「うーん、弱りました」  
「どうしましょう、先生」  
 あびると望はホテルの一室で苦悩していた。  
 
 未知の原型を留めた古代生物(のしっぽ)発見のはずが、旧日本兵を発見して  
しまったのだ。  
 このままでは、第一発見者として二人がマ スコミに登場せざるを得ない公算が  
強い。  
 
 だが、今二人がマスコミの前に出ることは、各々が社会的生命を断たれることを  
意味する。  
 時節柄、「破廉恥! 独身高校教師が教え子の女子高生とプライベートでしっ  
ぽり海外旅行!」などといった美味しいネタをマスコミが逃す筈がない。何とし  
ても秘密裡に帰国する必要があった。  
 
「うーん」  
「…とりあえず、ホテルの人に相談してみては」とあびるが言った。  
「なるほど、それもそうですね。ダメもとで聞いてみますか」  
 
 望はフロントに電話を掛け、ホテルの主人に――コンシエルジュなどという者  
はいない、ごく小さなホテルの二人は滞在していた――事情を説明し相談してみ  
た。  
 
 主人はしばらく唸っていたが、どうやら良い考えを思いついたらしい。あとで  
ボーイを遣るから、そいつに詳細を聞けと言ってきた。  
 
 主人に謝して受話器を置いてから10分くらい経った後、望たちの部屋をノック  
する音が聞こえた。  
 
 入ってきたのは、まだ若い、子供といってもよい年齢のボーイだった。どこと  
なくマ太郎と目鼻立ちが似通っている。  
 
 何でも、早朝にチェックアウトし、ホテルのプライベートビーチから舟で近く  
の無人島へ渡る。昼間そこのジャングルで探検をする。夕方船で迎えに来るから、  
それに乗って別の島にある主人の親戚がやっているホテルに泊まり、翌朝そこか  
ら空港へ向かうのではどうか、というのだ。  
 
 諦めかけていた探検まで出来るとあって、二人ともこの案に飛びついた。  
 
 翌早朝、まだ日の出前のプライベートビーチは静かだった。  
 ルルルルル…と軽やかなエンジン音を響かせて、二人と昨夜のボーイ(操縦役)  
の三人を乗せたボートが沖に出ていった。  
 
「ところで、その島の名前は何て言うんですか」望がボーイに尋ねた。  
「ホモマンガシマ、イイマス」  
「ホモマンガ島? ……インドネシアにはエロマンガ島ってのがありますが…」  
「藤吉さんが好きそうな名前ですね」あびるが冷静に感想を述べた。  
 
「へくちっ」暗い部屋の中でくしゃみの音が聞こえた。  
「……どうしたの。風邪?」くしゃみの主の隣で寝ていた千里が眠そうな声で尋  
ねた。  
「…うー…昨日すっ裸で寝ちゃったから、寝冷えしたのかもしれないわね」晴美  
がやはり寝ぼけ声で答えた。  
 
 二人とも布団を掛けているものの、裸である。昨晩、久しぶりに晴美の家に千  
里が遊びに来たのだ。晴美が夏コミでゲットした新刊を文句を垂れつつ読み耽っ  
ている内に、その中の一冊のシチュエーションをふざけて二人で演じていたら思  
いがけず燃え上がってしまい、つい一戦交えてしまったのだ。  
 
「それはいけないわ。私がきっちり暖めてあげる。」千里が晴美をぎゅうっと抱  
きしめてきた。  
「ありがとう、千里。…って、なに変なとこ触ってるのよ」  
「体温を上げるお手伝いをしてるのよ。」  
「あ、はぁ…。もう、千里ったらぁ」晴美が甘く掠れた声で喘いだ。  
 
 
 
 南の海はすっかり明るくなった。ボートの上で、ボーイが二人に島の様子を説  
明していた。  
「シマニハ、カワ、ジャングル、アリマス。イロンナイキモノ、タクサンイマス。  
キレイナアオイトリ、イルヨ。ナガイナガイシッポ、トテモキレイネ」  
 
「しっぽ?」あびるは即座に反応した。ますます島での探検が楽しみになってい  
る様子である。  
 
「ワタシタチ、コノシマニハ、オトナニナルショウコヲサガストキダケ、キマス。  
アオイトリノハネミツケルト、オトナニナリマス。ズットズットシアワセニナレマ  
ス」  
 
「ははあ、成人を迎えるための通過儀礼みたいなものですね」  
 
「デモ、キヲツケテクダサイ。ヘンナクサ、ハエテマス。ヒト、ドウブツ、ツカ  
マル、イノチアブナイ」  
「捕まえる? それは怖いなあ」  
 
「オトコツカマル、シボリマス。オンナツカマル、タネウミマス」  
 二人は一瞬、前途に不吉なモノが待ちかまえている錯覚を覚え、一抹の不安を  
感じた。  
 
「ハナレバナレニナル、アブナイ。イツモイッショニイル、アンゼンネ」  
「なるほど…よく分かりました」  
 
 日がすっかり昇った頃、島に着いた。  
「デハ、ユウガタチョトマエニ、ムカエニキマス。ドゾ、ガンバテクダサイ」  
 
 ボーイを乗せた船が行ってしまうと、あたりは穏やかな波の音だけになった。  
「じゃあ、行きましょうか」望があびるに声を掛けた。  
「ええ」決意を胸に秘め、あびるが応えた。  
 こうして二人はジャングルへ分け入っていった。  
 
 
 ジャングルに入って来た二人を迎えたのは、濃い緑とじっとりした湿気だけでは  
なかった。甘い芳香が立ち込めているのだ。だが、爽やかな甘さではない。何と  
いうか、濃厚にねっとり甘ったるいのである。  
 
「こ、これは…」しばらくクンクンと鼻を鳴らしていた望が言った。  
「イランイランの香りにそっくりです」  
「イランイラン?」  
「ほら、あの花をご覧なさい」  
 
 望が頭上を指差した。見ると、木々の間にぽつぽつと黄色だか薄いオレンジ色  
だかをした花が咲いている。花びらは細く枝分かれして、だらしなく垂れ下がっ  
ている。  
 
「あれ、イランイランの花によく似てますよ。先生、前にアロマテラピー検定の受  
験勉強をしたことがあるんですけれど、学科試験に加えて実技試験があるんです  
よ。そのために精油の香りを20種類覚えたんです。その時覚えた中の、イランイ  
ランにそっくりです」  
 
「なるほど…例えば、ラベンダーには精神をリラックスさせる作用があるって言  
いますよね」  
「そうそう。それで言うと、イランイランはロマンチックな夜のための香り…つ  
まり、催淫作用があるんです」  
 
「こんな二人っきりの時に、何下ネタ言ってるんですか」あびるは努めて冷静に  
突っ込んだ。  
 
 望は鳩が豆鉄砲を食らった顔つきになったが、我に返ると顔を真っ赤にして言  
い繕った。  
「いや、本当ですって。下ネタじゃないんですって。信じて下さいよ。セクハラ  
じゃありませんからっ」  
 
 
 だいぶ奥まで来たようだ。木々が鬱蒼と茂っている。人の肩ほども背丈のある  
草の茂みがそこかしこにある。名も知れない南方系の植物がそここに生えている。  
当然、森の中は昼なお暗い。  
 イランイランらしき濃厚な香りがますます密度を増してきた。川が近くにある  
ようで、水の流れる音がしている。  
 
 はっとした。視界を青いものが飛んでいる姿が横切ったのだ。  
 
 小型の鳥だった。  
 
 優雅に舞うように、二人の目の前を楽しげに飛んでいる。長いしっぽが流れる  
ように曲線を描いている。新体操のリボンの動きのようだ。仄かに漏れてくる日  
光を反射して、きらきらと瑠璃色やら玉虫色やらを反射している。  
 
 
「しっぽー!」あびるはがいきなり駆けだした。無理もない。もしこのしっぽ  
(正確には尾羽か)を手に入れることが出来れば、あびるのしっぽコレクショ  
ンの中でも有数の希少アイテムになることは間違いないからだ。  
 
 だが、離れて行動するのは危険だ、とボーイが忠告してくれたのを望は思い出した。  
 
 はっと気づいたときには、あびるの姿はジャングルの木々の葉の間に隠れ、見  
えなくなり始めている。望は慌てて追いかけた。  
 
「小節さん、待ちなさい! 離れたら危険ですよ〜! …怖いから待って下さい  
〜〜〜!」  
 
 
 あびるの右手が鳥のしっぽをはっしと掴んだ。  
「やったあ!」あびるの顔は、目的物をゲットした喜びに溢れた。  
 
 数メートル先では、必死に逃げようと翼をバタつかせている鳥の様子が窺える。  
 だが皮肉なことに、その羽音のせいであびるは自分に迫っている危機に気付く  
のが遅れた。  
 
 いつの間にかあびるの足下に忍び寄っていた蔓が、スウッと頭をもたげたかと  
思うと、いきなり左足首に巻き付い  
た。  
 
「?!」  
 異様な感触に気付いたあびるは、左手で――右手はしっぽで塞がっている――  
蔓を解こうとした。  
 だが、それはびくともしない。片手で思うように解けず焦っている間に、右足  
首にも蔓が絡まってきた。ハッと右足首に気を取られた瞬間に、左足首に二本目  
の蔓が取り付いた。  
 
 あびるは明らかに異変を、自分の危機を感じた。背筋がシーンと凍えてきた。  
その間にも、周囲の木の根本付近からそれぞれ数本の腕が伸びてきてあびるの両  
手首に絡み付いたかと思うと、強い力で後ろに引っ張った。あびるはたまらず引  
き倒された。  
 
「きゃあああーーーーっ」  
 ようやく悲鳴を上げたときには、既に両手足を大の字に広げられた状態で拘束  
されてしまっていた。  
 
 やがて、襟口からそろそろと細い蔓が入り込んできた。インナーの上からと下  
からとを問わず、競って胸を目指しているようだ。  
 くすぐったくもおぞましい感覚に、あびるは全身に鳥肌が立った。  
 
 背中からも別の蔓が肩を通って胸に回ってきたかと思うと、ジワジワッと豊か  
な膨らみの裾野に巻き付いた。そして段々と絞り込んできた。  
 
 上から胸に絡み付いてきた蔓は、ごそごそと裾野を這い回っていたかと思うと、  
頂に向かって足を伸ばした。桃色の頂やその付近を蔓が掠めると、最初はムズム  
ズするだけだったのに、すぐに自分でも驚くほど快美な電流が体内を走るように  
なった。  
 
「い、いやっ…こんなので感じてしまうなんて…私おかしくなったのかしら」  
 あびるは身をくねらせた。蔓はますます勢いづき、あびるの全身を窺う勢いで  
その数を増やしていった。  
 
 先発隊に遅れて首筋に伸びてきた蔓も、あびるの胸元へと入り込んでいった。  
進行に邪魔になる探検服のボタンを器用に外しつつ、上半身でのたうち始めた。  
 
 胸から発生した甘美な電光は、あびるの下半身にも作用した。いつの間にか、  
あびるの中はしっとりと潤い始めていた。  
 
 その潤いを求めているかのように、探検服のズボンの裾から、細い蔓が何本か  
侵入してきた。探検服の社会の窓――探検服は男女共用なので、社会の窓が付い  
ている――からも、丁度望の時と同じように、淫らな蔓が侵入してきた。  
 
 蔓が太腿を這う感触に、あびるは再び鳥肌が立った。蔓自体はつるつるしてい  
るのに、全体にごく細い繊毛がびっしり生えていて、それが何だか湿り気を帯び  
ているのだ。まるで、さらなる湿気を求めて涎を垂らしている極小の獣たちが、  
無数に自分の肌を舐めているかのようだった。  
 
 蔓は、しばらく思い思いに太腿の付け根のあたりやパンツの上から秘所を這っ  
ていたが、やがて何本かが隙間から中へ侵入してきた。  
 腹の方からも、何本かがパンツのゴムを果敢にかい潜って侵入してきた。  
 
「あ…いや、いやぁ」あびるは蔓が自分の草叢を我が物顔に散歩して回る感触に  
我慢ならなかった。もっと我慢ならないことに、その蔓の動き自体が下半身に甘  
いジンジンした痺れを呼び覚ましつつあった。  
 
 やがて、一本の蔓があびるの中へ入り込んできた。  
 
「あああ…いや、いやぁ」  
 あびるは異物感に身を捩った。だが、まるでその動きをずる賢く利用するかの  
ように、蔓はくねくねっと這いつつあびる自身の中へ侵入していった。  
 
 一方、あびるとはぐれてしまった望は焦って辺りを探し回ってていた。が、  
「きゃあああーーーーっ」という悲鳴を耳にすると、聞こえてきた方角に向かっ  
て駆けだした。  
 
「小節さん! 大丈夫ですか!」  
 だが、足元にごつごつした太い根が不規則にうねっていて、思うように走れな  
い。かなり経って、ようやく目の前の木々の葉の間から、草むらに横たわったあ  
びるの姿がちらりと見えた。  
 
「小節さん!」と声を掛けて駆けだしたとたん、  
「あっ」  
つい、足元の根に躓いてしまった。どっとつんのめって前に倒れた。  
 
 その時である。ちょうど倒れた望の上に張り出していた木の太い枝から、何本  
もの蔓がしゅるしゅるっと下りてきて、望の両手首、そして両足首にしっかり絡  
み付いたかと思うと、ぎり、ぎり、ぎり、と空中へ引っ張り上げていく。  
 
「ああっ! は、放せ! 蔓!」望は必死にもがいたが、巻き付いている蔓はビ  
クともしない。  
 
 とうとう望は地上数メートルの枝から、エビぞりの状態で釣り下げられた形と  
なった。  
 
 ここでふと下を見ると、あびるが自分と同じように両手足を蔓に絡み取られ、  
大の字に拘束されているではないか。探検服の前ボタンはすべて外れ、インナー  
が所々綻んでいる。その綻んだところやら、服の内側やらを無数の蔓が這い回っ  
ている。見ると、あびるの秘部にも蔓は容赦なく襲いかかっているようだ。  
 
「こ、小節さん、大丈夫ですか!?」  
 
「先生!」蔓のもたらす感覚と必死に戦っていたあびるは、思わぬ方向から望の  
声がしたのを耳にすると、思わずそ  
の方向を見上げた。あびるの目に飛び込んできたのは、自分の上数メートルの位  
置で、空中に拘束され固定されている望の姿だった。  
 
「ああ、先生!だ、 あぁっ」大丈夫ですか、逃げて!と言おうとしたあびるの叫  
び声は、下からあびる自身の中に伸びていた蔓のイタズラで中断された。あびる  
の恥ずかしい汁を啜っているかのような動きをしたのだ。  
 
「ああ、先生、見ないで…」  
「小節さん…」下で展開されている光景に不謹慎にも欲情しかけた望は、自分の  
浅ましい心を打ち消しつつあびるに声を掛けた。  
 
「小節さん、逃げて、逃げて下さ…ひあっ!?」  
 
 望のズボンの社会の窓のボタンの隙間から器用に入り込んできた蔓に、その呼  
びかけは中断された。  
 
 蔓は絶棒を下着の上からごしょごょとなぞっていたかと思うと、前の取り出し  
口から中へスルッと入り込んだ。  
 
「ひ、ひいっ!」異様な感触に望は戸惑った。  
だが、蔓はそれ以上絶棒をいたぶる  
ことはなかった。何本かが絶棒に巻き付くと、あっさりと社会の窓から絶棒を露出  
させてしまった。まるでいつも家に閉じこもっている絶棒に、外の空気を吸わせ  
たがっているかのようだった。  
 
「ああ、小節さん、見ないで下さい…」  
 だが、数メートル下の女生徒に絶棒を開陳した羞恥心に駆られる暇はなかった。  
望の目の前に大きな黄緑色のバナナ状の袋――あるいは小型のコテカ(ペニスケ  
ース)状のモノ――が1つ、思わせぶりに垂れ下がってきたかと思うと、すすす  
ーーっと下半身の方へ移動していったからである。  
 
 袋の行方を目で追っていた望は、それが自分の絶棒の真下で泊まったのを目に  
した。  
 
「ま、まさか…」不吉な予感がした。  
 
 その予感の通り、袋の上に被さっていた蓋がかぱっと開いたかと思うと、絶棒  
を下から咥え込み始めた。そして、絶棒の根本まですっぽり飲み込んでしまった。  
 
「ひゃあああ!」袋の中の異様な感触に、望は全身に鳥肌が立った。その中には  
液体が詰まっていた。それに加えて、ぬめぬめっとした小さな粒々が、絶棒を不  
規則に刺激してきたのだ。  
 
 ぺちょぴちょっ。くちゅぐちゅっ。  
 
 ここで望は不意に、小学校時代に眺めていた植物図鑑のある頁を思い出した。  
 食虫植物の頁に、ウツボカズラというものが載っていた。確か、ウツボカズラ  
は袋の中に落ちた小さな昆虫を粘液で溶かし、それを吸って養分にする。…という  
ことは、私の絶棒も…  
 
「ひああああ、イヤだ、イヤだああ!! 私のナニが溶ける、溶かされちゃいます  
〜〜〜!!!」  
 
 今や中の動きに刺激され情けなくも勃ってしまっていた絶棒を制御することも  
出来ず、望は絶棒が溶けて無くなってしまう恐怖に背筋が凍った。何とかしてこ  
の袋を振り落とそうと有らん限りの力を振り絞って全身を揺さぶった。  
 
 だが、そんな望の努力をあざ笑うかのように、袋の中の動きはますます激しく  
なり、絶棒を追い込んでいった。  
 
 あびるの秘部に侵入してきた蔦だが、その侵入の仕方がまた憎らしい。一目散  
に奥を目指すのではない。襞の一枚一枚をなぞるように、じわ、じわっと自分を  
襞のうねりに沿わせてゆっくり進んでいくのだ。まるで、繊毛で襞の恥ずかしい  
滑りを吸収しているかのようだった。  
   
(ああ、感じてはいけない、感じてはいけないのに、…)あびるは必死に感じま  
いと念じた。だが、蔓の予想外の巧みな動きに、仕方のないこととは言え、本来  
ならあの時のためのモノである恥ずかしい蜜がじわじわっと湧いてきてしまった。  
 
 すると、その蜜を舐め取ろうとするかのように、蔓が勢いを増してあびる自身  
の中を這い回った。そして、その勢いがまだ草叢を這っていた蔓にも伝わったの  
か、それらも続々とあびるの中に侵入してきた。  
 
「くああ、あああぁ…そんな…いやぁ」  
自分自身が徐々に広げられていく感  
覚にあびるは喘いだ。密かに感じていた快感が一挙に数倍になったのだ。  
 
 
 今や、何本もの蔓が、縦横無尽に中を這いずり回っては痺れるような快感を全  
身に送っていた。  
 もちろん、下が頑張っているからといって上の蔓が一休みするわけではない。  
胸を愛撫していた蔓は、あびるが下も感じ始めるとなお一層その動きを強めた。  
 
(ああ、はああん…せ、先生に見られているのに、そんな…いやぁぁ…)  
 
 上下から発する強烈な快感に、あびるは抵抗しようとする意識がともすれば飛  
びそうになるのを必死で堪えた。  
 
 気が付くと、目の前に無花果状の赤黒く熟した実をつけた枝が伸びてきていた。  
どうやら自分に食べさせようとしているらしい。  
 
 突然、あびる自身の中で数本の蔓が共同して奥の快感スポットを強く突いた。  
 
「はああっ!」思わず叫び声が出た。口を開けてしまったところに、先程の実を  
落とし込まれてしまった。  
 
 口の奥で潰れたそれは、濃厚なココナッツミルク味に続いて、甘ったるい果汁  
をあびるの口腔にほとばしらせた。嚥下してしまうと、カッと体中が火照ってきた。  
 
(ああああ、何か変よ…)  
 
 全身が燃えるように熱い。相変わらず胸を這っている蔓からの刺激が、とても  
心地よいものに感じられる。あびるは自分の胸の双丘の頂が勃起していることを、  
恥ずかしながら自覚した。それらはジンジンと痺れ甘美な電流を発し、精一杯背  
伸びして快感を訴えている。  
 
 ふと望の顔が目に入った。視線が合った。望は慌てて目を反らした。  
 
(ああ…こんなはしたない姿を先生に見られている…!)あびるは羞恥で顔から  
火が出る思いになった。  
 
 望を見てみると、彼の股間にはバナナのような袋がぶら下がっていて、もぞも  
ぞ蠢いている。おそらくは絶棒を飲み込んでいるのだろう。望も真っ赤な顔をし  
て、時折首を左右にうち振っている。顔の近くにあの赤黒い実の付いた枝が何本  
も待機している。  
 
(ああ、先生も責められてるのね…快感に耐えてるのね…)  
 
 私が責めているときと比べてどうかしら…と考えた途端に、あびるはこれまで  
になく鋭い快感が下から沸き起こるのを感じた。さっきまで中にいた蔓より遙か  
に細い蔓が、真珠に絡み付いてきてキュッと絞ったからだ。  
 
「きゃああううっ!!」あびるは思わず叫んだ。目の前を大量の火花が飛んだ。中か  
ら蜜液がじゅわっと滴ってきた。  
 
 この反応に気を良くしたのか、細い蔓は肉芽だけをターゲットにして活動し始めた。  
 
「ああ、いやああ、ひゃああううん」あびるは嬌声を挙げ続けた。  
 
 細い蔓は、あびるの肉芽に巻き付いてすりすりっと移動、解ける、という動作  
を飽きずに繰り返した。時には巻き付いた後に締め付け、さらにきゅっ、きゅっ  
と絞り込むような動きも見せた。  
 
 この責めにあびるの真珠は堪えきれず、隠れていた姿を現し始めた。  
 蔓としては、それを見逃すはずはない。真珠と覆いとの隙間に入り込もうとす  
るかのように繊毛を蠢かしながら、隙間に残る蜜を掬い取るかのように、こそげ  
取るかのように執拗にじゅくじゅくと擦り上げた。  
 
(ああ、はああ…ああん……)あびるはもう声も出ない。自分では体験したこと  
のない快感を、なぜこの蔓が発生させているのか、分からない。もう、もう…  
 
 頭が真っ白になった。軽くイったようだ。  
だが、――それでも蔓は動きを止めない。あびるは再び追い込まれつつあった。  
 
 
 湧き出た泉の水を共同して啜っているように活動していただった蔓が、いつの  
間にか揃ってあびるの入口を広げるかのような動きをしていた。  
 
 一瞬責めの間が空き、あびるがほっと一息ついた途端ぬに、今までの蔓とは全  
く違ったモノが入り口を窺う動きを感じた。  
 
「……?」  
 快感で痺れた頭を持ち上げ、股間を眺めたあびるは息を呑んだ。  
 
 直径数センチはあろうかと思われる茎――いや、枝と言ってもいいかも知れな  
い――があびるの中に侵入しようとしていた。  
 
 触手に嬲られているときには感じなかった「犯される」という感覚が、今度は  
ひしひしとあびるに迫ってきた。  
 
(ああ…そんなの、ダメ…先生のでないとダメ…先生しか入れたらダメなのに…  
先生、ごめんなさい…ああ、いや、入ってこないで! お願い、止めて!!)  
 
 だが、あびるの願いも空しく、それは易々と侵入してきた。  
 
 ずっ。ずにゅっ。ずにゅっ。ずにゅっ。  
 
「はああああああっ」  
 
 圧倒的な存在感だった。だが、さきほど蔓に嬲られていたせいで、痛みは感じ  
ない。それに、この太枝自体も表面は滑っていたし、先ほどあびるを狂わせた繊  
毛で覆われていたのだ。  
 
 奥まで侵入してくると、それはあたかもオトコがそうするように律動を始めた。  
 
 
 太枝があびるの中で動く度に、極彩色の仕掛け花火が瞼の奥で飛び交った。次  
から次へと生み出される快感の渦が脳を痺れさせ、あびるの全身を溶かしていく。  
 
(あああ…先生、先生……助けてえ……私、堕ちちゃう…)  
 
 さきほど突かれて哭かされた秘密のスポットを、この枝はいとも容易に最初から突いてきた。  
 
「はああああん…」また叫んでしまった。  
 
(ああ…先生以外で感じてはダメなのに…感じてしまう…ああ、先生、ごめんなさい。先生、先生…)  
 
 もがく力が薄れてきているのか、抵抗する勢いが鈍くなっている先生の姿があ  
びるの目に入った。先生の目は開いているようだ。  
 
(ああ、先生に、この枝に犯されている姿を見られている…先生以外のモノで感  
じている私を見られている…恥ずかしい私を…)  
 
 やがて、先程からあびるの菊座を寄って集ってマッサージしていた蔓に交じっ  
て、別の枝が菊花の中心をノックしていることに気付いた。  
 
「え、あ、い、いやっ! そっちはダメ!」  
 痺れるヒップをわずかに捩って逃げようとしたが、口内へ新しい実を押し込ま  
れてしまった。  
 
 またも濃厚なミルク味に続いて、甘い果汁が口中で広がった。  
 先程にも増して身体が熱を帯び、抵抗する動きが鈍った。  
 
 その機会を逃さず、すっかり解されてしまった後ろに先程の枝が一気に侵入し  
てきた。  
 
「はううぅぅぅっ!」  
 
 前の太枝は最初はゆっくり動いていたが、今度の枝は最初から激しくあびるを  
蹂躙した。  
 
「ひああ、ああ、ふああっ…」  
 
 だが、あびるの喘ぎ声は長くは続かなかった。先程口に果実を送り込んだ後そ  
のまま残っていた枝に、細い蔓が何本も絡み付いてきて、口腔内はおろかあびる  
の喉まで犯し始めたからだ。  
 
「あ、あぐ、あ、あ……」  
 
 太枝が前と後ろ、それに口のトリオで動き、あびるを奈落の底へ追い詰めていった。  
 
 さらに、休むことなくあびるの全身を這い回っていた蔓も、ここぞとばかり動  
きを活発化させた。  
 
(はあ…そんなに激しくされたら、もう、もう…私もう、堕ちちゃう……)  
 
 息も絶え絶えなあびるは、自分の前に入っている太枝をふと眺めた。その太枝  
は視界の端に写っている茂みから出ていたが、そこで何かがガサッと動いた。  
 
 薄れゆく意識の中、必死でそれを見ると、太枝の根本から、何かが太枝の中を  
伝わってゆっくりとあびるの方へ向かってきていた。  
 
 あびるは、本能的に受胎の危機を感じた。  
 
(はああ…あれが、「タネ」なのね。あれをお腹の中に入れられたら、私、おし  
まいなのね…)  
   
 前後の枝の抽送はますます情熱的になった。ほとばしる蜜液を啜ろうと、蔓が襞  
の合間を蠢く。胸に巻き付き絞り上げ、全身にまとわりついいている蔓も、あび  
るの発する汗やフェロモンを少しでも吸収しようと必死に絡み付く。あびるに抵  
抗の余地はなかった。  
 
 「タネ」は、太枝の中を緩慢に、だが着実にあびるにむかって移動してきてい  
た。ちょうど蛇が鶏卵を飲み込んだような外見で、その中の卵がずるっ、ずるっ  
と移動するようだった。  
 
(あああ、もう、逃げられない…私、あんなタネをハラまされてしまう…)  
 
 太枝を突っ込まれている前から発する快感、後ろから生じる快感が下半身に伝わ  
ると共に背筋を這い上り、胸から生じる快感と相まってあびるの全身を溶かし、  
脳を痺れさせた。  
 
 
 今や、「タネ」はあびるの入り口の前約十センチに迫っていた。  
 
ずいっ、ずいっ、ずいっ。  
 
 「タネ」は、緩やかに、だが刻々とあびるの中を目指してきた。あと五センチ、  
四センチ…もうあびるの秘門が目の前だ。  
 
(ああ、先生、ごめんなさい…私、先生の…ああぁっ……先生の赤ちゃん産みた  
かったのに…ごめんなさい………ああっ、もう、もう、もう……先生、先生、…  
……先生―――――――――っ……)  
 
 
 
―――つぷちゅぷっ。ぬめぬちょっ。  
 
 一方、望はどうなっていたか。  
 一時は絶棒が溶かされると恐怖したものの、袋の中のつぶつぶぬめぬめの蜷動が  
もたらす感覚に、早くも高ぶってきた。  
 
(こ、……こんなので気持ちいいなんて…なんたる恥……)  
 
 突然、望の口に赤黒い果実が押し込まれた。上記であびるが食べさせられたのと  
同じ、無花果状の実である。  
 
 望の口の中でも、それは濃厚なココナッツミルク味の白濁汁に続いて、甘った  
るい果汁を口腔にほとばしらせた。嚥下しきれないうちに、また一つ、また一つ、  
と次々に押し込まれてきた。望は吐き出そうとしたが、蔓のまとまりに口を塞が  
れ阻止された。必死に嚥下するしか選択肢はなかった。  
 
(あああ、熱い、熱い、身体が熱い……)  
 急に望の体中が火照ってきた。以  
前、可符香にガラナチョコを食べさせらた時のことが思い起こされた。  
 
 いつの間にか絶棒を包み込んでいる房に対する不気味さが消え、快感だけが感  
じらるようになった。  
 
(はあっ…こんなので…でも、気持ちいい…)  
 
 快感で心が緩んだ隙に、いきなり後菊に枝が入り込んできた。  
 
「ひあっ! そ、そちらは!」  
 
 ずいっ。ずいっ。ず、ず、ずいっ。  
 
 望は狼狽したが、枝はかまわず侵入してきた。まるで自分の要役地を知ってい  
るかのようだった。  
 
(ま…まさか…)  
 望は嫌な予感がした。  
 
 果たしてその予感の通り、枝は前立腺を的確にノックした。  
 
「ほわああああああ! ひゃあ、ひゃあああっ!」望は絶叫した。  
   
 以前開発されたときに勝るとも劣らない背徳の快感が背筋を駆け昇った。  
 
(あああ…こんなのに感じている恥ずかしい姿を小節さんに見られるなんて……  
もう生きていけません!)  
 
 だが、ネガティブな思いは後ろの枝の連続ノックによって雲散霧消した。目の  
前を極彩色の万華鏡の幻影が駆け巡った。  
 
 絶棒からは大量の先走り液が出ている筈だったが、袋の中の粒々がそれを嬉々  
として吸収するかのように、亀頭のあたりでしきりに蠢いた。その動きがまた絶棒を反り  
返らせた。  
 
 快感に歯を食いしばって耐えていた望は、つい眼下の光景に目が行っってし  
まった。  
 
 大の字に拘束されたあびるの胸に蔓が何本も絡まって、絞り上げている。それ  
に、股間にも蔓が集中して、身をくねらせている。ひょっとしたら小節さんの中  
に入っているのでは…  
 
 つい見とれていると、あびると目があっているのに気付いた。  
 
(ああ、こんな破廉恥な視線を見て知られてしまいました…)望はあわてて目を  
反らした。  
 
 反らしたその瞬間、前の袋の中の粒々の動きに変化が生じた。  
 
 それまで不規則に、互いに無関係に蠢いていた粒々が、まるで何かを絞り出そ  
うとするかのように規則的なウェーブをつけてきたのだ。  
 
 袋自体は位置を変えていないものの、望は疑似的なピストン運動をしているか  
のような錯覚に囚われた。  
 
 肛門を閉めたり足の指をぎゅっと縮めたりと、放出は避けようと空しい努力を  
しているうちに、また下で繰り広げられている光景が目に入った。  
 
 あびるの股間に、太い枝が入り込んで律動しているではないか。  
 
(ああっ、私の小節さんが、あんなことに!)  
 
望は出来ることなら助けに行きたかった。だがその反面、自分があびると疑似的  
な性交をしているのだ、という奇妙な思いに捕らわれた。  
 
 そう言えば、彼女を貫いている太枝の律動と、絶棒を包み込んで絞り上げてい  
る粒々の律動が同じである。  
 
(ああぁ、小節さんと遠隔的に媾っているのでしょうか…うああ…  
 で、でも、小節さんと直にする方が何倍もいいし…)  
   
 ここで、後ろに入っていた枝がまたポイントを直撃した。  
 
「ひゃあううん!」  
(うう、小節さんならもっと上手に責めてくれます…ああ、うああ…)  
 
 再び口内に果実を含まされた。  
 
 下ではあびるが全身を蔓に覆われ、口に蔓の束らしきものを咥えさせられ、股  
間を太枝に貫かれ、悶えている。もしかしたら、後ろの方もそうなっているのか  
も知れない。何ともエロチックで、劣情をそそる。目をぎゅっと瞑っても、あび  
るの悶える姿が悩ましく想起されてしまう。  
 
 望は懸命に射精感を堪えていたが、目の前のあびるの姿にどうしても我慢が出  
来ず、屈辱の放出へ追い込まれていった。  
 
(あああ、出してはいけないのに、はあぁっ…自分の教え子の姿で感じてはいけ  
ないのに…小節さん、ごめんなさい。私は小節さんを助けられなかった…おまけ  
にあなたの陵辱されている姿で欲情してしまうダメな教師でごめんなさい…)  
 
 袋の中と後ろの枝の動きがフィニッシュに向け、ここぞとばかりに激しくなっ  
た。絶対に精を搾り取ると決意したかのようである。  
 望の目の前を、頭の中を、全身をきつい快感の電流がスパークした。  
 
(はあああああああああああぁぁぁぁっ、  
小節さ―――――――――ん!)  
 
どくぅっ。どくっ、どく、どくっ…………  
 
 ついに望は袋の中に濃口の子種を大量に注いでしまった。袋は一滴残らず吸収  
するかのように、絶棒の根元から頭に向けて何度も絞り上げる動きを見せ、望を  
呻かせた。  
 
 ところが、欲しいモノを入手してしまうともう獲物は用済みだとばかり、急に  
望を拘束していた蔓の力が抜け、何本かの蔓は拘束から撤退した。絶棒を包み込  
んでいた袋はいつのまにか抜け、蓋が被さるとすうっと木陰の奥に消えた。後ろ  
を貫いていた太枝も、するりと抜けてしまった。  
 
 小動物なら中途半端に拘束されたままこのまま死ぬまで放っておかれる。だが、  
望は華奢とはいえ人間の成人である。体重で自然に蔓が切れ、望は地面に落下した。  
 
 
 望が落下した先は、まさにあびるに「タネ」を植え付けようとしていた太  
枝である。偶然、望の顎がその「タネ」の部分を直撃した。  
 
 「タネ」は望の首の下の枝の中でグチュッと嫌な音を立てて潰れた。  
 
 植え付けに失敗したのを直感したのか、あびるを貫いていた枝が急に縮み始め、  
あびるの前後、それに口からずるりと抜けた。全身に絡み突いていた蔓がするするっ  
と後退し始めた。中には途中で枯死して茶色く干からびてしまった蔓もあった。  
 
「………せ、先生?」急に戒めが解けたあびるは、不審そうに辺りを見回した。  
やがて、自分の股間に望がうつ伏せに倒れているのに気がついた。  
 
 それに、自分の前後にも、不快なモノはもう入っていない。お腹に何かを入れ  
られた感覚もない。すっきりしている。「タネ」を植えられずにすんだのだ!  
 
 助けてくれたのは、自分の股間で気絶している望しか考えられない。  
 
「先生…助けて下さったんですね!」先程までの蔓や枝の責めで体力を消耗し、  
まだ起き上がれないあびるは、先生に感謝するかのように、のろのろと足を閉じ  
かけると太腿でそっと望の頭を挟んだ。  
 
「ありがとう、先生……私、将来、結婚は無理かも知れないけど、絶対に先生の  
赤ちゃんを産むわ…」以前から漠然と思っていた想いを、あびるは今回の事件で  
はっきりと自覚した。  
 
 
「う…うーーん……」望は呻いた。目を覚ましたようだ。  
「……………?」自分が落下した所で記憶が途絶えている望は、身体の下で草む  
らが潰れている感触を感じた。自分は地面に落ちたんだっけ…。それに、顎から  
下に何かの枯枝があるようだ。そういえば、顎に何かがぶつかった気がする…。  
 
 ここまで思い出した望は、目を開けた。目の前にあるのは、見覚えのある形を  
した若草の茂みだった。ズボンやパンツの残骸がかすかに引っかかっている。  
 
「小節さん…無事でしたか」  
 
「先生…よかった…目が醒めたんですね」あびるが太腿で望をぎゅっと挟んできた。  
 
 頭の両側で感じるあびるの体温と  
太腿の瑞々しい弾力に、自分達は助かったのだ、という実感が望に湧いてきた。  
 
 望は少し首を伸ばすと、淫らで過酷な試練に耐えたあびるの秘所に、優しく労  
るように接吻し、舌を這わせた。  
 
 
 やがて、望はゆっくりと身を起こした。かつてあびるを責めていた枝や蔓は、  
すっかり枯れ果てていた。  
 
 ふと見ると、枝の先っぽの方に、枝の中で何かが潰れて、赤黒く変色している  
部分がある。  
 
「これが『タネ』だったんですね。危ないところでした」  
「先生がそいつを潰してくれたおかげで私助かったんですよ」  
 
「え?」助けた自覚がなかった望は面食らった。が、あびるの話や自分の体験、  
それに周囲に残された残骸から、当時の状況を把握した。  
 
 ふとあびるの右手に握られているモノに目を遣った望は、目を見張って声を挙げた。  
 
「あ、小節さん、おめでとう。しっぽを手に入れてたんですね!」  
「え?」望に言われて初めて、あびるは自分の右手にまだあの鳥のしっぽが握ら  
れていることに気がついた。鳥そのものは逃げてしまっていたが、しっぽがほぼ  
完全な形であびるの手に残されていた。瑠璃色と玉虫色に輝くそれは、しっぽだ  
けでも素晴らしいものであった。  
 
「うわあ…きれいな色ですねえ」望は感心したように見入っている。  
 鳥が、あびるが責めに耐え抜いたのに根負けして、プレゼントしてくれたかの  
ように、どこにも欠けた部分がなく、完全な姿を留めていた。  
 
「先生…私、とても嬉しい、嬉しい、嬉しいいい―――――――――っ! やったああああああ―――――――――!!」  
 
 あびるが心からの快哉を叫んだ。日本を出たときの目標である「古代の姿その  
ままに生きる生物のしっぽゲット」を見事達成したのだ。  
 
 
「さて、確か、近くに小川がありましたよね。ちょっと身体を清めましょう。洗濯  
もしないといけませんし。……小節さん、もう立てますか」  
 望はあびるを立たせると、肩を抱き抱え、二人分の荷物を持ち流水の音がする  
方へ向かった。  
 
 
 小川の前に出た。南方の川にしては珍しく、清流が心地よい音を立てている。  
 
「さ、小節さん、いらっしゃい」  
 先に川に入って安全かどうか確かめていた望が、あびるを手招きした。あびる  
は素直に服を――と言っても、探検服は辛うじて原型を留めていたが、下着は単  
なる端布と化しており、原型をどこにも留めていなかった――を脱ぎ捨てて川に  
入り、望の元に寄った。  
 
 望はあびるの全身を清水でくまなく洗った。幸い、髪の毛は陵辱を免れていたの  
で、首から下を、丹念に濡らしたタオルで擦った。  
 
 手、脇、胸、腹、背中、足と進むにつれ、絡みついていた蔓の切れ端や泥が取  
れ、あびるの肌が十代の少女らしい輝きを取り戻した。  
 
「あの…ここも洗っちゃいますね」  
 望はしゃがんで片膝をつくと、あびるの秘所に向き合った。  
「……はい」あびるは素直に返事した。  
 
 望は蒼い若叢に水を掛けながら、優しく何度も梳いた。  
 
「中も…いいですか。中に枝の残骸が残ってたら危ないかもしれませんし」  
「……はい」  
 望は貴重品を扱うような手つきで、そおっとあびるの秘唇を開くと、中をやわ  
やわと指で擦り始めた。中に残っていた微細な繊毛を一本一本掻き出すかのよう  
に、丹念に奥から入り口へ、奥から入り口へと指を滑らせた。  
 
(ああ…先生に洗われている……)  
 
あびるは望の頭に手を置き、知らず知らずこみ上げてくる快感に耐えていた。特  
に、指が秘密のスポットを往復する際には、思わず望の髪を握りしめた。  
 
「ここも、いいですか。合間に入り込んでたらいけませんし」  
望の指が秘豆をクリクリっと刺激し始めた。  
 
「はああっ……先生…先生……」あびるはぎゅっと望の髪を掴みながら喘いだ。  
 
 望は豆の周囲を丹念にほじっていたかと思うと、十分真珠が自己主張し始めた  
のを確認してから皮をそっと剥いた。  
 
「ひゃあっ」思わずあびるは声が出た。  
 
 剥き出しの真珠を指で直接触るのは、流石に刺激が強すぎる、くらいの心遣い  
は望にもあった。望は豆の周囲、皮で覆われていた部分を丁寧に舌で清め始めた。  
 
「はああ、はうううん」  
 
 あびるはたまらず嬌声をあげた。たまらず太腿を閉じ合わせようとし、望の頭  
をぎゅっと掴んだ。あびるの奥から潤ってきた泉が溢れ、幾筋も太腿へ伝わって  
いった。  
 
「あれ? ちゃんと洗ったはずなのに、中から水分が溢れてきましたよ?」  
「…先生のイジワル!」あびるは悶えた。  
 
「こちらの方も洗っておきますね」望の指がようやく前から離れると、蟻の戸渡  
りを丁寧に擦り洗いしながら秘菊へと向かった。  
 
「あぅ…あっ、先生、そっちはダメ、ダメ」 指の行き先に気付いたあびるは、  
慌てて望を止めようとした。  
 
「ついでですよ。皺の間に胞子か何かが入り込んでたりしたら大変ですから」先  
生は菊の可愛い皺を指で丁寧に解しながら水を掛け始めた。  
 
「…先生のばかぁ!」あびるが羞恥に身悶え、望の頭を抱き抱えた。身悶えれば身  
悶えるほど、あびる自身が蜜を湛えることになった。  
 
 今度は、身体の隅々まで清められたあびるが望を洗う番である。  
 
 望はあびるより背が高いので、そのままでは髪の汚れを落とせない。  
 
「先生、しゃがんでもらえますか?」あびるが先生に言った。  
「はい」望は素直に応じた。  
 
 わしゃわしゃっと髪の毛を洗い、耳の後ろや首筋を擦った後、  
 
「はい、じゃあ立ってー」  
 
 あびるは望の首から下を、濡らしたタオルで丹念に擦った。  
 
 手、胸、腹、足、脇、背中と流れるように洗っていたあびるが、望に声を掛けた。  
 
「じゃあ…ここも洗っちゃいますね」  
「…やっぱり?」  
「ええ。さっきは本っ当に丁寧に洗ってくれたから、私もお礼に、とびきり丁寧  
に洗ってあげます」  
「はうう…」  
 
「じゃ、四つん這いになって下さい」  
 
 あびるの指示に望は戸惑った。  
「ええっ!? 小節さん、それはいったい!?」  
「男のコは女より複雑なんで、立ったままだとよく汚れが落ちないんです」  
 
「はあ…そんなものですかねえ…」  
 ぼやきながらも、望は素直に川の中で四つん這いになった。  
 
「もっと腰を、お尻を上げて」追加の指示が飛んだ。  
「とほほほ…」  
 
 あびるはいきなり望の菊門に水を掛け、ゴシゴシ…とではなく、柔らかく洗い  
始めた。  
 
「はあぅ…あっ、小節さん、いきなりそっちはダメですぅ」望は、慌ててあびる  
に哀願した。  
 
「…皺の間に胞子か何かが入り込んでたりしたら大変ですから」  
 あびるは望の先の科白を繰り返し、勝手知ったる望の後ろを緻密に丹念に清めた。  
 
 あびるに洗われるにつれ、既に開発済みの快感が望に働きかけ、背筋を伝わっ  
て全身へと巡ってしまった。いつしか絶棒がそそり勃つのを止めることはできな  
かった。  
 
「じゃあ、次はここ…って。……先生、もう勃ててるんですか? ちょっと早す  
ぎませんか?」  
「…小節さんのイジワル!」  
 
 あびるの手は、望の宝珠入れに向かった。ぐにぐにぐにっと、丹念にもみ解し、  
時折冷水を掛けては皺皺の間の汚れを擦り洗いしていく。  
 
「あひ、あひ、あひぃ! そ、そんなに激しくしないで! おね、お願い、優し  
くして下さい。潰れちゃうじゃないですかあ!」  
 
「さっきも言ったでしょ。皺の間に  
胞子か何かが入り込んでたりしたら大変ですから」  
「そ、そんなああぁ」  
 
ぐりゅっ ぐにゅっ…  
 
 気が済むまで揉み込んだあびるの指は、ようやく絶棒に向かった。  
 
 先程からの指技で、絶棒は痛いほど聳え立している。その根本から、あびるの  
細く柔らかい指が擦り上げてきた。  
 
しゅり、しゅり、しゅるり。  
「はああああぁぁぁぁぁぁ」  
(か、感じてはダメ、洗われてるだけなのに感じたらダメです!)  
 望は必死に耐えた。  
 
 ようやく亀頭に到達したあびるの指は、つるんっと余りを剥くと、張り出した  
血色のよい冠の下を、少しずつ念入りに磨き始めた。  
 
すりすりすりすりすりっ…  
 
「ふわわわっ、小節さん、もういいです。もういいですったら。もう」  
「男のコでしょ。これくらい我慢しなくち  
ゃ」  
 すっかり望を子ども扱いしたあびるは、  
剥いた皮の方も丁寧に伸ばして洗う  
と、ピンクに光る裏筋や頭のくびれをくにくにくにっと指の腹で擦り始めた。  
 
くにににくりくりくにくりっ…  
 
「ほ、ほわわあああっ」今や絶棒は発射を待つ核弾頭のごとくそそり立ち、随喜  
の涙を溢れさせている。  
 
 あびるはそれを指につけると、亀頭に満遍なく塗り広げ始めた。  
「あれ? きちんと洗ったはずなのに、どうしてベタベタになっちゃんですか?」  
 
「…小節さんのばかぁ!」  
 望は膝をガクカク震わせた。腰が砕けそうだったのだ。  
 
 
 その後、川の水で洗濯を終えた二人は、荷物と洗濯物を持って浜辺へ向かった。  
 
 洗濯物を干してしまうと、望はあびるに提案した。  
 
「ねえ、服が乾くまでの間、せっかくの南の海ですし、泳ぎませんか?」  
「私水着持ってきてませんけど」  
「二人だけなんですから、裸でいいじゃありませんか」  
「…先生のえっち!」  
 
 が、あびるはしばしの間考えた。  
(まあ、先生になら見られてもそんなに恥ずかしくないし、さっきはいろんなと  
ころを洗われたし、…それに助けてくれたから、まあいいっか!)  
 あびるは先に海に入っていた望にじゃぶじゃぶと駆け寄っていった。  
 
 砂浜は、大きなナマコが点在しているのを別にすれば、どこまでも真っ白だっ  
た。海水は澄み切ったコバルトブルーで、浜のごく近くまで熱帯魚が泳いできて  
いる。  
 
 二人は水をばちゃばちゃ掛け合ったりして、いつまでも無邪気な水遊びを楽しんだ。  
 
 こうして無邪気に自分とじゃれ合っているあびるの姿は、望には誠に健康的だ  
と思えた。彼女の大きな胸や肉感的なボディラインを見ても、不思議と劣情は催  
さなかった。  
 
 やがて日が傾いてきた。着衣を整え、荷物をまとめて砂浜で待っていると、朝  
乗った小舟のエンジン音が聞こえてきた。やがてボートの姿が見えた。  
 
「おーーーい」「おーーーい」  
 二人が手を振ると、舟の中からも手を振り返してきた。朝のあのボーイだった。  
 
「フタリトモ、ブジ。ヨカタ、ヨカタ」ボーイは心から無事を喜んでくれた。  
 
「サア、ノテクダサイ。」  
 ボーイに促され、二人が小舟に乗り込むと、ボートは器用に向きを反転し、今宵  
の宿へと向かった。  
 
 舟の上では皆黙っていた。二人きりの世界にしてあげよう、というボーイの好  
意がよくわかって、望は嬉しかった。  
 
 大きな深紅の太陽が海の彼方に沈もうとしている。舟上で二人の接吻している  
シルエットが、燃える夕日に浮かび上がった。  
 
 
 日本に帰ってきて数日後に、望はあびるの家を訪れた。あびるの父親は、また  
出張で不在だった。  
 
 応接間に通された。あの壁から生えているしっぽの群に、新たに加わった青い  
鳥の長く美しいしっぽが誇らしげに燦然と輝いていた。  
 
「おぉーー…こうして見ると、流石に素敵ですね、あのしっぽは」望は素直に感  
心した。  
 
「えへへ…そう思います?」  
 あびるはいつになく満面の笑みを湛えていた。これほどの笑顔は、望が初めて  
この部屋に通されたとき以来かも知れない。  
 
 その後、二人は自然な成り行きでえっちへなだれ込んだ。  
 
 だが、二人でシャワーを浴びているときから、望は、あびるの様子がどこかお  
かしいことに気付いた。おかしい、と言うよりは、違和感があるのだ。  
 
 口に出せないまま、胸を見つめていると、それに気付いたあびるが望のヒップ  
をキュッと抓った。  
 
「あたっ」  
「どこじっと見つめてるんですか。えっち」  
 
「小節さん…あなた、胸が大きくなりました?……あいたっ」あびるがもう一  
度抓った。  
 
「先生のスケベ! ……まあ、先生だから言っちゃいますけど。…帰国してみた  
ら、サイズが急に二回り大きくなってたんです。今手持ちのブラが全部入らなく  
なっちゃって…」  
「それは大変ですねえ」買い換えるのに手間暇がかかるのかな、と同情しつつ、  
望はあびるの胸に手を這わせた。  
 
「ひゃああっ」あびるが叫んだ。  
「ど、どうしたんです?」  
「先生の手、か、感じる…」あびるが切れ切れに言った。  
「そうですか?ごく普通に触っただけですよ。…ほら、こんな具合…」  
「はあああっ、ひあぅぅっ…」あびるは悶えた。明らかに以前とは反応が異なる。  
 
「こ、これは…もしかして…」次にゆっくりと揉んでみた。  
 
「あはあ、はあんぅうっ…」あびるは上体をくねらせ、快感を訴えている。  
 
「小節さん、ひょっとして、感度もよくなりました? もの凄く敏感になってま  
すよ」  
 望はこう言うと、揉み込みながらピンクの頂に舌を這わせ、ちゅっと軽く吸っ  
てみた。  
 
「ふあああああぁぁぁぁっ!!」  
 あびるの身体がビクンビクン、と跳ねた。もう軽く達したようだ。  
 だがそれより、もっと望を驚かせたことがあった。  
 
 吸っている内に、口中に甘い味が広がったのだ。  
 
 驚いて口を離し、可愛い頂を凝視すると、周辺から白い液体がと滲み出してきた。  
 
 ジワジワッ、ビュクビュクッ。ぴっ。  
 
「こ、小節さん! あなた、母乳が出てますよ!!」  
「…え?」さっき軽く達したらしいあびるが自分の胸を見て驚いた。  
「ほ、本当だ! おっぱいが出てる!…もしかして、タネ植えられちゃってたの  
かな」  
 
 あびるが急に不安で泣きそうな表情になった。望はあびるの胸の下からお腹、  
若叢に至るまでゆっくり掌を広げて撫でてみた。  
 
「うーん、お臍から下はとても綺麗ですし、ぽこって出てませんし。…失礼」  
 望はあびるの腹に耳を当ててみた。が、もちろん何も聞こえない。  
 
「不審な音は聞こえないですよ。あれだけよく洗ったんですもの。多分大丈夫で  
すよ。心配なら、後で一緒に医者に行きましょう。家のツテで、秘密厳守の所が  
あるんです。誰にも知られないようにね」  
 
「…ありがとう、先生」あびるが望に抱きついたかと思うと、激しく接吻してき  
た。  
 いつもより激しい接吻の心地よさに酔っていた二人であったが、あびるが望の  
背中に回っていた手が下りてきて、望の胸の辺りに触れた。指が偶然望の乳首に  
触れた時…  
 
「はうぅっ」ぞくりっ!   
 そこから望の上半身に電流が走った。  
 
「……先生?」  
 反応に吃驚したあびるは、指先で望の乳首をさわさわっとくすぐってみた。  
 
「うひゃあああぁっ」甘い痺れが奔流となって望の全身を駆け巡った。  
 
「…先生も、感度よくなってません? それに」  
 顔を起こしたあびるが、先生の胸を眺め、何度か撫でてから言った。  
 
「先生…いつの間にか胸が出てます」  
「はあ? まさか………って…ほあ?!」  
 自分で胸を撫でてみた望は、撫で  
た感触に異変を覚えた。恐る恐る自分の胸を見て愕然とした。  
 
 以前はすとーんとした貧相な胸板だったのが、今ではなだらかな膨らみを持っ  
た、どことなく柔らかそうな胸になっているではないか。  
 
「こここ、これは一体…」  
(き、木津さんのラインにそっくりになってます…)  
「先生…千里ちゃんくらいはありそうですよ」  
「!……ゴホン。…今度から、学校にはだぶだぶしたシャツを着ていくことにし  
ます」  
 
「……あ、まさか!」  
 ここで、何か閃いたらしいあびるが望の乳首に吸いついた。  
 
「あひょわっ!」  
 
 ちうっ。ちうっ。ちゅうぅぅぅっ。  
 
 むにっ、むにょっと望の推定Aカップの胸を揉み立てながら吸い上げると、あ  
びるの口内にも甘いミルクが迸った。  
 
「やっぱり出た! 先生からもおっぱいが出た!」  
「ほあぁあーーー?」  
「母乳ではないですね。先生はオトコだから。えーと、父乳です!」  
「ふ、父乳〜!?」  
 
 あびるが先生に聞いた。  
「先生。あの島でアレに捕まったとき、何か食べさせられませんでした?」  
「ええ。確か、無花果みたいな実を」  
「それですよ! 私もそれを口に入れられたんです。あの実は、実は感度を敏感  
にするだけでなく、母乳を出させる作用があるのでは」  
 
 あびるの推理に、望も謎が解けた、といった様子で応えた。  
「なるほど。二人に共通した出来事といえば、まさにあれを食べさせられた事に違  
いありません。先生、あの実を5、6個食べさせられましたよ」  
 
「先生。私は2つだけですよ」  
「へ!?」  
「……先生、その効果、私よりだいぶ長持ちするんではないかしら」  
「とほほほ、どうしましょう…とんだお土産です。想定外ですよ」  
 
 あびるは、「タネ」を孕んだのではないらしいことが分かって、目の前を覆っ  
ていた不安の霧が晴れ、パァッと視界が明るくなったように感じた。  
 
「私は嬉しいですけど。先生と一緒の秘密が持てて」  
 
「そうですか? でも父乳は嫌ですよ。なんか、私がオトコなのに子どもを産ん  
で育てるみたいで…」  
 
「いいじゃありませんか。だって、先生を責める手段がまた増えたんだもの。そ  
れに、どっちみち…」冗談めかしてあびるが言った。  
 
「どっちみち、私が先生の赤ちゃん  
を産んで、先生をずーーっと支配してあげるんだから」  
 
「え〜〜!? そこはそうなんですか? だって、普通だと、オトコが女のコに  
たっぷり中出しして、  
 
『ほれほれ孕んでしまえ。俺が一生オマエを支配してやる』  
 
って文脈になるじゃないですか」  
 
「…先生、そんなのどこで覚えたんですか」  
 絶棒をいじりながらあびるが突っ込んだ。  
 
「はうっ……いや、それは、その…」  
「先生の部屋のその手の本、そんなシチュエーションのものばかりなんじゃない  
でしょうね」  
 絶棒の裏筋をくすぐりながら追及してくる。  
 
「いやだなあ、そんなことありませんよ」  
 望は冷や汗をかいた。「まあ、いろいろと」  
「いろいろと?」  
 
「ハッ!!」望は両手で口を塞いだ。  
(し、しまった……)  
 
「じゃあいろいろなジャンルのがたくさんあるの?」  
「はうっっ……イヤハヤ、なんとも……」  
 
「まあいいわ。今度徹底的に責めて尋問してあげます」  
 亀頭をきゅっと握りながらあびるは宣言した。  
 
「そんなあ〜〜」  
「とりあえず、今日は上のミルクと下のミルク、両方ともたっぷりごちそうにな  
りますからね。その代わり」ここで、あびるは望の耳に口を寄せた。  
 
「後で私のおっぱいも吸っていいですから」  
 
 そういたずらっぽく囁くと、あびるは指で望の乳首をくりくりくりっといじっ  
て父乳をにじませつつ、絶棒をぱくっと加えた。  
 
「あひい〜〜〜〜〜」  
 当然、下の方も、いつも以上に敏感になっている。あびるの口撃に、早くも放  
出を予感しつつ悶える望であった。  
 
 秘密のマジックフルーツの効果は、しばらく続きそうである。  
 
――[完]――  
 

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