望はふと目が覚めた。  
暗闇の中でじっとしていると、窓の外からかすかな風の息吹、渓流の水音が聞こえてくる。  
 
――そうだ、自分はこのコと泊まっているんだっけ……  
 
首をわずかに横に傾けた。  
可符香のかすかな寝息が漏れてくる。  
身を起こし、教え子の顔を覗き込む。  
あどけない少女の幸福そうな寝顔が暗がりの中でぼんやり見える。  
静かに蒲団から抜け出し、眼鏡を掛けてもう一度寝顔を覗く。  
やはり少女の寝顔は変わらず、安らかなままである。  
時計を見た。  
まだ夜明けには大分ある時間だ。  
望は温泉に浸かってくることにした。  
 
可符香の頬に軽く接吻すると、もう乾いていた手ぬぐいを手にし、音を立てないように襖を閉じる。  
スリッパをつっかけてそろそろっと戸を開け、身を外に滑らせた。  
すると、隣の部屋から智恵がこっそり抜け出すところが見えた。  
そっと声を掛けてみた。  
 
「智恵先生」  
 
智恵はびくっと肩を震わせておそるおそるこちらを振り返った。  
が、望の顔を見て安堵したようだった。  
 
「ああ、糸色先生。ちょっとびっくりしちゃいましたわ」  
「驚かせてすみません。智恵先生も温泉に?」  
「ええ、何だかふと目が覚めたら、そのまま眠れなくなっちゃって」  
「私もなんですよ」  
 
そのまま肩を並べて温泉に向かった。  
二十四時間入浴可能な温泉があるとはいえ、時間が時間である。  
古びた旅館の板張りの廊下は、足元に小さな灯りが所々点いているだけだ。  
歩くと時折ギシギシと板が軋む音がする。  
さすがに一人で歩くには薄気味悪い。  
 
廊下を曲がった。先に新たな闇が広がっている。  
冬の夜の冷気がさらに増した気がする。  
まるで得体の知れぬ怪異が自分たちを待ち受けているようだ。  
先ほどから、この世の者ならぬ何かが後方右斜め45度上や前方左60度上から自分たちを取って食おうと寸分の隙もなく虎視眈々と見つめているような気がしてくる。  
そんなただならぬ気配を智恵も感じたのか、彼女の方から手を繋いできた。  
ただ指先が触れるだけでは不安だろうから、軽く指を絡めてみた。  
――決してやましい気持ちはない。  
ぎゅっと握り返してきた。  
指を一本一本しっかり絡み合わせ、しまいには、腕まで組んできた。  
ついには体が密着し、自分との間に隙間がなくなった。  
 
――当たってる……  
 
肘の先が智恵の胸に当たっているが、本人は気にする様子がない。  
いや、気にする余裕もないと言うべきか。  
幾重もの布地越しに成熟した女性の柔肌の弾力をこっそり感じている間に、浴場に通じる階段の前まで来た。  
二人で並ぶともういっぱいで、やや傾きが急だ。  
 
――ギシ、ギシ、ミシ……  
 
黒光りしているように磨き込まれた階段をそろそろと降りるにつれ、足下や側の板がいやに大きな音できしむ。  
先は真っ暗である。  
闇の底へ降りていき、やがて飲み込まれそうな気がしてくる。  
さすがに薄気味悪く思い始めるうちに、ようやく脱衣場の前に来た。  
最低限の明かりは点いているが、かえって不気味さを増しているように思える。  
本来は男女別なのだが、一人になるのを怖がった智恵に手を引かれるまま、望も女子の更衣室から浴場に入ることにした。  
 
「ごめんなさいね。ちょっと怖くて」  
「いいんですよ。この時間だと先生のお友達も起きてこないでしょうし、あのコも」  
 
向き合って互いに脱がせ合うと、素っ裸のまま手をしっかりつないで内湯を通り抜け、まっすぐ露天風呂に向かった。  
昨日ある意味で大いに進展した二人の間柄である。  
手ぬぐいで前を隠したりしない。  
 
夕方にも入った露天風呂は岩で組んだ立派なものだった。  
広めの湯船には、湯気がうっすらと立ち上っている。  
あたりは真っ暗で、湯の色さえ分からない。  
 
冬の戸外は寒さが容赦なく身を切ってくる。  
さっそく湯船に肩を寄せ合って浸かった。  
湯は程よい温かさだった。熱くもぬるくもない。  
二人は存分に足を伸ばし、全身の力を抜いた。  
 
源泉が流れ込んでいる音がチロチロと聞こえてくる。  
おそらくは目の前に緑の山肌が広がっているはずだが、今は真っ暗闇で明かりの一つもない。  
空には幾多の星影が瞬いているだけで、月は見えない。  
しばらくの間、互いに無言のまま煌めく星空を眺めていた。  
オリオン座が、そしてベテルギウス・シリウス・プロキオン……冬の大三角形が素人目にもはっきり分かる。  
 
智恵の横顔を眺めた。  
自分の隣にいる智恵は、昨夜さんざん自分を翻弄した相手である。  
女王様でもある智恵によって昨夜は死ぬような目に遭わせられ、文字通り生き恥をさらけ出してしまった。  
精神の奥底にへばりついている、他人に絶対に隠しておきたい秘めた願望まで全て知られてしまった。  
――それでも。  
それでも、惚れた弱みとでも言おうか……  
今の彼女が何だかいとおしく、掛け替えのない女性に感じられて仕方がない。  
――所詮、愛には理屈は要らないのである。  
 
智恵の後ろから肩に手を回し、ボディラインを片手でゆるゆるとなぞってみた。  
――下から上、上から下。  
肩から脇、腰からヒップへゆるゆると、優美な曲線を確かめるように指を滑らせていく。  
智恵は片手を望の太腿に置いたまま、頭を望の肩に乗せてきた。  
しばらく智恵の肌の感触を確かめていると、身を寄せてきた。  
太腿から脇腹にかけて動かしていた指先をボディラインから離し、  
二の腕、背中、腹……肌のそこここにゆるやかに滑らせてみた。  
すると、智恵の指先が内腿に侵攻してきた。  
しばらく逡巡した後、握ってきた。  
 
望は智恵の上気した顔を見つめると、そのまま接吻した。  
一度口を離し、今度は深く舌を絡め合った。  
唇を合わせている間中、智恵の柔らかな手は絶棒を軽く握ったり撫でたりを繰り返していた。  
昨晩十分すぎるほど活躍してもう撃ち留めかと思っていたのに、  
智恵の掌の中でまたも徐々に硬度を増してきた。  
 
望は唇を離すと、伸ばしていた足をあぐらに組んだ。  
智恵を抱き抱え、そのまま自分の上に向こう向きに座らせた。  
位置を調え、静かに抱きしめてみた。  
 
――なんて柔らかなんだろう……  
 
望は同僚教師の抱き心地の素晴らしさに痺れた。  
湯の中なのに、人肌の温かさが直に伝わってくる。  
智恵の素敵な肌触りをさらに確かめるべく、腹から胸、胸から腹にかけてゆるゆると触れていく。  
 
そして湯に浮かんでいる爆乳を下から掬い上げ、たぷたぷっと揺さぶり始めた。  
何度も味わったことのあるそれは掌からこぼれ落ちそうに柔らかく、  
望の意のままに形を自由自在に変える。  
それでいて少しでも力を抜くと、たちまち元の素晴らしいフォルムに戻ろうとする。  
自律性のある最高の乳房だ。  
いつまで触っていても飽きないおっぱいだ。  
 
「ん……」  
 
智恵はかすかにうめくとやや仰け反り、頭を望の肩に乗せた。  
この反応に気を良くした望は、さらに揉みこみを加えてみた。  
麓の方からじわじわと揉み、丁寧に丁寧にリズミカルな刺激を加える。  
中まで解きほぐしたのを確認すると、親指の腹で乳輪をなぞってみる。  
時折乳首をコリコリと摘んだり、ぎゅっと押し潰してみたりする。  
 
「あふ……あ」  
 
智恵はたまらず望の上で身を捩った。  
智恵の手は湯の中で所在なげにもがいている。  
望の太腿に当たっている智恵のヒップがわずかにくねる。  
そのちょっとした動きが何ともエロティックだ。  
熱を帯び大きくなった絶棒が智恵の尻や背中に当たっているが、気にする余裕はないようである。  
 
「こちらはどうですか」  
 
左手で智恵の素晴らしい乳房を代わる代わるリズミカルに揉み続けながら、  
右手を智恵自身の入り口に滑らせてみた。  
勝手知ったる叢を掻き分け、スリットを優しく撫でてみる。  
案の定、既に湯とは違う滑った蜜を湛えていた。  
静かに指を差し入れ、入り口でわずかに抜き差ししてやる。  
智恵の腰がぴくんと跳ねるが、構わずにゆるりと奥まで探訪する。  
粘膜を傷つけないよう注意して小刻みにスライドさせながら、侵攻する。  
かなり奥まで挿し込んだ時点で、一番感じるスポットを指先で突いてやる。  
 
「あぁ」  
 
智恵の喘ぎが艶っぽくなった。  
そのまま親指でクリトリスを軽く撫でてやると、きゅっきゅうっと指を締め付けてくる。  
 
「あう」  
 
智恵が、大きく仰け反った。  
ごく軽く秘豆の周囲をなぞりながら、耳元で囁いた。  
 
「さっきのところがいいんですね」  
 
智恵は大きく息をつくだけで、返事がない。  
望は再度同じ箇所を突き、豆を押し潰してみた。  
 
「どうですか。ここがいいんですか」  
「あうぅ……い、いいですっ」  
 
智恵はたまらず上ずった声をあげ、脚を閉じようとした。  
しきりに身をくねらせ、喘いだ。  
自分の意のままに世界最高の楽器を奏でている錯覚に囚われながら、  
望は憧れの同僚の耳やうなじに舌を這わせていく。  
豊かで形の良い乳房も芯からたっぷり揉み込み、  
時折乳首を摘んだり親指の腹で擦ったりして愛撫が単調にならないように留意する。  
そうしながら下の方では指で豆の表面を優しくじらすように撫でたり、  
ぐりぐりとしたり、爪でつんっと弾いたりする。  
その度に智恵は面白いほど全身を捩じらせ、甘い吐息を漏らす。  
 
――じゃあ、まず先に……  
 
先に彼女をイカせてやろうと思い、望は指のそよぎを早くした。  
案の定、智恵の呼吸が速くせわしくなり、しきりに身体を丸めて望の上から逃げ出そうとした。  
そこをがっちりと捕まえておいて、さらに日頃智恵が好む動きを忠実に再現してやった。  
しばらくすると、挿入している指に、ぴゅ、ぴゅっと濃い蜜がまとわりつくようになった。  
同時に痛いほど食い締めてきた。  
 
――クチュクチュ。クチュクチュクチュ……  
「あ……あ、あぅんっ!」  
 
智恵は望に抱かれたままぴくぴくっと痙攣しながら、一瞬身を硬くした。  
そのまま軽く達したようだ。  
 
絶棒の硬度もマックスに達している。  
望は脱力している智恵を抱き抱え、湯船の縁の岩に手を掛けさせた。  
よろけがちな身体を支えながら、ゆっくり立たせた。  
尻をぺちぺちと軽く叩いて、こちらに突き出させた。  
まったく無駄のない、何とも妖艶な曲線美である。  
このあこがれの完璧なボディを自分が征服するのだ。  
望は武者震いすると、後ろから覆い被さり、挿入した。  
 
「むっ!」  
「んぅ……」  
 
智恵は一瞬背をわずかに仰け反らせた。  
かまわず絶棒を進めていった。  
蜜壷は十分に熱く潤っていて、心から侵入者を歓迎してくれているようである。  
そして粘膜や襞のあらゆる部分が絶棒にも程良く絡みついては快楽の源泉を供給し、  
さらなる動きを心待ちにしているようだった。  
ここで期待に応えねば男ではない。  
望はいきなり激しく突き上げてやった。  
 
「いやぁ……ああん!」  
 
智恵の高い声が響いた。  
素敵な声に気を良くし、そのままガシガシと動いてやった。  
何度か肌を合わせているので、智恵の好みはだいたい把握している。  
そこを集中的に攻めてやると、智恵は甘い声でさらなるおねだりをしてくる。  
いつもならわざと少しじらしてさらに智恵を燃え上がらせるのだが、  
そろそろ自分も下半身がぼうっと痺れて熱くなっている。  
抜き挿しするたびに快感が絶棒を走り抜け、腰の奥に蓄積されていく。  
それに温泉とは言え冬の野外での営みだ。  
短期決戦、と自分に言い聞かせた。  
 
そこで望は一度深く突き挿した。  
 
「くぅ……深いっ」  
 
智恵も上擦った声を漏らした。  
腰を押しつけたままぐりぐりと回転させてみた。  
そうしておいて一気にリミッターを解放し、  
タプタプ揺れていた乳房を鷲掴みにしながらガシガシと激しく腰を動かす。  
そうして智恵を一気に追い込んでいった。  
 
「あっ……ああ……もう、もう」  
 
真っ赤な顔を左右に激しく降りながら、智恵はそのまま達していった。  
強烈な締め付けが絶棒を襲ってきた。  
濃い蜜を絡め放精を催促してきたので、存分に奥深く注ぎ込んでやった。  
 
     ☆  
 
再度湯に浸かり、息を整えてから部屋に戻ることにした。  
着替え室に向かうが、智恵の足取りがおぼつかないものになっている。  
時折ふらついて濡れた床で滑りそうになるので、望は手を繋いで誘導することにした。  
 
ほの暗い着替え室で身体を拭ってやる。  
ぱんつも穿かせてやろうとしたが、それは断ってきた。  
先に着衣を済ませて観ていると、智恵は自分でぱんつを穿こうとはするのだが、  
まだ腰がふらついているようだ。  
片足を上げるとよろけたりしていて、穴に足を通すのも一苦労の様子である。  
のろのろと浴衣に袖を通して前を合わせるのも、いつもの智恵からは想像も付かない。  
 
――相当腰にきているようですね。  
 
そんな彼女の姿を見ているうち、ふと悪戯心を起こした。  
何気なく智恵の後ろに回ると、ぱっと腰紐を奪った。  
 
「……え?」  
 
案の定、智恵の反応が遅れた。  
やはりチャンスは今しかない!  
袖を通したばかりの両腕を捻り、素早く後ろ手に縛った。  
 
「ちょ、ちょっと! ふざけるのもいい加減に……んっ……あん」  
 
さすがに智恵も望の悪ふざけがすぎると思ったらしい。  
だが、構わずに身八つ口から手を差し入れ、しっとりとした乳房をぐいぐいと揉んでやる。  
智恵はさすがにやや抵抗してきた。  
だが、しばらくするとすうっと力が抜けてきた。  
乳首をくりくりっとつまんでやると、とたんに腰が砕けて身を二つに折ってしまった。  
露天風呂での情事の火照りが体内に残っていて、今その種火に火がついたようである。  
 
「さ、部屋に戻りましょう。風邪を引くといけませんから」  
 
さんざん智恵の風呂上がりの乳房を楽しんでから手を抜いた後、丹前を肩から掛けてやった。  
 
「じゃ、そろそろ戻りましょうか」  
 
言いながら、手を前に回した。  
開きかけている前の合わせ目を容易く突破し、右手を智恵の中に滑り込ませる。  
耳元で囁きかけてみた。  
 
「先生はおっぱいが敏感ですから、もう大変なことになってるんじゃないですか」  
「う、嘘ですッ」  
「嘘なもんですか。ほらほら」  
 
入り口で指を遊ばせると、ぴちゃぴちゃとかすかな水音が漏れてくる。  
 
「あん! だ、ダメぇ」  
 
頬を赤らめた智恵が背を丸め、腰を折りかけた。  
左手を丹前の下に潜り込ませ、再度身八つ口から豊かな乳房をを鷲掴みにすると強引に引き起こした。  
そして指を引き抜くと、そのままぱんつを引きずり降ろし、足から抜き取ってしまった。  
今まで智恵の中に入っていた指は当然のことながら透明な蜜で濡れていて、  
その滴が淡い照明の元でも光っていた。  
濡れた指先と抜き取ったぱんつを智恵にひらひらと見せびらかしてやった。  
 
「ほらご覧なさい。こんなにキラキラしてるじゃありませんか」  
「いやぁ……」  
「嘘をついた罰です。これは没収します」  
「あぁ……」  
「さ、部屋に戻りましょうか。このままの格好でね」  
「あぅ……んっ」  
 
望は戦利品であるぱんつを懐にしまった。  
智恵のすぐ後ろに陣取って身体を密着させた。  
智恵の中にまた指を挿し入れ、むにむにと動かす。  
左手で掴んだままの乳房をふるふると揺さぶる。  
そのままゆっくり腰を智恵の尻に当て、歩を進め始めた。  
智恵も仕方なく歩みを合わせ始めた。  
 
脱衣室を出た。  
二人の歩みは遅々として進まない。  
――もちろん、望が意図して遅くしているからだ。  
智恵は後ろ手に縛られ、おまけに智恵自身には望の指が収まっている。  
しかも絶えず蠢いては妖しい刺激を智恵の身体に送り込んでいる。  
乳房も望の左手で揺さぶられ、時折乳首を弄られるので、まるで力が入らず、抵抗できないようだ。  
 
ようやく暗くて狭い階段を上り、廊下に出た。  
智恵が恥ずかしそうに小声で呟いた。  
 
「だ、誰かに見られたら恥ずかしいわ」  
「誰も見てませんよ。  
 他に泊り客はいませんし、ご友人もうちの部屋のもよく寝てるでしょうし。  
 さ、もっと歩みを早くしないと」  
「ああん……」  
 
そう言いながら、中に挿し入れた指を動かしてやる。  
中はすっかり潤っていて、指の動きによく反応してくる。  
その反応を楽しみながら、親指で赤い豆をぐりぐり撫で回す。  
時にぎゅうっと押し潰す。  
その度に智恵の足が止まり、ぴくんっと痙攣する。  
しっとり汗ばんできた乳房を揉み上げ、固くなっている乳首を摘むと、  
智恵の身体が小刻みにぷるぷる震える。  
後ろから腰を突いて催促すると、ようやく一歩踏み出す。  
絶棒もすっかり熱を帯びて固くなり、数枚の布越しに智恵の尻や背に当たっているはずだが、  
彼女に抗う手立てはないようだ。  
 
――もういいかな。ここで挿入するか……  
 
望は長らく智恵の中にいた指を引き抜くと、その右手で布地を数枚まくり上げた。  
素早く絶棒を露出させると、後ろからずぶずぶと貫いた。  
 
「あぁん!」  
 
智恵が一瞬仰け反って喘いだが、そのまま歩みを進めることにした。  
右手で智恵の腰を、左手で乳房を掴んだまま、腰だけで後ろからずんずん突いてやる。  
繋がった腰だけで前進しているようだ。  
時折うなじや耳に軽く唇を落としたり、舌を這わせたりもしてみる。  
その度に智恵の喘ぎが高く、息遣いが荒くなるようだ。  
 
日頃自分の上に君臨し、自分の全てを統治している絶対不可侵の女王様である智恵。  
そんな彼女を今まさに自分の意のままにしていることに、不思議な感慨と興奮を覚えていた。  
すっかり気が大きくなっていた。  
昨晩、惨めな拷問を受けたトラウマがあと少しで癒されそうな気さえしていた。  
温泉への行き道に感じていた不気味さはどこへやら、今は輝かしい勝利に陶酔し、  
心がいたずらに高揚しているのを抑えられない始末である。  
 
廊下を曲がり二人が泊まっている部屋が近くなると、智恵の息が荒くなり、  
抑えた喘ぎが頻繁に漏れるようになった。  
時折摘んでやる乳首もすっかり固く勃っているのがよく分かる。  
耳を舌先でなぞったあとで囁きかけた。  
 
「もうイクんですか」  
 
智恵は、荒い息をつきながらも黙ったままであった。  
望も黙ったまま右手を智恵の前に滑らせ、親指で智恵の急所をきゅうっと押し潰してやった。  
智恵は果たして一瞬仰け反った後でしきりに頷いた。  
 
「じゃあ、どちらに見てもらいましょうか」  
「……え?」  
「智恵先生がはしたなくイク姿を、お友達か教え子のどちらに見てもらいましょうか」  
「そ、そんな」  
 
望は戸惑う智恵を、自分の部屋の入り口と智恵の部屋のそれとの間に押しつけた。  
そして智恵の部屋の戸に手を掛け、耳元でねっとりと囁いてみた。  
 
「お友達にしましょう。  
 昼間にアドバイスしてあげたお友達に、智恵先生のいやらしい姿を見てもらいましょう。  
 頼りがいのあるクールなお澄ましさんのようでいて、本当はとってもエッチでマゾなんですよって」  
「くぅ……そ、それは勘弁して」  
 
智恵は激しく首を横に振った。  
そこで乳房をたぷたぷと揉み立てながら、わざとイジワルに訊いてみた。  
 
「へえ〜。じゃあ、教え子の方がいいんですか」  
「…………」  
「教え子にイク姿を見せたいだなんて、智恵先生はどうしようもない変態ですね」  
 
そう言いながら乳首を捻り上げた。  
 
「ひっ」  
 
智恵は一瞬息が止まったようだ。  
 
「さ、こちらに」  
「……」  
 
ついに望は自分の部屋に落城寸前の智恵を連れ込んだ。  
入り口の戸を静かに閉め、つっかけていたスリッパも脱ぎ、  
あと少しで襖に手が届くという時点で、智恵の身体が大きく痙攣し始めた。  
唇をきつくかみ締め、背を大きく仰け反らせた。  
「う、うぅっ!」  
絶棒を激しく締め付けるが、さすがに今回はまだ発射まで少しは余裕がある。  
素晴らしい締め付け、奥へ奥へと誘う絡みつき、  
そして襞全体の精妙な動きによるきつい絞りたてを存分に堪能した。  
智恵は最期にぴくっと小さく痙攣すると、がくっと首を折ってしまった。  
 
「智恵先生、もうイッちゃったんですか。  
 じゃあ、中に入りましょう。  
 冷えるといけませんし。  
 またたっぷり可愛がってあげます。  
 教え子の目の前でイク姿を見てもらうとしましょう」  
「うぅ……そんな」  
 
望もそろそろ中で放出してもいいかと腹を固めたその時。  
 
「……そろそろね」  
「え?」  
 
智恵の不思議な呟きを耳にした望は思わず聞き返した。  
 
――にゅぽんっ!  
「あ」  
 
智恵が腰をぷるんっと横に振ると、硬化した絶棒があっけなく智恵の中から抜け出てしまった。  
 
慌てていると、いつの間にか手首の縛めを解いていた智恵が、望の丹前を剥ぎ取り、頭に被せてきた。  
視界がすっかり奪われてしまった。  
 
――え……ええっ!?  
 
事態が急展開しているにもかかわらず色欲に爛れた頭が追いつかずにいるうち、  
智恵は望の浴衣や下着に至るまでするするっと剥ぎ取ってしまった。  
そしてつい先ほどまで自分がされていたように、望の両手を後ろに捻り上げ、腰紐できつく縛り上げてきた。  
慌てて解こうとしたが、何と言うことだろう、結び目はぴくりともしない。  
それどころか、ぎりぎりと手首に食い込んでいるほどきつい縛り方だ。  
 
――さすが女王様のロープ捌きは伊達じゃないな……  
 
変なところで望は感心した。  
おまけに、望が没収していた智恵のぱんつを上から被せられ、指先の抵抗も封じられてしまった。  
 
――や、やられた! 今までのは、ひょっとして、え、演技……!?  
 
望は焦りで頭の中が真っ白になった。  
破滅への足音がどーん、どーんと迫ってくる気がした。  
急に丹前が払い落とされると、智恵の女王様らしい囁き声が耳元をくすぐってきた。  
 
「うふふ……ちょっと楽しかったわよ。  
 じゃあ、約束通り、イク姿を教え子に見てもらいましょうね」  
「え、あのぅ、それは私じゃなくて智恵先生が」  
「え? 何かおっしゃいました?」  
 
智恵がまだ固いままの絶棒のカリの部分を妖しく扱いた。  
 
「く……くくっ」  
 
望、声が出そうになるのを懸命に噛み殺そうとした。  
そんな苦労をあざ笑うかのように、智恵は残酷に宣言した。  
 
「さ、部屋の中に入りましょ。  
 またたっぷり可愛がってあげます。  
 冷えるといけないわ」  
 
智恵は襖をついっと開けると望を先に通し、後ろ手でそろそろと閉めた。  
哀れ、犠牲者・望は全知全能の女神・智恵の導くまま、  
自分が連れ込むはずだったはずの部屋の中にまんまと連れ込まれてしまったのである。  
 
     ☆  
 
可符香はまだ静かな寝息を立てている。  
その隣には、望の布団が隙間無く並べて敷いてある。  
当然、枕も隙間無く並べて置いてある。  
掛け布団を剥ぐと、智恵は望を枕の側に立たせた。  
布団の上なので足音はしない。  
立ったところで、智恵は無言のまま、頭を、そして背を押さえてきた。  
中腰になったが、まだぐいっと押さえられる。  
ついに膝をついた。  
なお頭を押さえつけられた。  
とうとう枕に額がついた。  
ちょうど土下座のような格好だが、両手は後ろで縛られ、その上から智恵のぱんつで被われている。  
 
すぐ隣には可符香が寝ている。  
可符香の寝顔を眺めていると、尻をぴしゃぴしゃっと叩かれ、腰を上げさせられた。  
次に内腿をぴしゃぴしゃと叩かれ、やや膝を開かされた。  
こうして可符香が寝息を立てているすぐ傍に頭をつけ、尻を高く掲げた状態に奴隷の位置がセットされた。  
 
智恵が耳元で囁いてきた。  
 
「それじゃ、いくわよ」  
 
いったいどんなことをされるのか、奴隷としては気が気ではなかった。  
固唾を飲んでいると――尻たぶが開かれた。  
狭間にぬめっとした感触がした。  
 
――ひ!  
 
懐かしくも妖しい感覚に、背筋を震えが伝わった。  
早くも絶棒が期待でぴくんと震えた。  
智恵の舌がしばらく秘密の部分で蠢いていたかと思うと、舌先が差し込まれてくる。  
どうも回転しているようにも感じられる。  
さらに背筋をぞくぞくっと震えの第二段が駆け上っていく。  
もう腰の奥で発射の予兆が芽生える。  
 
智恵の舌がそのまま割れ目を舐め上がり、舌先が尾てい骨の上あたりをちろちろとくすぐっている。  
先に高ぶっていていったん収まった性感がまた溶け出しそうだ。  
微妙な感覚を我慢していると、脚の間から智恵が手を差し入れ、熱を帯びた絶棒を握ってきた。  
くいっ、くいっと掌でわざとくびれ目を擦り立てるようにしながら掌中で位置を整えると、静かに扱き始めた。  
 
「んー。ぐっ」  
――ここで声を出したら!  
 
声を出したら可符香気付かれてしまうと思い、奥歯をぎりぎり噛み締め、  
下半身から襲ってくる快感を必死に堪えた。   
ところが、そんな望の努力をあざ笑うかのように、智恵は腰や背にきつく吸い付いては  
ちゅっと音とたててキスマークを付け始めた。  
そうしながら、穂先からにじみ出る透明な液を膨張した鰓に塗りつけ、  
にちょっにちょっと恥ずかしい音を立てながら扱きを再開する。  
望は智恵の熟達した手さばきを声を上げずに堪能する羽目になった。  
どんなに気持ちよくても、声を立てたらアウトである。  
隣の可符香に何としても気付かれるわけにはいかない。  
 
キスマークが腰からだんだん背中の上につき始めるにつれ、智恵が望にのしかかるようになった。  
智恵の技巧的な扱き、キスマークをつけられる刺激、豊満な乳房が背中に押し付けられる感触のミックス。  
さらに、眠っている教え子のすぐ横で責められているという背徳感。  
望はたまらなくなった。  
 
さらに、智恵は左手で望の弱点である乳首をくすぐってきた。  
身体がぴくつくと、がばっと覆い被さってきては耳元でこんなことを囁く。  
 
「あら。相変わらず、男のクセに乳首が感じるのね」  
「ん……」  
「ふふっ。もっと弄ってあげますね」  
――くりくりっ。くりっ。くりくりくり……  
「! ぐぅぅ……」  
 
くりくりっと豆粒のような乳首を転がされ、ただでさえグロッキー寸前の絶棒がさらに反り返る。  
時折耳元にふーっと息を吹きかけたり、ぺろぺろと耳穴を舐め回したりする。  
乳首をいじる指の動きも多彩だ。  
どれ一つとして同じ方向からの弄りはない。  
 
――声を上げたい。  
上げたくてたまらない。  
快感をアピールしたい。  
気持ち良いと存分に訴えたい。  
 
だが、だが……自分が攻められているすぐ横には可符香が幸せそうに寝ている。  
何が何でも黙ったままでいることだ……  
 
望は必死に我慢するしかなかった。  
かえってそのジレンマが快感を増幅させる。  
おまけに智恵の動きの数々は、女王様の経験から得た、マゾ男の扱いを十分心得たものだ。  
 
望は着実に追い詰められていた。  
絶棒が度々ひくつくようになった。  
透明な涙が後から後から流れ出るようになった。  
――カタストロフィが間近だ。  
 
そんな状況を感じ取ったのか、智恵が望の傍にすっくと立った。  
そして髪をぎゅうっと掴み上げ、無理矢理半身を起こされた。  
そして、膝立ちにされた。  
そのまま可符香の顔のすぐ傍まで連れて来られ、膝立ちのまま半ば顔を跨ぐようにされた。  
 
今、最大限に勃起している絶棒が可符香の寝顔の上にある。  
智恵はかがんで望の耳元に口を寄せると、こんなことを囁いてきた。  
 
「さ、今からこの子を起こして、イクところを見てもらいましょ」  
「い、嫌ですよ。そんな」  
 
囁き声で必死にイヤイヤをした。  
だが、智恵は素知らぬ風に次の選択肢を提示した。  
 
「それとも、寝顔にかけちゃいます?」  
「そ、そんなぁ。勘弁して下さい」  
 
望は囁き声で必死に哀願した。  
 
「そう。じゃどっちがいいかゆっくり考えて。  
 それまでこの子の顔の上で気持ち良いコトしてあげます」  
「うう……」  
 
そのまま照準を下に向けられた状態で、扱きが再開された。  
もし暴発してしまったら、幸せそうに寝ている可符香の鼻筋や頬を直撃することが確実だ。  
 
――こ、このままでは大変なことになる……  
 
望は歯を食いしばり、肛門を思いっきり引き締めて耐えようとした。  
爪先をぎゅうっと曲げた。  
だが、非情にも、智恵は望の身体の位置を細かく調整して、  
絶棒の穂先が可符香の鼻先や頬のすぐ上を掠めるようにした。  
そうしてゆっくりと手の動きを再開し、快感を堪える望の顔をじっと覗き込んでくる。  
時にわざと激しく扱いて望を慌てさせる。  
智恵の表情はすっかり女王様のそれになっていた。  
婉然とした笑みを漏らした。  
 
「ふふっ」  
 
既に袋が可符香の額に乗ったり頬を叩いたりしている。  
教え子を蹂躙するには十分な仕打ちである。  
やがて鈴口が鼻先を掠めるとき、可符香がなにかの匂いをくんくんと嗅ぐ仕草をした。  
 
――ああっ、すみません!  
 
望は思わず目を固く閉じた。  
 
智恵はとうとう絶棒の先を可符香の鼻の下に押し付けた。  
そのまま穂先で愛らしい唇をゆっくりなぞった。  
上の唇を中から左、そして右へ。  
下の唇を右から左へゆっくりと。  
 
さらに唇の合わせ目に沿って動かされていると、半開きになった唇から可愛い舌先が覘いた。  
そして、すぐ近くにあった絶棒の裏筋をぺろぺろっと舐め始めた。  
 
――ひぃっ! こ、これは……!  
 
予期せぬ刺激に、たちまち発射したいという欲求が出てきた。  
でも、今漏らしたらこの世の終わりである。  
望は必死に首を左右に振った。  
 
「うう、もうダメです。出ます。勘弁してください」  
 
首を打ち振りながら、喉の奥から呟きを絞り出した。  
智恵は望にこんな提案をした。  
 
「じゃあ、イクときには『絶望する』って言いなさい。  
 そうしたら助けてあげます」  
「そ、そんなぁ」  
 
望は自分の決め台詞を汚される気がしてイヤイヤをした。  
だが、智恵は素っ気ない。  
 
「じゃあ、このまま出すのね」  
 
と、可符香が舐めている裏筋や鈴口付近を避け、  
真っ赤に充血している亀頭の表や鰓を親指・人差し指の二本指でつまむと、  
指の腹でしゅりしゅりっと擦り始めた。  
 
――ひぐぅ!  
 
そこから強力な電流の矢が腰の奥に突き刺ささった。  
たちまち濁流が根元に押し寄せ、必死に堪えている仕切りにぶち当たり押し開け乗り越えようとした。  
下半身がぶるぶるっと震えた。  
あと五秒したら暴発してしまう。  
可符香の顔を汚してしまう。  
ただでさえ怖いこのコに決定的な弱みを握られてしまう――ついに望は屈服した。  
 
「あぐぐ、わ、分かりました。言います」  
 
望の降伏宣言を耳にすると、智恵は無言で素早く根元をぎゅっと強く握った。  
驚いた絶棒から、漲っていた発射の機運がとやや退いた。  
先から白い涙が一滴滲んだだけで、どうやら暴発は免れたようだ。  
 
ほっと息をついたところで、頭を掴まれた。  
また枕に押さえつけられた。  
ぽすっと音を立てて布団の上に仰向けに倒れると、智恵が望の両脚を抱えて方向を調え、  
望が可符香と並んで寝ているような格好にした。  
 
そうしておいて、智恵は望の脚を割り拡げ、ぐいっとのしかかってきた。  
智恵の体重が背中に回っている手にかかり、望は苦吟した。  
 
だが、その苦痛もすぐに消し飛んだ。  
智恵がまだ力を保っている絶棒を乳房で挟んできたのだ。  
ただ挟んだだけでない。  
そのまましゅっしゅっと擦り上げ始めた。  
一旦収まっていた射精感が再び高まってきた。  
単調な動きにならないよう、責めも変化に富んでいた。  
左右の乳房で上下する方向を変える。  
小刻みにうりうりっと摩擦したりする。  
望が快感のあまり腰をせり上げ、脚を閉じようとすると、内腿を手で押さえつけ、ぐいっと大きく開かせる。  
そして先ほどまで可符香の鼻先にあって発射寸前だったモノを存分に責め上げた。  
 
胸の谷間から絶棒の穂先が頭を見せた。  
すかさず智恵はそこをちゅぽっと咥え、舌先でちゅるちゅると嘗め回す。  
望はまた腰をせり上げながら激しく首を振った。  
 
「ん、ぐ……もう、もう、ぜ」  
 
必死の囁き声を耳にしたのか、智恵の責めが一層激しさを増した。  
双乳による扱きはスピードと圧力を増し、亀頭を咥えっぱなしの口内では舌先がしきりに発射を促してきた。  
 
ふと横を見た。  
自分がこんな修羅場を迎えているのに、可符香は相変わらず天使のような無垢な寝顔を見せている。  
汚してはいけない天使のようだ。  
そのあどけない寝顔を眺めているうちに、ついに限界が訪れた。  
望は屈辱の言葉を呟くこととなった。  
 
「む……ぜ、もう、絶望します、うぅっ!」  
 
望は可符香の寝顔を目にしながら、智恵の口内へ屈辱の噴射を遂げていった。  
だが、噴射が始まってなお可符香の寝顔を見ていると、急にきつく吸い上げられた。  
 
――ちゅううううううっ!  
「ひゃうっ!」  
 
あまりのきつい快感に思わず目を閉じてしまう。  
まるで自分が責めている間、これ以上他の女の顔を眺めること叶わぬと女王様から宣告されたようだった。  
 
望は目を閉じたまま、智恵の口内にこの度の旅行で何度目かの精を発射し続けた。  
智恵はそれをコクコクと飲み下していった。  
飲み下すときの喉・口腔内の微妙な動きが、発射したてで極度に敏感になっている亀頭全体を刺激し、  
さらに望を喘がせた。  
これに加え、さらに舌先で敏感な亀頭を嘗め回したり、またきつく吸い上げたり……  
最後の最後まで望は智恵の技に翻弄された。  
仕上げに親指と人差し指で根元から丁寧にゆっくり扱き上げ 、筒の中から丁寧に精を搾り出された。  
 
全部搾り出すと、智恵は脱力した望を抱き起こし、背中に手を回して縛めを解いた。  
そしてまた望を仰向けに寝かせると、大胆にも可符香を抱き寄せ、望の腕枕に寝かせる格好にした。  
そしてその場をついと離れた。  
望は大いに焦ったが、動くことはおろか、声を上げることすらできない。  
 
可符香が望の腕を枕にして十秒……三〇秒……一分。  
下半身でしびれたままの絶棒の感覚を持て余しながら、時の過ぎるのを待った。  
幸い教え子はくー、くーと微かな寝息を立てているままだ。  
目を覚まさないでいてくれたようだ。  
心の底で胸を撫で下ろして彼女の顔をまた眺めた。  
自分の間近で眺める可符香の顔は、数年前に出会ったときと変わらずあどけなさを保ったままのようにも見え、  
また不意に年齢不相応に大人びているようにも見えた。  
 
そこへ、しばらくどこかへ行っていた智恵が戻ってきた。  
望の腹の傍に屈みこむと、力を半ば失ってだらりとなっている絶棒を、  
水で濡らしたおしぼりでぎゅうぎゅうと拭ってくれた。  
冷たさに腰を捩りかけたが、可符香が自分の腕枕で寝ていることを考え何とか我慢した。  
 
拭い終わると、智恵はいきなり望の両脚を抱え込んだ。  
驚いたことにそのまま電気アンマをしてきたのだった。  
 
――むにむにむに。むにむにむに……  
 
まだ発射の痺れが残っている所にこの刺激はきつい。  
望は煩悶した。  
可符香が腕枕で寝ているので逃げ出すどころか、身を捩ることすら叶わない。  
声さえ上げることが出来ない。  
歯を食いしばって耐えるしかなかった。  
いつしか絶棒に硬度が戻っていた。  
 
脚を降ろされた。  
だが、智恵の足は望の局部を押さえつけたままである。  
様子を見ようと首をもたげかけた途端に、その足が前後に揺さぶられ始めた。  
 
すっかり芯が回復した絶棒は、まだ発射した後の敏感な感覚が残ったままなので、  
この責めにも敏感に反応してしまった。  
智恵のつま先が、絶棒を踏みつけるように摺り上げる。  
指でくびれをくすぐってくる。  
 
「くくっ……」  
 
必死に奥歯を噛みしめて呻きを封じ込めようとした。  
声を殺すのに一苦労も二苦労もした。  
少しでも身を捩ると腕枕で寝ている可符香が目を覚ましかねない。  
 
今度はかかと近くでゴリゴリと転がすように擦ってきた。  
 
「あぐっ、ん」  
 
きつい性感が容赦なく絶棒に襲いかかってきた。  
ただただ智恵の責めを耐えるしかなかった。  
だが、耐えることでかえって快感が増幅してしまう。  
 
――今出したら気持ち良いだろうなぁ……  
 
絶棒に本格的に力が籠もったところで――無情にも智恵の足が離れた。  
そのまま智恵の責めは終わりとなったようだ――放置プレイということだろうか。  
 
智恵は部屋の入り口に落ちていた望の浴衣と丹前を拾ってきた。そして望の裸身にかぶせ、さらに布団を肩までかけてくれた。  
――可符香もこれで風邪を引かなくてすみそうだ。  
そして枕もとに来てしゃがみ込むと、こう囁いた。  
 
「じゃ、おやすみなさい。  
 来週の日曜は久しぶりに調教してあげますから、空けておいてくださいね」  
 
望が力なく頷くのを目にすると、智恵は望の耳たぶをねっとりなめ回し、  
耳たぶをはむはむっと甘噛みし、仕上げにふうーっと息を吹きかけるとすっと立ち上がった。  
すっかり固く大きくなった絶棒にもうちょっかいをかけることなく、するりと部屋をぬけ出、音もなく戸を閉めた。  
 
「うーん」  
 
望は慌てた。  
可符香が目を覚ましたのか。  
身を固くして貝のようにじっとしていた。  
可符香は寝ぼけたような声をたてると、望の方に寝返りをうった。  
そして肩口に顔を埋めてきた。  
望はそおっと空いた手で肩を抱いてやると、脚を絡めてきた。そして――可符香はそのまままた穏やかな寝息をたてはじめた。  
望はそっとため息をついた。  
 
布団の中、浴衣越しに教え子の体温を感じ、あどけない横顔を間近で眺めてみる。  
絶棒は先の責めで屹立したままである。  
空いている右手で可符香の背中をゆっくりさすってみる。  
――ブラはしていない。  
浴衣の胸元から中に手を潜らせる。  
また背中に手を伸ばす。  
背中からヒップへ至る曲線を指先で何度か往復してみる。  
なだらかでエロチックな曲線だ。  
 
ヒップまで手を伸ばしてみた。  
すべすべつるんとした手触りがたまらない。  
指先をぱんつの下に潜らせ、お尻のほっぺたを撫でさすっているうち、何とも切なくなった。  
 
思い切って自分の体勢を可符香向きにした。  
可符香のぱんつをややずり下げた。  
そして可符香の片足をほんの少し持ち上げると、その隙間、可符香の太腿の間に絶棒を差し込んでみた。  
ゆっくりと持ち上げていた足を下ろし、絶棒を挟むようにした。  
 
――こ、これは……!  
 
何と素敵な感触なんだろう。  
望は絶棒全体で可符香の太腿の温かさ・柔らかさ、草むらの繊細さを感じることになった。  
太腿で挟まれているだけでじんわりと充実感に浸ることが出来た。  
よほど何度か抜き挿しをしようかと考えた。  
が、さすがにこれ以上は言い訳が出来なくなるし、何より先ほどまでの緊張感が緩んだのか、  
眠気の方が勝ってきた。  
 
――まあ、いいか……  
 
可符香に挟まれていると安心出来る気さえした。  
熱を帯びた絶棒を教え子の魅力的な太腿で挟んだまま、  
小ぶりで丸く引きしまったヒップを優しく撫でているうち、いつの間にか自分も浅い眠りについていた。  
 
     ☆  
 
霧とまといが夕食の仕度をしている。  
 
「先生。今晩はお刺身だよ。タコのおさしみ」  
「へええ。それは楽しみですね」  
「じゃ、食べさせてあげるね。あーん」  
「私のも食べてくださいね。あーん」  
「あーん」  
 
自分を好いてくれている美少女の教え子二人に食べさせてもらう至福。  
望はだらしなく口を開けた。  
ところが、二人が箸でつまんでいる刺身の一切れがやけに大きい。  
おまけに強力そうな吸盤がついている。  
しかも、二人はその刺身を望の首筋に当てたり、服をはだけさせて胸元にあてたりする。  
そして、肌を吸盤に吸い付かせ、きゅぽんと小さな音をたてて引き剥がす。  
 
「ちょ、ちょっと。あのぅ、何してるんですか」  
「何って、気持ちいいことですよ」  
まといが微笑みながら答える。  
「うん。気持ち良いでしょ。ほらほら」  
霧もにこやかに相槌を打ちながら、奇妙な行為を続ける。  
――きゅっ、ちゅぽん。きゅっ、ちゅぽん。  
 
吸盤が肌に吸い付き、ちゅぽんっと離れる。  
その何ともいえぬ感触に、望の体内で早くもざわめき始めるものがあった。  
 
「うひゃ。や、やめて下さい。くすぐったい」  
 
だが、二人はますます行為をエスカレートさせる。  
体内に生まれたざわめきがどんどん大きくなってくる……  
 
     ☆  
 
ここで意識が段々戻ってきた。  
 
――ちゅぅっ、ちゅぽん。ちゅぅっ、ちゅぽん。  
 
目が覚めてきたのに、ちゅぽん、ちゅぽんという吸盤が吸い付いて離れるような音、  
そしてあの感触はそのまま断続的に続いている。  
しかも、自分の胸元や乳首など、弱点ともいえる場所に集中している。  
 
音と感触がする方を向こうと首を持ち上げた望は驚いた。  
いつの間にか、可符香が起きていて自分の胸や腹に情熱的に吸い付いては、  
薄暗がりでもはっきりと分かるキスマークをつけ続けていたからだ。  
 
「ちょ、ちょっと」  
「あ、先生、おはようございます」  
 
可符香がにこやかに挨拶をしてきた。  
 
「あ、おはようございます。……って、あなたいったい」  
「先生こそ、生徒が寝ている間にえっちなイタズラしようとするなんて、びっくりしましたよ」  
「え、いや、それはそのう、あなたが布団に入ってきて」  
「それに、寝言で『絶望した』とかするとか仰ってましたし、  
いつの間にか背中にあんなにいっぱいキスマークつけて……  
 昨日あれから何してらしたんですか」  
「へ!? そ、それは……」  
 
望は言葉を詰らせた。  
まさか、可符香が寝ている間に温泉で智恵と交わったあげく、  
いろいろあってこの部屋で智恵にパイズリで抜かれて足コキされたなどとは言うわけにはいかない。  
 
「口惜しいから、同じ数だけ前にもキスマークをつけてあげます」  
「口惜しいって、あなた」  
「もちろん先生の手や足にもいっぱいつけてあげますね。  
 おまけですよ」  
 
可符香が嫉妬めいたことを口にするのを初めて耳にしたが、今はそこを追及している時ではない。  
夕方に帰宅した後が怖い。  
 
「ちょっとあなた、やめてく、ひあぁっ」  
 
不意に望の抗議は中断した。  
手始めとして乳首に強く吸いつかれ、もぐもぐと甘噛みされたからだ。  
しかも、いきなりきつく吸い上げたり、レロレロと舌先で乳頭を弾いたり、乳輪をなぞったり……  
望の感じる攻め方をことごとく踏襲し、起き抜けでぼんやりした望の脳に快感を伝えるのに十分なものだった。  
望の抵抗が収まったので気を良くしたのか、望の生白い薄い胸板から腹、  
そして贅肉のまるっきりついていない内腿から男のくせに細くて毛もまばらな脛に到るまで、  
可符香の情熱的な奉仕が続き、満遍なくキスマークが付けられた。  
 
最後に、力を帯び始めた絶棒をいとおしそうに手にすると、  
溶けかけのキャンディーバーを味わうように大事そうに口に含んできた。  
そしてちゅぱっ、ちゅぱっと音を立てて吸いたてた。  
 
「あ、あひぃ」  
 
望は思わず奉仕中の可符香を見つめた。  
可符香も上目遣いで望を見返してきた。  
――にっこり微笑んでいる。  
微笑んだまま、舌先を柔らかなドリルのように回転させ始めた。  
 
「うぐ……」  
 
望は高ぶってきた。  
ここまでされて性行為を中断するほど望は枯れていなかった。  
やがて口を放した可符香を抱き抱え、自分の下に組み敷くと、そのまま挿し貫いた。  
 
「んっ」  
 
可符香も満足そうな表情をして仰け反った。  
やがて望の背に腕を回し、ぎゅうっと抱きしめてきた。  
 
中は最初から潤っていた。  
そして望の突きを優しく受け止め、包み込んでくる。  
――そのまま朝に激しく交わった。  
感極まった可符香が、望の背に回した手をぐいっと引きよせると、背に爪を立てるおまけまでついた。  
 
「くぅっ」  
 
望はたまらず可符香に告げた。  
 
「もうぜ、いや、い、イキます」  
「ええ、先生」  
 
二人でタイミングを合わせ、同時にクライマックスに達した。  
 
     ☆  
 
宿を出る段になった。  
二人とも身支度はすっかり整えている。  
襖を閉め、部屋の戸を開けようとしたところで外から智恵の声がした。  
 
「糸色先生、もう支度できてます?」  
「ええ、智恵先生。今出ます」  
 
靴紐を結び終えて立ち上がり、戸に手を掛けた所で、可符香がふと何かに気付いたように言った。  
 
「あ、先生。ちょっと」  
「え?」  
 
望の足下にしゃがみ込んだ可符香を何気なく見ると、なぜか望の下半身に向き合っている。  
布地越しとは言え、至近距離で異性に局部を見られるのは、  
教壇に潜むまといで慣れているとは言えいささか恥ずかしい。  
不審に思っていると、おもむろにマントに手を掛け開き、袴の腰紐を緩めてきた。  
 
――え、えっ!?  
 
ここから電光石火のような動きだった。  
どこをどうされたのか、あれよあれよという間に股間を丸出しにされ、  
気付くと今朝も活躍した絶棒を愛らしい口にぱっくり含まれていた。  
 
――ちゅぱちゅぱ。ちゅるるるんっ!  
 
しかも最初から情熱的な舌遣いである。  
昨晩から今朝にかけてあんなに酷使された絶棒であるのに、  
あっと言う間に硬化させ、直ちに追い込みを掛けてくる。  
 
「ちょ、ちょっと!」  
 
望は囁き声で可符香に抗議した。  
何せ、戸を一枚隔てた外には智恵がいて、しかも自分たちが出てくるのを待っている。  
 
――何かの弾みでこんな所を見られたらどうなるか……  
 
しかし、可符香は含んだまま「ふふっ」と微笑んで、ちらっとこちらを上目遣いで見上げると、奉仕を再開した。  
しかもその奉仕が激しい。  
舌先をドリルのように回転させ、張り出した鬼頭のエラ周りをぐりぐりとしゃぶり回す。  
絶棒を軸として舌先で出来たドリルの刃が回転しているようだ。  
そうしておいて、唇で敏感なくびれを挟んではむはむと扱きたてる。  
時折きつく吸い上げさえする。  
 
――こ、これは……くっ!  
 
昨晩から今朝にかけて何度も出してもうしばらくは打ち留めだと思っていたのに、  
もう腰の奥に射精感の兆しを感じる。  
思わず腰を引こうとするが、可符香に尻をがしっと両手で掴まれ固定され、  
逃げようとした罰とばかりさらに熱烈に責め立てられてしまう。  
 
「く、くっ」  
 
歯を食いしばって快感に耐えている所へ、また外から智恵の声がした。  
 
「先生、まだですか?」  
――いけない、じれている!  
「しゅみまひぇ……あの、す、すみません。あのぅ、もうちょっと」  
 
もうちょっとで出そうです、と言い掛けたのをすんでの所で飲み込んだ。  
あわてて声を出したせいか、最初を噛んでしまった。  
きっと変に思われたに違いない。  
 
――ああ、もしこんな場面を見られたらどうしよう……  
 
出発前だというのに自分のイチモツを受け持ちの女生徒にしゃぶらせている姿を見て知られたら、  
さすがに問題になるだろう。  
智恵先生なら黙っていてくれるかもしれないが、後々のことを考えると鬱だ……  
 
それにしても気持ちいい。  
溶けてなくなってしまいそうだ。  
もう出したい。  
智恵の声を耳にしてからか、可符香の舌捌きがますます速度と過激さを増している。  
熱を帯びて固くなった獲物を絶対に逃げられない檻の中で縦横無尽に追い立てている。  
望は可符香の頭に軽く手を添えていた。  
目を閉じて快感で意識が飛びそうになっていた。その時:  
不意に膨らんだ穂先を音を立てて吸い上げられた。  
 
――ちゅううううっ!  
 
「ひゃううん!」  
 
思わず良い声で鳴いてしまった。  
慌てて口を押さえたが遅かった。  
 
「先生、どうしたんですか? ここ開けますよ」  
「いや、ちょっと待……あの、そのぉ」  
 
戸が開きかけた。  
だが昼間は立て付けが悪く、スムーズに開かないようで、ガタガタと音がするばかりである。  
一方で可符香の責めはラストスパートに入った。  
絶棒の方も望の建前上の意志に反してすっかり発射準備が整い、  
本音による指令を今や遅しと待ちかまえている。  
 
――もうお終いだ……もう駄目だ、もうダメだ、もうたまらない、出そう、出る……!  
 
教え子の口中で絶棒が極限まで反り返った。  
煮えたぎる白いマグマが今まさに解き放たれようとしたまさにその時:  
 
「え、な〜に? どうしたの?」  
 
先ほどまで戸を開けようと四苦八苦していた智恵が急に戸の前から遠ざかっていった。  
どうやら、連れの女性に呼ばれたらしい。  
 
――ナイス、連れの女性!  
 
いつの間にか絶棒はただ含まれているだけになっていて、口撃も止んでいた。  
 
――助かった。  
「ふう……」  
 
思わず安堵のため息をもらしたとき、  
 
「ふふっ」  
 
下から含み笑いが聞こえた。  
 
「びっくりしましたね」  
 
見下ろすと、いたずらっぽく見上げてくる可符香と目が合った。  
 
「心臓が止まるかと思いましたよ。  
 まあ、もう少しで逝くところでしたが……はうっ」  
 
彼女の頭に軽く手を添え、ぽんぽんと軽く叩いて感想を漏らした。  
とたんに、爆発寸前で膨れ上がったままの穂先を軽く吸われ呻いた。  
ふと口を放した可符香がしれっと独り言を言った。  
 
「せっかくタイミングを合わせてたのになぁ」  
「へ? 何ですって?」  
 
思わず聞き返したが返事はなかった。その代わり、  
 
「じゃあ、そろそろ逝きましょうか」  
 
と笑顔で優しく呟くと、MAX近く膨張している絶棒の砲身を喉の奥までくわえ込んだ。  
そして頬をすぼめて激しく吸い立て始めた。  
 
――ちゅぱっ、ちゅぱっ、……  
「くうぅあっ……もう、もう」  
 
生徒と不埒な行動に及んでいる現場を見られて身の破滅という危機から逃れて気が抜けたのか、  
絶棒戦隊の防御力は根底から弱体化されていた。  
可符香軍の怒濤のラストスパートに、望はあっけなく最期を迎えた。  
 
――ちゅううううううううっ!  
「うっ……いい、イきますっ」  
 
可符香軍隊長の熟練した口撃に、さしもの威容を誇った絶棒戦隊も、  
ついに降伏の白旗ならぬ白濁液を敵隊長の口内にどっと放出し始めた。  
鈍い快感を伴って降伏の証が次々と放出されている間も、  
絶棒は敵口中に虜囚の辱めを受けたまま舐められしゃぶられ、蹂躙の限りを尽くされた。  
降伏した後も持てる弾の全てを放出し尽くし、硬度を失って小さくなった銃身が、  
愛らしい敵隊長の小さな口から解放され、  
最終的に武装解除され身柄を解放されるはしばらく後のこととなった。  
その間、望は可符香の頭に軽く手を添えたまま身動き一つ出来なかった。  
完敗と言えよう。  
 
――ちゅうううぅ。っぽん!  
 
敗者に捺される焼き印として、あるいは戦闘の区切りとして、  
可符香は仕上げとばかりに背伸びして望の首根っこにかじり付き、特濃のキスマークを残した。  
 
「ちょ、ちょっと!」  
「大丈夫ですよ。マフラーで隠しておけば全然人目に付きませんよ」  
 
     ☆  
 
この度の旅行で精力を智恵・可符香に文字通り吸い取られた望は、帰りの車中では、  
可符香と今後の密談をこなした以外はうつらうつらと居眠りをしていた。  
駅で可符香・智恵一行と別れ、重い足取りで宿直室まで戻った。  
 
     ☆  
 
「ただいまぁ」  
「お帰りなさい」  
「お帰り、先生」  
 
宿直室には、なぜか霧の他にまといがいた。  
交は交当番の家に泊まる日になっていて、不在だった。  
宿直室には、もうコタツが出してあって、みかんや茶菓子や湯呑みが置いてある。  
ストーブにも火が点いていて、部屋は存分に暖まっている。  
こたつの上の様子からすると、まといはしばらく前からいたらしい。  
 
――はて? この二人が一緒にいるなんて、何か特別なことでもあったのかな?  
「お帰りなさい」  
「外は寒かったでしょう」  
 
不思議に思っているうちに、まといが望の手荷物を受け取り、霧が外套を脱がせてくれた。  
 
――それとも、いつの間にか仲直りしたんでしょうか。  
「先生、お疲れだったでしょう。先にお風呂に入ってください」  
「温泉帰りだから、ちゃっちゃっと軽く浸かれるように支度しといたよ」  
 
見ると、たしかにコタツの横にタライが置いてあって、湯が張ってある。  
ほかほかと湯気も出ている。  
周りにはバスタオルやシーツが敷き詰めてある。  
いつでも湯浴みが出来ると言わんばかり、簡単な入浴の支度が整っていた。  
――まるで帰宅時刻を予期し、そこから逆算して準備を進めていたようである。  
 
「それともご飯にする?   
 ご飯ももう準備できてるよ。  
 今日はお刺身だよ。  
 マグロのいいのがあるんだ」  
「へえ〜」  
「それとタコ。  
 ピチピチなんだから」  
「は、はぁ……」  
――そう言えばタコの刺身と二人が夢に出てきましたね。そしてその後は……  
 
ここで、望は朝方見た夢とその後の可符香との情事を思い出し、つい顔がゆるんでしまった。  
 
「先生、部屋の中でいつまでもマフラーは変でしょう。さあ」  
 
望のだらしない表情に女の影を感じたのか、まといがやや棘を含んだ言葉を吐きつつマフラーに手を掛けた。  
 
「はあ……って、ちょっと待って!」  
「え? どうかしたんですか」  
 
ぼうっとしていた望はようやく自分の危機に気付いた。  
今二人の前でマフラーを取り着替えをするということは、可符香に貰ったキスマーク、  
ひいてはこの小旅行中に自分に何があったかを如実に晒すことに繋がる。  
身の安全を図るためには、それだけは避けねばなるまい。  
望は穏やかに抵抗してみた。  
 
「いや、その、ほら、食卓にほこりが立ちますから。  
 奥で着替えて来ますよ。  
 子供じゃないんですから一人で。  
 あはは、あはははははは……あは」  
 
しかし、このぎこちない言い訳がかえって二人の不審をまねいたらしく、抵抗も無駄に終わった。  
二人の手がマフラーに掛かった。  
 
「……いいから」  
「どう、ぞっ!」  
――するするするっ!  
「あーれー」  
 
あまり勢いよくマフラーを引き剥がされたので、つい身体がくるくると回転してしまう。  
――目が回る。回る。回る!  
とうとう二人掛かりでマフラーをはぎ取られてしまった。  
 
「……………………」  
「……………………」  
 
二人ともしばらく無言のままだった。  
恥ずかしい痣が残っているはずの自分の首筋に鋭い視線が刺さっているのがいやでも分かった。  
やがて、笑顔を凍り付かせたまま、まといが静かに口を開いた。  
 
「先生。やっぱりご飯の前に、お風呂はいかがですか」  
「うん。それがいいよ」  
 
同じく氷の微笑をたたえた霧が珍しくまといに同調しながら、有無を言わさず残りの着衣を剥いでいく。  
 
「ちょ、ちょっと待ってくださ」  
 
このままでは自分の身体につけられているはずであった無数のキスマークを見られてしまう。  
いくらなんでも、それでは今度こそ本当に身の破滅、カタストロフィだ。  
今ならまだ何とかごまかせるかもしれない。  
だが、まといも手伝って強引に望のシャツから袴、下着まで全て脱がせてしまう。  
 
「いや、待ってください。待ってく」  
「ほらほら」  
「じたばたしないのっ」  
「待ってください。待って、待」  
「あーーーーーーっ!!」望の必死の懇願を打ち消す大声でまといが叫んだ。  
「うわぁ……何これ!!」霧もびっくりしたようだ。  
 
――……ついに見つかってしまった……  
 
「ああ……あたしの先生が汚された!」額に手を当て霧が大げさに嘆いた。  
「ああ……私の先生が傷物にされてしまったわ」まといも「私の」を強調して悲嘆に暮れてみせた。  
 
顔を見合わせていた二人は、やがて、声を揃えて望に命じた。  
 
「先生、ちょっとそこに座って……お座りっ!!」  
「うはぁ、はいっ!」  
 
望は裸のまま二人の前に正座して頭を垂れた。  
こうなっては担任教師という肩書きはあってないようなものである。  
しばしの間、黙りこくって立ったまま望の上半身を前から後ろから眺め回していた二人が静かに問い掛けてきた。  
 
「先生、これどーゆーこと?」  
「誰につけられたんですか?」  
 
まさか全部が全部智恵と可符香につけられましたと正直に答えるわけにはいかない。  
黙っていた。  
だが、  
 
「何とか言いなさいよっ」  
 
怒った霧についっと手で顎を上向きにされ、顔をのぞき込まれた。  
視線を合わせまいと必死にそっぽを向こうとした。  
そこへ、まといが思わせぶりに呟き、霧が相槌を打った。  
 
「やっぱり写真の通りだったわね」  
「そうみたいね」  
「へ?」  
 
二人の会話の意味が分からないでいる望。  
が、まといがふところから写真を一束取り出し、望の鼻先に突きつけてきた。  
 
「先生、これ」  
「へ……はうっ!」  
 
望は思わず固まった。  
温泉で智恵と可符香に甘美な拷問を受けている様子、  
露天風呂で智恵の後ろから覆い被さっている様子、  
深夜智恵にプチ露出をさせながら部屋に戻る様子、  
それに驚いたことには眠っている可符香の横で智恵に搾られている様子や  
宿の出発前に可符香にしゃぶられている様子まで、  
この旅行中に自分が晒した痴態が鮮明に写っているものばかりだ。  
もちろん、自分の肌につけられたキスマークも鮮明に写っている。  
望はごくりと生唾を飲み込んだ。  
 
「こ、これはいったい……」  
 
背筋から冷や汗が伝った。  
 
「いったいいつ撮った……はっ!」  
 
「やっぱり先生だったんだね」  
「業務用の暗視カメラと赤外線投光器をうまく組み合わせてちょちょっとね」  
 
マヌケなことに、望は二人の前で自白してしまったのだった。  
まといが種証をしてくれたが、それを感謝する余裕などもうなかった。  
 
「これは詳しく確かめないとね」霧の目が妖しく光っている。  
「そうね」まといが同調する。同じく目が爛々と光っている。  
――くっ、こういう時に限って共闘ですか……  
 
望はたまらず奥へ逃げ込もうとした。  
だが、そんな行動などいつも望の身近にいた二人にはお見通しである。  
たちまち望は捕まり、湯の張ってあるたらいの前に引き据えられた。  
二人とも、自白してしまった下手人の手をそれぞれしっかと掴んで離さない。  
そうしておいて、なんとも言えない恐怖に怯えている望を前に宣言した。  
 
「やっぱり先にお風呂でよかったね」  
「ええ。こんな跡は私達が洗い流してあげます」  
 
二人はそのまま望の髪をぐいぐい掴んでタライの縁まで引っ張った。  
 
「アイタタタ、痛いいたいイタイ」  
 
望が情けない声で抗議するが、そ知らぬ顔である。  
 
「で、この汚れはどうしよう?   
 プール掃除で使うデッキブラシでゴシゴシ擦っちゃおうか?」  
「うーん、そうねえ……デッキブラシはないけど」  
 
まといに訊ねられた霧はしばし考え込んだ。  
そして、ついと台所へ向かった。  
そして何かを二つ手にして戻ってきた。  
 
「亀の子たわしならあるよ」  
 
一つを湯に浸し、まといに手渡した。  
自分のたわしも湯に浸した。  
 
「よーく擦ったら汚れ、落ちるかしらね」  
「そうね、じょりじょりとね」  
「ひいっ! 勘弁してください……あ痛たたた」  
 
二人はいやいやをして逃げようとする望を挟み撃ちにする。  
髪を一束づつ掴み上げてそして無理に中腰にさせると、  
ぷらぷらと情けなく揺れる局部の裏表をたわしでぴたりと挟んだ。  
 
「ひやあああああ」  
 
男体で一番敏感で弱い部分にたわしのチクチクする刺激が容赦なく襲いかかり、望は思わず叫んだ。  
 
「じゃあ、擦ろうか」  
「ええ。ごしごしとね。せーの」  
 
たわしにじわっと力がこもった。  
チクチクの度合いが強くなった。  
 
「うわーん、待って、待って! 使い物にならなくなります!」  
 
恐怖の余り望は泣き叫んだ。  
 
「何でも言うこと聞きますから、二人を大切にしますから!   
 どうかそれだけは勘弁してください〜」  
 
望は二人におべんちゃらを言ってしまった。  
このセリフを耳にして、たわしが望の局部からふいっと離れた。  
 
――た、助かった……  
 
望は心底ほっとした。  
だが、離れていたたわしがキスマークだらけの腹と背中に押しつけられ、そして:  
 
――じゃしじゃしじゃしじゃしじゃし……!  
「ひぎゃ〜〜〜〜!!」  
 
望は絶叫した。  
 
「痛い、いたイタ痛いたイタ痛いたイタ痛〜〜!!   
 ご、ご慈悲を〜〜!!」  
 
望の懇願に二人はつれなかった。  
 
「どちらかを選ばなきゃダメに決まってるじゃない」  
「ねぇ」  
 
二人の手にさらに力がこもった。  
 
――じゃしっ、じゃしっ、じゃしっ、じゃしっ、じゃしっ……!  
「ひい〜〜〜〜!! ど、どうしてこんなひどいことを」  
「あら、綺麗にしてあげてるだけですよ。  
 不潔だと女性に嫌われますよ」  
「そうよ。汚れは落とさないとね。  
 女性関係がだらしないのは嫌われるよ」  
 
望の上半身が裏表とも真っ赤になった頃、ようやくたわしが肌から離れた。  
 
「ひーん、二人ともひどいです……」  
 
望はぺたんと女の子座りをしてめそめそと泣いた。  
血こそ滲んでいないが、肌は茹で蛸のように濃い桃色に染まっている。  
そんな望を無視して二人は会話を続けた。  
 
「どう? 汚れ、取れたかな?」  
「うーん、あまり取れないみたい」  
「むー……どうする?」  
「赤チン塗ってくださいよぉ」  
 
望は懇願したが、二人に横目で冷たく一瞥されただけだった。  
それどころか、わざと不安を煽るような会話をし始めた。  
 
「うーん、粗塩でも振っとく?」  
「ひいっ!」  
――そんなことをされたら傷跡に塩が痛痒く滲みてしまう。  
「台所用洗剤でもかけとこうか」  
「お風呂用洗剤、あったかな」  
 
様々な洗剤を口にされ、望は気が気ではなかった。  
 
――やばい、このコたち、本気で怒ってる……  
 
「じゃあ、もっと洗わないといけないわね」  
「そうだね……ところで先生」  
 
急に霧から話を振られた。  
 
「は、はいィッ!」  
「この間あたしのパソコン使ったとき、ヘンなところにアクセスしたでしょ」  
「へ? な、何のことでしょう。私にはさっぱり」  
 
もちろん嘘である。  
望は霧のいないわずかな間に好奇心で熟女風俗店のページをあれこれと閲覧した。  
特に熟女の熟練した技の数々を動画や画像付きで解説してあるページは熟読し、動画はいちいち全部再生させてみた。  
その履歴がパソコンにそっくりそのまま残っていて、不審に思った霧が追及したのだった。  
 
「へー。身近にこーんなピチピチした女子高生がいるのに」  
「熟女なんかに興味があるなんて。へー、そうなんだぁ」  
 
二人がなぜ絶望先生の不埒なアクセス履歴を知ったか。  
それは、まといが撮影した画像(一部は動画もあった)をいち早くチェックし、コピーしていたからである。  
通信ソフトのデスクトップアイコンが通常の位置からわずかにずれていることに気づいた霧が、  
履歴を調べて望の不埒なサイトへアクセスしていたことが発覚したのだった。  
もちろんそのサイトは成人向けだった。  
が、霧とまといが今後の望との夜の参考にするべくじっくり鑑賞し、  
ひいては自分たちを望の好みに合わせるために役立てようと考えたのは無理もなかろう。  
――なお、まといが撮影した動画・画像は霧のためにコピーし、DVDに焼く予定となっているようだ。  
 
言い抜けることが出来ず黙ってしまった望にわざと見せつけるように、  
二人は服をゆっくり脱ぎ始め、やがて一糸纏わぬ全裸になった。  
 
二人は軽く全身を湿すとシャボンをしっかり泡立たせた。  
自分の股間とおっぱいに泡を塗りたくった。  
何度も肌を合わせたとは言え、女子高生、それも教え子の全裸にシャボンがまとわりついている……  
何とも淫微な眺めで望は思わず目を逸らした。  
だが、二人にちゃんと見るよう叱られ、若々しくて綺麗だと褒めるよう強要された。  
それで気を良くしたのか、二人が次のフェーズに移った。  
 
「とりあえず、腕と脚についてる汚れを落とすね」  
「?」  
「じゃあ先生、手を前に伸ばして」  
「はぁ……」  
 
望は両腕を軽く前に伸ばした。  
右腕にまとい、左腕に霧が跨ってきた。  
そのままゆっくり前後に腰をくねらせ、望の腕を洗い始めた。  
 
――にゅるにゅる・ぬるぬる。……  
――ぬるぬる。にゅるにゅる。……  
 
亀の子たわしとは違った柔らかなチクチクする感触が自分の両腕を滑っている……時折軟らかな媚肉が当たる……  
独特の感触に我を忘れていると、二人とも望の肩を抱いてきた。  
そして顔に接吻の雨を降らせてきた。  
 
――ちゅっ。ちゅうっ。ちゅっ……  
――ちゅっ、ちゅっ、ちゅううっ!……  
 
息もつかせぬ接吻攻撃で動転しているうち、二人は手の甲、手のひらを洗い始めた。  
シャボンの泡で滑りが良くなった秘肉や翳りの感触に酔いしれていると、霧が前、まといが後ろから抱きついてきた。  
 
「え、え!? あのぉ」  
 
戸惑う望をよそに、二人は上半身を前後ろから挟むようにして乳房と股間のシャボンを塗りつけ始めた。  
 
背中では、まといがはっしとしがみついて乳房と股間を同時に背中に押しつけ、  
くちゅくちゅと丁寧に磨き上げ始めた。  
いつの間にか小さなポッチが二点背中で動いているのが感じられるようになった。  
 
正面では、霧が望の胸や腹を懸命に磨き立てようとしていた。  
柔らかな乳房が霧が動くにつれ自由に形を変えているのが文字通り体感できた。  
また、泡にまみれた翳りをゴシゴシと、その下の柔肉はゆるゆると擦り付けてきた。  
 
教え子のひたむきで捨て身の攻撃を受け、いつの間にか絶棒がすっかり固くなっていた。  
 
「間違って入れてないでしょうね」  
 
背中から望の股間越しにまといの手が伸ばされ、そんな局部をチェックされた。  
 
「ん……大丈夫だから」  
 
望の乳首と自分の乳首を擦り合わせていた霧は、下から伸びてきた手を邪険に振り払おうとした。  
 
以後、しばらく望の局部を巡って二人の手がバトルを繰り広げ、  
もみ合う刺激でかえって絶棒が大変なことになった。  
 
暴発したらどうしようと懸念していると、うつ伏せにさせられた。  
霧が左足を持ち上げた。  
そして腿の裏側、ふくらはぎを股間で洗い始めた。  
次は右足で、こちらはまといが担当した。  
一方が足を洗っている間、残りは背中や首筋についた泡をお湯を含ませたタオルで拭き取っていた。  
二人は、文字通り身体を使い、望が興味を示した方法で望の汚れを洗い落とそうとしたのであった。  
 
「そうねえ……あのね」  
 
ここで、まといがいかにも今思いついたという風な芝居をしてみせた。  
 
「この汚れ、一種の毒だと思うの。だから」  
「だから?」霧が先を促した。  
「だから私たちが毒を吸い取って中和すればいいんじゃないかしら」  
「……それもそうね」あっさり霧が賛成した。  
 
     ☆  
 
望はたらいのすぐそばに敷かれているシーツの上に仰向けに寝るよう求められた。  
断れるはずがないので素直に従った。  
濡れタオルで身体の表半分がごしごしと拭われた。  
もちろん絶棒辺りのナイーブな部分も丁寧に丁寧に拭かれた。  
 
程なく、さっきまで身体を拭くのに使われていた濡れタオルで顔を覆われた。  
 
「はい。じゃあ、患者さんが暴れるといけないから視界を覆っておきますねー」  
「イイコイイコしててねー」  
「あ、あのう……濡れタオルだと、いずれ息が出来なくなるのでは」  
 
望の遠慮がちな問い合わせは当然無視された。  
じゃんけんの結果、霧が上半身、まといが下半身に陣取ることになった。  
やがて、二人は可符香がつけたあまたのキスマークの効力を消すべく、  
その上から一つずつ丹念に改めてキスマークを付け始めた。  
 
やがて、霧が望の乳首に吸い付いた。  
 
――ちゅううううっ!  
「あうっ!」  
――れろれろれろれろ……  
 
霧はさらに長いこと吸い上げ、舌先で乳輪を何周も辿った。  
仕上げに、れろれろと豆粒のような乳首を舌先で器用に弾いた。  
絶棒がぴくりと反応した。  
 
「あ、ずるい」  
 
顔色を変えたまといが魂の籠もり始めた絶棒を手に取り、優しくいとおしげに撫で回すと、  
ぱくりと口に含んだ。  
 
「そっちこそ! むかっぱ!」  
 
霧も顔色を変えると、濡れタオルを被せたままの望の顔にぺたりと腰を下ろした。  
その後身体を徐々に前倒しにし、上半身の支配を固めた上で一気に絶棒まで奪取しようと試みた。  
 
「えいっ!」  
――ちゅぽんっ!  
「あっ」  
 
霧の猛攻にたじろぎ一度は口から離してしまったまとい。  
だが必死の巻き返しをはかり、望の体の上で一進一退の攻防を繰り広げた。  
 
「なによっ」  
「えいえいっ」  
「ひぃっ! 他人の身体の上で争うのは止めてください!」  
 
     ☆  
 
いつの間にか戦闘が収束したようだ。  
気が付くと、硬度が増した絶棒に二人がそれぞれ舌を這わせたり、ねっとり舐め上げたりしていた。  
 
気持ちいいもののさすがに息苦しくなった望は、頭を振って濡れタオルを顔から振り落とそうとした。  
だが、頭は霧の両膝や太腿でがっちり固定されていた。  
それでも抵抗しようとすると、  
 
「あン……おイタしちゃだめでしょ。えいっ」  
 
と甘く一声上げた霧が脇腹や乳首を抓る。  
それなら下半身を逃がそうとしてつい大きく開いていた脚を閉じようとすると、  
 
「あらあら、先生ったら」  
 
と、かえってぐいっと太腿を押し開かれ、押さえつけられ、  
太腿に痣が出来るほどキツく吸い付かれ、特濃のキスマークを付けられる。  
おまけに罰としてふくらはぎや内腿を抓られる。  
意識を失いながら、望はいつの間にか二人の舌技に導かれて放出していた。  
 
     ☆  
 
不意に裏返しにされ、濡れタオルが顔から落ちた。  
 
「ぶ……ぷはぁあっ、はぁ、はぁ……」  
 
立ち上がろうとしたが腰がふらついてどうにも立てない。  
四つん這いになって大きく息を付くのがせいぜいだった。  
ふと気が付くと、自分の眼前には湯を張ったたらいが厳然としてあった。  
望は自分のこれからの運命を予感した。  
 
果たして、霧が何気ない調子で切り出してきた。  
 
「先生、お顔も洗わないと」  
「そうね。この洗顔フォーム、メイク落としも兼ねてるから、きっと汚れもよく落ちますよ」  
――ぬりぬり。ぬりぬり。ぬりぬり……  
「あっ、なに自分の使ってるのを塗ってるのよ。  
 あたしのも塗ってあげるんだから」  
――ぬりぬり。ぬりぬり。ぬりぬり……  
 
二人は望の顔に我先にと争って自分の洗顔料を塗りたくり、顎から額に至るまで存分にこね回した。  
二人の指先が顔の上を所狭しと動き回り、時には小ぜりあいを起こすのを止める気力はもう無かった。  
 
どれくらい経っただろう。  
二種類の洗顔料が顔の上で程良くブレンドされた頃――  
二人が望の頭に手を掛けてきた。  
そして力一杯押さえつけられ、一気にたらいに突っ込まれた。  
 
「ぐ……ぐがぼっ」  
――さ、さっきまでキスの雨を降らせていた癖にぃ……  
 
四つん這いのまま頭をたらいに突っ込まれた望。  
先ほどは濡れタオル越しに乙女の柔肌を味わえたが、今度はたらいの底が直に額や顔面に触れている。  
そのまま頭を揺すぶられ、幾重にも塗り重ねられた洗顔料の層をたらいの底でゴリゴリ擦り落とされた。  
 
動きが急に止んだ。  
一瞬の静寂。  
 
――ついっ。つーーっ…………  
 
どちらかの指が背骨の上から下までゆっくりとなぞった。  
次は下から上だ。  
なぞり上げられるに従って、背骨の真下に妖しい感覚が生じ、脳に伝えてきた。  
 
「わぶぶ。がぼぼ。べぐぐぅ」  
 
指が二本になった。  
双方向に指が進み、途中で出会っては分かれる。  
生じた感覚が腰の奥から絶棒にまで至るようになった。  
そのうち、指先が舌先に変わった。  
舌先でじっくり上から下へ、ねっとり下から上へ。  
体内に潜んでいる微かな性感がはっきり呼び覚まされてきた。  
逆に、意識がたまに飛ぶようになった。  
 
頭の上にどちらかが座った。  
そのままお尻が頭をずるずると滑り降りてきた。  
頭に少女の陰部がぐいぐいと押しつけられ、太腿で優しく固定された。  
髪の毛でも自分とは別の毛が触れるとそれなりの感触はあるものだな、とぼんやり思った。  
その少女が身体を前向きに倒し、上半身にぴったり覆い被さってきた。  
柔らかそうなおっぱいが背中でむにゅっと押し潰れるのを感じた。  
少しでも頭を反らし顔を上げれば自分の目の前に素敵な草原が広がっているはずである。  
だが、もう頭どころか上半身すらぴくりとも動かせない。  
 
「あーん、お尻がすっかり濡れちゃったぁ」  
――霧だ。  
「後でお風呂に入ればいいでしょ。私もついでに入るから」  
「そうね、一緒に入ろうか」  
「うふふっ」  
 
そんなどことなく百合めいた会話を交わしている。  
というか、当たり障りない会話を続けてわざと望の息が切れるのを待っているような気さえする。  
やがて……  
 
――れろれろ。ちゅうううううっ。……ぽんっ!  
 
腰や脇腹あたりを舐められ、吸いつかれ、キスマークを付ける。  
これが繰り返された。  
その後乳首を指でイタズラされたりもした。  
一方で、ふくらはぎや太腿にも舌が這っている。時折吸い付かれる。  
こちらはまといか……  
 
――く、苦しい……でも、気持ち良い……  
 
快感に身を委ねそうになった頃、望に二人が語りかけてきた。  
 
「先生。あの二人にしたことはちゃんとあたしたちにもしてね」  
「その代わり、二人にされたことは、その倍以上私たちがしてあげます」  
 
「ぐがぼ……ごごぼ……」  
――ぜ、絶望した……無意味な嫉妬や意地の張り合いに絶望した……  
 
望の息がますます苦しくなる。意識がすううっと遠のいていく……  
 
いつの間にか尻たぶが開かれた。  
秘密の場所に今ぬらぬらと舌を這わせているのは、まといだろうか、それとも……  
意識が飛び始めた。  
 
先ほどから乳首に触れていた細い指が、今やあからさまに二本指で摘んで揉んだり、  
親指でぐりぐりと真ん中を押しつぶしたりしている。  
また摘まれ、くいくい捻られる。  
ゆったりと胸全体を揉まれ始める。  
 
股間に後ろから手が差し込まれた。  
いつしか固く大きくなっていた絶棒が湯で濡らした教え子の手でやんわりと握られ、やがてゆるゆると扱かれ始めた。  
 
視界が暗くなってきた。  
 
――く……気持ちいい……苦しい……息が出来ない……いい……  
 
   ――【完】――  
 

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