「日塔さん、いいかげんそろそろ復活したらどうですか?」  
教壇上で黒板を拭き清めていた望は、ため息をつくと  
机の前で真っ白になっている奈美を振り返った。  
 
千里により朝マ●クのセットが解体されたショックで、  
奈美は今朝からずっと放心状態で座り込んでいたのだ。  
「あなた、今日一日、授業も全然聞いてなかったでしょう。」  
望は奈美に歩み寄ったが、奈美は目の前の冷たくなった  
ハンバーガーを見つめたまま、何の反応もしない。  
既に教室には誰もおらず、西日が窓から差し込んでいた。  
 
望は、奈美の前の席の椅子に、後ろ向きにまたがった。  
そして、奈美の顔を下から覗き込むように見上げる。  
「たかがハンバーガーで、どうしてこんなに落ち込めますかね。」  
その言葉に、今まで全くの無反応だった奈美がバッと顔を上げた。  
「たかがハンバーガーなんかじゃっ………って、うぁぁぁぁあ!」  
涙目で抗議しようとしたらしいが、それは途中から悲鳴に変わった。  
かなりの至近距離で、望と目が合ったのだ。  
「せ、せんっ、せんせい、いっ、いっ、いきな、な、な、…!!」  
真っ赤な顔でのけぞってアワアワしている奈美を、  
望は相変わらず同じ姿勢のまま、楽し気に見上げた。  
「何を言ってるんだか、全然分かりません。」  
「あぅぅ、だ、だって、先生がっ!」  
「やれやれ…。」  
 
望は再びため息をつくと立ち上がった。  
「少しは落ち着きなさい、日塔さん。  
 あなた普段は普通のくせに、どうして食べ物のことになると  
 そうアブノーマルな反応するんですか。」  
「普通って、いや、アブノーマルって言う…っ、!!!???」  
奈美の抗議は再び途中で遮られた。  
望が両手を伸ばすと、ふわりと奈美を抱きしめたのだ。  
 
「そんなにセットがお好きなら…こんなのはどうですか?  
 私とセット、今なら無料キャンペーン中ですよ?」  
「……!?」  
望の腕の中で奈美が跳ね、そしてしばらく沈黙が続く。  
やがて、望の耳に小さな声が聞こえてきた。  
「…すいません、そのセット、一つください…。」  
「よろこんで。スマイルもつけましょうか。」  
望はにっこり笑うと、奈美を抱きしめる腕に力を込めた。  
 
 

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