いつものように図書館で遅くまで過ごした後、准が教室に戻った時には既に薄暗くなっていた。  
たまに図書委員の用事で真菜実と一緒になる他は、この時間に教室にいるのは  
自分一人であることが通例であった。  
 だが、今日は教室にまだ生徒が一人残っていた。髪を腰まで伸ばした華奢な女生徒が、  
窓辺に佇んで、暗くなりかけた外を眺めている。  
 
――倫ちゃんだ……  
 
 担任である望の年の離れた妹で、最近転校してきたばかりの倫であった。  
才色兼備で、糸色家で一番しっかり者である。  
その彼女の、後ろ姿とはいえ短めのスカートからすらりと伸びた脚が実に魅力的で、  
思わず見とれてしまう。  
だが、准は、ふと倫が思いがけず寂しそうな背中をしていることに気付いた。  
とても放っておけない。おずおずと声をかけた。  
 
「あの……糸色、さん」  
 
 倫はゆっくり振り向いた。  
 
「ん?」  
 
 准は驚いた。倫がずいぶん悲しそうな眼をしている。思わず問いかけた。  
 
「どうしたの?」  
「ん……」  
 
 担任の妹は生返事をしたまま、黙っている。  
ふと気が付くと倫の目尻が少しだけ潤んできたが、自分でも分かったのか、  
すっと視線を逸らした。やがて、外を見たままで重い口を開いた。  
 
「実はの」  
 
 珍しく言い淀んでいる。日頃の倫には考えられない。  
 
「宿直室にある私物を取りに戻ったらな、その……」  
 
 言いながら、少し頬を赤らめた。  
これで久藤には意味が分かった。先客がいて取り込み中だったのだ。  
 
「先生は、もてるからねぇ」  
 
 二人の担任で、倫の兄である望は、とにかく女子にもてる。  
クラスの女のコはほぼすべて望に好意を持っているらしい。  
さらに、何人かとは深い仲に発展しているとの噂までが、  
クラス内の出来事には無頓着な准の耳にも達している。  
――今まさにその現場に遭遇したのではないか。  
それに、このコが重度のブラコンなのは誰もが知っている――  
 
 深入りするのはまずいと考え、准は別の話題を振ってみた。  
 
「この学校にはもう慣れたかい」  
 
 一瞬の間の後、返事が返ってきた。妙に快活に調子である。  
 
「うむ。高校に通ってみるのも、なかなか良いものじゃな」  
 
 ――これは嘘だ、と准には感じられた。  
集団行動の合間や、教室の中で皆が思い思いにたわいないおしゃべりをしている間など、  
倫が一人で寂しそうにいる姿を見かけることがよくあったからだ。  
そもそも、倫が他の生徒に話しかけるのを見たことがなかった。  
 
 准は隣に並んで、黙ったまま一緒に外を眺めた。  
 
 グラウンドには運動部員がほんの少ししか残っていない。  
声もやけに遠くから聞こえてくるようだ。  
 
 空は夕焼けがそろそろ夜の闇と溶け合い、西の方だけがまだ赤紫色に染まっている。  
カラスが三々五々、塒へ急いでいる。  
 
 外に広がる家並には点々と明かりが灯っている。  
妙に静かで、目の前の景色に現実感がない。  
 
 倫の横顔を見た。  
いかにもお嬢様らしい品格のある整った顔立ちの倫が、また目に涙を湛えている。  
准はそっと肩に手を置いた。倫は准をちらっと見たが、手を振り解かなかった。  
やがて、ぽつりと呟いた。  
 
「優しいのだな」  
 
 肩に置いた手にわずかに力を込めると、倫が准に素直に寄り添い、  
やがて凭れかかってくる。  
 
 そのまましばらくたった後、准は徐々に肩の手を滑らせ、背中に回していった。  
倫も逆らわない。  
 
 倫の方に向き直り、顔を寄せていった。  
倫も潤んだ瞳で准の眼を見つめてきた。  
二人はつっと窓際から離れ、カーテンが束ねてある前でそのまま接吻した。  
 
 唇を合わせたまま背中をそろそろと撫でていた准の手が、徐々に下に降りてきた。  
ちょうど腰の上まで来たところで、どちらからともなく唇を離し、  
熱い眼差しで見つめ合った。  
 
      ☆  
 
 倫と准が、また並んで外を眺めている。  
ただ、先ほどとは違い、准の手は倫の腰に置かれたままである。  
 
 その手がじわじわ腰から下に降りてきた。  
そして倫のヒップをスカートの上からさわさわっと撫でてきた。  
 
――なかなか大胆なヤツじゃな……  
 
 准の指は、布越しだが張りのある肌の感覚を十分楽しんだ後、  
スカートの中にすっと潜り込んでくる。  
 
「くっ……」  
 
 不思議なことに、隠すべきところを触られているのにかかわらず、  
准の指先は嫌悪感を催さない。  
それどころか、彼が触れたところからごく細かな快感が発生し、  
脳に伝わっていくようだった。  
 
 倫は准の耳元に口を寄せそっと囁いた。  
 
「なかなか慣れているな」  
「それほどでもないよ」  
 
 准も柔和な顔つきのまま囁き返す。  
その間も、ぱんつの上から尻たぶを優しく撫で、やわやわと揉んでいく。  
太腿を愛おしそうに撫で、さする。  
 
「んっ……」  
 
 准の指先が触れたところがぴりぴりとごく弱い電流を発していて、  
触られているだけでなんとなく気持ちよくなってしまう。  
まさに魔法の指だ。倫は陶然とした。  
 
 指先が、勝手を知ったとばかり、ぱんつ越しに桃尻の割れ目を上から  
すうぅーっと辿ってきた。  
蕾を通り過ぎた辺りから指先でつんと押してみたり、うりうりっと振動を  
与えたりしながらじわじわと前に進んでいく。  
 
「ん……っ」  
 
 倫は、腰の奥をざわめかせるニクい指を太腿できゅっと挟み込んだ。  
 
「その指で、どれほど女子を泣かせてきたのじゃ?」  
「泣かせてなんか、いないよ」  
「嘘をつけ。その手慣れた動きからして、五人や十人は喰っておろう」  
 
――こやつ、お兄様と同じ匂いがする。  
  無意識のうちに女を惹きつけ、そして泣かせる悪いヤツじゃな。  
 
「ボクは人を泣かせるのは嫌いだよ。泣かされるのもね」  
「ん?」  
 
 准は誤魔化すようにウインクすると、指先を倫の太腿の間でもぞもぞと蠢かせた。  
 
「あ」  
 
 力が緩んだ。隙を突いて指先が布切れ越しにスリットを撫で上がる。  
さっとゴムを潜ると、もう草むらに侵入してきた。  
 
「あん……」  
 
 倫は甘い声を漏らした。  
准の指先は薄目の若叢を散歩し、優しくかき分けてスリットを探し出しては  
その上から優しく丁寧に何度もなぞる。  
 
 だが、倫は准の指を追い払ったりはしない。  
それどころか、倫も准の背に手を回し、細い指先をつうっと背骨に沿って滑り降ろしていく。  
 
──ちゅうん……  
 
 准の背骨から腰、そしてペニスの先にかけて甘い痺れが一瞬走った。  
一瞬うっという顔つきになったが、准は素知らぬ風にそのまま指先を操る。  
草むらの上から倫の秘所を何度も撫で、いよいよ中に入り込もうとしたその時である。  
 
「いつまでも受け身な女だと思ったら大間違いだぞ」  
 
倫は低く呟くと、准の腰に留まっていた手を何気なく前に回し、  
准の股間をわしっと掴んできた。  
 
「えっ!?」  
 
 さすがにこれには驚いたようで、准の指先の動きが止まった。  
准は思わず倫の顔を見つめた。  
倫はかすかに微笑んでいる。小悪魔の微笑。  
それでいてどことなく妖艶な笑みだ。  
 
 倫は准から視線を外さないまま、妖しい動きで指先を蠢かし始めた。  
 
「ふふ……どうじゃ?」  
「ちょ、ちょっと……う……」  
 
 たちまちズボンの前が膨らみ始めた。  
准はたまらず前かがみになり、腰を逃がそうとした。  
 
 しかし、倫の指は追尾の手を緩めない。  
布地越しだが的確に准の陽物をもぞもぞと刺激する。  
准のそれはたちまち大きく固くなった。  
 
――ま、まさか倫ちゃんが……  
 
 准は予想外の人物から予想外の巧みな攻撃を受け、早くも腰の奥に最初の痺れを感じた。  
 
 指が布地越しに触れているだけで、その指の持ち主の体温や生身の身体まで考えてしまい、  
頭がカッカとしてくる。  
指先が当たっているところも火のついたように熱くてたまらない。  
 
 加えて、倫は指先で、くびれの下の一番敏感なところに、  
下着の布地をヤスリ掛けをするようにわざとざらっと擦りたてるのだ。  
 
──ざりっ、さりっ、しゅるっ、ずぃっ……  
「くっ……」  
 
 布地が敏感な首のあたりに擦れる度、亀頭から根本にかけてざぁっと熱い電気が流れ、  
気持ち良さが若茎全体に広まっていく。  
 
 准は、息子が思いっきり熱を帯びて芯から固くなっているのを自覚した。  
 
 倫が追い打ちをかけてきた。  
 
「もう下着を汚しているのではないか?」  
「な、何を」  
「恥ずかしい染みの一つは出来ておろう」  
 
 ここまで言われては、と反撃を試みた。  
中断していた指先の進軍を進め、再びしゃりしゃりと茂みをかき分ける。  
案の定、繊毛をかき分けた先は湿っぽい。  
入り口の浅瀬をじくじくとかき回してみた。  
 
「う……」  
 
 甘くハスキーな呻き声を漏らした倫の指先が一瞬ぴくっと止まったものの、  
すぐに動きを再開した。  
そーっと准のズボンのチャックを下ろし、ベルトを緩めたかと思うと、  
さっと下着ごと膝まで下ろした。  
准の分身がぶるんっと勢い良く現れた。  
 
「あっ」  
「ほぉ……」  
 
 准のそれは年齢相応に、まだピンク色が主体だが岩のように固くなって、  
堂々と勃起している。  
しかも熱を帯びている。  
 
 さすがに同級生の女子の前で逸物を披露するのは恥ずかしく、  
ズボンをあげようとしたところで、男の旗竿を倫のひんやりとした滑らかな指で  
はっしと握られ、抵抗がストップしてしまった。  
 
「う」  
 
 准の肉棒は若い女性の手の感触に落ち着きをすっかり失い、  
時折ぴくぴくっと痙攣している。  
 
「ふふっ……」  
 
 笑みを漏らした倫は、五本の指先を准のそれにしゅりしゅりっと絡みつけ、  
さわさわと這い回らせる。  
そして掌でふわっと肉棒を包み込んで柔々と竿全体を揉む。  
やがてゆっくりと扱き始める。  
 
「たまには女の手で扱かれるのもよかろう?」  
「う……」  
 
 抵抗がぴたっと止んだのをよいことに、倫は准の分身をさらに優しく、  
時に激しく変化をつけて扱いていく。  
准は思わず声が出てしまう。  
 
「くぅっ」  
 
 責められて嬉しいのか、若い棒は倫の手の中でさらにぴくっ、ぴくっとひくつく。  
倫も呆れた調子で言い募る。  
 
「なんじゃ? ひくついておるではないか。  
 それに、こんなに熱を帯びてからに」  
 
 扱きながらも、空いた指先で実に巧みに准の敏感な箇所だけを攻めてくる。  
准のそれは赤黒く充血膨張し、早くも透明な先走りを多量に迸らせていた。  
 
「堪え性のない奴じゃ。もう涙を流して喜んでおるではないか」  
 
 先に溜まっている嬉し涙を細く白い指先で掬うと、張り出した部分や  
その下の括れに丁寧に塗り付け、その際親指で首を存分に刺激する。  
 
──くりくりっ!  
 
「あぐぅっ!……」  
「そうら。……もう降参か? まだ早かろう」  
「うあぁ……」  
 
――な、何とかしないと……  
 だが、准の考えがまとまる前に扱きが再開されてしまう。  
 
──ずりゅっ。ずりゅっ……  
 
 准は発射の予感に震えながら、感嘆していた。  
――お、女のコに手でしてもらうのってこんなに……  
 だが、その感慨も、倫の言葉責めによって中断させられてしまう。  
 
「同級生にイタズラを仕掛けたあげく返り討ちに遭う気分はどうじゃ? ん?」  
「そんな、イタズラだなんて」  
「正直に言え。気持ちいいのじゃろ?」  
 
 言いながら、倫は手慣れた調子で同級生の股間を扱き続ける。  
 
──ずりゅっ。ずりゅっ……  
「んっ……」  
「そら、言うてみい。気持ちがいいです、と」  
「うぅ……き、気持ち…いいです」  
「ふふふ」  
 
 含み笑いを漏らすと、倫は准の耳元に口を寄せ、耳をてろっと舐めた。  
 
「はうっ!」  
 
 准の全身がぴくっとなるのを楽しげに一瞥した後、言葉を続けた。  
 
「ちゃんと前を見よ。  
 年頃の男女が窓際で向かい合って立っていると、ひょんな事から誤解されかねんぞ」  
 
 准は倫からやっとのことで視線を外し、窓の外へ目を向けた。  
左手は窓枠にかけ、股間から送り込まれる快感に耐えようと力を込める。  
倫も准の隣に並び、外を眺めた。  
 
 端から見れば、同級生が窓辺で外を見ながら話をしているとしても  
不思議がない光景だった。  
が、外から見えないところでは、互いに股間をいじりっこしているのである。  
――もっとも、今のところは倫が圧倒的に優勢で、准は時折スリット付近を  
撫でるのが精一杯である。  
とても倫の腰を溶けさせるところまではいかなかった。  
 
 一方、倫は、准の張りつめた若い肉棒を扱く動きをますます滑らかにしていった。  
そして着実に准を限界まで追いこんでいく。  
 
──ずりゅっ。ずりゅっ……  
「う……うぁ……」  
 
 准は眼をきつく閉じた。  
 
「泣け。泣いて許しを乞え。そうすれば止めてやってもよいぞ」  
「そ、そんな……はうっ」  
「ほれ、ほれ」  
──ずりゅっ。ずりゅっ……  
 
 准は腰の奥に迸りの兆しを感じ、慌てた。  
 
――こ、このままだと……まずい、どうしよう……  
 
 だが、准が何かを考えようとすると、それを見計らったかのように、  
倫がまた鈴口の先走りを指先で掬い、裏のくびれにグリグリッとなすくりつける。  
 
「くあっ!」  
「こちらはもう涙を垂れ流しておるな。それとも涎か?」  
「い、糸色さん。ちょっと待って……」  
「ふふっ……もっと耐えないと、教室を汚してしまうぞ」  
 
 そう言いながら、涎を再び拭うとカリ下の敏感な部分に親指と人差し指で  
丁寧に塗り込む。  
准のそれはぴくついて、エラがさらに膨張する。  
 
「う、あぅ……くあぁ…それはダメ」  
「やれやれ……担任教師の妹にちょっと弄られたくらいで、まるで女みたいに  
はしたなく喘ぐとは……お主は恥ずかしい奴じゃのう」  
 
 さらに亀頭やカリ首の括れにまんべんなく塗り付けると、  
同級生を奈落の底に落とすべく、妖しい扱きを再開した。  
 
──ずちゅっ。ずちゅっ……  
「はああっ……くぅ……」  
 
 准は、もうあえぎ声も途切れ途切れになった。  
准の快感を堪えて必死になって泣きそうになっている横顔を楽しそうに眺めながら、  
さらに言葉で追い詰めていく。  
 
「このまま精を漏らして教室にぶちまけるか?  
 見かけに寄らず、お主は変態じゃな」  
「そ、そんなぁ……」  
「ま、我慢は体に良くないかも知れん。  
 最後は見ていてやるからな、きちんと言うのだぞ」  
「ぐ……」  
 
──ずちゅっ。ぬちゅっ……  
 
 腰に体中の熱が溜まっている。  
自分の先が火のついたように熱く、気持ちいい。  
その快感が熱の固まりを膨れさせ、弾けさせようとして鋭い電流の束を  
体内に送りこんでくる。  
その余波が背筋を駆け上り、脳内に木霊して状況判断力を奪っていく。  
 
 先に目を瞑ってこらえようとしたのは失敗だった。  
ますます快感が鋭く大きくなり、発射欲が募るばかりになってしまっている。  
今さら目を開けても、もう窓の外は暗く、グラウンドには目立った動きはない。  
股間の淫靡な責めにあらがうことは出来そうもない。事態は絶望的だ。  
 
 不意に、放出してしまった後、高笑いしている倫の足元に這いつくばって  
自分で始末をする羽目に陥る惨めな姿が脳裏をよぎる。  
とどめとばかり、倫の責めも激しさを増した。  
 
「それ、堕ちろ。ほれ、ほれ!」  
 
 視界が歪む。ぼやける。  
扱きのストロークがさらに大きく激しくなる。  
握りが強くなる。  
 
──ずちゅぅっ!ぐちゅぅっ!……  
「く……くあぁ……うぅっ、もう、もう!」  
 
 ついに分身が限界まで固く膨張し、濁流が根本まで押し寄せた。  
今まさに屈服の言葉を吐こうとしたその時のことである。  
 
──パタパタパタ……  
 
 遠くの方から駆けてくる足音がした。  
二人は思わず顔を見合わせた。  
足音がさらに近づいてくる。明らかにこの教室を目指している。  
 
 二人は窓のすぐ側に束ねてある厚手の遮光カーテンの陰にさっと隠れた。  
カーテンの裾がふぁさあっと翻り、揺れる。  
 
 倫はカーテンの中で壁に向かって立つ。  
両手を突いて肘を曲げ、顔や体を壁に密着させている。  
准は倫のスカートの下というより足元に、これも壁に向かってしゃがみこむ。  
二人の目の前は壁である。  
偶然とは言え、これで二人とも教室の中に誰が入ってきたのかまるで分からなくなった。  
 
 カーテンの中は真っ暗で古く黴臭い。  
が、教室内でスライドを上映したりもするので、物自体は暗幕とも言ってよい  
本格的ものである。  
裾も長く、床にゆったり届いている。  
陰に隠れてしまえばしばらくは見つかるまい。  
 
 裾の揺れが収まるのと同時に、足音の主が教室に飛び込んできた。  
明かりもつけず、特にカーテンに注意を払う風でもなく、自分の机に向かった。  
どうやら忘れ物を取りに戻ったようだ。  
 
 一方、二人はカーテン内で身じろぎもしなかった。  
暗いところで男女が密着している、という意識はまだない。  
が、どうやら安全そうだと分かったのか、准は倫の足元にしゃがみ込んだまま、  
そろそろとスカートを捲り上げていった。  
 
――ふっ……どうせ真っ暗で見えないというのに。  
 
 所詮、若い男子よ……と哀れみ始めてさえいた倫は、准の次の行動に驚愕した。  
いきなり腰を掴むと、尻に顔をぱふっと埋めてきたのだ。  
 
――あっ、な、何を……  
 
 さらに、単に顔を埋めただけでなく、ぐりぐりっと鼻先や顔全体で倫の尻全体を  
ぷるぷると動かし、新しい同級生のヒップの柔らかさと弾力を堪能した。  
ふと顔を離すと、倫が狼狽したのを見極めたのか、そろそろとぱんつを下ろし始めた。  
 
――あ、こら!  
 
 声を上げるわけには行かない。  
何とか止めさせようとして、太腿で准の頭を挟み込もうとしたが、うまくいかない。  
 
 とうとう円やかなヒップラインが露わになってしまった時点で、  
准は片手で倫の足首をしっかと掴んだ。  
そしてもう片方の手で柔布を膝まで下ろしてしまうと、目の前にある倫の  
尻から内腿にかけて舌を這わせ始めた。  
 
 舌先が左の尻から下へすうっと舐め下がる。  
舌先が触れたまま左の内腿から右の内腿へ移動して少し上へ舐め上がり、すっと離れる。  
 
――こやつ舌先で字を書いておるつもりか!  
 
──『し・ず・か・に』  
 
 准の舌先が、この四文字を倫の尻から腿にかけて書き切った。  
効果はあったようだ。  
ぱんつを下げられかけてもぞもぞ動いていた倫が、ぴたっと動かなくなったのだ。  
 
 動かなくなったのを確認したかのように、またそろそろとぱんつが下ろされていく。  
 
――ああ……駄目、よせ。止めろぉ……  
 
 とうとう足首まで下ろされた時点で、准の暖かい指が満を持してスリットを撫でてきた。  
今度は迷わず上下に数度往復させると、いきなり上の敏感な突起が隠れている部分を  
うりうりと刺激してきた。  
 
「!」  
 
 倫の体内を電流が駆け抜けた。体が思わずびくぅっと大きく痙攣した。  
二人の姿を隠していた黒の遮光カーテンがもぞっと動いた。  
 
 忘れ物を探していたらしい足音の主の動きがぴたっと止んだ。  
カーテンの方を訝しげに窺っている。  
 
 准は素知らぬ風に、右足首からぱんつを抜き取ってしまう。  
だが、左の足首に絡まったままの柔布にはもう頓着しない。  
右手の指先を倫の中に潜り込ませたまま、左腕で足を大きく抱え込んだ。  
そして左膝の裏に舌先を当たると、細いのによく脂の乗った太腿をねっとり  
舐め上げ始めた。  
倫は准の舌先が紡ぎ出す甘美な感触に声を殺して喘いだ。  
 
――くっ!……ん……  
 
 足音の主がおそるおそるカーテンに近づいてくる。  
足音を忍ばせそおっと寄ってきているが、カーテンの中の二人にも気配で分かる。  
 
 熱気の籠もった閉空間の中で、高校生にしては見事な尻まで舐め上がった舌先は、  
つうっと隣の丘に移動すると、今度はねっとりと舐め下り始めた。  
なだらかな膨らみに沿ってゆるゆると舌を滑らせ、ヒップと太腿の境目を  
れろれろれろっと鈍くくすぐると、また太腿を這い下りていく。  
 
 准の舌先が触れたところがちりちりした感覚を呼び起こす。  
微細な電流と言ってもよい。  
それが太腿を伝わって女の芯にたどり着き、外の膜を溶かしていくような思いに囚われる。  
舌先からどんどん抵抗力が吸い取られていき、代わりに確かな性感が  
送り込まれてくるようだった。  
 
 足音の主がカーテンのすぐ側まで来た。  
恐る恐るではあるが手を伸ばし、めくろうとしてたその時。  
 
 准が再度敏感な突起を刺激した。  
こんどは芽の上から力を加え、ぐりぐりっと押しつぶしたのだ。  
 
――あぐうっ!  
「!!」  
 
 強烈な快感の稲妻が一瞬のうちに体内を駆け登った。  
何とか声はあげずにすんだが、たまらず腰を准の方に突き出してしまった。  
カーテンが大きく揺れた。  
 
「ひっ……!」  
 
 足音の主は小さく悲鳴を漏らすと、ぱたぱたと駆けだして教室の戸口を飛び出た。  
まさに逃げるように教室を去っていく。  
 
 小さくなっていく足音を耳にしながら、准は倫の足首を掴み、少し開かせた。  
手を壁に突かせ、少しだけ壁から離れさせた。  
まだ二人ともカーテンにくるまったままである。  
 
「あ! な、何を……」  
 
 倫の抵抗はなかった。  
准はしゃがみこんだまま器用に向きを変え、壁を背にして倫の脚の間に入り込んだ。  
そうして倫の腰に下から軽く手を添え、優しく固定した。  
もう倫は身動きが出来ない。  
 
 准の吐息が陰毛に掛かり、さわさわとそよがせる。  
 
――見、見られている!? まさか、こんな暗闇の中でな……  
 
 未だにカーテンの中にいて真っ暗であるとはいえ、准の目の前には自分の  
秘密の場所が剥き出しになっているはずである。  
それなのに、准は何事もなかったかのように、ちょっとイタズラっぽく言った。  
 
「行ったみたいだね」  
「う……」  
 
 股間で准の声がした。  
さすがに恥ずかしくてまともに返事が出来ない。  
だが、答えを待たずに、准は目の前にある倫の秘所をざらりと舐め上げた。  
 
「ひぁっ……」  
 
 倫は甘く叫んだ。  
准はかまわず舌の表で、茂みをじょりっ、じょりっと何度か撫で上げる。  
そしてスリットに沿って性格に舌先を往復させる。  
 
 視覚が奪われスリルを味わったせいか、狭いところに異性と二人っきりで  
閉じこめられて、しかも身動きがとれないようにされているせいか、  
倫は自分でも驚くほど感じやすくなっている。  
准の舌が這い回る度に、奥から蜜がわき出るのを自覚した。  
 
 舌先が中に入ってきた。  
零れかけた蜜を丁寧に掬い取っていく。  
 
──ぴちゃっ、ぴちゃっ……  
 
 淫靡で微かな音が自分の股間からするのがいやでも聞こえてくる。  
当然准も耳にしているはずだ。  
 
 准は無言のまま、襞の一枚一枚を舌先で丹念になぞっていく。  
十代の若者らしからぬ丁寧な動きである。  
倫は、奥から雫がまるで川の源流のように滴るのを自覚させられた。  
あまりの快感に、腰がガクガク震えてしまう。  
 
 准が小さな声で聞いてきた。  
 
「気持ちいい?」  
「そ、そんなこと……くっ」  
 
 倫がまだ強がっていると、またスリットをさあっと舐め上げ、舐め下がる。  
何度か往復した後、再度ニクい舌先が入り込んでくる。  
倫はどうしても声が出てしまう。  
 
「う……んっ……」  
 
 動きは決して荒くなく、丁寧だ。それでいて単調にはならない。  
襞に沿ってねちねちと動くだけでなく、舌先で丹念に根気よくなぞっているのが分かる。  
なぞられるたびにガードが緩み、甘く熱い快感が湧き起こる。  
 
 急に腰を掴んでいた手が離れた。  
倫の合わさった部分を、指でそっと開いてしまう。  
 
「い、いやっ」  
 
 そのまま准は舌前面で肉芽をぞろっと舐め上げた。倫の腰が一瞬スパークした。  
 
「あぅ! き、気持ち……いい……」  
「良く言えました」  
 
 准は目の前の小さな扉を開いたまま、舌先で小粒の周りを一回転――  
いや、ぐりぐりっと何回転もさせ、倫をめくるめく快楽の渦に巻き込んでいく。  
 
「うあぁ……はぅん……」  
 
 しきりに快感を訴える倫の声を聞いても手加減せず、准はさらに愛撫を加えていく。  
今度は、赤く大きくなった芽にちゅうっと吸い付いた。  
 
「ひぁうん!」  
 
 思わず叫び声が出て、腰が跳ねてしまう。  
 
──ちゅっちゅっ。  
「あっ…あん…っぁ…」  
 
 仕上げとばかり、ひときわ大きく音を立てて吸いつく。  
 
──ちゅうううううう!  
 
「ひああああああん!」  
 
 倫の手が壁から離れ、准の頭をはっしと掴んだ。  
 
――まだまだだよ、倫ちゃん……  
 
 准のお返しはこれでおしまいではなかった。  
准の舌先が、吸われて限界まで固くなった赤い尖りを、れろれろれろっと弾き始めたのだ。  
 
「あぅ、あぅ、あぁん! んぅ……」  
――もっとだよ。もっと感じてもらうから……  
 
 舌先の動きはバラエティーに富んでいた。  
ゆっくり強く、余韻を残すようにれろんっと根本からすくい上げるように  
弾き上げることもあった。  
一方、軽く素早く尖りの先端を往復することもあった。  
これらの動きを不規則に組み合わせ、倫に予測をさせないようにして、  
快楽の虜にしようと試みる。  
 
 倫は顔を朱に染め、准の髪をぎゅうっと握ったまま、  
舌先のそよぎに流されて腰が動くだけになっていた。  
准を言葉責めしていた面影はみじんもない。  
准の繰り出す息もつかせない攻撃に全く抵抗できないまま、  
秘裂に蜜を滲ませるばかりであった。  
 
 ひとしきり倫の女性自身の味を堪能し、溢れる恥蜜を全部掬い取った准が、  
次の段階に進むことを宣言した。  
 
「ちゃんと言ったご褒美に、もっともっと感じさせてあげるね」  
――こ、これ以上か! あぁっ……  
 
 准はふらつく倫を支えたまま彼女の足元から離れ、  
再び体の向きを変えゆっくり立ち上がった。  
そして、倫の手を壁に突かせ、尻を突き出させた。  
まだカーテンの中なのでヒップの色つやは分からないが、掌であちこちの感触を確かめた。  
ぴたぴたという手触りから、その充実度は十二分に推測できた。  
准はそのまま後ろから覆い被さると、優しく、だが一気に腰を押し進めた。  
 
「はうっ……ん」  
 
 倫が切なそうな声をあげる中、その華奢な胴体を抱きしめた手をしきりに上下に動かした。  
片手がセーラー服の裾を潜り、愛撫を待ちこがれている胸に到達した。  
 
 限界まで反り返った准の欲棒は収まるべきところを求めて、  
しきりに倫の内腿の狭間を擦れ、さまよう。  
一方、倫は今か今かと待ちわびているところを何度もじらされた。  
准の分身は蜜で濡れたスリットに沿って何度もなぞり上げ、  
倫と分身の持ち主自身をじらせた。  
幾度となくなぞるうちに、准の息子は倫の恥蜜でぬらついた。  
 
 だが、准のもう片方の手が倫の前に回って秘豆の上に達したのを機会に、  
期待に熱く膨れた亀頭も、侵入者を待ちわびて濡れそぼる入り口をついに捜し当てた。  
一度ぬっと頭が埋まると、准の熱い棒は、待ち構えていた倫の奥へ  
ずいっずいっとめり込んでいく。  
 
「う……うぅ……あぅんっ!」  
 
 ぐっ、ぐぐっと埋め込まれていくにつれ、倫は思わず背を仰け反らせる。  
准もあまりの快感にたまらず呻いた。  
 
「んっ!……」  
 
 途中は滑らかでよく潤っているが、そこここが妖しく蠢いている上に、  
不規則にひくっひくっと准を甘く強く締め付ける。  
倫自身は知らないものの、彼女の中は極上といってよい。  
もし准が経験不足なら、頭を突っ込んだとたんに屈辱の大噴射を遂げずには  
おられなかっただろう。  
 
「う……ぐ」  
 
 准は今にも発射しそうなのを歯を食いしばって堪え、  
ようやくのことで分身をすっかり倫の中へ埋め込んだ。  
 
「ふう……」  
 
 准はしばらくじっとしていたが、やがて静かに動き出した。  
 
──……ちゅっ……じゅくっ……ぬちゅっ……  
 
 中は適度にジューシーだが締まりがきつく、極上の摩擦感を与えてくる。  
おまけに、時々柔襞が、にゅるにゅると分身に絡みつき、  
ひくんひくんと何段にも分けて締めつけては放出を誘う。  
いくら経験豊富な准とはいえ、とても長持ちはしそうにない。  
当初は先に受けた言葉責めをやり返そうとも思ったが、とうていその余裕がない。  
 
――これは一気にいくしかないな……  
 
 准は胸に回した手で乙女の膨らみを揉みたて、  
もう片方で倫の豆をいじりながらぐっぐっと突きこみを入れていった。  
倫は三方から与えられる快感のトリオに溺れた。  
 
「あぁっ……」  
 
 胸を攻めている手は、膨らみを片方ずつ念入りに揉み上げる。  
そして手を広げて両方の乳首にタッチし、ぐいっと押しつぶす。  
かと思えば、ゆっくり丘の麓から指先を這わせ、二本指で頂上をくりくりとつまんだり、  
親指の腹で擦ったりする。  
とにかく倫が愛撫に飽きないよう、  
そして慣れないよういつも新鮮な快感を送り込もうと手指を忙しく動かす。  
 
 一方、秘豆に置いた指は、ぐりぐりと押しつぶすように回転させたかと思うと、  
きゅっきゅっと優しく摘んだりして、  
倫の中に快感の白く鋭い電撃を後から後から送り込んでくる。  
 
「あっ……ぁん……ん……んぅう!」  
――こやつ、う、上手い!  
 
 准のそれは真っ赤に熱した鉄棒のように熱かった。  
自分の突いて欲しいところを的確に突いてくる。  
かと思えば、思わぬ動きで予想外の快感を与え、自分を淫らな女にしていく。  
 
 准の情熱的なストロークを受け、自分の中も熱く潤ってしまうのが分かる。  
さっきからカーテンの中に、抽送の音がいやらしく響いている。  
 
──くちゅっ…ぐちゅっ…ずちゅっ…  
 
 准のそれは淫らな音を立てて倫の中を出入りしている。  
出入りする度に、二人の下腹部から快感が束になって全身を駆け巡る。  
腰が重く甘く痺れ、やがて全身を溶かしていく。  
 
 カーテンの中は二人の若々しい熱気が籠もっていた。  
二人とも汗だくである。  
それでも、准は大きく激しいシャフトに移行した。  
しっかり腰を掴んでずっずっと突き込む。  
倫はその激しさに、思わず喘いだ。  
 
「あっあっあっ……あん!」  
 
 突かれる度に体の奥がどんどん溶けていく。  
心の底に澱のように沈んでいた蟠りもいつしか溶かされ、  
甘い蜜液となって准のシンボルに甘えるように絡みついていった。  
 
 准もすっかり安全圏を突破していた。  
倫の体はこれまで経験したどのコに負けるとも劣らず素晴らしかった。  
体の相性も最高と言ってよかった。  
できることなら心行くまで堪能したい。  
いつまでもこうして貪っていたい。  
だが、とうの昔に余裕はなくなっていた。  
いつ暴発してもおかしくない。  
律動をセーブをしなければ暴発してしまいそうなのに、  
腰が独りでに動くのを止めることが出来ない。  
 
 いよいよ自分の中の迸りを抑えきれなくなった准は、  
情熱的な突き込みの合間に切れ切れに限界を告げた。  
 
「う、糸色さん……も、もう……」  
「うぅ……そのまま……そのまま……ぅん!」  
 
 倫もせっぱ詰まった声で応えた。  
准は最後にとどめの突きを奥深くまで突き入れると、ついに欲望を解き放った。  
 
「うぅっ!」  
「はああん!」  
 
 准は溜まりに溜まった白濁を、倫の奥底に大量に注ぎ込んだ。  
倫の中もきゅうっときつく締め付け、若い棒にしとどに蜜を浴びせかける。  
樹液をもっと搾り取ろうと妖しく絡みつく蠢きに、発射直後の敏感な准は思わず呻く。  
 
「むっ……」  
「あああぁぁぁ……」  
 
 夜の教室のカーテンの中で、准はいつまでも倫をきつく抱きしめていた。  
 
      ☆  
 
 翌朝、准と倫が並んで教室に入ると、奈美がクラスメートを前に、  
自身の「恐怖の体験談」を熱弁していた。  
 
「忘れ物を取りに戻ったら、風もないのにカーテンが動いていたの。  
 子猫かな、て思って近づいたら、急にぶわあってカーテンが広がってさあ。  
 きっと悪霊だったのよ。もう少しで取り付かれるところだった。  
 怖かったんだからぁ」  
 
 だが、奈美が初めて登校した際、霧と勝負したあげく、  
幻覚を見て泣いて下校したのを皆が知っている。  
そのため、誰もまともに取り合ってくれない。  
 
「まーたまた、奈美ちゃんったらぁ」  
「人をかつごうとしてぇ。そんなんじゃ新刊のネタにならないよ」  
「去年出たのも『期待するなよ』ってやつだったし、期待できないわね」  
「もっときっちりとしたリアリティがなくちゃ。」  
「ホーントなんだってばあ。みんな、信じてよぉ……  
 あ、ねえねえ、久藤君なら信じてくれるよね」  
 
 助けを准に求める。子犬が親に助けを求めるような目つきだ。  
准はにっこり微笑んで応えた。  
 
「うん」  
「ほらー。やっぱり久藤君は優しいんだから」  
 
 奈美は得意満面で皆を見渡す。  
 
「もう夏になるし、怪談の季節だよね」  
「へ?」  
 
 奈美は鳩が豆鉄砲を食らった顔をした。  
 
「久藤君まで!」  
 
 半泣きになって、准の隣にいる倫に、縋る目を向けた。  
 
「ね、ね、倫ちゃんなら信じてくれるわよね。……ね!?」  
 
 倫はやや眉を顰め、しれっと言い放った。  
 
「夏に怪談とは……誠に普通じゃの」  
「普通って言うなあぁ!!」  
 
 奈美のいつもの叫びが教室に響いたところで、前の戸が開き、望が姿を見せた。  
今日も楽しい絶望学級の始まりである。  
 
 
──[完]──  
 

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