[最終回]  
まといに手を引かれて、夜道を歩いていく望。  
そして、行き着いたのは………。  
「学校………」  
しかも、なぜか校門が開いている。  
「さあ」  
まといに促されるままに、中に入っていく。  
「こっちですよ」  
暗い廊下を歩いていくと、灯りのともった教室がたったひとつあった。  
2のへ教室だ。  
「これはどういうことですか」  
「開けてみればわかりますよ」  
ドアを開ける。  
そこは…………予想していた教室と、様子が違っていた。  
 
「おめでとう」  
「卒業おめでとう」  
「おめでとうございます」  
クラスの生徒一同が、望を祝福する。  
よく見ると、霧までいる! 引きこもっていない!!  
望は唖然とした。  
口をぱくぱくさせていたが、ややあって、まともに声を出した。  
「これは一体どういうことですか!!」  
「どういうもこういうも、そのまんまですよ」  
可符香が微笑んでいる。  
「これで、卒業です、先生」  
「………あの、事情がよく飲み込めないんですが………」  
「それなら私めが説明いたします」  
「時田まで!!」  
生徒以外に、時田と倫までがいた。  
「糸色家は、由緒正しき名門なのですが、ただ一つだけ欠点があったのです」  
「そんなこと、聞かされたことありません!!」  
「それは言うわけにはいきませんでしたから。その欠点とは、代々男子がみな生来のハードなマザコンなのです」  
「な……そんな恥ずかしいことを………」  
奈美がちょっと前に出て発言する。  
「そう言えば、私に不下校を教えるとか言った時も、おかーさーんとか叫んでましたね」  
「……ちっ、違います!!」  
「違わなくないのです、ぼっちゃん。糸色家の男子はマザコンに生まれついてしまうあまり、女性恐怖症になってしまい、なかなか結婚しないのです」  
「………まったく知らなかった事実が……」  
そう言われてみると、自分はお母さんっ子だった。  
「糸色家はいつの時代も嗣子がこんなであるため、常に断絶の危機にさらされました。  
 そして、お父君の大様も、そのことで悩んでおられました。  
 縁お兄さまに、結婚を無理強いし子まで儲けさせましたが、家を飛び出してしまわれました。  
 景お兄さまも、芸術の道に進まれ、壁のしみを妻だと言い張る始末。  
 命お兄さまは、架空の女性しか愛せない人になりました。もっとも、ここ数日、ネットアイドルの実物に逢いたいとは言っていますが……まあ、無理でしょう。  
 未来が託されていたのはぼっちゃんだけだったのです。  
 金に糸目をつけず、このプロジェクトが始められました。  
 ここは、女性を愛する心をはぐくんで頂こうという、ぼっちゃんのための教育施設だったのです」  
「…………」  
あまりにも大掛かりなドッキリだった。  
「精神科医の新井先生の監修のもと、これだけ大勢のスタッフで、ぼっちゃんの教育に力を注いだんです」  
「……私のために、そんな無駄な金を使ったというのですか!!」  
「いえ、まあ、それはその……」  
教室の隅で、男たちが話している。  
臼井「本命の可符香さんが来ると思ったのに」  
久藤「常月さんは4番人気くらいだったからね……」  
ペリー「いつも一緒にいるからチャンスが開けたデスね」  
天下り「まあ、そういうことだ。私の勝ちだな」  
元・関内「委員長にもうひと押しが足りなかったよなぁ」  
万世橋「大穴狙いでことのんに全賭けなんかするんじゃなかった!」  
誰が望の最初の相手になるか、賭けが行われていたらしい。  
マリア太郎を送り込んでくるくらいだから、このプロジェクト、某国マフィアも動いているのかもしれない。  
「ぼっちゃん、このようにして資金はうまく集めています。収入源は他にもありますが……」  
<その他の収入源の例>  
・カエレの獲得した損害賠償金(資金稼ぎと二足のわらじなので、彼女のオッズは高い)  
・新井先生のクラブの収益  
・ペンギングッズの展開  
「これは……法に触れる賭博行為では………」  
「やだなあ先生。これが法に触れるんだったら、女子高生とやった先生はどうなるんですか」  
はっと望は気付いた。  
「……!! そうか、うちの親ならそれくらい揉み消すことができるというわけですね。権力者のイヤな面を見てしまいました」  
「この時田、苦労しましたよ。いろいろなタイプの女子を揃えるのに」  
道理で「クラスの生徒も先生に負けず劣らず個性的!!」という帯がつくわけだ。  
「はぁ………」  
見回してみると、確かにいろいろなタイプの女子がいる。  
「それで………私は?」  
「ご卒業です。おめでとうございます」  
「そんなこと言っても、あなたたちの授業が……」  
「でも先生」  
「え?」  
あびるが言い放つ。  
「先生がまともに授業をしたこと、ありませんよ」  
ズガビーン!!  
「言われてみればなんだかそんな気もしてきました」  
倫が妹として兄の成長を祝いつつも、厳しくこう言った。  
「お兄様。ということで、ここにいる皆さんとはこれでお別れなのよ」  
「ええっ!!」  
「ぼっちゃんには今日の夜行で蔵井沢へ帰って頂き、相続の儀式を執り行うことになっております」  
「四男なのに跡継ぎに………」  
「先生は、糸色家の希望なんですね。ああ、なんて素晴らしいんでしょう」  
可符香のミュージカル的な大袈裟な表現が、でも何かハマる。  
「いやあ、先生。今までよく頑張って人を愛する資格を取得されましたねえ」  
長いこと出番のなかった甚六先生まで来ていた。  
(そうか、これが『人を愛する資格』の講座だったんですね……)  
「それでは、シーズンは外れましたが卒業式を開催します。」  
千里が仕切って、卒業式が始まる。  
実のことを言うとこの強制卒業式執行にも裏があった。  
いくらギャラが出るとはいえ、この手の込んだエキストラのために高校を留年しなければならないことで、生徒達の多くが業を煮やしていたのだ。  
だからみんな積極的にアプローチしようとしていたようで………。  
まあ、それは望には内緒だが。  
「卒業証書、授与。」  
望の前に進み出たのは、智恵先生だった。  
「『糸色望殿  
  あなたは、さほど優秀ではありませんでしたが、とりあえず、女性を愛する課程を終えられたことをここに証明します。  
  昭和××年×月×日    私立糸色学園愛情科 科長 新井智恵』  
 おめでとう」  
なんだか、傷つく卒業証書を渡され。  
各人個性的なことが書いてある寄せ書きを受け取り。  
「それでは、先生の卒業を祝って、また、糸色家の今後の繁栄を願って、万歳三唱を唱えます。ご一緒にご唱和下さい。」  
万歳三唱が行われ………。  
代表して可符香が簡単に送別の言葉を述べる。  
「人を愛することの素晴らしさを知った先生、託されている未来のために、希望を持って強くたくましく生きて行って下さい」  
あらためて教室内を見渡す。望の将来を、温かく祝福する人ばかりだ。  
この教室にいる人は皆、明日になれば、それぞれ新しい人生が待っている。  
まあ、ほとんどは、この高校で暮らすことになるのだが。  
「では、ぼっちゃん、そろそろ、参りましょうか」  
しめっぽい涙は似合わないのと、新幹線の時間もあるので、望はあっけなく送りだされることになった。  
まといと接することができず、「はなす」コマンドは使えなかった。  
しかし、望が最後に見たまといは、慈愛のこもった優しい笑顔をしていた。  
たった今愛し合った相手と離れなければならないことに、望は絶望していたが、まといのその笑顔を見た瞬間、ヴィジョンに襲われ、悟った。  
(まといさんを悲しませないためにも、生きよう。  
 彼女が教えてくれた「人を愛すること」を、一生涯実践していこう。  
 それが、きっと、なによりの恩返しになる)  
望は頷いた。それが自分に向けてなのか、まといに向けてなのかはわからないが、決意の表明として。  
時田に引きずられていく望を見送りながら、まといは呟いた。  
「…………………………さよなら、私の愛しい人、望」  
無理していた笑顔がわっと崩れかけそうになるが、こらえて、手首だけを振った。  
さよなら、絶望先生。  
そして、こんにちは、愛にあふれた未来。  
 
fin  
 
 
◆◆◆仮ブログ   ドッキリ◆◆◆  
終わりです。  
しかしまあ、こうやって書いてみると、原作者の気持ちがなんとなくわかってきますね。  
パロディで踏みにじっておいて言うのもなんですけど。  
 
私のこれまでの人生、ドッキリするようなこと、ありません。  
今までで一番ドッキリしたのは、せいぜい1日遅れでコンサート会場に行ってしまったことくらいです。普通って言うなあぁ!!  
あーあ。私が女人にときめかなくなって、数年経ちます。  
いや、男にときめくというわけじゃないですよ。誤解しないで下さい。  
私をドキドキさせてくれるような女性、お待ちしています。  
いや、こんなところに女性なんかいないか。  
はぁ………ここに幸せはない。  
私に幸あれ。  
あー、なんか自分が一番嫌いな結末になってしまった。おそらく原作者にも嫌われる。  
これで、煩悩文学集を完結といたします。お目汚し失礼しました。  
 
 
[小蛇足]  
※蛇足なので、特に読まなくてもいいです。  
 
前 田「というギャルゲーを考えたんですが……」  
久米田「却下」  
前 田「じゃあ、ギャルゲーじゃなくてこういう風俗店で」  
久米田「却下」  
竹 田「もう嫌だ、こんなところの担当……」  
 
[もうひとつ、小蛇足]  
※蛇足なので、特に読まなくてもいいです。  
 
原作第一話より。  
金銭運……恵まれず(こんなことのために支出しなければならない恵まれない家系)  
家庭的に縁薄し(マザコンだからなかなか良縁が得られない家系体質)  
出世しがたし(ようやくこの年で教育過程を終え、世に出ることに……)  
晩年 やることなすこと 裏目 裏目(…………そうならないことを願います)  
 
[さらに、小蛇足]  
※蛇足なので、特に読まなくてもいいです。  
 
「次のおハガキを御紹介します。ペンネーム『まんめ』さんから頂きました」  
『これだけオールキャストなのにもかかわらず、三珠さんはともかく、藤吉さんだけがちらりとも出てこないのは、どういうことですか?』  
「このご質問に対し、作者の煩悩は『観測する人が必要でしょ』と、苦しい言い訳をしました」  
「後日、記念写真ならぬ、記念漫画(ノンフィクション)が糸色家に届くところまで書けなかったのは、残念ですね」  
 
[最後の小蛇足]  
※蛇足なので、特に読まなくてもいいです。  
 
新幹線の中。  
「あの……」  
「なんですかぼっちゃん」  
「背後に、誰かいるような気配がするのですが………」  
諦めきれずに尾いてきている誰かがいたりして。  
 

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