目覚めの光が、瞼に注ぎ込まれる。
深い眠りから覚める望。
上半身だけ起き上がり、隣で可愛い寝息をたてる少女を見つめた。
お気に入りの毛布に包まり、幸せそうに目を瞑っている。
長い髪に触れようと手を伸ばす。
優しく頭を撫でて、声を掛けてみる。
「小森さん…?」
「…すぅすぅ」
呼びかけても返事がない。
まだ夢の中から出てきてないのだと判断し、布団から抜け出る。
温かく幸せな空間から出るのは辛かったが、何とか抜け出ると。
再び霧に話しかけた。
「小森さん…、愛してますよ」
「…んっ」
寝ているからこそ言った台詞だったが、霧がピクリと動いた。
それでようやく気付いた望は、霧に顔を近づける。
横顔のギリギリまで近づき、囁いた。
「寝た振りしてもダメですよ。今日は学校なんですから、抱いてあげられません」
「ん〜…」
望に向けて唇を軽く浮かせる。
しかし、唇ではなく頬に口付ける。
それも、触れる程度で。
「さぁ、起きてください。朝食にしましょう」
「………せんせぇの意地悪」
「やっと起きてくださいましたね。おはようございます」
「おはよ、せんせぇ」
また、今日が始まる。