「ただいまぁ」
「お帰りなさい」
「先生!何でいるんですかぁ!」
「まぁいいじゃないですか、日塔さん。別に初めてでもないですし」
「はぁ・・・」
先生が奈美の家に勝手に侵入するのはこれで2度目であった。
前回は庭止まりであったが・・・
「と言うか、どこから入ってきたんですか。まだお母さんも帰ってきてないのに」
「今日は日塔さんにお話があってですね」
「お話? (流された・・・)」
「実は・・・」
「糸色先生、ちょっといいですか?」
「はぁ、なんでしょうか」
「先生のクラスの日塔さんのことでちょっと」
「?」
「実は彼女、この間私のところに相談に来たんですよ。
『どうしたら普通って言われなくなりますか』
『先生に馬鹿にされるから、普通じゃ嫌なんです』って。
糸色先生、あなた生徒を馬鹿にしてるんですか?」
「い、いやそんなことは!・・・でも智恵先生、彼女は実に普通で」
「・・・」
「あ、いや、何でもないです」
「とにかく、あなたは面白がってるようですが、彼女は傷ついているみたいなので、
彼女に『普通』だなんて言わないであげてください」
「・・・わかりました」
「じゃあ、彼女にちゃんと謝ってください」
「えぇ!?別にそこまでしなくてもいいんじゃ・・・」
「・・・」
「いえ、ちゃんと謝ります」
「という事があったんですよ」
「わぁ、わかりやすい。それで逆らえずにわざわざ家に来たんですか」
「まあそういうわけです (智恵先生怖いんだもの)
そういうことで、これからはあなたのこと『普通』だなんて言いません」
「本当ですか?」
「・・・」
「先生、どうしたんですか?」
「いえ。これからあなたが普通のことを言った時に何てツッコミを入れるべきか考えていたのです」
「え・・・」
「困りましたね。何も思いつきません。仕方ないので、日塔さんには今後モブキャラになってもらいます」
「それは困ります」
「じゃあ、何か新しいキャラを身につけてもらえませんか」
「何でですか?」
「元が普通なのに『普通』って突っ込めない以上、元のキャラを代えてもらわないとつっこめないので」
「元が普通って言うなぁ!」
「いつも通りの普通のツッコミおつかれ様です。やっぱりそうでないと調子が狂いますね」
「・・・もう『普通』って呼ばれてもいいです」
「そうですか、それを聞いて安心しました。では、ごきげんよう」
「何しに来たぁ!」