ふと思い立ち、望は可符香と一泊旅行に誘う事にした。  
一年間、表舞台に出せない相談をいろいろしてもらった労をねぎらおうと思ったのだ。  
いろいろ可符香には手酷い目にも合わされてきた。  
が、彼女がいなければ学級運営がにっちもさっちもいかなくなるし、ずいぶん助けられたこともあった。  
 
出かけるに当たっては、人目もあることだし、月並みだが鄙びた田舎への温泉旅行がいいと思った。  
その旨を持ちかけると、可符香も快く了承してくれた。  
例によって行きの列車内でもいろいろ事件が発生し、命の危険を感じるような出来事もあるにはあった.  
だが、どうにか目的駅で列車を降りた。  
駅前に人気はなく、所在なげに構内にぽつんと停まっている車を拾い、宿に向かった。  
 
ややあって二人が着いたのは鄙びた温泉旅館。  
よくある「歓迎○○様」の表示もない。  
一軒宿らしく、あたりには同業の旅館どころか人家すらない。  
 
案内された部屋で旅装を解いていると、老婆が宿帳を持ってきた。  
さらさらと記入していると、人の良さそうな老婆が告げた。  
 
「今日はあとお一組いらっしゃるだけですので、どうぞごゆるりとお過ごしくださいまし」  
「はぁ」  
 
ほどなく夕食となった。  
食事は素朴ながらも温泉宿らしい趣向に富んだものでハズレがなかった。  
教え子にして悪巧みの相談相手と二人っきりで夕食を取っても気まずくはならなかった。  
 
一本だけ頼んでいたお銚子を手にした可符香が望に酌をしようとした。  
 
「先生、お一つどうぞ」  
「あ、いや……生徒に注がせる訳には」  
「まあそう固いことをおっしゃらずに」  
可符香が片手でぽんと望の腕にタッチし、手にお猪口を持たせるとほどよく温かい酒をそそぎ始めた。  
 
こんな何気ないボディタッチには媚びた様子など全然ない。  
なので、望もつい気を許してしまうのだった。  
 
 
夕食後、二人で浴場に向かった。  
一旦入り口で別れたが、内風呂ですぐ一緒になった。  
この地方の温泉宿の常として、入り口は男女別だが中が混浴となっているのだった。  
 
内風呂には、小ぶりの浴槽と洗い場、それに寝湯があるだけの素朴なものである。  
寝湯は入り口から見えないところにあって、湯に存分に浸かった体を休めるために横になれるスペースが二人分設けてある。  
その脇の扉を開けると外の露天風呂に通じている。  
源泉がどこからか湯船に流れ込んできていて、微かな水音が絶えずしている。  
湯の色は無色透明。口に含むと微かに塩辛い。良質の湯だった。  
 
ここまで来て人目をはばかる必要はない。  
望は可符香と並んで入浴した。内風呂、外の露天風呂とも堪能した。  
 
「ふぅ〜……なかなかいい所じゃないですか」  
「よかったですね。当たりですよ」  
 
たわいない会話を交わしながら内風呂に戻り、洗い場で互いに背中を流し合った。  
そうしているうちについ望の指が可符香の若々しい乳房に当たった。  
 
「あん」  
「おっと、失礼」  
「もう……先生ったらぁ」明るくたしなめられた。  
「じゃあ、こちらを向いてください。前も洗っちゃいます」  
「え〜〜」  
 
返事とは裏腹に、素直に望に向き直った。  
目の前の健康的な若い裸身を、シャボンを含ませた手ぬぐいで柔らかに刷り上げる。  
乳房は特に念入りに刷る。  
 
「あん……おっぱいばかり洗いすぎじゃないですかぁ」  
「そんなことないですよ。さぁ、足を伸ばして」  
 
白い腹も優しく洗い、脚の間に入り込む。  
すらっと伸びた脚をきゅっきゅっと磨き始める。  
ゆるやか曲線を描いているふくらはぎ、細いがちゃんと脂肪がついて柔らかそうな太腿も丁寧に丁寧に擦る。  
やがて太腿の付け根あたりを磨いたところで望が口を開いた。  
 
「ここは手ぬぐいだとなんなので……」  
 
言い訳をしつつ、望が可符香の微妙なところに指を這わせてきた。  
そして若い叢を掻き分け、スリットに沿って指を軽く往復させたり、上のほうを指の腹でくりくりっと刺激しはじめた。  
可符香は恥ずかしそうに身を縮めた。  
 
「いやん、先生ったら。そこは」  
「まぁまぁ」  
 
望はしばらく指を這わせたまま、乳房に舌を這わせようとした。  
だが、可符香はすうっと身を翻すと耳元で囁いた。  
 
「いや……それは、あとで」  
「そうですか」  
「じゃ、今度は私が先生の前を洗いますね」  
 
今度は可符香が望の前を洗い始めた。  
少し力を込め、薄い胸板や細く長い脚をぎゅっぎゅっと磨く。  
やがて望にぐいっと密着した。  
 
「ここも洗っちゃいますね」  
「え、そこはいいですよ。自分で」  
「まぁまぁ」  
 
シャボンを手にし盛大に泡立てると、泡を望の局部に塗りつける。  
そうしてくちゅくちゅっと小さな音を立てて洗い始めた。  
袋の皺を丁寧に伸ばし小さな指先で擦る。  
かと思えば、細い指を起き上がり始めた絶棒に絡ませ優しく扱く。  
 
「ん……ん」  
 
望が下腹部から湧き上がる快感を堪えきれず呻くうちに、  
時折可符香に男として上がっているなどとからかわれていた絶棒に力が漲り始めた。  
なおも可符香は丁寧に刷り上げる。  
カリのくびれも丁寧に指先で磨きあげる。  
ついに絶棒は熱を帯び硬化しきってしまった。  
おまけに、時折ぴくぴく震えている。  
どこから見ても雄の威力を示す準備完了といった趣である。  
 
いよいよ漲ってきたところで、望が可符香の肩を押さえ、耳元で言った。  
「もう、これ以上は……  
 寝湯の辺りが入り口から見えない所ですから、そこで。ね」  
 
二人は寝湯に向かった。  
二人分のスペースに並んで寝そべった。  
望が腕枕をすると、可符香が素直に頭をちょこんと乗せてきた。  
そしてこちらを向いた。望も可符香を見つめた。  
見つめ合ううちに可符香が目を閉じた。  
望は教え子の髪を優しく撫でると静かに接吻した。  
 
舌を絡めながら望は自分が磨いた可符香の裸身に手を這わせる。  
華奢なボディラインを確かめるようにゆるゆると上から下まで、下から上へ指先を滑らせていく。  
やがてその手が乳房に達すると、ゆっくり優しく揉みこむ。  
ほどなく固くなった乳首の下側を親指の腹で撫で、すりすりっと擦る。  
時折を摘みながら、指で上からぐりっと押し潰してみる。  
 
「んんぅ……あん」  
 
舌を絡ませたまま体をくねらせていた可符香が喘いだ。  
胸から沸き起こる快感に堪えきれず、口を離してしまったようだ。  
 
望は教え子の頭の下からすっと腕を抜くと可符香を優しく横たえ、上に覆い被さった。  
首筋、胸元へと軽くちゅっちゅっとキスを落としながら、固くなった蕾を口に含む。  
 
 
「あん。う」  
 
可符香の喘ぎ声がやや大きくなった。  
かまわずそのまま舌先で存分に転がす。唇で甘く挟んでみたりする。  
ちゅうっと音を立てて吸い上げる。  
その間に手で教え子の下半身を探る。  
するといつの間にか若い蜜があふれていて、指先の微妙な動きに合わせてくちゅ、ぴちゅっと秘めやかな音を立てている。  
充分に潤っているようだ。  
 
そのまま脚を割り、中に入り込む。腰を抱え込む。  
出番が遅しと活躍の場を待ち構えている絶棒を入り口に当てる。  
しばらく入り口付近で馴染ませた後、ずいっと装入する。  
そのまま奥深くまで差し込む。  
 
「はぁん……ああ、あっ、あっ」  
 
やがて望は静かに動き始めた。  
めったに聴けない可符香の喘ぎ声がさらに大きくなった。  
もしかしたら、他人が入ってくるかもしれない場所での営みで、  
いつも以上に興奮しているのかもしれない。  
望もここしばらくになく気分が高揚していた。  
教え子とのえっち、人が来るかもしれない場所でのえっちという二重の背徳感が、  
自分のオスの部分を奮い立たせているのを自覚した。  
 
可符香が両脚を望の腰に巻きつけてきた。  
これまでの付き合いで、これは彼女が感じている証左である。  
 
――私も、もうこのまま……  
 
自分も限界が近いことを悟った望は、そのまま一気に動きを激しくした。  
大きいストロークで、ぐいっ、ぐいっと可符香の中に絶棒を繰り込んでいく。  
可符香も懸命に喘ぎを堪えているものの、どうしても洩れてしまうようだ。  
 
「うぅ……そろそろ、いいですか」  
「あっ。今日は中へ、中へ」  
 
珍しく可符香からねだられたので、望はそのままラストスパートに入った。  
可符香の腰がくねるのに合わせ、ズン、ズンと腰を打ち付ける。  
可符香の腰を抱え直すと一気に深いところまで突き刺す。  
腰の奥から背筋を貫いていく。もうすぐだ。  
中の襞が絶棒に絡み付いてくるのを振りほどくように奥へ奥へ突き上げる。  
 
望は激しく動き続けたまま、ついに限界を突破した。  
自分の分身から熱いものが後から後からほとばしった。  
教え子の中にたっぷり注ぎ込んでいる間、望は可符香をきつく抱きしめていた。  
可符香も発射を感じた瞬間、身を仰け反らせ、それでも望の背に回した手に力を篭めようとした。  
同時に高みに達したのだった。  
 
     ☆  
 
肩を寄せ合って湯船に浸かっていると、女性側の脱衣場で物音がした。  
ややあって戸が開くと、誰かが入ってきた。  
髪はショートカット。  
手ぬぐいで前を隠しただけの見事なプロポーションの若い女性――智恵だった。  
望たちと同じ列車で、女友達と二人旅をしていたはずだったが、宿まで同じになったようだ。  
 
だが、同じ列車内で同行していた女性が見当たらない。  
智恵一人きりである。  
 
こちらから声をかける前に、智恵のほうで気付いたようだ。  
 
「あら先生、いらしてたんですか。お二人で」  
「はあ。あの、お連れの方は?」  
「それが、もう酔いつぶれちゃって」  
 
智恵がやや渋い顔をした。  
何でも、アルコールが入るとみるみる悪酔いし、  
さんざん智恵に迷惑をかけたあげく早々と寝入ってしまったとのことだった。  
 
そんな話をしながら体と髪を洗い終えると、智恵は湯に浸かろうと望たちの傍にやってきた。  
だが、あいにく内湯の浴槽は手狭に感じられ、三人で入るとやや息苦しい。  
 
そこで、充分温まっていた望と可符香は湯船から上がり、縁に頭を乗せてごろんと寝そべった。  
 
「あらあら」  
智恵は二人して行儀の悪い事に苦笑しながら望の傍を通り、ゆっくり湯に浸かった。  
前を手ぬぐいで隠しているだけで、学校一の巨乳が前から横からこぼれ出ているのは仕方ない。  
 
――いいものを見せてもらいました。  
 
望がついにやけていると、突然可符香が望の脇腹をつねった。  
 
「あいたっ」  
「どうされました?」  
望が口を開く前に可符香が機先を制した。  
「何でもありませんよ、智恵先生」  
「そう?」  
「……」  
 
望はつねられた脇腹をさすりながら、  
智恵に見えないように可符香の脇腹をちょんちょんっと指先で突付いた。  
望はつねられた脇腹をさすりながら、智恵に見えないように可符香をちょんちょんっと突付いた。  
 
しばらくは三人で静かに温泉の情緒を楽しんでいた。  
源泉がどこかから浴槽に流れ込み、自然に湯があふれ出る音がするばかりで、  
静かなことこの上ない。  
ほの暗い内湯には湯気が立ち込めていて外は見えないが、風の音一つ聞こえてこない。  
穏やかな夜のようだ。  
 
智恵が湯船に浸かってどれくらいたった時のことだろう、ふと望に問い掛けてきた。  
 
「先生」  
「はい」  
「もう死にたがりは収まりました?」  
「は!? はぁ、いや、そのぉ」  
 
昼間の出来事が脳裏をよぎった。  
目の前の智恵の手で、展望車の最後尾、展望デッキから落とされそうになったのだった。  
「あの」望は言いよどんだ。  
「どうせ私なんてこの世にいてもいなくても……」  
 
智恵がぼそぼそっと呟く望の首に腕を回してきた。  
 
「まだそんなことを仰るんですね」  
 
可符香が傍にいるのに頬にちゅっとキスを落とした。  
そして耳元で甘く囁いた。  
 
「じゃあ、ここで」  
「ここで?」  
「ここで……死んで」  
 
智恵の手に急に力が篭った。  
望は不意に頭を浴槽に引きずり込まれ、湯の中にぐいっと押さえつけられた。  
 
「な!?……がぼごぼ」  
 
そのままずるずると上半身も湯に沈められていく。  
智恵の手を振り解こうとしても、角度がどうも合わず、触れることすらできない。  
ならば、と浴槽の縁を掴もうとするが、どうしても指先がかからない。  
じたばたともがいているうちに、視界が暗くなった。  
間もなく顔の上に何か柔らかいものが乗ってきた。  
智恵が望の顔の上に座ったのだった。  
 
これで望は息がまったく出来なくなってしまった。  
時間的には一分くらいの間だが、望にとっては永遠にその苦しみが続くかと感じられた。  
 
「むごぉ……ぃむぅ」  
――ザバァ……  
 
不意に水音がし、顔を押さえつけていたものがなくなった。  
とにかく息をしようと、懸命に頭をもたげた。  
だが、頭が水面から出たところで何か柔らかいものにぶつかり、行き止まりになった。  
顔を動かすと、鼻先が何か湿ったところに埋もれている。おまけに温かくて、周りに毛の感触がする。  
 
「あん」  
頭上で甘い声がした。  
智恵が望の頭をまたぐように腰を浮かせていたのだった。  
よくよく目の前を見てみると、なるほど目の前に白い肌と黒い叢がある。  
調教される際に見慣れた智恵の神秘の部分だ。  
今、自分が智恵の股間に思い切り顔を埋めることがようやく分かった。  
思わず顔をふるふるっと動かした。  
 
「あぁん」再び甘い声が上から降ってきた。  
「まだ死にたいですか、先生」  
「え、あ、あの……ほわぁ」  
 
自分の置かれている状況が整理できずまごついていると、突然下半身が熱いものに覆われた。  
次いでくちゅくちゅと音がしだすと同時にたまらない快感が背筋を伝った。  
可符香が絶棒を口に含み、しゃぶり始めたのだった。  
一通りねっとりしゃぶると、すっかり大きく固くなったところで口を離す。  
細く小さな指でしゅりしゅりと熱化した絶棒を扱きはじめる。  
 
「おあぁ……あ」  
 
望は緊急時なのに有り得ない快感に我を忘れ、もたげていた首の力がすっと抜けてしまった。  
頭が半ば湯に浸かったところで上を見ると、智恵の豊かに張り出した見事な乳が目に入った。  
奴隷として調教される際に時々味わったその爆乳に阻まれ、  
智恵が今どんな表情でいるのか分からない。  
 
「ああぁ……あぅ」  
「煮え切らないわねぇ」  
 
再び智恵が望の顔に腰を下ろし始めた。  
望は為す術もなく再び息ができなくなった。  
顔面を智恵の秘部で覆われることはこれまでの調教でよくあった。  
むしろ顔面騎乗されて、女王様の襞の隅々まで丁寧に奉仕することが結構気に入っていた位だ。  
だが、今は命がかかっている。とても奉仕する余裕などない。  
 
何の抵抗も出来ないまま、また頭が完全に湯の中に静められてしまった。  
 
「ぐぼばっ! ……ぐ、ぶ」  
 
もがいていると、また絶棒を温かみを伴った快感が襲った。  
先ほど刺激されて力を蓄え始めた絶棒を、再度可符香が口に含んだのだった。  
しかも、今度は可符香も本気を出したようだ。  
舌を積極的に幹に絡ませてくる。  
膨れ上がった亀頭の周りを高速で回転させる。  
鰓の周囲をねっとり舐め回す。  
時には舌先ではじく。  
そうしておいて、とどめに口をすぼめて含むと、音を立てて何かを吸い出そうとする。  
 
可符香の本気の技を受けたのはいつ以来だろう。  
絶棒から沸き起こってくる強烈な快感に、望は耐え切れなくなった。  
だが、ちゅぱちゅぱっという音を水面下で耳にしていても、  
わずかに顔を左右に動かす位しかできない。  
 
苦し紛れに鼻や口を覆っている智恵のそこに舌を這わせると、嬉しい事にやや力が緩む。  
息苦しい中、必死に舌を動かすと、もっとその動きを求めるように逆に押し付けられる。  
苦しくて動きを止めると、動きを催促するかのようにますます押し付けてくる。  
 
「うぐぅ……むぐぼ……」  
 
ついに望の意識が遠のき始めた。  
目の前が一時ふうっと白くまる。  
また漆黒の闇に陥るかのように暗くなったりする。  
 
だが、意識が飛びそうになった途端、顔を覆っていた力が不意に緩んだ。  
 
それとばかりに息を吸おうと頭をもたげる。  
が、今度はようやく口や鼻が水面上に出るかどうかという所に智恵の股間が待ち受けていた。  
奉仕をせずに息を吸うべからず、というようだ。  
望の視界に映るものといえば、黒い翳り・白い下腹部か上方の爆乳しかない。  
半ば水を飲み、時折咳き込みながらも、  
自分の生死与奪を握っている主人に懸命に奉仕しようとした。  
 
――息がしたい。死にたくない。死にたくない!  
 
だが、生きるための奉仕を阻止しようという悪意に満ちた快感が、  
容赦なく凄腕のテクニシャンの手によって加えられる。  
どこでそんなテクニックを身につけたのかと疑問に思う余裕など全くない。  
 
智恵が不意に口を開いた。  
 
「もう一度伺いますよ。まだ死にたいですか」  
「げほごぼっ……あの、あ、その」ここで可符香が赤化した亀頭をきつく吸い上げた。  
――ちううううっ!  
「ひゃあああっ!」  
「真剣味が足りないわね」  
 
冷たく言い放つと、無情にも智恵は再び望の顔面に座り始めた。  
 
こうして、死に到る苦痛と極上の快楽が文字通り入り混じる残酷な拷問を受け続けたのである。  
 
絶えず頭を湯中に沈められ、溺死する直前にわずかに息を吸うことが許される。  
その間、自分の股間には極上の快楽が与えられる。  
しかも、最大限の快楽を与えつつ、下半身が暴発せずに長持ちするよう――つまり拷問が長く続くよう、  
可符香の悪意に満ちた存分なテクニックで刑の執行の終わりが引き伸ばされていた。  
それでも最終的に果てそうになると、決まって智恵の尻が望の顔面を湯船の底に沈めてしまう。  
そうしてぐりぐりと押さえつける。  
これも暴発を先送りする事に貢献していた。  
二人の見事なコンビネーションで、望は徐々に思考力を奪われていった。  
ただイきたい、生きたいとぼんやり感じながら甘美にして残酷な刑を受け続けるしかなくなっていた。  
 
何度目の事だろうか。  
底の底まで沈められていた望の頭がまた不意に水面上に引き上げられた。  
今度はそのままずるずるっと体を浴槽の外に引っ張り出された。  
そして智恵・可符香の手で手早く四つん這いの姿勢を取らされた。  
その姿勢を取らされたことを気付く暇もなく、望はげほんごほんと咳き込み、  
飲んでしまった湯を吐いたりしている。  
はっと気が付いて顔を上げた。  
すると、目の前に智恵の漆黒の瞳が待ち受けていた。  
 
 
「先生、まだ死にたいですか」  
――ああ、吸い込まれる……  
「いいえ、もう死にたくありません」魅入られたように、すらすらと口から言葉がこぼれる。  
「じゃあ生きたいのね?」  
「はい、いきたいです」  
「そう……いいわ、存分におイきなさい」  
 
 
微笑を浮かべると智恵は望の眼前にやや脚を開いて横たわった。  
そして両手を大きく開いて微笑みかける。  
「さあ、おいで」  
 
その聖母のような姿を前に、望の自我が崩壊した。  
もはや恥も外聞もなく、智恵の豊満な乳房に、  
まるで腹を空かせた赤子のようにむしゃぶりついた。  
 
「うわあああん、恐かったよお!……恐かったんだよぉ」  
「よしよし」  
「ううう……すんすん……すんすん」  
 
望は智恵の双乳に顔を埋めたまますすり泣いた。  
そんな望の頭を智恵は優しく撫でてくれた。  
可符香も後ろから抱きつき、望の胸に指を滑らせたり絶棒をあやしたりした。  
 
智恵がふと望の頭を掴んで胸から引き剥がすと、まっすぐ眼を覗き込んできた。  
 
「さあ」  
「え?……う」  
 
視線にしびれ、ふと下半身の快感に気付いてそちらに目をやった。  
可符香にあやされていた絶棒が拷問の間に受けた快感を思い出させたようだ。  
本体が死滅する間際に追い込まれた今、子孫を残しておこうという本能も作用したのだろうか、  
絶棒がこれまでになく屹立し、今にも噴火しそうになっていた。  
 
「さあ」  
 
可符香にも促され、智恵を見た。  
聖母のような純白の裸身が熱気でほてって桜色に染まっている。  
そしてにっこり微笑んで軽く頷く。  
望はするするっと智恵に重なり、熱に浮かされたかのように体を合わせた。  
 
「う……ぐ」  
「ん……あぁ」  
 
動き始めると、智恵の中の温かさ、襞や微妙な突起の精妙な動きの気持ちよさでまた涙が目尻に浮かんだ。  
そしてはらはらと頬を伝って智恵の裸身に零れ落ちた。  
 
「うわあああん……うっ、うっ」  
 
嗚咽を漏らしながら、それでも一心に腰を振った。  
睦み事を覚えたての若者のようにただひたすらストロークを繰り出した。  
智恵が一瞬のけぞり、やがて下から望の肩口に顔を埋めると、  
背に腕を回し、ぐぃっと力を込めて抱きしめてきた。  
望は嗚咽を漏らしながら、いくらもたたないうちに高ぶりが頂点に達し、  
智恵の中に大量の精を放った。  
長々と精を放っている望の腰を可符香が優しく撫でさすってくれた。  
 
     ☆  
 
可符香に付き添われて、望は時折しくしくすすり泣きながら部屋に戻った。  
 
部屋にはもう蒲団が並べて敷いてあった。  
枕もくっつけてある。  
暖房も程よく効いている。  
灯りは半分まで、人の顔が分かる程度に落としてある。  
 
蒲団の上に向かい合って座った。  
望がまだ眼に涙を浮かべていると、可符香が微笑みながら頭に手を掛け、自分の膝に導いた。  
膝枕をしようというのだった。  
 
部屋の内外は静かで物音一つしない。  
隣の部屋は智恵たちの部屋だが、誰もいないかのようだ。  
外からは、かすかに遠くの渓流の水音がこぼれてくるばかり。  
月明かりもほのかだ。  
 
薄暗がりの中でじっとしていると、浴衣越しに可符香の肌のぬくもりが徐々に伝わってくる。  
激動の出来事の直後で縮みきった心の皺が徐々に伸ばされていく。  
ようやく精神が鎮まってきたようだ。  
 
可符香が優しく声をかけてきた。  
 
「先生」  
「……ん」  
「落ち着きましたか」  
「……ええ」  
 
消え入るような声で一言呟いた。  
望は目を閉じたまま、可符香の膝にうつぶせになっている。  
両手はだらりと投げ出したままだ。  
 
「先生」  
「はい」  
 
可符香、望の頭を抱きかかえると、自分の腹に押し付けた。  
いつの間にか浴衣の紐がほどけていて、健康的な少女の下腹部が望の顔に触れた。  
甘えるように若い叢に顔を埋めると、すうーっと息を吸い込んだ。  
そしてほうっと安堵したように息をついた。  
 
再度可符香が口を開いた。  
 
「先生」  
「……」  
「どんな音が聞こえますか」  
「音?」  
「ええ」望を抱く腕にやや力が込められた。  
「赤ちゃんが育つ所、生命を育む所はどんな音がしますか」  
 
望は耳を当ててみた。  
 
――ギュウウウ……シーン……キイイイイン……  
 
微かな、非常に微かだが幾多のかそけき流れが耳を満たした。  
またゴーッとはるか彼方で何か大事なものが渦巻いているような音も聞こえる気がした。  
そして、トクン、トクンという拍動も確かに伝わってきた。  
 
「いろんな音がするんですね」  
「でしょう」可符香が言葉を継いだ。  
「だから、生きるってことは」  
 
ぷつりと言葉が途切れた。  
見上げると、薄暗がりの中で思いがけず悲しい眼差しをしている可符香を見出した気がした。  
 
そんな視線に気付いたのか、可符香はすぐに笑顔を取り繕った。  
 
「じゃあ、ここはどんな音がしますか?」  
 
自分を見上げたままの望むの顔を、はだけて無防備なままの乳房に導いた。  
望は双乳の合わせ目の下に耳を軽く押し当てた。  
 
――とくん、とくん、とくん……  
「生きている……」思わず望は呟いた。  
「でしょう」可符香が望の頭を抱いている手に力を込めた。  
――可符香も生きている。そして自分も今確かに生きている。  
急に目の前の教え子がいとおしくなり、桜色の可憐な蕾を軽く口に含んだ。  
「ん」  
――ちゅっ、ちゅっ……  
 
しばらく無心にちゅっちゅっとしゃぶる。  
やがてやや固くなった部分の周りを丁寧に舌先でなぞる。  
 
「あ」  
 
一瞬、可符香が望の頭を抱く手にさらに力が篭った。  
が、やがてその手が力を失い、望の背中に下りていく。  
可符香の全身からも力が抜ける。  
 
望は目の前の愛しい教え子をそのまま蒲団に横たえた。  
可符香、今この瞬間を待っていたかのように全身から力が抜けている。  
望は、そんな教え子に優しく接吻した。  
やがてどちらからともなく舌を絡ませ始めた。  
接吻は長く長く続いた。  
 
ようやく唇を離すと、銀色の細い糸が繋がっている。  
二人は、そのまま見つめ合う。  
見つめ合ったまま、そして無言のまま、望が可符香に優しく入っていった。  
奥まで埋めた後、しばらくそのままでいた。  
痺れるような幸福感が望を満たした。  
 
やがて可符香がすうっと望の背に腕を回してきた。  
望も壊れやすい存在を慈しむかのようにゆっくりと動き出した。  
 
「あ……」  
 
喘ぎを隠すかのように、可符香は望の背に回した手に力を込めると望の胸板に顔を押し付けた。  
そして、担任の甘い律動に耐えながら、望の乳首を舐めてきた。  
 
「くっ」  
 
望は、自分の弱点である胸から生じる快感が絶棒から生じる快感と合わさると  
計り知れない相乗効果を生むのを身をもって実感した。  
可符香の舌先がちろちろと動くたびに絶棒にぴりぴりと電流が流れ、鰓の張りを大きくする。  
膨張した鰓が可符香の中を擦り上げるたび、快感の束が絶棒をらせん状に通り抜け、腰の奥に突きささる。  
そして全身を隅々まで駆け巡っていく。  
頭のてっぺんから爪先まで全身が気持ちいい。気持ちよくてたまらない。  
 
可符香の中がきゅうっと締まり、きつくなってきた。  
いつの間にか若蜜があふれ、くちゅっ、ぴちゅっと可愛らしい音が二人の股間から聞こえてくる。  
やがて望の律動が大きくなり、二人の押し殺した喘ぎ声も大きくなった。  
 
絶棒が最も膨れ上がると同時に、可符香が激しく締め上げてきた。  
 
「う、もう、もう!」  
「あっ、あん、あん!」  
 
ぴくんっと中で震えると、ついに望は上り詰めた。  
絶棒が中で跳ね、自分が生きている証をこれでもか、これでもかと注ぎ込んだ。  
可符香もそんな絶棒に濃い蜜を絡ませ、一滴も残すまいというようにぎゅううっと締め上げた。  
最後まで搾り取られる感覚、最後まで注ぎ込まれる感覚に全身を包み込まれながら、二人は高みに上り詰めた。  
 
 

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