その日も望は疲れていた。  
 
 うすら寒い夜にくたくたになって帰ってくると、ろくに玄関先も見ず新居に上がった。  
 
 居間のストーブには火が入っている。炬燵も電気が入ったままだ。  
 なんと不用心なことかとも思ったが、今は暖かさがありがたい。  
 
 炬燵に潜り込んで人心地ついたところで、風呂場で水音がするのが聞こえた。  
 
 さては、交が入浴しているのだな、と思った。  
 
――それなら自分も入ろう。入ってとにかくサッパリしたい。  
 
 望は、とにかくひどく疲れていたので、上着や袴を乱暴に脱ぎ捨てると風呂場に向かった。  
 
 脱衣籠にはピンクのバスタオルが上に被さっていたが、籠の中に注意を払わなかった。  
 
 風呂場からは、時折ザァーッと水を流す音がしている。  
 交が洗面器で体に湯を掛けているのだろう。  
 
「交ー。私も入りますね」  
 ぽいぽいっと下着を籠の側に脱ぎ捨てると、手拭いを手にして望は風呂場の戸を開けた。  
 
 だが、目の前にいたのは交ではなかった。  
 
 糸色倫が浴槽から出て身体を洗っていたのだ。  
 湯桶を片手にし、肩から湯を掛けていたらしい。  
 ちょうど洗い終わって泡を湯で流したところらしく、体中がつやつやしている。  
 元々色白の肌に血の気がさして、全身がほのかなピンクに染まっている。  
 
 正面からではなかったが、意外にふくよかな胸や黒い蔭りがはっきり目に飛び込んできた。  
 
 望は声も出せず、固まってしまった。  
 
 一方、倫は一瞬驚いた表情を浮かべたものの、至って泰然としている。  
 あわてず騒がず、静かな調子で声を掛けた。  
 
「お兄様」  
「……あ」  
「あともう少ししたら出ますから、それまで部屋で待っていて下さいますか」  
「は、はいっ」  
 
 ここでようやく我に返った望は、戸を閉めるとその場を逃げ去った。  
 去り際、脱衣籠から自分の下着を掴んだ拍子にバスタオルがめくれた。  
 その下に、倫の物とおぼしき女性用の柔らかな薄手の布地の固まりがあるのが視界を掠めた。  
 
 望は居間に飛び込んだ。  
 とりあえず、自分の服が脱ぎ散らかしてある場所へ戻り、炬燵にあたった。  
 
 今の出来事の衝撃で、何も考えがまとまらない。  
 
 遙か昔、倫がまだ幼かった頃には一緒に風呂に入った、というより入れてやったことがある。  
 もちろん、それで女性の裸を見たから興奮するなどという感覚はなかった。  
 
 だが、先程の倫の姿はどうだろう。  
 いつも自分の後を付いてくる可愛くて小憎らしかった妹が、いつの間にか大人の女性へと成長していたのだ。  
 
 何より、少女の裸と言うよりは、若い女性の裸身というのに十分なスタイルだった。  
 全身はスラッとした細身で色白。  
 巨乳という程ではないが、女性を主張する分には充分魅力的な、形の良いバスト。  
 それに脚のラインも……意外に充実していた太腿に、その付け根の草むら……  
 
 ――いつの間にあんなに……いや、実の妹にこんなことを考えては!   
 ――それにしても、前に抱いたときには、もうあんな美味しそうな身体になっていたのだろうか……  
 
 下帯を身につけようとしたまま気替えの手が止まっていると、部屋の外で静かな足音がした。  
 そして襖がすっと開いた。  
 
 望はその方へ頭を向けて心臓が止まった気がした。  
 
「り、倫! その格好は!」  
 
 倫は身体に先程のピンクのバスタオルを巻き付けただけの姿だった。  
 胸のすぐ上から鎖骨のあたりが色っぽい。  
 なだらかな肩からは細い手が、陰りがあるとおぼしき部分のすぐ下からは健康的な脚が伸びている。  
 
 日頃和服で包み隠されている部分が、今や望の目の前に晒されている。  
 実の妹とはいえ、艶めかしさを感じずにはおれない。  
 洗い晒しの髪がそのままなのも、いかにも妹らしい。  
 
 倫は望の正面に立った。腕組みをしている。  
 少し胸が盛り上がっている。  
 バスタオルの中から胸の谷間のラインが悩ましく顔を覗かせている。  
 
 倫は望をじっと見つめると、静かに口を開いた。  
「お兄さま。ここにお座りになって」  
「で、でもおまえ」  
「はやく、お座りなさい」有無を言わさぬ調子だ。  
 
 望は手に下帯を持ったまま、全裸で正座した。何となく顔を上げられず、倫の膝小僧を見つめたままでいた。  
 
「お兄さまは、もう少し落ち着きのある人になっていただかなくては、困ります」  
「だ、だって……あっ」  
 
──ふぁさっ……  
 
 倫はいきなりバスタオルを取った。望は思わず顔を上げた。  
 倫の白い裸身が一瞬露わになったその刹那、倫はそのバスタオルで望の頭をすっぽり覆ってしまった。  
 
 一瞬、倫の全裸の残像が望の目の前に浮かんだが、すぐに消えた。  
 辛うじて明暗は分かるものの、ピンクの薄闇の外は何も見えなくなった。  
 
 倫は望の頭をタオルごとぎゅっと自分の胸に抱いた。  
 丁度望の目の辺りに乳房の頂点が当たっている。  
 その周りで弾力のあるモノがむちっと圧力を受け形を変えているのが分かる。  
 望はバスタオル越しの倫の胸の柔らかさに戸惑った。  
 
「り、倫……さん……」  
 
 倫は望の膝をまたいで立つと、無言でずいっと前に出た。  
 望は思わず後ろ手を付いた。だが倫は構わずすっ、すっと歩を進める。  
 倫が前へ進むに連れ、望は妹の柔らかい胸に当たっていた頭を反らさざるを得なかった。  
 反らせるにつれ、望の頭に当たる倫の部位が胸から腹へ、腹から蔭りへと移っていく。  
 
 いつの間にか、風呂上がりの太腿で頭を挟まれていた。  
 バスタオル越しにとはいえ、頭を挟んでくる妹の太腿の感触に望は胸がざわめいてしまった。  
 と、その時である。  
 
「お兄さまは、私のもの……私の玩具。他の小娘どもに渡したくない……渡してなるものですか!」  
 同時に倫の太腿がきゅっと締まった。  
 
「倫……!」  
 唐突に頭上から降ってきた倫の秘めた想いの発露に、望は愕然とした。  
 
「私だけのお兄さま……他の小娘と繋がった不浄な部分を懲らしめて差し上げます」  
 
 こう宣言すると、倫はついに望を仰向けに倒してしまった。  
 そして兄が手にしていた下帯を躊躇せず取り去った。  
 この間、望は金縛りにあったかのように全く抵抗できないでいた。  
 
 倫は立ったまま右足を浮かせると望の絶棒を静かに踏み、足の裏全体でゆっくりと摩擦し始めた。  
 
 望はまさかの刺激に完全に不意を突かれた。  
 
「倫!り……止めなさい、止めて下さい!」  
「小娘どもに汚された所など、足の裏で充分ですわっ」  
「あうっ……や、止めてぇぇ」  
 
 ぐり、ぐり、ぐりっと倫の足の裏が絶棒を蹂躙するうち、いつの間にか痛いほど膨張してきた。  
 ぐりぐりっと妹の足の裏と絶棒が擦れるたびに、妖しい快感が背筋を走る。  
 
「さあ、早く子種をお出しになって。出さないと、そうねえ……」  
「倫!」  
「そう、お兄様お気に入りの小娘を『あの部屋』で楽しく責めて差し上げますわよ。もちろん、お兄さまの目の前で」  
「倫! あうっ、あぁ……」  
 
 倫の恐ろしい言葉に望は愕然とした。  
 蔵井沢の実家には、倫専用の拷問部屋がある。  
 そこへ望や教え子たちを拉致し、彼女たちを望の目の前で責め辱め、屈服させようと言うのだ。  
 
 足の裏で絶棒を大きく転がしながら、倫は楽しそうに言葉を継いだ。  
 
「そうねえ……まず千里。あの娘には石を抱かせましょう。気丈な小娘が泣きながら許しを乞うところを見てみたいものですわ」  
「あぁ……はうぅ」  
 
 望の目を覆っているピンクのスクリーンに、千里が石抱きで責められている様子がありありと浮かんできた。  
 
――半畳ほどの広さの石。表面にギザギザの荒い波が刻まれている。  
 
 その上に、千里が全裸で正座させられている。  
 上半身には縄が掛けられ、両手は後ろで縛られている。  
胸乳は不自然に絞り出され、彼女が緊縛されていることを見る者に示している。  
 
 その石の上にただ正座しているだけでも相当な苦痛を伴うのに、今まさに彼女の膝の上に大きな石板が載せられようとしている。  
 倫が一声命じれば、自動的に犠牲者の膝の上に石が置かれる仕組みになっているらしい。  
 
 それを見ている自分は、千里の目の前で倫に組み敷かれ、まさに挿入される直前である。  
 
 倫が絶棒を手で扱きながら、勝ち誇った調子で千里に言う。  
 
「お兄さまのことを諦めると言うのじゃ。そうすれば、助けてやらんでもないぞ」  
だが千里は気丈にも、自分のことを譲らない。  
 
「い……いやよっ。絶対諦めないわ。」  
「そうか。ならば仕方がない。……抱かせよ」 倫が冷ややかに命じると、石板が一枚、千里の膝にそろりと載せられていく。  
 
「ああああああああ!」  
 千里の顔が苦痛に歪む。  
 その千里の姿を見ながら、倫は硬くなった絶棒をゆっくりと胎内に収めていく。  
 
「うあぁ……倫さん!」  
 自分は禁断の快楽から逃れようと腰を揺するが、かえって新たな快感を呼び起こしてしまう。  
 
「ほほほ……見よ。既にお兄さまは私の物になった。いさぎよく諦めるがよい」  
「うううう……いや、いやあっ。」  
 
 千里は首を振り必死に抵抗する。  
 黒のストレートのロングがはらはらと揺れる。  
 背が反り返り、ぴんと張った乳房もふるふると震える。  
 
 自分はなぜかその姿に被虐美を感じ興奮してしまい、妹の胎内にある絶棒の硬度を増してしまう――  
 
 倫の足の動きが変化した。  
それまで大振りな動きだったのが、小刻みにリズムを付けて、左右にコロッコロッと絶棒を転がし始めた。  
 
「うぅっ……くうぅ」  
 
丁度ツボに当たる部分だけを連続して刺激されることとなり、絶棒は大きく膨れ上がって反り返った。  
それをさらにズリ、ズリと踏まれていく。絶棒はカチカチに硬くなっていった。  
 
 ここで倫は絶棒の根本を踵で強めに踏み固定した。  
 そして、くいっくいっと左右に足を回転させ、早くも我慢汁の滲む絶棒を責め苛んだ。  
 
「止め、やぁっ……倫!」  
 腰の奥に発射の胎動を感じ、望の声が切迫度を増した。  
 
 だが、倫はそんな兄の声を無視するかのように、言葉を継いだ。  
 
「それから、霧。あの女童には木馬に乗ってもらいましょう」  
 倫は絶棒の張り出したエラのすぐ下を親指と人差し指で挟み、ぐにぐにっと擦りたてた。  
 
「はああっ」  
 傘の直下というもっとも敏感な部分を直接刺激され、望は喘いだ。  
 
「お兄様を慕って学校に籠もっている小娘には、乗馬で楽しく体を動かす醍醐味を味わっていただきたいものですわ」  
「くっ……ふうぅ」  
 
 望の目の前を覆っているピンクの闇のスクリーンに、霧が三角木馬で責められている様子が生々しく浮かび上がった。  
 
 
――所々ドス黒いシミの付いた三角木馬。自分の腰の高さほどもあろうか。  
 
 その上に、霧がやはり全裸で跨るよう強いられている。  
 
 上半身には縄がきつく掛けられ、両手は後ろで縛めを受けている。  
 乳が大きくくびり出され、ただでさえ巨きく美しい彼女のバストを不自然に強調している。  
 透き通るような白い乳房に浮かび上がる静脈の筋が今は痛々しい。  
 
 木馬の背がは鋭く尖っている。  
 その上にただ乗っているだけでも相当な苦痛を伴うのに、霧の両足首には鉄の足枷が填められている。  
 さらに、それから短い鎖で繋がれた鉛の球がぶら下がっている。  
 
 自分は霧の目の前で、倫に犯されている。  
 絶棒が出入りする様子が霧にも見える位置だ。  
 だが、霧は懸命に目を閉じて痛みを堪えている。  
 時々首を左右に振っては自分に助けを求めてくる。  
 
「いやッ! イヤ、いやぁっ! 先生、助けて……先生、せんせ…い……」  
 
 倫が快感に震えながら霧に声を掛ける。  
 
「さあ、お兄さまのことを諦めると言うのじゃ。うぅ……そうすれば、それから降ろしてやらんこともないぞ。ん?」  
 
 だが霧は健気にも、自分のこととなると頑なに抵抗してしまう。  
 
「いやぁっ。私、先生がいないと生きていけないの。絶対諦めないわ」  
「そうか。ならば仕方がない。……増やせ」  
 
 倫が冷ややかに命じると、自動で鉛の球が一個ずつ、霧の足枷に追加される。  
 
「きゃああああ!」  
 霧が苦痛のあまり悲鳴をあげる。  
 苦しむ霧の姿を見ながら倫は悠々と腰を使い、絶棒を自由自在に責め立てる。  
 
「やめ、止めて……倫、倫さん」  
 自分は倫の動きに翻弄されながらも、射精だけはすまいと堪える。  
 だが、今やはっきりとした破滅の予感が腰の奥に発生し、絶棒に気を送り込んでくる。  
 そろそろ抵抗しようとする気力が萎えかけている。  
 
「ほほほ……見よ。既にお兄さまは私のとりこ。いさぎよく諦めるがよい」  
「うう、ああん……ぜ、絶対に、いやあぁっ」  
 
 霧は襲ってくる痛みのあまり涙をこぼしながらも、なお懸命に抵抗する。  
 腰まで伸びた黒髪が乱れる。  
 
 少しでも食い込みを和らげるため、太腿で木馬の銅をぴっちり挟み込む。  
 そうして僅かでも球を持ち上げようとする。太腿に筋がうっすら浮かび上がる。  
 
 だが、重さに耐えきれず、脚がずるっと下がってしまう。  
 
「ああぅっ! いやあぁぁ!」  
 
 衝撃で思わず背が反り返り、縄を掛けられ絞り出された乳房もぷるんっと震える。  
 
 自分はなぜか、その乳房を力一杯愛撫したいという劣情を押さえることができない。  
 霧の姿に再び被虐美を感じ非常に興奮してしまい、倫の胎内で翻弄されている絶棒は発射の予感に震えてしまう――  
 
 ようやく絶棒から二本指が離れた。  
 
 だがすぐに、倫は右足の五本の指を使ってくびれの部分を器用に揉み込むかのように、  
またくすぐるかのように、さわさわっと動かし始めた。  
 
「くあぁ……倫、も、もう勘弁して下さ」  
「そうそう、奈美は磔にしてしまいましょう」  
 
 倫は望の言葉をわざと遮るように台詞を押し被せた。  
 
「普通の小娘は我が由緒ある糸式家にはふさわしくありません。身の程知らずぶりを思い知らせて差し上げますわ」  
 
 こう言う間も絶えず、倫は足の五本指で絶棒を妖しい刺激を加え続けた。  
 
「はうぅ、うぁぁン」  
 
 刻々と暴発が近づいている身としては、視界を遮られている分感覚が鋭敏になっている。  
 倫の足の指の軽めの動きだけでも持ち堪えるのが困難になっている。  
 
 それなのに、やはり奈美がその裸身を磔にされ淫靡に責められている様子が眼前に浮かんできてしまった。  
 
 
――薄暗く陰惨な雰囲気の拷問室。その奥に、X字型をした磔刑台がある。  
 
 その台に、奈美がこれも全裸で拘束されている。  
両手両足は数カ所にわたって皮ベルトで台に固定され、動かすことが全くできない。  
 
 さらに、奈美の前後に絶棒とほぼ同じ太さのバイブが奥まで埋め込まれ、  
それぞれが不気味な音をさせながら中でくねっている。  
 
 普通少女はもう長いこと責められているらしく、  
秘部から太腿にかけて恥蜜のこぼれたのが幾筋か伝わっている。  
 
 両手を広げた形で固定されているので、奈美はその美乳を隠すことが全くできない。  
 暗い部屋に白いバストが鮮やかに浮かび上がっている。  
 その頂が、下半身に加えられている責めによって小刻みに震えている。  
 
 奈美の下半身の中心部、若草の蔭りと後ろの恥ずかしい蕾に刺さっている人工の絶棒どもは、  
前にも増してしきりとその頭をくねらせているように見える。  
 その動きは、あたかもそれぞれが悪意をもって奈美の内部に進入し、  
より多くの快楽を与えようと競争しているかのようだ。  
 
 それらが絶え間なく送り込んでくる激しい快感に耐えかねてか、時折、  
奈美の充実した太腿がぴくぴくっと痙攣している。つま先がぎゅっと縮こまる。  
 
 自分からは、奈美が淫らな器具で凌辱される様子がよく見える。  
 無論、奈美からも自分が実の妹に跨られたあげく無様に喘いでいる姿が丸見えである。  
 しかももう発射までほとんど余裕が無く、今はただ倫の奔放な動きに翻弄されるばかりなのだ。  
 
 好いた相手には絶対に見せたくない姿を目撃される羞恥に、二人とも身が震える思いだ。  
 だが、激しい快感を伴う責めから逃れる術は両人とも無きに等しい。  
 
 奈美は感じていることを打ち消すかのように激しく首を左右に振り、自分に助けを求めてくる。  
 
「ああぁ、こんなのいやぁ! くうぅぅっ…… 先生、お願い。助けて……はぁん」  
 
 倫が自分も絶頂寸前の快感に溺れながら奈美を蹴落とそうとする。  
 
「ああっ、はぅぅ……さあ、お兄様のことを諦めると言うのじゃ。そうすれば、うっ……すぐに楽になれるやも……あんっ……しれんぞ」  
 
 だが奈美は律儀にも、自分のこととなるとつい抵抗してしまう。  
 
「いやぁっ。私、先生が好きなの。こんなのでなくて、先生にされたい……先生の子供が欲しいのっ! 絶対諦められないよぉ!」  
「そうか。あン……な、ならば仕方がない。お兄様の前ではしたない姿、あん……生き恥を晒すがよい……目盛りを最大にせよッ」  
 
 倫が命じると、奈美の胎内で低くくぐもっていた響いていた振動音が一気に高まった。  
 
「ああん、いやああ! こ、こんなのでイくのはイヤああぁ!」  
 
 奈美が望まぬ快楽の攻勢に悲鳴をあげる。  
 
 苦悶する奈美の姿を見ながら倫は激しく腰を上下させる。  
 妖しく蠢動する柔襞で絶棒をぎにゅるぎにゅると絞り上げ、しとどに蜜を絡ませる。  
 
「お兄様、私もう、ああ……ねえ、一緒に。一緒にイって下さい……はあっ」  
「ああ、もう、もう……ダメです。倫。うあぁっ」  
 
 自分はどう我慢しても、迫り来る射精感を抑えることができない。  
このままでは、実の妹の中に絶流を漏らしてしまう。  
 
 ああ、でも……でも、もう逃がれられそうにない。気持ちいい……出してしまおうか……  
 
 倫がラストスパートをかけてくる。  
 
「はああん……見よ。おぉ……もうすぐお兄様は、私の中に、こ、子種をお出しになる。うぅ……いさぎよく諦めるが…ああぅ…よい」  
「ああ、先生、堪えて! お願い……いやあ、これ抜いてぇ! ああん……先生、いやあああぁ」  
 
 奈美は襲ってくる人外の快楽のあまり涙をこぼしながらも、激しく首を左右に振り、  
なお懸命に抵抗する。  
 
 だが強制的に引き起こされる激烈な快感に抗いきれず、顔を真っ赤にした奈美のショートの黒髪が振り乱れる。  
 拘束されながらも背が反り返り、あたかも美乳を前に突き出す格好になる。  
 その頂が恥ずかしくも勃起していることが、自分の目からもはっきりと分かる。  
 
 ――ああ、その乳房をめちゃめちゃに揉みしだきたい。頂点を舐めしゃぶり吸い上げたい。  
隅々まで存分に堪能したい――こんな劣情を自分は押さえることができない。  
 奈美の姿に三度被虐美を感じ、この上なく興奮してしまう。  
 倫の胎内に咥え込まれている絶棒はとうの昔に発射寸前まで追い詰められてしまっている。  
 
 もう堪えきれない。もう、駄目だ――  
 
 望は今や絶頂への階段を強制的に上らされていた。  
 それも、視界を奪われたまま実の妹の足に踏まれながら、という屈辱的な絶頂へ向かってである。  
 
「あ、うあ、止めて……倫。あン、はあぁっ」  
 
 ついに絶棒の根本に絶流の第一波が押し寄せてきた。  
 どくん、というその脈動を踵で察知した倫は、亀頭を足の裏の中心でしっかり踏みつけ、  
激しく前後に擦りながら叫んだ。  
 
「さあ、お兄様、お出しになってっ!」  
「う、はうう……はわあああああああああああああああああっ」  
 
 望は最後のきつい刺激に耐えきれず、妹に屈服した証しとなる白濁流を大量にぶちまけていった。  
 
 勢いよく飛び出たそれは望の首の近くにまで達し、胸から腹へかけて転々と飛び散った。  
 
「はひゃっ、もう、もう止めて、はああぁ」  
 
 出した直後の敏感な亀頭を、倫はまだ容赦なくぐいぐいと踏みつける。  
 その度に、絶棒は毒液を吐き出しては、倫の足の裏も汚していった。  
 
 だが、倫は汚濁液にはとんと構わず、なおもぐりぐりと絶棒に刺激を与え続けた。  
 
      ☆  
 
「はあっ、はあっ」  
 
 依然頭にバスタオルが掛かったまま、望は荒い息をついていた。  
 鼻や口も覆っているので、息が苦しい。  
 
 やがて、倫がバスタオルを少しめくり、望の口だけを解放した。  
 そして、バスタオルを目の方へ折り返した。  
 
「はあっ……はあ……はあ……」  
 
 望の息が整うのを待っていた倫は、望の頭の横に膝まづくと、不意に接吻した。  
 
「う……んむぅ……」  
 
――り、倫!  
 
 顔の見えないまま味わう実の妹の唇は実に甘く、そしてほろ苦かった。  
 
 だが、何かが吹っ切れたかのように、二人は舌を情熱的に絡ませ合った。  
 唇や舌で味わう感覚が、じいーんと体を伝わって下半身に到達するかのような、  
濃厚な接吻となった。  
 
 しばらくして倫がつっと口を離した。  
 まだ望の舌が覗いているのにいきなり立ち上がると、先ほどまで絶棒を踏んでいた足の裏で望の口を塞いだ。  
 
「わむぅっ」  
「お兄様、舐めて」  
 
 倫は足の裏を舐めるよう要求してきた。  
 望が躊躇していると、ぐりぐりっと口を踏みつけ催促した。  
 
「どうなさったの? ほら、早く」  
 
 既に妹に屈服してしまった望はもう抵抗できない。黙って妹の足の裏を舐め始めた。  
 
──さり、さり、さり。  
 
 微かな音がする。  
 
 倫はしばらく年上の下僕に先ほどまで彼をいたぶっていた足の裏を舐めさせ、  
そのくすぐったいような、ジンジンする感覚をひとしきり楽しんだ。  
 
 やがて足を少しずらすと、望の放出したエキスを、放った当人の口に押しつけた。  
 
「ご自分の出した子種もきちんと舐めて」  
 
 依然として視界が塞がれている望は、素直に自分の白濁液の名残を舐め取っていった。  
 何とも言えず苦く、その後味がいつまでも舌に残った。  
 
 倫は足指の間も丁寧に舐めさせ、五本の指も一本一本念入りにしゃぶらせたあげく、  
忌々しげに言った。  
 
「お兄様、たいそうお上手だこと。さぞかし練習なさったんでしょうねえ。あの小娘どもで」  
「うう……倫……あなたは」  
「では、こちらもお舐めになって」  
 
 倫は望の顔にしゃがみ込むと、秘所を兄の口にあてがった。  
 
――倫! そ、それは!  
 
 望は今から自分が舐めてようとしているモノが何なのかすぐに分かった。  
 
 が、もう抵抗できない。  
 望は目の前の絶景を目にすることがかなわないまま、舌先で草むらをしゃりしゃりとかき分けた。  
 そして秘裂にそって何度も舌先を往復させた。  
 
「はぁん……」初めて聞く倫の甘い声だ。  
 
 割れ目の中に舌先を潜り込ませた。もう蜜が溢れんばかりに濡れていた。  
 その新鮮な秘蜜を少しだけ音を立てて吸うと、望は妹の襞に沿って少しずつ丁寧に舌を這わせた。  
 
「はぁっ、お兄様ぁ……いいっ」  
 
 倫が自分自身を望の口に強く押しつけてきた。  
 若い女性の味を口一杯に感じながら、望は標的を秘豆に変えた。  
 早くイかせた方が、結果的にこの状況から早く逃れられると思ったのだ。  
 妹と肌を合わせた経験はあまりなく、舌先の感覚だけをたよりに標的を探し出すのは困難だった。  
 だが、倫の方から位置を調整してきた。もう十分大きくなっているのが感じ取れた。  
望はそれを優しく舐め上げてやった。  
 
「はああん」  
 
 倫の声が一際大きくなった。  
 
 望は豆の周囲を尖らせた舌先で何度もなぞった。  
 そして、れろれろと上下左右に往復して何度も弾くと、倫の体がぴくぴく震えるのが分かった。  
 
 仕上げとばかり、舌で何度かぎゅっと押しつぶすようにし、ちゅうっと吸い上げてみた。  
 
「ふあああぁぁん……お兄様ぁ……もう、もう」  
 
 倫はそろそろ限界のようだ。もう一息。後少しだ。  
 
 だが、急に倫は身体を離してしまった。これでおしまいという訳ではないらしい。  
 
「お兄様、最後はやはり……」  
 
 妹の恥蜜を味わっているうち逞しく回復していた絶棒に細い指を絡めると、倫は徐々に腰を沈めてきた。  
 
「り、倫! うああぁぁ」  
「うぅ…お兄様ぁ」  
 
 望の奉仕ですっかり準備が整っていたのか、二人はスムーズに合体した。  
 
 中は潤っているが、自分以外には経験のない倫のそこは非常に狭い。  
 入れて間もないのに、もうギュッギュッと痛いほど絶棒を締め付けてくる。  
 
 久しぶりに味わう倫のきつい締め付けに、望は喘いだ。  
 
「く、くぅぅ、倫……倫さん」  
 
 もはや自分が奉仕する立場だったことも忘れ、望は本能の赴くまま腰を突き上げ始めた。  
 倫もそれに合わせるかのように、激しく腰を動かした。  
「あん、はあん、あぁっ……お兄様ぁっ」  
 
 本来なら決して許されるはずのない兄妹の肉の交わりである。  
 だが、今この刹那だけはそれを忘れたい。望はあえて快楽に没頭した。  
 
 懸命に下から腰を突き上げているうち、ふと倫の喘ぎ声が何か切実な物を秘めている気がするように思われた。  
 
――単なる気まぐれで自分を責めているのではなさそうだ。なぜだ。いったい何があったんだろう。倫?  
 
 やがて、倫の喘ぎが切れ切れになり、動きも激しくなった。  
望ももういくらも余裕がない。  
 
「ああ、お兄様、もう。もう」  
「倫、私も、もうすぐ……あぅ」  
 
――わかった。とにかく、可愛い妹の為ならともに地獄に堕ちよう。どんな形ででも一緒に過ごそう。  
 
 こう思い至ったとき、望の中で何かが吹っ切れた。  
 
「倫、倫! い、一緒に。うぅっ」  
「はい。あ、あぁっ、お兄様あぁ!」  
 
 倫は兄の両手を取ると自分の胸に導いた。  
 
「お兄様、お願い。ああ。あん、あん、はああああああん」  
「よし、倫。……ほら、ほら。……くぅううぅっ、ううっ」  
 
――姿形は見えないが、この手触りには確かに覚えがある。我が可愛い妹、倫の胸だ。  
 
 倫の胸を激しく揉みたてながら、望は再び絶頂へ駆け上っていった。  
 
「あっ、ああ…お兄様、お兄様、お兄様ああぁぁぁぁ!」  
「うぅ、倫、倫……倫! はあああああぁぁぁっ」  
 
 望が倫自身の奥深くに絶流を注ぎ込むと同時に倫も頂点に達した。  
 倫の中がぎゅうううっっときつく絶棒を奥から締め上げると、残っている液を搾り取るように蠢いた。  
 倫は背を大きく弓なりに反らせていたが、やがてがくっと力が抜けたかのように、望の横に倒れこんだ。  
 
 
 望は居間に横たわっている。  
 頭を覆っていたバスタオルはもう取れて、望のそばに落ちている。  
 
 望は今、腕枕をしている。  
 彼に寄り添い、その腕に頭を載せているのは倫だ。  
 
――再び妹に腕枕をしようとは……  
 
 望は複雑な思いを抱いて妹の顔を見つめていた。  
 やがて、ようやく息が整った倫が静かな声で言った。  
 
「お兄様」  
「……ん?」  
「私、今度見合いをします」  
「倫……」  
「お相手は、ある茶道の大家の次男坊だとか」  
「……そうだったんですか……」  
 
 望は、それでこんなことを、という言葉を飲み込んだ。  
 
 倫は望の胸に飛び散った生乾きの精を指先で弄びながら続けた。  
 
「でも、その方の所へ嫁に行くつもりはないの。私はずっとお兄さまのそばにいたい」  
「倫。あなた……」  
 
 望は自分もそのつもりだと応えようとした。  
 
 だが、倫はここで望の肩を軽くポンと叩くと、急に明るい調子で風呂を勧めてきた。  
 
「お兄様、お風呂に入ってらして。今ならまだお湯も冷めてないでしょう。それに、ほら。汚れがとれなくなりますわ」  
「……」  
 
 望は倫の顔を正視できず、俯いて風呂場へ向かった。  
 視界の隅をかすめた倫の目尻に、光るものが浮かんでいたような気がした。  
 
      ☆  
 
 愛しき兄、望の後ろ姿を追いながら、倫は今交わした兄との愛の証しが付いた指をペロッと舐めた。  
 
――お兄様……  
 
 倫の瞳は禁断の愛に燃える強い光を湛えていた。  
 
 
──[完]──  
 
 

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