それは朝から起きた出来事。  
また何でもない一日が始まると考えていたのに。  
望にはあまりにショックだった。  
宿直室で、霧が倒れている…。  
あまりの出来事に口が利けなかったが。  
すぐに霧の元へと近づく。  
 
「小森さん!」  
 
…心臓は、動いている。  
だが意識がなく、息をしていない。  
こういう場合は、人口呼吸しかない。  
望はすぐに気道を確保して、霧の口を開かせ。  
息を吹き込もうとするが。  
その瞬間、霧が目を開けた。  
しかも、自力で呼吸をしている。  
 
「えっ…!?小森さん、大丈夫ですか?」  
「う、うん。大丈夫だよ」  
「い、一体、何があったんですか?」  
「え、えと…、死んだふりをしてたの…」  
「…はい?」  
「その、暇だったから…」  
 
大きく息を吐く望。  
少し顔を赤らめておどおどする霧。  
 
「ご、ごめんね。せんせぇ、あんなに驚くと思わなかったから…」  
「…いえ、小森さんが無事なら良かったです」  
「えっ…!?それって、どうゆう意味?」  
「とにかく、ビックリさせないで下さい。私の心臓が止まるかと思いました」  
「ごめんなさい。…でも」  
「…?」  
「せんせぇが、そんなに心配してくれるの嬉しいな…」  
「ま、まぁ、小森さんは私の大切な教え子ですから、心配するのは当たり前です」  
「えへへ♪」  
「もう、あまり驚かさないで下さいよ」  
「はぁい」  
 

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