ざらざらと雨が降る音が耳に残り、永遠に反響している。  
せめて外に紫陽花でも咲いていれば、楽になれたのでしょうか?  
ボンヤリと外を見つめても、ただ冷たく雨が降っているだけだった。  
 
 私は、もう学校に行くことは出来ません……生徒達に犯されてしまったのですから。  
家への入り口は全て板と釘で塞ぎ、誰も入れないでしょう。  
交も無事に親元に帰りました、後はこの鬼畜教師がこの部屋で消えていくだけです。  
 
 横たわり畳の目を数えながら、そのときを待つ。お腹が空きました、もう動く気はしません。  
少し黴の臭いがする畳をなぜると、指にざらざらとした感触が伝わる。  
夢中で畳を引っ掻くと、やがて私の爪が剥がれて、解れた畳の上に赤い筋となる。  
もうどうでも良い、私はそっと目を閉じた。  
 
……  
「先生」  
「先生、きっちり私と……。」  
「据え膳食わぬは男の恥、傷つけたら訴えるわよ!」  
「先生、先生……。」  
 
 頭を抱えて縮こまり膝を抱く。 罪が私を許してくれない。  
跳ねる様に飛び起きて、練炭に火をつける……目張りも忘れてはいけませんね。  
七輪の側面、小さな扉の隙間からは赤い光が見える。  
 
「ああ、暖かい。」  
 
 脳裏に、あびるさんの顔が通り過ぎる。  
 
「先生、このしっぽが似合うと思いますよ。」  
 
 彼女の手にはシマリスの尻尾の付いた……おぞましい樹脂が先に付いた器具  
――アナルプラグが。 嫌です、止めて下さい!  
呼吸を落ち着けると、練炭の暖かさでまどろんできた。 このまま、私は……。  
 
「……生、先生!」  
 
 ギリリ、ギリリと何かが軋む様な音が聞こえた気がした。  
 
……生暖かい感触が下半身に、ぬめぬめ、ざりざりと陰部を責め立てる。  
止めて下さい、夢の中でも虐めないで下さい。 ゆっくりと死なせて下さい。  
 
「先生、起きましたね。」  
 
 うっすらと目を開けると、可符香さんや生徒達の笑顔がぼやけて映る。  
 
「先生、逃がしませんよ。」  
「甘やかさずに、きっちりと躾ける必要が有るみたいね。」  
 
 スコップが私の顔スレスレに、ザクリと畳に突き刺さった。  
 
「皆さん、私はいけないことをしましたか? もう、許して下さい。」  
「駄目ですよ先生、世界はこんなにも輝いているのに!」  
 
 再び気絶する瞬間、可符香さんの笑顔に暗い影が見えた様な気がした。   
 

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