気がつくと、望は宿直室にいた。元の衣服を身につけて、布団に寝かされている。  
 身体はきれいに洗われたようで、どこもべとついたりせず、さっぱりしている。  
 
――そうだ、倫の工場に行ったんだっけ……  
 
 ふとコタツの上を見ると、チョコらしきものが置いてあった。  
 
 布団を這い出て一つを手に取ってみると、果たして絶望ガールズからのチョコであった。  
 
──今日はごちそうさまでした★  
 
──来月楽しみにしてまーす−☆彡  
 
──きっちり3倍、お願いします。  
 
──3ばい、いっぱいまってるよ!  
 
などと、可愛い包みのそれぞれに各人のメモが貼ってある。  
 
――あああ、来月どうしましょう……一日に27回なんて……  
 
 望はその場にへたり込み、頭を抱えた。  
 
 来月確実にやってくる地獄のホワイトデーのことを考えたとたん、  
股間に甘い衝撃が襲ってきた。  
 
──ズクンッ!  
 
「はうっ!」  
 
 望は思わず股間を押さえた。だが、股間の妖しい疼きはだんだん強くなってきた。  
 昼間のチョコの成分が、まだ残っていたのかもしれない。  
 
――う、うああ……もう我慢できません!  
 
 たまらず自分で慰めようとした途端、ケータイが鳴った。メールが来たのだ。  
 見ると、霧からである。本文には一言、  
 
──今すぐ来て。  
 
とあった。望は、──すぐ行きます!と返信しながら、前かがみでいそいそと霧の部屋に向かった。  
 
 霧の部屋の前まで来ると、戸をノックした。  
 
「こんばんはー」と声を掛けると、中から  
 
「どうぞ」と可愛い声で返事があった。  
 望はいつもは鍵を掛けてるのに、などとは思わずに自分から戸を開けて入った。  
 
 夜なので、もう部屋の畳の上には布団が敷いてある。  
 その上に、霧が布団にくるまって座っていた。  
 
「先生」  
 霧の顔が一瞬、ぱっと輝いた。だが、その後のセリフに望は驚いた。  
 
「先生、私と勝負しよ」  
「勝負!?」  
 
 訳が分からず、望は霧を見つめた。霧の瞳には、少しだけ挑戦的な光が宿っている。  
 そういえば、真っ白の布団の上からピンクのリボンが掛けられているのも尋常ではない。  
 
「うん。先生がゲームで勝ったら、リボンを解いてもいいよ」  
 
――今布団を巻いているリボンを解いたら……  
 
 望は一時忘れていた股間の疼きを再び自覚した。  
 
「いいでしょう。その勝負、乗ります」  
 
 望の言葉尻が上擦っていた。それを押し隠すように霧に尋ねた。  
 
「で、どんな勝負をすればいいんです?」  
「私の前にあるチョコ、見てくれるかな?」  
 
 望は霧の側に寄り、前に置いてある物を手にした。ごく薄手のチョコらしい。  
 何気なくラッピングを全部外すと、細長いチョコ状の菓子が出てきた。  
 
 芯は極薄のウエハースで、上がホワイトチョコ、下がミルクチョコでコーティングされている。  
 ホワイトチョコの方には、物差しの目盛り状の物が、やはりチョコレートでついている。  
 目盛りは10センチ分ほど付いていた。  
 全体としてはそこはかとなく可愛らしい、女の子好みのする感じである。  
 
 望は改めてチョコの包み紙を見てみた。  
 
 
──メモリアルチョコ 「目盛り有る」  
    
  二人の愛を計ってみませんか?  
 
  二人の距離が縮まって  
  見事ゼロになったとき、  
  二人の愛はメモリアル……  
 
  もしも途中で折れたなら  
  二人の仲はそこでおしまい  
 
  さあ、今こそ二人の愛を  
 「目盛り有る」で試しましょう!  
 
             糸色製菓──  
 
――倫ったら、こんなチョコも作ってたんですね……  
 
 望は思わずゴクッとつばを飲み込んだ。霧がルールを補足した。  
 
「両端から同時に食べていくの。途中で折れなかったら、先生の勝ち」  
 
――途中で折れたら、小森さんは所詮それまでの相手だった、ってことですか。  
 
「なるほど。いいでしょう。やってみましょう」  
 
――今、このコとは別れたくない。小森さんに試されるのはちょっとシャクですが、  
ここは彼女のカワイイ賭に乗りましょうか。  
 
 望は短い物差しのようなチョコの端を霧に咥えさせた。  
 
「じゃあ、いきますよ」  
 
 望も他方の端を咥えた。そしてゆっくりと食べ始めた。  
 
──シャリ…シャリ…シャリ…  
 
 だんだん距離が縮まってくる。霧の顔が近づいてくる。  
 
 霧はチョコの端を咥えたきり、目を閉じたままでほとんど口を動かさない。  
 口元のチョコが溶け折れそうになったときだけ、遠慮がちに食べ進めるだけだ。  
 
 一方、望は慎重になりながらも必死に食べていった。  
 これまでこんなに真剣にチョコを食べたことなど無かった。  
 
──シャリ…シャリ…シャリ…  
 
 あと5センチ……  
 
 霧の顔が間近に迫ってきた。若干頬を赤らめているようだ。  
 何かに祈っているかのように、目を閉じたままである。  
 望はたまらなくなった。どうしてもこの目の前にいる少女と繋がりを持ち続けたかった。  
 
 あと3センチ、2、1…………望は無事にチョコを食べ終えた。  
 
 二人は静かに唇を合わせた。  
 
 やがて二人は安堵して、互いの唇に付いたチョコを舐め合った。  
 
 自分の舌先で相手の唇に付いているチョコを舐め取ってはその甘さを堪能し、  
一方で相手の舌先が自分の唇に触れるこそばゆさと気持ちよさに酔った。  
 
「勝ちましたよ……やっぱり勝利は甘い味がしますね」  
 
 望はこう呟くと、霧を布団の上から抱きしめた。今度は本格的に舌を絡めていった。  
 霧も無言のまま情熱的に応じた。  
 
 望は勝負に勝ち、霧も賭に勝ったのだ。  
 
 
 望は、しばらくの間、霧を布団の上から角度を変え何度も抱きしめた。  
 が、やがてじれったさを押し隠して催促した。  
 
「このリボン、もう、いいですか?」  
「うん。先生なら、いいよ。引っ張ってみて……」  
 
 答えを待ちかねたように、望はスルスルッとピンクのリボンを解いた。  
 そして、純白の布団をやさしく剥いだ。  
 
 すると、中から薄いピンクのネグリジェ姿の霧が現れた。  
 しかも、ネグリジェのあちこちに紅いリボンの薔薇が咲いている。  
 霧自身がプレゼントとして、おしゃれに可愛くラッピングされているようだった。  
 
 望は思わず感嘆した。  
 
「綺麗だ……このリボンも解いていいですか?」  
「先生なら……いいよ。恥ずかしいから、一つずつ、ゆっくりね」  
 
 霧は覚悟を決めたように応えた。  
 望はリボンの花を一本ずつ慎重に解いていった。  
 
 まず、右肩についている大輪の薔薇を解いた。  
 すると、ネグリジェの生地がはらりと肩からめくれ、霧の右肩と腕、  
そしてこんもり膨らんでいる胸の上までが露わになった。  
 
――こ、これは!  
 
 望は、リボンの薔薇を全部解き終わったらどうなるかを瞬時に理解した。  
 
 震える手で左肩の花を解くと、やはり霧の左肩や悩ましいバストラインが現れた。  
 
 同じようにネグリジェに点在している薔薇を解く度に、霧の素肌が少しずつ露わになった。  
 
 ここで霧がくるっと後ろ向きになった。見ると、腰の上にも綺麗な薔薇が咲いている。  
 慎重に解いていくと、霧の丸く可愛いヒップが現れた。  
 
 望が思わず手を伸ばそうとすると、霧はくるっと望に向き直った。  
 ネグリジェだった布切れはほとんど霧の身体から滑り落ち、  
今は首の周りから胸の先端に引っかかって辛うじてその辺りを隠しているに過ぎない。  
 
 その胸の下に、最後の深紅の薔薇が一際大きく開花していた。  
 
「先生、最後にここも……ね」  
「ええ」  
 
 望は一息付くと、胸の下に咲く深紅のバラをゆるゆると解いていった。  
 やがて薔薇が単なるリボンに戻り、それと共に布切れもするするっと滑り落ち、  
ついに霧の白く輝く全身が望の目の前に現れた。  
 
「こ、小森さん……」  
 
 望は唾を飲みこんだ。今すぐ抱きしめたくてたまらないのに、  
まるで金縛りにあったようにその場を一歩も動けなかった。  
 
 そんな望に、霧が消え入りそうな声でおねだりした。  
 
「先生、私も食べてくれるかな」  
「小森さん!……喜んで」  
 
 霧の声で硬直が解けた望は、霧を大きく抱擁した。霧も望の背にゆっくりと腕を回した。  
 
 二人は優しく抱き合っていた。もう二人とも全裸である。  
 
 不意に霧が言った。  
 
「先生、私も勝負に勝ったかな」  
「ええ。この試合、二人とも勝ちましたね」  
 
 こう言って望は霧と見つめ合うと、唇を重ねた。  
 
 やがて望の舌が霧の耳から首筋を伝っていった。  
   
「ふ……はぁっ」霧は小声で喘いだ。  
 
 望の手は霧のボディーラインをじれったそうに何度も上下していたが、  
やがてすうっと豊かな胸に伸びてくるとやわやわと揉み始めた。すぐに力がこもった。  
 
「あん……はぁんっ」  
 
 今日の望はいつものようにじりじりとじらすような動きを見せない。  
 男女の秘め事を覚えたての若者のように、最初から一生懸命に胸を攻めている。  
 ぐいっ、ぐいっと揉みこむかと思うと、指先で乳首をくにくにっと摘む。  
 
 霧はいつもと違う動きに翻弄された。  
 
 望に揉まれ、摘まれたところからじーんと強い電流が発生し、  
後から後から全身に伝わっていく。  
 その熱い電流が霧の身体の奥を痺れさせ、官能の固まりをとろけさせていった。  
 
「あぁん……せんせい……激しいッ」  
 
 思わず首を振って喘ぐと、それを合図にしたように望は右胸に吸いついた。  
 
「はぅっ!」  
 
 いきなりちゅっ、ちゅっと音を立てて吸い続けたかと思うと、  
舌先で幾度と無く乳首を弾いた。  
 片手はもう霧の秘部に伸びていた。  
 
――先生、どうしたの? 今日は激しいッ! ああ、でも、先生……先生だから、こんなのも気持ちいいッ!  
 
 望の昼間の様子を知らない霧は、胸と秘部から湧き起こる快感で、頭が痺れた。  
 もう目の前に火花が飛び始めた。  
 
 しばらく霧の秘唇をいじっていた手がすうっと離れた。  
 が、霧が息をつく暇もなく、望の手が霧の両足首を掴んだ。  
 
 
 望はすっと膝立ちになって霧の脚を持ち上げると、ぐいっと開いた。  
 そして、目の前にある霧の秘部に激しく舌を遣い始めた。  
 
「先生!? ひゃうん……はあぁっ!」  
 
 半ば逆さ釣りされた上での激しい愛撫に、霧は大時化の荒海を漂う小舟のように身悶えした。  
 だが、すぐに望の舌捌きに合わせて秘めやかな水音が聞こえてきてしまった。  
 
──ぴちゃっ、ぴちゃっ。……くちゅっ、くちゅっ。  
 
 霧の腰まで伸びた髪の毛は、今布団にばらりと広がっていて、  
いつものように顔を隠してはくれない。  
 自分がひどく感じていることが、あそこだけでなく耳からも分かってしまう。  
 それを望に知られるのが少しは嬉しくもあるものの、やはりひどく恥ずかしい。  
 はしたない女の子だと思われはしないかと、気が気ではない。  
 でも自分ではどうすることも出来ず、次々と恥ずかしい蜜を溢れさせてしまうばかりである。  
 
 そんな自分が恥ずかしくて、霧は顔を手で覆ってしまった。  
 
 やがて快感を堪えきれなくなった霧は、望に懇願した。  
 
「先生、お願い。はぅん……もう……もう、切なくしないで。あぅ……来てぇ」  
 
 望は無言で霧を横たえると、その美しい裸身に覆い被さった。  
 
「じゃあ、いきますよ」  
「うん……はああっ」  
 
 望はぐいっと挿入した。だが、気が高ぶっていてあやうく漏らしそうになった。  
 
「ふぅっ……うぅ……」  
 
 望は今すぐ発射したい欲求を必死に堪えた。  
 どうにか第一波が去ると、ゆっくり動き始めた。  
 
「あぁ……いぃっ」霧は細い首をのけぞらせた。  
 
――いつもの先生の動きだ。よかった……  
 
 霧は安堵して、望の与えてくれる快感を享受した。  
 
 望は大きく腰をスライドさせていた。絶棒の先が霧の奥に達するたびに、霧は甘く喘いだ。  
 
 やがて望は霧の腰を抱え込むと、奥深くまで絶棒を届かせ、今度は小刻みに動き始めた。  
 
「はうぅ……あん、アン、アッ、あっ……」  
 
 霧はたまらず接吻を求め、激しく望の唇に吸いついた。そして、情熱的に舌を絡ませた。  
 
――あン……私だって、負けないんだから……  
 
 霧は抱きついていた腕を解くと、細い指先で望の乳首をいじり始めた。  
 
 不意に胸に快感を覚えた望は、思わず唇を離した。  
 
「こ、小森さん?」  
 
 霧は下から続けて望の胸をいじりながら、もう片方の乳首にきつく吸いついた。  
 
「ひあっ! こ、小森さん!」  
 
 望は霧の思わぬ反撃に慌てた。  
 
「そ、そんなことされたら、出ちゃいます」  
「いいの。先生」  
 
 霧は望の腰に脚をきつく絡ませると、中をきゅううっと締めてきた。  
 
「私、もう、もう……お願い、一緒にイって。独りにしないで」  
「くっ……わ、分かりました。では」  
 
 望はラストスパートに入った。激しく腰を打ちつけているうち、限界が訪れてきた。  
 
「はぅっ……こ、小森さん。も、もう。もう」  
「うん、いいよ。一緒に、ね。一緒に」  
 
 霧の声を聞きながら、望は腰の動きを加速された。  
 ここぞとばかりに激しく抽走し続けた。  
 
 やがて望は霧の細い腰をぐいっと引き寄せると、とどめとばかりに絶棒を突き込んだ。  
 
「小森さん、もう、もう……うぅっ!」  
「はあぁん、先生、先生、せんせーい!!」  
   
 望が腰を揺すって絶流を霧の中に注ぎ込むと、霧も望に手足をぎゅうぅっと絡みつけ、  
ついに絶頂に達した。  
 
      ☆  
 
 霧は達した後、布団の上に手足をぐったりと投げ出している。  
 望は全身が桃色に染まっている教え子にどっと覆い被さり、軽く抱いている。  
 絶棒はまだ霧の中に入ったままである。  
 
 やがて、脱力したままの霧が呟いた。  
 
「先生、今日は凄かった」  
「……やっぱり、今日が恋人同士の特別な日だからでしょうね。それに」  
 
 望は霧の耳元で囁いていたが、再び絶棒に力が漲るのを自覚した。  
 
「特別な日は、まだまだ続きそうですよ」望はまたゆっくり腰を動かし始めた。  
 
「あんっ、先生……あ」霧は再び喘ぎ始めた。  
 
 二人の夜はまだ長い。二人の秘め事は夜明けまで続くのは間違いなさそうだ。  
 
 
──[完]──  
 
 
 
 

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