――それは、とある休日、いつもの様に先生をからかいに  
でも行く事にして、気分良く外着に着替えていた私が  
テレビの電源を付けっぱなしにしていたから事から始まりました――  
 
【〜〜座のあなたの本日運勢は〜】  
 
自分の星座の事が流れ、何気無く目を向けると、  
画面には大きく残念!12位です≠フ文字が。  
偶然見ただけの日に最下位は少々モチベーションも下がりますね……。  
 
【〜〜座の中でも、女性で高校生、さらに小柄でショートカットのあなたは特に危険です】  
 
見事なまでのピンポイントさに誰かの悪質な嫌がらせかと一瞬思いましたが、  
そんな事あるわけ無い……と思って占い師の顔を良く見たら千里ちゃんだった、あるかも。  
……まぁ、人間とは、ここまでピンポイントに言われるとたかが占いと  
分かっていても気になってしまう生物であってですね……  
 
【〜今日は、5年間に起こる災いが全て降りかかってきます、  
外に出ても良い事なんて無いので家で大人しくしてなさい】  
 
つい最後まで聞いてしまった信憑性があるのだか無いのだか分からないような占いですが、  
家で大人しくしてなさい%凾ニ言われると何となく逆らって見たくもなります。  
 
何で命令形なんですか、千里ちゃんらしいと言えばらしいけどおかしいでしょうコレ。  
 
そもそも朝の占い如きで休む人が出たら社会は大混乱になっちゃいますよー  
……今私、相当くだらない事考えたなー、とか思いつつもテレビを切り、靴を履いて外に出ます。  
 
先生の位置は大体検討が着いているのです、毎回休日には自殺スポットを巡っているし、  
この間望が愛読書『死にるるぶ』のとある場所に印を着けているのを見たからでもあります。  
そうとなれば先回りすれば良いだけの話ですよ、……自称ディープラヴのストーカーと一緒にしないでくださいね?  
 
――ほら、予想通りの小道に居ました。  
 
さらに丁度良く先生は「絶望した!」と叫んでいる最中で、  
今登場するのが最も適したタイミング、ガードするように望の背後に張り付いている  
まといちゃんを軽く突き飛ばそうとした瞬間――千里ちゃんをなめるものじゃ無いと思いました。  
 
それは、普段なら絶対に有り得ない事。  
……まといちゃんに、危険を察知されたのか避けられました。  
 
それだけならまだしも、重力に従って倒れる私の先にあるのは池と来ています。  
(あぁ……災いって、これのことかぁ……)等とこう言う時に限ってどうでも良いことを考えて  
軽く現実逃避をしていても容赦無く体は傾き、辺りに大きな水音が響き渡った――。  
 
「……?、常月さん、今後ろの方で大きな水音がしませんでしたか?」  
 
謎の水音に大して先生は当然疑問を持ったみたいで、後ろに居るまといちゃんに話かけてます。  
ですが、日頃色々あったからなのか何なのか、まといちゃんは何事も無かったかのように  
まといちゃんは「大きな鯉でも跳ねたんじゃ無いですか?」と返し――  
 
「この位で負ける訳無いじゃ無いですかー、ポジティブは最強なんですから!」  
……とは言った物の、もう心折れそうです、寒い上に何か生臭いです。  
そもそも、一人でこの台詞言ったところで空しく響き渡るだけであって……  
 
いや、今の台詞聞かれてたらそれはそれで問題ですけど。  
 
とにかく、このまま帰るのは何か癪ですし、負けな気がします。  
今なら走ればまだ追いつける筈です!  
 
――さて、追いつけたのはいいのですが……  
 
「先生、常月さんとお二人で、デートですか。」  
「何言ってるんですか!いつものことじゃ」  
「そうよ、いつも通りデート中なの!邪魔しないでくれる?」  
 
……どうやら修羅場の様ですね、あそこに割って入る勇気は無いです、  
あんまり気が立ってると話術とか通用しないんですよ、私だって色々考えてるんです。  
 
「……やっぱり、あなたとは、決着をつけるしか無いわね!」  
「私もそう思ってた所よ!!」  
 
あー、先生も逃げた所で始まってしまいましたね、オフエアバトル。  
さて、漁夫の理だかそんな感じのことわざもあった気がするので、  
先生を追いかけるとします、特にあの二人に絡む理由も無いですし。  
 
「うなぁっ!」  
「甘い!!」  
 
今、物凄い勢いで何かが目の前をかすった気がするのですが……  
流れ玉でしょうかね、私の向こう側の壁に包丁突き刺さってますね、当たったら怖いですね。  
 
……って怖いで済むわけ無いでしょう!死にますよこれ!時々かすってますし!  
もうキャラでも無い事とか思っちゃいますよ、私がこんな事考えてる時点で色々怒られそうですよ!  
 
とりあえず、その場を離れるのが先決です、さっさと先生を追います。  
……もう、何で先生追っかけてるのかも忘れそうだし正直帰りたいですが、  
とにかくここまで来てすごすごと帰るのは嫌です、一種の意地ですかね?  
 
――んー……流石に見失っちゃいましたねぇ……先生逃げ足は早いんですよねー  
……寒いし痛いしボロボロだし、何で私がこんな目に合わないといけないんでしょうね。  
占いってあんまり馬鹿にするもんじゃ無いと痛感した今日この頃。  
 
……あぁ、なんと言うか、もう……  
「……絶望した」  
 
「えっと……風浦……さん……ですよね?」  
 
……もしかして、全然追いつけないと思ってたら  
途中で追い抜いてたパターンですか、そうですか。  
しかもよりによってこんな爆弾発言を聞かれちゃいましたよ、  
とにかく誤魔化さないと明日からギクシャクしちゃいますよ。  
 
「えっと……ですね、絶望した、なんて先生がいつも言ってるのでどんな感じかと言ってみただけです!」  
 
「……で、ですよねー、服装もきっと精神力を鍛える寒中水泳か何かですよねー、先生もそう思っていた所です」  
 
うん、我ながら無理がありましたね、分かってますよそれくらい。  
……というか先生完全に気を使ってるんですが、  
 
服装まで無理やり解釈して同意してくれましたよ、そんな事されると  
こっちが一番恥ずかしいんですよ、昔教えたじゃ無いですか、スルーライフでしょうそこは!  
 
「えっと……あ!そうです!小森さんに買い物頼まれてたんでした!」  
 
あからさまな嘘ですね、思わず某ヤンデレヒロインのように『嘘だッ!!』  
とでも言いたくなりますが、流石にそれは止めておきます。  
……それにしても先生、逃げる気満々ですね。それでも教師ですか  
 
「……そ、それではまた今度学校で!」バサッ  
 
あ、やっぱり逃げまし……、ん?、何か投げつけられました。  
……先生の、羽織……?もしかして、先生なりに気遣って……  
 
調子狂うような事、するじゃないですか……。  
 
(先生、今日の所は見逃してあげますよ、感謝してくださいね?)  
……なんてね、私らしくない事を思いながら、先生の羽織を抱きしめて  
「占いなんて、やっぱり当たらないじゃ無いですかぁ……。」  
 
と、誰にも聞こえないように一人呟いてみたり――  
 
 
糸冬  
 

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