──ガラッ  
 
「先生〜〜、いルカ?」  
 マリアが宿直室の戸を勢いよく開けて入ってきた。  
 
「いらっしゃい。外は寒かったでしょう。あ、戸は閉めて下さい」  
 彼女の来訪を予期していた望は、炬燵にあたったままマリアを迎えた。  
 
 望はマリアの髪がしっとりして、きれいな艶が出ているのに気づいた。  
 
「おや、あなた、お風呂に入ってきたんですか?」  
「ウン、久しぶりに入ると気持ちイイな。入れてくれる人がいたヨ。それより」  
 マリアが元気良く尋ねた。  
「先生、今年の節分は恵方巻はナイのカ?」  
 
 望は微笑した。  
「ありますよ。あなたや皆さんが来るだろうと思って、普通のと、丸かぶりロールケーキってのをたくさん買ってます。さっそく出しましょう」  
 望は炬燵から出かかった。  
 
「それは楽しみだナ。で、先生の恵方巻はまだアルカ」  
「私の? はて……」  
「これだヨ、コレ」  
 
 マリアは炬燵から出た望に飛びかかった。  
 あっと言う間に押し倒して馬乗りになると、器用に袴をずらした。  
 
「ちょ、ちょっと! 何をあなた」  
 
 望は慌てて彼女を退かせようとした。  
 だが、マリアは目にも留まらぬ早業で、するするっと絶棒を取り出してしまった。  
 
「あれェ? やっぱり先生、余っテルノカ……」  
 縮んだままの絶棒に目を落としていたマリアは、急に目を輝かせた。  
 
「そうダ! マリア、コレ、立派な恵方巻にするヨ」  
 そう宣言すると、絶棒を指先でふにふにと刺激し始めた。  
 
「うひゃあ! やめ、止め。ちょっと、や」  
   
 望は必死にマリアの行為を止めさせようとした。  
 ふと何かの弾みで、手がスカートをめくってしまった。  
 
「なんダ、先生」  
 マリアが納得したような表情になった。  
「マリアのマメ、見たいのカ? 遠慮するなヨ。ホレ」  
   
 マリアは自分からスカートを大きくめくり上げると、秘部を丸出しにして望に向けてきた。  
 自分は絶棒を握ったままでいるので、自然に女性上位の69をしている格好になった。  
 
 もちろん、望に比べてマリアの背は低いので、望が彼女の「豆」を味わうためには、  
首を持ち上げて腰を抱え込まねばならない。  
 無論そんなことをする積もりはない……などと思っているうちに、  
彼女の幼いのか発達しているのかよく分からないミステリアスな秘部が望の目の前に広がった。  
 
「あぁぁ……わひゃっ!」  
 
 突然マリアが絶棒を口に含んできた。  
 まるでアイスキャンディーを舐めるように、器用に丁寧にしゃぶる。  
 全く想定外の刺激に、絶棒はすっかり固くなってしまった。  
 
 ちゅぽん、と音を立てて口を離したマリアは、満足げに絶棒を眺めた。  
 
「よーしヨシ……お、もう余ってないネ」  
「いやああああああ!」  
「アレ? 先生」  
 
 絶棒を眺めていたマリアが素朴な疑問を口にした。  
 
「どうして先生の恵方巻は真っ直ぐに立ってナイノカ?」  
「そ、それはですね」望が切れ切れに答えた。  
「私のは、み、右曲がり、だから……って何を言わせるんですかぁ!」  
 ついうかうかとしゃべってしまった望は赤面した。  
 
「ソウカ、先生の恵方巻は最初から恵方を向いているんだナ」  
「いや、そうではなくて」  
「先生はスゴいナ。最初から北北西が分かるんダナ」  
「あの、何と申しましょうか……」  
 
 ここで宿直室の戸に女生徒のシルエットが写った。いつもの絶望ガールズの面々である。  
 
「先生ーー。いますかーー?」  
 
 千里たちの声を聞いたマリアは、目を輝かせて戸口へ向かった。  
 
「オーイ、みんな! 先生の恵方が右曲ガリで北北西ダヨ」  
「ちよっと、マ太郎ったら。それ、どういうこと……」  
 
 ここで戸を開けた絶望ガールズは、望とふらふら揺れている絶棒を目にすると、口々に叫び声を上げた。  
 
「きゃーーーーーーーーーーーーーーーあ!」  
「うなああああああああああああああああ!」  
「しっぽーーーーーーーーーーーーーーー!」  
 
 
──[完]──  
 
 

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