「入って下さい、音無さん」  
望は教室の外にいる少女に向かって呼びかけた。  
今日は面談の日。生徒たちの学校での悩みを聞き、相談に乗ってやらねばならない日なのだ。  
 
(相談に乗ってもらいたいのはこっちなのにな・・・)  
望はため息をついた。  
(一人を除いて)常人のいない変人クラス:2のへの担任をしていると、日がな精神がすり減るのを実感できた。毎日が大騒ぎ、まるでまともな授業などさせてもらえない。望は疲れきっていた。  
 
しかし面談は職務だ。彼の生真面目な性格は職務怠慢など許さないし、第一世間に叩かれでもしたら・・・  
望の脳裏には、【職務怠慢最低教師、生徒の相談に聞く耳を持たずいじめを助長】と書かれた夕刊の一面がありありと浮かんでいた。  
 
とにかく今はさっさと生徒の話を聞いてしまうことだ。順番は男女差別を疑われないように女子からにし、さらにひいきを疑われないように女子の中でくじ引きをして決めた完璧なもの。その結果最初に面談することになったのがケータイ少女:音無芽留であったのだ。  
 
声をかけて数瞬の後、望の懐のケータイがなった。メールのようだ。  
『うるせーよ わかってんだよハゲ』  
本当に面談が出来るのかと、望は心配になった。  
 
望の心配をよそに、芽留は相変わらずのもじもじとした仕草でがらりとドアを開け、指導室に入ってきた。先のメールの内容など気にしていないようだ。望はますますもって心配になった。  
 
望はとりあえずマニュアル通りの質問をしてみることにした。何事もマニュアル通りが一番である。  
「率直に聞きますが、何か悩みとかありますか?」  
 
芽留は音速でケータイを取り出し、高速を超える速度でキーをたたいた。望には目視することすら出来ない。  
瞬時に望のケータイが鳴る〔ピロリロリ〕  
『先生の頭が薄くなってきたこと』  
文面を読む望を芽留は上目遣いで見上げている。バカにされていると望にはすぐにわかった。  
 
いつものことだ・・・ここで怒ったら負けだ。自分は仮にも教師、ここは器の違いってものを見せつけなくては・・・  
 
「分かりました。では何か相談したいことはありますか?」  
望は怒りを押し殺していった。  
また芽留の手が超高速で動き、程なくして望のケータイが鳴る。  
『どうしたら先生のハゲが治ると思いますか?』  
 
望は何とか耐えていた。自己保身、教師の意地、その他諸々が彼をギリギリで支えていた。すり減った望の心には、普段だったら気にもとめない芽留の毒舌メールが切れ味の悪いノコギリのようにじわじわと傷を与えて来るように感じられた。  
 
芽留の手はまだ止まっていない。  
望はケータイの着信音が鳴るまえに受信したメールを開いた。  
『後、先生の短小包茎を治すにはどうしたらいいかも知りたいです。』  
 
いくら生徒といっても、女性にこんなことをいわれるのは全く本意ではない。  
芽留の言葉のノコギリが、望のリミッターを支える柱を一本一本切り倒していく。  
芽留の手はまだ止まっていない。  
望はメールの送信を待たずに芽留のケータイの画面をのぞき込んだ。  
【あと早漏も(笑)】  
トドメだった。  
望のリミッターを支える柱はすべて切り倒され、支えを失ったリミッターは崩壊した。短小包茎?早漏?そこまでいうならやってやろうではないか。こんなに教師を舐めきった生徒には調教が必要だ。  
 
「私、かねがね音無さんがケータイを介してでしか会話が出来ないことを心配していたんですよ。あなたも不便でしょ?ケータイがないと人とコミュニケーションがとれないというのも。」  
望はジリジリと芽留に近寄っていく。  
 
芽留もさすがに望の様子が普段と違うのを見て取った。しかし、それは遅すぎた。  
望から離れようとする前に、芽留の体は指導室の長机の上に押し倒されていた。  
 
突然押し倒された芽留の目にははっきりと動揺の色が見て取れた。しかしこれからすることを思えば、この程度で動揺されてもらっては困る。  
「今から音無さんが普通に人と話せるようになるように色々と訓練します」  
芽留は必死にもがいて逃げようとするが、小柄な彼女が望の腕力にかなうわけもなく、無駄な抵抗に終わった。  
 
「これはあなたを思っての仕打ちです。悪く思わないで下さい」  
望は努めて穏やかな口調で言って、いきなり芽留に口づけた。  
「!!」  
芽留の体がこわばるのがわかる。  
彼女の手がまた超高速で動き始めた。  
望のケータイにメールが届く。望は芽留の唇からいったん顔を上げて、メールを見た。  
『離せハゲ!気持ち悪い!』  
メールボックスを閉じた望は厳しい目つきで芽留を睨み、言った。  
「あなたはいまいち自分の置かれた立場と言うものを理解できていないようですね・・・」  
 
芽留は今までこんな怖い顔をした望を見たことがなかった。芽留の中の望は、自分がどんなにメールで貶しても、バカにしても、決して怒らず笑って済ませてくれた。だからこそ気兼ね無くバカに出来た。言い換えれば、唯一気を許せる相手だった。  
その望が今こんなに怖い顔をして自分を押し倒し、睨みつけている。芽留の中にあるのは強い恐怖だけだった。  
 
望はそんな芽留の想いを気に止めることなく、低い声で静かに言った。その言葉には怒りがこもっている。  
「さっきも言いましたが、これはあなたがケータイに頼らないで人と接することが出来るようにするための訓練です。それは必要ありません」  
言って望はあっさりと芽留の手から彼女の生命線を奪い取った。  
唯一のコミュニケーションツールを失った芽留には、もはや体による抵抗も言葉による抵抗も出来なかった。  
 
「わかりましたね」  
望は芽留のケータイを懐にしまってしまうと、もう一度芽留に口づけた。今度は何の抵抗もない。ケータイを奪われた芽留には、抵抗する気力も実力もなかった。  
「これであなたは自分の口で気持ちを伝えるしかなくなりました。」  
望は一旦唇を解放して言うと、また唇を無理矢理重ねた。今度は少しずつ舌を挿し入れていく。  
「んっ・・・」  
芽留がのどを鳴らした。望の舌はゆっくりと芽留の口の中を舐め回していく。もはや芽留は捕らわれた鳥。逃れる手段など何もなかった。  
 
望の舌を口の中に挿し入れられて、芽留は混乱していた。もう逃れることはできない。ケータイもない。彼女の口の中で望の舌はゆっくりとじらすように動いている。芽留はもうその感覚に身をゆだねることにした。頭がゆだって、考えるのも億劫だった。  
その瞬間、芽留の意識がゆがめられた。  
 
息が苦しい。  
 
望の舌が自分の気道を塞いでいると気づくのに数秒の時を要した。  
望は加虐心を含んだ目で苦しむ芽留を見つめている。  
苦しみでバタバタと手足を動かしたが、望は顔色一つ変えずに芽留を見ていた。  
「っん〜〜んんっ・・・」  
芽留は喘いだ。酸素不足に陥り、意識が遠のいていく・・・。  
 
「ふふっ」  
望は笑って芽留の気道を解放した。  
「ヒュー、ヒュー、ヒュー・・ケホッケホッ」  
苦しそうに呼吸をする芽留を、望はさもおもしろそうに見下ろしていた。そして、何とか呼吸を落ち着けようとしている芽留の唇をまたも奪った。  
「んんっ・・・うう・・・」  
呼吸が落ち着かないままに口を塞がれ、芽留の表情が苦痛にゆがんだ。望は容赦なくそんな彼女の気道を塞ぐ。  
「んんーーっ!!んーっ!」  
苦痛に耐えられずに目に涙を浮かべてせわしなく手足をバタつかせる芽留の姿はさらに望の加虐心を煽った。少しずつ芽留の抵抗が弱くなっていき、その体から力が抜けていった。望はようやく口を解放し、芽留から離れた。  
芽留はもう死んだようになって気を失ってしまっている。  
 
「困りましたねぇ・・訓練はまだこれからだというのに・・・」  
望はわざとらしく言いながら、芽留の頬をペシペシと叩いた。  
 
頬に何かの衝撃を感じて、芽留は目を開けた。悪い夢を見ていたような気がする。いや、そうであって欲しいかった。しかしその期待とは裏腹に芽留の目の前、頭上には柔らかいもののどこか冷たい笑顔を浮かべた望がいた。  
 
「やめて欲しいですか?」  
望の問いに芽留は即座に首を縦に振った。  
「それじゃいけませんよ。ちゃんと言葉で説明してください。」  
望は穏やかな口調で言った。  
芽留は反射的にケータイを取り出そうとして、自分の置かれた状況を思い出した。  
ケータイは、無いのだ。つまり口で意思を伝えなければならない。芽留にはそれは出来なかった。  
まともに人と話したことなどこの十年来一度もないのだ。  
「無理なら気が変わるまで何度でもしてあげますよ?大丈夫、死なないようにはしますから」  
望の笑顔が、芽留にはたまらなく恐ろしかった。  
 
何とも反応できずに、芽留はただ望の顔を見つめていた。  
もう何年も人と会話なんてしてない。もう仕方すら忘れてしまった。メールで毒を吐くのも本当は自分が弱いからだということは、芽留自身が一番よく知っていた。  
 
「・・・何の反応もないということは続けて欲しいということですよね。」  
望は“言葉に詰まって”しまっている芽留に少しずつ近づいていった。  
 
望の顔が近づいてくると、芽留は怯えて身を縮こまらせた。必死で望を拒もうとするが、やはり敵うわけもない。  
 
望が芽留に口づけると、芽留は一層身を固くした。  
強い怯えでガタガタと体を震わせている姿を見て、望は気道封じが彼女に与えた影響の大きさに驚きながらも納得していた。  
 
今日はこの子をしっかり調教しなければならない。もう二度と自分に逆らわないようにしなければならなかった。  
 
しかし、ブルブルと体を震わせて必死に恐怖に耐えている教え子を見ているのはやはり辛かった。  
自分は教育者としても調教師としても所詮二流かと、望は自虐的な気持ちになった。  
 
しかしいつまでも舐められたままでも困る。望の頭の中で、手法が入れ替わった。  
 
「仕方ありませんね。これではあなたがあんまりかわいそうです。」  
 
言って望は芽留から体を離した。  
 
芽留は安堵した。やっと終わる。いますぐにでもここから逃げ出したかった。  
 
「あなたにはちょっと手法を変えて会話不全を治してもらいます。大丈夫、苦しいことなんてありませんよ・・・むしろ・・・」  
望は邪笑を浮かべて芽留を見た。  
 
芽留は安心した。何ら確証はないが、苦しくないならと淡い期待を抱いている。  
 
芽留の期待とは裏腹に、彼女の苦痛はこれからが本番だった  
 
「とりあえず逃げられてもらっても困りますので」  
望は旅立ちパックから首吊り用の縄を取り出した。  
「不自由な思いをさせてしまいますが、これもあなたのためです。」  
自己弁護の言葉を口にしながら、望は芽留を長机の上にしっかりと押さえつけ、両手足を長机の四本足に縛り付けた。ちょうど十字架に張り付けにされているような体勢で、芽留は身体の自由を奪われた。  
 
「苦しくないなら安心」という自分の安堵は間違いであったかもしれないと、芽留はようやく感づいた。しかしもう遅い。長机に縛り付けられ、ケータイをも失った芽留にはもはや抵抗の余地はない。  
いや、もし先に気づいていたとしても芽留に逃れる術など無かったのだが・・  
 
「じゃあ音無さん、訓練の第二段階です。さっきも言いましたが、この訓練には何の苦痛も伴いません。まあ手始めに」  
言って望は芽留の胸に服の上から触れた。彼女の顔がこわばるのがわかる。  
さすがにまずいような気もするが、口づけの時点ですでに一線は越えた。後々のためにしっかりと調教しておかねばならない。もしこれで会話不全が治れば一石二鳥というやつだ。  
望は勝手に自己完結して服の上から芽留の胸を努めて優しくなで、さすり、ほぐしていく。想像通り小さいが、丹念にまさぐっていった。突起はわざと外して、じらすように小さな膨らみだけに刺激を与えていく。芽留の顔が少しずつ紅潮し始めた。  
 
「はぁはぁ・・・」  
芽留の呼吸は少しずつ荒くなっていった。必死で望を拒絶しようと手足を動かすが、縄で縛られていて身動きがとれない。  
望はそんな芽留の抵抗を後目に今度は服の上から強く胸を握った。  
「!!」  
芽留の顔が痛みにゆがむが構わずもみしだいていく。  
「んっ・・・んん・・はあ・・はっ」  
痛みに芽留の呼吸は荒くなる。望は休まず胸をつぶすように握り、引っ張り、また押しつぶした。  
 
「痛いですか?おかしいな。やはり服の上からという発想が間違いでしたかね。」  
わざとらしく言うと、望は芽留の制服のネクタイに手をかけた。  
 
芽留がひきつった顔で睨んでくるのも構わず望は彼女の制服のネクタイをするりと引き抜いて前をはだけさせ、白い下着を露わにさせる。  
「重っ!」  
芽留の制服の内側には相変わらず大量の携帯電池。  
「これからはこれも必要なくなりますからね?」  
電池は無視して芽留の背中と長机の間に手を突っ込み、ブラのホックを外した。  
「・・・うぅ・・・」  
芽留は抗議の視線を向けてくるが、それすらも望の加虐心に拍車をかけるだけである。白いブラは一気に剥がれた。  
 
下から出てきたのは服の上からさわったときの印象そのままの小さな胸だった。自分の密かなコンプレックスを他人に見られる羞恥心に、芽留は顔を真っ赤にして目を背けている。  
「今度は大丈夫です。ちゃんと痛くなくしてあげますから」  
望は胸を直に揉み始めた。さっきと同様乳首を避けてゆっくり優しく、じらすように刺激を加えていく  
「・・・っ・・う・・」  
芽留の顔の赤みはまし、呼吸はさらに荒くなっていく。望はさらに乳輪に沿って輪を描くように刺激していく。  
「ひっ・・はあ・・」  
次第に乳首が熱を持ち始め、固くなってきた。  
「声を出してもいいんですよ?そのための訓練なんですから」  
そういわれたって芽留には人に簡単に口を利くことなんて出来ないし、第一何でそのためにこんなことをされているかわからない。答えようがなかった。  
 
望は唐突に今まで避けていた突起を指でつねった。  
「んぁぁ!」  
芽留の意志とは関係なく勝手に声が出る。  
「わかりませんか?この『訓練2』の目的は声を出すことに慣れることにあるのです。」  
そのまま乳首を親指と人差し指とではさみ、すりすりすりと刺激する。  
「ひゃ・・ん・・・ひぐっ!」  
望の愛撫に芽留は少しずつ反応し、艶を含んだ声を上げ始めた。  
「その調子ですよ」  
望は乳首を口に含み、舌で優しく転がした。  
「ふっ・・ひゃあ!」  
望には今までの反応から芽留の胸の弱点が分かっていた。  
小さいながらも感度のいい胸が、望の舌技によって開発されていく。  
「ゃあ・・・ひにゃあ!!!」  
突然乳首に歯を立てられ、思わず大きな声が出る。  
「ふふふ・・・かわいい声ですねぇ・・・もっと聞かせて下さい」  
強弱をつけて歯を乳首に食い込ませ、強めの刺激を与える。  
気づけば芽留の胸は固くとがり、赤く充血してしてしまっていた。  
 
「はあ・・はあ・・」  
芽留が必死に呼吸を落ち着けているのを、望は笑みを浮かべて見下ろしていた。  
「そんなに乳首をコリコリにして・・・感じていたのですか?全く・・私がせっかく訓練してあげているというのに。いやらしい子ですね」  
未体験の快楽によって生み出された羞恥心を煽るように言うと、芽留の瞳に涙が浮かんだ。  
 
彼女の声をまともに聞いたのは夢の中以来である。体つきに見合った高めの本当にかわいらしい声だ。もっと聞きたい、もっとよがらせて、彼女の声を自分の物にしたい、そんな欲求が望の中に芽生え始めていた。  
 
ストレスのはけ口としての調教対象から単純な欲求のはけ口としての調教対象へ。芽留の位置づけが変わっっていった。  
 
望は芽留のスカートの中に手を突っ込んだ。  
「!!」  
反射的に望の手を払いのけようとする芽留だが、手足を縛られていて抵抗できない。そのまま下着の上からの秘部への愛撫が始まった。  
 
芽留の秘部は胸への愛撫ですでに下着の上からでもわかる程の大量の蜜を分泌していた。望の指が敏感になっているそこの上を弱いタッチで滑っていく。  
「ひんっ・・・ふはぁ・・・」  
まだ呼吸の整わないまま責めを再開され、芽留は苦痛と快楽を同時に味わう  
 
「こんなに濡らして…訓練中に感じているなんてなんていやらし子なんでしょう…」  
望は下着の上から強く秘裂をなぞった。「くぅん!」  
望の人差し指は秘裂を往復していく。  
「ひゃっ…んっ!」  
(このまま言葉で苛めるのも乙ではありますが、やはり体に快楽を教え込んでおいた方が後々まで楽しめますしね…)  
望は快楽責めによる調教を路線にしている。まぁ芽留を喋れるようにすると言うのも口実ではあるが、そうなってもらいたいというのも本音だ。最終的に自分の言うことなら何でも聞くという風にしておけば、それも不可能ではないだろう。  
 
ならば快楽地獄というものをこの子に体験させておきたい。  
 
望は指を秘裂の上部に置き、芽留の蜜でトロトロになったそれで、下着の下の突起を探り出した。  
望はその突起を親指と人差し指で挟むと、軽くつねった。  
 
「ひにゃあああ!!」  
突然の激しい快感に芽留は甲高い声を上げた。望の指はなおも芽留の核をこねくり回す。  
「ひゃっ!あふっ!」  
 
芽留は強すぎる快楽から逃れようと体をよじるが、張り付けられていて身動きがとれず、抵抗にすらならなかった。  
 
望の指が芽留の核を挟み込み、こすりあげる。  
「んんっ!やあっ!」  
下着の上からとはいえ初めて体感する感覚に、芽留の意識は朦朧とし始めた  
 
(一旦イってもらいましょうか…快楽責めならとにかく早めに性の悦びに目覚めてもらわなければいけないのですよ)  
望は核を強めにつまんだ。  
「ひゃああああああああっ!!」  
 
望の指は強く核をはさみ、クリクリと刺激していく。  
「いっん…ひぁあ!くはあああああああっ!!!!」  
芽留の初な体は望の執拗な責めに耐えることができなかった。小さな体が弓なりに曲がり、ビクンと体を震わせながら芽留は果てた。  
 
人生で初めての絶頂の余韻に、芽留はまともに動くことができなかった。  
男との行為の経験がないのは当然だが、芽留には自慰の経験すらなかった。  
 
元来人と話すのが苦手な芽留には、まともな性知識は備わっていなかった。誰とも面と向かって話せない。必然的に話し相手はネット世界の住人のみに限定されてしまう。  
 
そんな環境に生きる芽留が『オナニーをするとバカになる』などという俗説をネットで見かけ、信じ込んでしまうのも当然といえば当然である。  
 
芽留は今までそれを信じて頑なに自慰行為を自制していたのだった。快楽は自分を壊す、と。  
 
しかし初めて訪れた快楽の波は、そんな意思などあっさり押し流してしまった  
 

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