現在、昼食も終わり校内は自由時間。  
各々好きに時間を過ごしている中、教室内に奴ら……黒の軍勢は現れた。  
「……あの、私達、何でこんな目にあってるのでしょうか、何か悪い事しましたっけ」  
「……えーと……」  
長くしなやかに動く触角、毛深い足、黒光りする体。  
どれをとっても非常に見事なGが、望と可符香の前に君臨していた。  
「ゴキ……Gなわけ、無いじゃないですかー、Kですよ、カブトです!」  
「……ですよねー、メスカブトですよねー」  
少々無理がある可符香の発想だが、  
存在を否定するという案には大いに賛成なので少し乗っておく望。  
「……でも、交が飼ってたの、オスだった気がしますが、気のせいですよね?」  
「……あー、きっとツルみたいに恩返しに来てくれたんですよ!」  
「恩返しされるような事はした覚えありませんが……スプレーとか、ホイホイとか」  
目の前の現実から目を逸らしつつ、  
動揺からどうでもいい話題に入ろうとする二人。  
「……復讐だなんて、そんなわけ無いですよー」  
「それじゃあ何なのですかこれは!異常発生ですか!?」  
完全にGの軍団に包囲されている状況にパニックの望。  
さらに、Gの内一匹が羽を半開きにする動きを見せる。  
「あの構えは……F(フライング)G(ゴキブリ)A(アタック)!」  
「あれが発動するんですか!?、あれ顔面に食らったら、私一ヶ月はひきずりますよ!!」  
解説するだけの可符香に、完全にチキン状態な望。  
状況は絶望的かと思われたが、そこで自由時間終了のチャイムと言う救済の手が差し伸べられた。  
皆が教室に入るなり「ひぃっ」だの、「いやああ!」だの悲鳴を上げて引き返す中、  
千里が「……何やってるのよ?、只の虫じゃない。」とスコップを構える。  
「木津さん……!助かりまし」  
 
「そぉい!」  
 
望がそこまで言った辺りで、千里がスコップの甲でGを  
豪快にブッチブッチと色々ぶちまけながら潰していく。  
「………」ふらっ  
「先生!愛ちゃんが倒れました!」  
「あ……はは、こんなの夢に決まってるじゃ無いですか……あははははは」  
「しっかりしてください!貴方が目を逸らしたら誰が状況纏めるんですかぁ!」  
辺りは失神する者・現実逃避に入る者・昼食をリバースする者が溢れ、  
Gの体液飛び散る教室は正に地獄絵図と呼ぶに相応しかった――  
この事件は黒いにのへ≠ニ呼ばれ、関係者の間だけで封印されているとかいないとか……。  
 
「汚い話のわりには 落ちないのナ」  
 
糸冬  
 

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