思い切って薄く目を開いた。
横を向いた背中にあたる柔らかいものは間違い無く麻菜実の乳房だろう。
芳賀の背中に押し付けるようにして手を前に伸ばして絶棒を握り、ゆっくりと愛撫している。
驚いた芳賀が、目を覚ました事を告げようかどうしようか迷っていると、背中の麻菜実が時おり短く吐息を漏らしながら、
なにやら股間の辺りに置いた手をもぞもぞとさせている事に気がついた。
(大草さん? まさか自分も、して…?)
「……はが、く……ん… んん…っ…」
漏れ出した小さな声に確信を覚えた芳賀の絶棒が見る見る膨れ上がり、硬くなってゆく。
びっくりしたのだろう。手を離してしばらく様子を見ていたようだったが、
そのまま寝たフリを続ける芳賀が動く様子が無いのを見ると、彼の腰に手をやって仰向けに寝返りを打たせた。
取り敢えず寝息を立て続け、寝たフリを続ける芳賀をしばらく見ていたが、やがてその顔を絶棒の真上に持ってくる。
「芳賀君…… ごめんなさい……」
(え?)
微かに聞き取れたその声が芳賀の耳に届いたと同時に、麻菜実はするするっと絶棒を口の中に含み、ゆっくりと動き始める。
(…大草さん? どうし……)
自分の物を咥える麻菜実の目の端に、一瞬光るものが見えた気がして芳賀は薄く開けた目をさらに開こうとした。
しかし、口淫を続ける麻菜実の手が芳賀の陰嚢を揉み始め、指で前立腺の辺りを刺激すると、
たまらず絶棒をヒクつかせて早くも射精感へと追い込まれてゆく。
(……大草さ…ん…… どうし…… うあっ!?)
麻菜実の舌が亀頭に絡みつき、傘の部分を何度も舐め上げられると、もう成す術もなく体内を走り抜けた快感が絶棒を駆け上がる。
「……おお…くさ…さ…んっ……!!」
最後には声を出して麻菜実を呼び、その口中に自身を解き放った。
唇で絶棒を吸い上げ、芳賀の分身を口に含んだ麻菜実の喉がコクッと音を鳴らす。
芳賀はもはや目を全部開き、自分の欲望を飲み込んでゆく麻菜実を呆然と見つめている。
搾り出すように前立腺を何度も押して絶棒をしごき、吐き出された彼の物を全て喉へと通らせてゆく。
放出が終わり、気が抜けたように半ば放心している麻菜実を芳賀は抱き寄せた。
「芳賀君…… 私……」
「言わないで、大草さん! 何も言わないで……! どこへも行かないでよ、大草……さん……」
麻菜実は何も答えず、ただ力なく芳賀に抱かれ、うなだれている。
芳賀は彼女を力一杯抱きしめて、何度も麻菜実を呼び続けていた。
携帯電話が着信メロディと共に振動を繰り返す。
自室のベッドの上に飛び起きた芳賀は、照明も点けずに机の上に置いてある携帯に手を伸ばした。
このメロディが鳴る度にいつも鼓動が高鳴り、一秒でも早く通話ボタンを押したい衝動にかられていたと言うのに、
今はなぜかそれがためらわれ、焦る気持ちを抱えたまま暗い部屋の中で自分の顔を照らし出すディスプレイを眺めている。
メロディが今まで殆んど耳にした事の無い部分にまで差し掛かり、彼は意を決したように着信ボタンを押した。
「……あ…………」
耳に当てて返事をしようとした所で声に詰まってしまう。
『……くん。』
消え入りそうな麻菜実の声が耳に入り、芳賀はみるみるうちに自分の頭に血が昇ってゆくのを感じる。
「…ど、どうしたの? こんな時間に? …いや、僕は全然いいけどさ!
その…… あれからほとんど学校でも会えなくて、なかなか話出来なかったけど……」
『……ごめんなさい。私… もう…』
焦りを滲ませた顔で一気に喋っていた芳賀は、頭に昇っていた血がすうっと引いてゆき、麻菜実の声がやけに遠く耳に届く。
『芳賀君、私……』
「──気にしないでよ。大草さん。」
やけに冷静で、明るい声色の、そんな声が自然に自分の口から飛び出し、芳賀は苦笑を浮かべる。
「だってさ。最初に、気が変わったら遠慮しないでって言ったのは僕だよ? 僕も、それでいいと思ってるしさ。」
『芳賀くん……』
明るい口調の芳賀に対し、通話口の向こうから聞こえる麻菜実の声はとても苦しそうで、芳賀は自分の胸に手を当て痛むようにそこを押さえた。
「それに! 僕らの関係って、さ。彼氏でも彼女でもなかったんだし。──ほら! よく考えたら、僕ら、キスもしたこと……」
流暢に話し続けていた芳賀が、突然、喉を詰まらせたように言葉を無くし、携帯からは麻菜実が息を呑む音が聞こえた。
「──会いたい。」
『芳賀くん……』
沈黙を破り、震える声で芳賀は言葉の先を続ける。
「会いたい! 会いたいよ……! ずっと、ずっと、一緒にいたい…! 抱きしめたい! 僕は、君の事──」
『芳賀君!』
初めて大声を出し、芳賀の言葉を制した麻菜実の声は、もう何度も叫んだようにかすれて、
芳賀は高ぶる気持ちを抑え切れず、震える唇を赤く滲むほどに噛み締める。
『ごめんなさい。もう会えない、です……』
一言ずつ、噛み締めるように告げた麻菜実は、一瞬、大きく息を吸い込んた。
『私… 芳賀君……と……』
紡ぎ出された言葉はたちまちのうちに語尾が弱く小さくなってゆき、一度だけしゃくり上げるように麻菜実の喉の奥が鳴った。
飛び出そうとする言葉を必死で押さえ、芳賀は歯を食いしばって目を閉じる。
『……芳賀君。しっかりご飯食べて、眠って、ちゃんと学校に来てくださいね?』
誤魔化すかのように口調を改めて言葉を出す麻菜実に、芳賀は少し口元を緩ませてうなずいて、
すぐに気がつき、今度は声を出して短くうなずいてみせた。
「大草さんも、バイトとか、無理しすぎないで。」
沈黙のあと、無理やり作ったような麻菜実の小さな笑い声が返され、それに合わせて芳賀も笑ってみせる。
『……芳賀君 ……さよなら。』
「…うん。」
二人は言葉を切り、芳賀は何も聞えなくなったディスプレイの通話時間を見つめる。
そこに加えられてゆく時間はまだ止まらず、芳賀の指は『切』のボタンに伸びたまま、それを押し込めずにいる。
表示される秒数は止まる事無く刻み続けている。
通話口から聞こえる微かな雑音が、まだ、二人のいる場所をかろうじて繋いでいた。
──さらに時間が通りすぎ、やがて苦痛にも似た麻菜実の吐息と共に通話が切れ、カウントが止まる。
後には、うつむく芳賀の手の中で、明かりの落ちた携帯が単純な電子音を繰り返していた。
乾いた音を立てて、麻菜実は携帯を閉じる。
小さな冷蔵庫に背を預け、ゆっくりと台所の床に座り込んだ。
手を離れ、床に転がった携帯はすぐにランプの明かりが落ちて沈黙する。
「……私。」
携帯を転がしたまま、光のない虚ろな瞳で手放した指先を見つめ、麻菜実はぽつりと呟く。
「あのとき…… 一緒に、暮らしたいと、思いました。あなたと……」
口をゆがませ、携帯に手を伸ばして手に取り── 再び、無造作に手を開いて床に転がす。
低い音を立て始めた冷蔵庫に背を預け、麻菜実は抱えた膝に顔をうずめたまま、もう動こうとはしない。
指を、抱えた足に食い込ませ、そのまま朝を迎えようとするように、ただジッと座り続けていた。
夏休みが目前に迫り、どこかそわそわとした空気が漂う放課後。
渡り廊下の途中、急ぎ足で通り過ぎようとする麻菜実は、廊下の先に佇む人影に気がつき顔を向け── 思わず立ち止まる。
いつも自分に向けられていた眼差しが、あのときと変わらぬままでそこにあった。
思わずその顔を見つめてしまう。
芳賀も麻菜実を見つめていた。
その表情は微笑を浮かべていたが、麻菜実にはまるで、泣く事を懸命に耐えている子供のように映り、
自分の中で小さく痛みを伴って揺らぐものを抑えるように片手を胸に当てる。
芳賀はそこに立ちすくんでしまっているように微動だにせず、その姿は誰かを待っているようにも見えた。
シューズのゴム底を小さく軋ませ、麻菜実は一歩踏み出す。
彼からは眼をそらし、ゆっくりと、足を運んで立ち尽くすその横を通り過ぎてゆく。
麻菜実が通り過ぎても芳賀は動く事は無く、
くすんだように影がさした瞳は麻菜実の姿を追う事もせずに、ただまっすぐ誰もいない廊下の先へと向けられている。
視界の中から彼の姿は消え、互いの背中で向かい合った時── 麻菜実はピタリと足を止めた。
空耳のように思えたそれは確かに麻菜実へと向けられた呼びかけに思え、しかしそれを確かめる事はできず、
芳賀の方へは振り返れないまま唇をきつく横に結ぶように噛みしめる。
強張った足を一歩踏み出した。
立ち止まっている芳賀の背中は少しずつ離れてゆき、麻菜実はたまりかねたように一度だけ振り返り、その背中にむけて口を開く。
だが、喉まで来ていた物は言葉にはならず、擦れたような音しか出ない。
震える口元を押さえ、踵を返すと、麻菜実は今度こそ芳賀に背をむけてのろのろと遠ざかってゆく。
彼は背中を向けたまま佇んでいる事がわかる。
顔は向いていないのに、ずっと自分を見つづけ、無言で見送っているようだった。
角を曲がり、彼の姿が完全に見えなくなった所で麻菜実はふと廊下の窓を見上げる。
泣きそうな顔の自分が一瞬ガラスに映り、しかし涙が出てくる事は無い自分に少しだけ自嘲気味の笑みを浮かべた。
校庭の方からは蝉の鳴き声に交じり、運動部のかけ声や声援が聞こえてくる。
窓から見える屋上の端からのぞく入道雲の頭が、夏が始まろうとしている事を告げているようだった。