あれからずっと一点だけで交わり続けて動かないでいた。そう、かれこれ、10分かそこら。
「ねえ、先生」
「……なんでしょう」
「手、ほどいてあげますから、抱き締めてくれますか?」
「え?」
「それに、この体勢のままだと、先生の腰に負担がかかりますから」
「………は、はい」
「足も、自由にしてあげますね」
まといは懐中から道具を取り出して留め具を外す。
「周到に用意されていたのですね。こういう道具も」
「まあ」
伸びっぱなしだった膝の関節がようやく自由に曲がるようになる。
ずっと固定されていたので、動かすのに少しぎくしゃくした。
「ちょっと、手荒なことをしてしまったのは、謝りますけど」
望の上体に覆いかぶさるようにして、縛っていた手を外す。
自分の胴体に圧されていた腕も、解放されたからといってすぐには自由が利かない。
だが、その麻痺したような腕で、望はまといのことを抱き締めた。
「あったかい………」
うっとりとした表情で、まといは望の胸に顔を埋める。
激しく動かなくてもいい。つながっているというただそのことだけで、まといは幸せだった。
そして、その気持ちは、望も一緒だった。
「常月さん、あなたほど、私を夢中にさせた人ははじめてですよ」
そりゃ、はじめての人だし、という野暮なツッコミはさておき。
「先生………」
「愛してます……」
まといはきつく望に抱きついた。涙がぽろぽろこぼれている。
「うっ………」
望の太い柱を覆っている肉の襞が、急に強く締め付けた。
「ご、ごめんなさい……嬉しくて……(つい締めてしまいました)」
「ああ、教師と生徒という関係でなければ………一生あなたと一緒にいられたら、幸せなのですが……」
「先生。最後に、お願いしていいですか?」
最後にという言葉が少しひっかかったが、望は優しくあやすようにまといの髪を撫でながら、答える。
「できることなら、なんでも」
「……まとい、って、名前で呼んで下さい……」
「そんな簡単なことでいいんですか?」
「私も、先生なんて呼ぶのやめますね。………望」
まといに呼び捨てにされて、少し照れたが、ためらいつつも、望は勇気を出して、耳もとで囁いた。
「まといさん、愛してます…………うぅっ!!」
また締め付けが強くなる。
「ま、まといさん………それは、い、いけません……そんなに締め付けると…………」
「いいんですよ……」
「……いいって………」
「先生……望が私のことを受け入れてくれたんですから、私も望のことを受け入れ…………」
「うっ……うぁ……ぁ、ぁ……」
密着する襞が望の根元から先端へと絞るように動いている。
まといは舌だけでなく、こんなところまですごいテクニックを持っていた。
望の中で込み上げたものが、ぐんぐんと湧出していく。
びゅくっ、びゅにゅっ、だくだくっ……。
(やってしまった。こんな過ちを犯してしまったら、本当に死ななくちゃならなくなります……)
「はぁっ………はぁっ…………」
全てを受け入れるまといの表情は安堵に満ちていた。
名残り惜しく思いつつも、二人は身体を離した。
「………もし、できちゃったら、どうするんですか。死んで詫びても仕方ないくらい……うぐっ」
まといが手で望の口を塞ぐ。
「いいですから。こういうことは、なんとでもなります」
「……そういうものでしょうか」
なんとでもなると言われても……。
「さあ、服を着て下さい」
「え?」
「出掛けますよ」
(??)
あっけに取られている望。
「どこへ?」
聞いてから、あっと勘付いた。
(まさか彼女、死のうとしていて、せめてその前に私とと思って………)
さっき「最後に」と言ったのは………。
まといは何も応えなかった。
(やっぱり!!)
全ての謎が解けてしまった。
望は慌てて服を着た。
(そうとなったら彼女から離れてはいけない。
彼女を、死なせてはいけない。
彼女は死んではいけない。私が死んででも、彼女を生かさなくては……)
服を着終わった望はまといの手を握った。
「どこへでも、ついていきます」
今までつきまとわれていた方の望が、力強い決意を持って、この一言を噛み締めるように発した。
対照的に、まといは、幸せそうな、そしてどこか哀しげにも映る表情で、歩きはじめた。
◆◆◆仮ブログ どこへ◆◆◆
行き場が見つかりません。私はどこへ行ったらよいのでしょう。
でも、次回は最終回という終着駅。今バラすのもなんですが、あまりのむごい終わり方があざといです。
……ちょっと真面目に語りますが、私は、愛に激しいピストン運動は必ずしも必要はないと思っています。
AVやエロ漫画ばっかり観て、それを当たり前だとか思わないで下さい。
まあ、精液を飲むなんてことも、普通はしませんけどね。
………あー、説得力がない。だから私は説教なんかする柄じゃあないんです。
何やってもダメな私。そんな私を受け入れてくれる場所はどこなんでしょう。
ハヤクドコカニ帰リタイ。
やっぱり、地球の大気に還っていくというのですか。もうすでに空気のような存在ですが。
いや、空気は貴重すぎる。貴重じゃないもの……貴重じゃないもの…………私自身以外に思いつきません。
>>830 余裕でしゃべれるのは、一度気絶して免疫ができたんだということに……ダメですか?
あまり激しく動いてないですし、しかも一般の人より知性が発達しているから………。
ああ、見苦しい言い訳に終始する自分が嫌だ。