『二匹の兎』  
 
草木も眠った午前0時。  
望はこんな夢を見た。  
 
とあるベッドルームで望は二人のバニーガールに壁際に追い詰められていた。  
壁に追い詰めているバニーは、小森霧と常月まといである。  
霧はベージュのタイツに黒のレオタード、まといは白のレオタードに穴の細かい白い網タイツといういでたちだ。  
「ねぇ先生、見て。バニーガールだよ」  
「先生、バニー姿の私達を抱いてください・・・」  
二人は紅潮した顔で望に近づく。  
望は二人の艶やかなバニー姿を見て、顔を赤らめた。  
むっちりとした身体を包みこんだ黒のレオタードとベージュのタイツが艶めかしい霧バニーはなかなかのものだが、  
スレンダーな体型を魅惑的に演出する白のレオタードと白い網タイツのまといバニーもかなり似合っている。  
(両方ともかなり魅力的だ、触ったらとても柔らかそうだ・・・って違う!そういうことじゃなくて!!)  
望はこの状況が夢であることは認識している。  
しかし、その夢がこんな破廉恥なシチュエーションだなんて!  
自分は教師という立場で、生徒に手を出すなんて行為は許されない。  
たとえそれが夢の中であっても。  
ここはなんとしてでも耐えなければ、と望は心の中で念じた。  
霧とまといは自分の顔を望の顔に近づけさせた。  
「ねぇ、先生。私達を抱いて・・・」  
「強く、抱きしめてください・・・」  
二人の瞳は妖しげな輝きを帯びていた。  
望はそんな二人の視線を、瞼を閉じて抵抗する。  
「ふ、二人とも!そんなみだらな格好で私を誘惑しようとするのはやめてください!!」  
「大丈夫だよ、先生。ここは夢の中だから、私達に何をしてもとがめられないよ」  
「欲望の赴くままに私達をむさぼるように扱っても、誰も怒りはしませんよ」  
「夢の中でも、教師が生徒に手を出すのはいけないことです!!」  
強情な望に対して、霧とまといはため息をつく。  
「先生ったら頑なだね。夢の中でも私達に手を出さないなんて」  
「そこが先生の良いところなんだけれどね」  
「でも、先生がそういう態度をとるんなら、私達にだって考えがあるよ」  
霧の言葉に望は、「か、考えって?一体どういうことですか?」と訊く。  
「ふふっ。こういうことだよ」  
 
霧は望の袴を下へずらし、屹立していないその絶棒を口にくわえ、まといは背後へ回り、胸を望の背中に押し付けた。  
「な、何をしようとしてるんですか二人とも!?」と望は二人に叫ぼうとするが、その口はまといの両手でふさがれた。  
口をふさがれた望の言葉に対し、まといはこう答える。  
「決まってるじゃないですか。先生の理性を溶かしていくんですよ」  
まといは自分の胸をさらに望に押し付けた。  
望の背中にまといの小振りな胸の感触が伝わってくる。  
(うあっ、常月さんの小さな胸の柔らかさが、背中越しに・・・!!)  
望の絶棒はまといの胸の感触で徐々に立ち始めてきた。  
霧はその絶棒をアイスキャンデーを舐めるかのような舌使いで責めていく。  
「んちゅっ、うぅ、ん、ちゅる、んん・・・」  
霧が絶棒を舐める卑猥な音が望の耳に聞こえてくる。  
(うぅ・・・、私のアレが小森さんになめられるたびに気持ち良くなってきて・・・!!)  
望の絶棒から白い液体が出かかっている。  
霧はそれを知ってか知らずか、さらに舌でなめる速度を上げていく。  
まといも両手の指で望の口内を責め始めた。  
望はもう限界寸前であった。  
(うぅ、ダメだ・・・、もう、限界・・・!!!!)  
そして、絶棒から白濁の液が噴出した。  
白濁の液は絶棒を舐めていた霧の顔と胸元に飛び散った。  
霧は淫らな表情で顔に飛んだ液体をぺろりと舐めた。  
「ふふっ、ついに出しちゃったね、先生」  
霧はほほ笑みながら望に言った。  
「こ、小森さん、常月さん。貴方達はなんてことを・・・。  
先生、婿に行けなくなってしまったじゃありませんか・・・」  
「大丈夫だよ、先生。私がいつでもお嫁さんになってあげるよ」  
霧がそう言っていると、まといが望の背後から離れ、霧に近づいた。  
「ずるいわよ、あなただけ先生のを独り占めして・・・。私にもちょうだい」  
まといは霧の顔に付いた白濁の液体を舌で舐め取った。  
霧は「ダメ、これは私の!」と言い、自分の舌をまといの舌に絡ませた。  
「ひゃにふんのよ・・・!これは私が舐め取ったんだから、私のよ・・・!」  
「私の顔についふぇあっふぁんだから、私のものだってばぁ・・・!!」  
二人は自分達の舌に付いた望の白濁の液を口内で取り合っている。  
その様はまさに淫靡であった。  
望はこの光景を見て、さらに絶棒を隆起させるも、さすがにまたそこを責められてはまずいと思い、袴を上に上げて絶棒を隠した。  
やがて、エロティックな白濁の液の取りあいが終わると、霧とまといは望を見ながらすっと立ち上がった。  
「さてと、先生に一時的に気持ち良くなってもらったことだし・・・」  
「これからが本番ね・・・」  
「ほ、本番!?今のが本番じゃないんですか!?」  
望が驚愕した顔でそう言うと、二人は顔を見合わせてクスクスと笑う。  
「さっきのは先生が気持ち良くなるためのデモンストレーションだよ」  
「そう、ここからがお楽しみですよ、先生」  
 
途端、二人は身にまとっていたバニースーツを脱ぎ始めた。  
ハイヒールを脱ぎ、ウサギの耳のカチューシャと詰襟とカフスを取り外し、レオタードとタイツをゆっくりと下へずらし、タイツの舌に穿いていたTバックを脱ぐ。  
その光景はさながらストリップショーのようだ。  
望の袴の下で、白濁の液体を噴き出して縮んでいた絶棒が、また反応する。  
やがて二人は兎の耳のカチューシャ以外のものを全て脱ぎ終わった。  
二人の裸体を見た望は「美しい」と心から感じた。  
霧のその幼い顔つきからは想像もつかないくらいに成長した豊満な胸とすらりと伸びた細い脚。  
まといのその整ったスレンダーな体型を強調する小振りの胸に引き締まったウエストと、無駄な脂肪のついていない小さいヒップ。  
バニースーツでも二人の身体のラインは分かっていたが、それを取っ払われると、さらにそのラインが明らかとなる。  
どの部分を見ても、美しいという言葉しか思いつかない。  
(き、綺麗だ・・・)  
望の心臓の鼓動は、激しく動悸していた。  
まさか自分のクラスの生徒がここまで女性として成長していたなんて思っていなかった。  
五年後、この二人はどのような姿になっているのだろうか?  
望がそう思っていたその時、二人のバスト、ウエスト、ヒップにかけて、白い綿毛がじわじわと生え始めた。  
(なっ、二人の身体に毛がっ!?)  
望がそう驚いているうちに、白い綿毛は二人の肌を覆い尽くしていく。  
やがて白い綿毛が生え終わると、二人の耳が細長くなり、頭部へ移動していった。  
その細長くなった耳の形は、ウサギの耳だ。  
そして最後に二人のお尻と背中の間から小さなふくらみが現れ、やがて丸い尻尾と変化した。  
霧とまといは、ウサギの半獣人となった。  
「こ、これは一体・・・」  
望が驚いていると、霧とまといはくすくすと笑いながら言った。  
「何を驚いているの先生?夢の中なんだから私達がウサギの半獣人になっても何らおかしくないでしょ?」  
「それに、今の姿は本番の姿。ここまで言えば先生でも分かりますよね?」  
「本番の姿って、そ、それじゃあまさか!?」  
「そのまさかだよ、先生」  
霧は望の背後に回ると、望の着ている服を脱がし始めた  
まといもさっき望が上げなおした袴をまた下へずらし、褌も手際よくはぎ取っていく。  
「そう、本番は兎の半獣人となった私達の身体で先生を気持ちよくさせてあげるよ」  
「先生、ゆっくり楽しんでいってくださいね」  
霧は背後から望に抱きつき、自分の胸を密着させ、まといはその小振りの胸の谷間へ、望の絶棒をはさんだ。  
(うあぁっ!!二人の胸の柔らかさと白い綿毛のふわふわ感が、私の理性を再び溶かしていくぅ・・・!!)  
望の絶棒は再び隆起して、白い液を発射した。  
まといの乳房と顔はべとべとになる。  
「ふふっ、先生。すっかり私達の虜となってますね」  
「でも、まだまだこれからだよ先生。先生にはもっと気持ち良くなってもらうんだから」  
霧とまといの妖艶な笑みを見て、望は愛おしさと同時に恐怖感を覚えた。  
一体いつになったらこの淫夢から解放されるのか。  
もしかしたら、ずっとこのまま覚めない夢の中で、強制的に二人に絶頂感を何度も味あわされるというのか。  
「誰か・・・、助けて・・・」  
望の意識は快楽とも絶望ともつかない、深い深い闇の底へと落ちていった・・・。  
 
望は、はっと目を覚ました。  
望はゆっくりと身体を起こして辺りを見回す。  
「ここはベッドルームではなく宿直室みたいですね」  
宿直室の窓から差し込む太陽の光がまぶしい。  
もう朝になったようだと望は思った  
「どうやら、あの夢から解放されたようだ・・・。それにしてもひどい悪夢だった・・・」  
望ははぁ、とため息をついて考えた。  
そういえばずっと前に智恵が言っていた。  
「フロイトの心理学によれば、大抵の夢が性的欲求不満の表れとされる」と。  
もしあの夢が性的欲求の不満の表れで見たものなのだとしたら、自分は霧やまといに対して、あんな淫らな思いを抱いているのか?  
あのような、破廉恥な格好をさせたいと、心のどこかでそう思っているのか?  
いかんいかん、それではいけないと望は首を振りながら思う。  
自分は教師なのだ。  
教え子である霧やまといを辱めるようなことをすれば、自分は世間の恥になってしまう。  
そうなればもうお終いだ。  
(あのようなふしだらな夢を見ないためにも、毅然とした態度で生徒に臨まなければなりませんね)  
望がそう思っていると、台所からいい匂いが漂ってきた。  
(これは味噌汁の匂いですか。小森さんが朝食を作っているのですね。では、小森さんに朝の挨拶をしに行くとしましょう)  
望は布団から出ると、台所へと足を進めた。  
台所に入ると、そこには、黒いバニースーツに身を包んだ霧がいた。  
バニースーツの上には、黄色いエプロンを掛けている。  
望は思わず腰を抜かした。  
「こ、こ、小森さんっ!?」  
「ああ先生。おはよう」  
「ど、どうもおはようございます。・・・じゃなくてっ!ど、どうしたんですか、その格好は!?」  
望は霧の着ているバニースーツを指差した。  
「ああ、これ?実は先生を驚かせたくて、この前通販で買ったんだ。  
見て見て先生、かわいいでしょ?」  
霧はその場で回って見せた。  
望は顔を赤らめながら考える。  
もしかしてこの状況も夢なのではないか?  
自分はまだあの悪夢から逃れられていないのではないか?  
まさか霧はこの後襲ってきたりするのではないか?  
そう望が思考していると、「おはやうございます」と、まといが宿直室の扉を開けて入ってきた。  
(おお、常月さんですか!常月さんはきっといつもの和装を着ているはず!やっぱりこれは現実だ!)  
望はまといに期待感を持ってまといの声が聞こえた方を向いた。  
 
望の期待感は見事に裏切られた。  
まといは白のバニースーツを着ていたのだ。  
「つ、常月さんまでえぇぇっ!?な、なんで和装じゃないんですか!?」  
「ああ、この服のことですか。実は先生をびっくりさせようと思って、前に通販で頼んでおいたのです。  
そしたら昨日届いたので、さっそく先生に見せようと、朝早くこれを着て登校してきたのです」  
笑顔でこたえるまといに対し、  
「へぇ、朝早くからそれを着て、よく周りから冷ややか目で見られなかったね」  
と、霧がきっと睨みながら言ってきた。  
「登校する時は上に和服を着てきたの。そして、宿直室の前で和服を脱いで入ってきたわけ」  
まといは霧を睨み返しながら、「これがその証拠よ」と、宿直室に入る前に脱いだ和服が入った大きめの紙袋を見せた。  
霧は「ふーん」と返事をし、  
「ていうか、バニースーツを着て先生を驚かせようと思ったのは私なんだから。私の真似をしないでよ」  
とまといに言った。  
この発言にはまといもカチンときた。  
「あら。私の方が先かもしれないじゃない。自分の方が先だなんて言わないでくれる?」  
「そ、そんなの分からないじゃない!とにかくそのバニースーツを脱ぎなさいよ!先生が目のやり場に困ってるでしょ!」  
「それはあんたもお互いさまでしょ!?そういうあんたが脱ぎなさいよ、この引きこもり!!」  
「いやよ、絶対に脱がないんだから、このストーカー!!」  
二人は交が寝ているのをよそに喧嘩を始めた。  
望はこの光景を見て、「ああ、これは夢なんかじゃない」と感じた。  
二人がああやって喧嘩をするということは、これは現実の世界なのだ。  
望がそう感じていると、二人は同時に望の方へ顔を向けた。  
「ど、どうしました、二人とも?」  
「ねえ、先生、答えて私とこのストーカー女。どっちのバニーが好き?」  
「好きじゃない方が普段の服に着替えますから」  
 
「「さぁ、答えて先生」」  
 
望は窮地に追い込まれたと感じた。  
霧とまといのどちらかを選んだとしても、さらなる修羅場になるのは必至。  
さて、どっちをとるべきか・・・。  
(小森さんか、常月さんか。それが問題です・・・)  
この数分後、智恵が宿直室に入り、バニーガール姿の霧とまといを見て驚き、  
スクールカウンセラー室に二人を連れていって説教するまで、この膠着状態は続くことになるのであった。  
 
 

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