「糸色先生、何度も言うようですが、ここは基本的に生徒の…」  
 
SC室で望と向かい合わせに座った智恵が、ため息混じりに呟く。  
 
「わかっています、ですが…今日は生徒の件での相談ですよ」  
 
相談の内容は、『常月まといのストーキングをなんとかできないか』である。  
 
「わかりました、じゃあ…」  
 
智恵がしばらく目を閉じて再び開ける。  
視界の端には着物姿の少女。  
 
「相手を絶望させてみるのはどうですか?」  
 
「と、言いますと?」  
 
智恵の案に望が食い付き、それを受けて智恵が続ける。  
 
「糸色先生の欠点を見せて相手を幻滅させるんです。  
もちろん演技で構いません、例えば生活がだらしないとか、女性に優しくないとか…」  
 
「なるほど…」  
 
望が眉間にしわを寄せて呟く。  
 
―たしかに、素直に断るより安全そうですね…  
 
「ありがとうございました、試しにやってみます。」  
 
立ち上がり一礼するとそのまま望は部屋を出る。  
それとは別の扉から入ってきたまといがSC室を通って望を追う。  
 
「「…」」  
 
智恵とまとい、二人の視線が一瞬だけ交わる。  
智恵が見たまといの目には、強い決意が感じられた。  
 
 
〜〜夜〜〜  
 
 
「ふー、少し飲み過ぎてしまいましたね…」  
 
赤ら顔の望がやや頼りない足取りで帰宅。  
玄関付近に服を脱ぎ散らかして風呂へと直行する。  
 
―まずは第一段階、生活がだらしない男。  
 
望はそれほど酔ってはいない、  
ただ、素面のままである意味まといを傷つけることになるのが恐かっただけだ。  
 
―こんな時まで己の保身、私はやはり嫌われるべきです…  
 
次の作戦を考えながら熱いシャワーを浴びる。  
風呂は沸かしていなかったし、ゆっくりと湯に浸かっている気分にもなれなかった。  
 
 
「?」  
 
望が異変に気付いたのはシャワーから出てきてすぐだった。  
脱ぎ散らかしておいた服が無い。  
 
―まさか常月さんが…いや、あの娘は今まで家のことなど…  
 
その時、居間のふすまの向こうから微かに声が聞こえる。  
押し殺したような声、しかし今は望とまとい以外に人はいないはずだった。  
 
ふすまの僅かな隙間から居間を覗き込んだ望は、信じられない光景を目の当たりにしてしまう。  
 
「ん…ふっ…!せんせい…!」  
 
居間にいたのはまといだった。  
しかし、はいていたはずの袴はなく、むき出しになった秘所を指先で慰めていた。  
空いた手で望が脱ぎ散らかしたシャツを顔に押しつけて荒く息をしている。  
 
膝をたてて尻を高く上げているおかげで望の位置から秘所が丸見えとなってしまっていた。  
 
「いとしき…せんせぇ…」  
 
まといはさらに秘所をまさぐり、やがて淫核をこねていた指を挿入していく。  
 
望は、動くことも声を出すこともできず、  
ただ、目の前で行われる痴態を見つめることしかできなくなっていた。  
 
「先生っ…私…もう…!」  
 
指の、秘所を出し入れする動きが早くなる、まといの声が限界を告げる。  
 
「せん、せいっ…!」  
 
まといの全身が強ばり、弛緩する。  
秘所からは蜜が溢れて太ももを伝い、畳に染みを残した。  
 
荒く息を吐きながら絶頂の余韻に浸るまといと、それを隠れて見つめる望。  
 
『第二作戦、女性に優しくない男、作戦開始』  
 
望の頭の中で声が響く。  
少なくともそう思い込むようにした…  
 
「常月さん」  
 
ふすまを開け放ちまといの方を見る。  
袴をはき直そうとしたまといが驚愕に肩を竦める。  
 
「せ、先生…」  
 
「常月さん、君はいったい何をしているのですか?」  
 
強めの口調で話し掛ける望、  
しかし、まといは望の話など意に介さずに望の体の一点を見つめていた。  
 
「先生…興奮しているんですね…」  
 
「!い、いや…これは…」  
 
まといの視線の先、それは望の寝間着の布を押し上げて自己主張する望自身だった。  
 
「私で、興奮してくれたんですよね…」  
 
下半身裸の着物少女が、四つんばいでゆっくりとにじり寄る。  
 
後ずさりする望、しかしすぐに廊下の壁に阻まれ、まといに追い付かれてしまう。  
 
「つ、常月さ…!」  
 
望の体にしがみ付くようにして体を起こしたまといが望の膨らみに頬をすり寄せる。  
 
「うっ…く!」  
 
頬摺りしながら先端を指先でこねるような動きに思わず声をもらしてしまう。  
考えていた作戦など、既に頭の中から抜け出てしまっていた。  
 
「先生、今楽にしてあげますね…」  
 
まといが望の寝間着から肉棒を取り出して舐め始める。  
 
「つ、常月さん…こんなこと…いけませんよ…」  
 
まといの口と舌が与えてくれる甘美な快感、  
理性ではいけないとわかっている、口では拒むような台詞を言えても、  
望には行動でそれを拒否することができなかった。  
 
「ん、ちゅう…んー」  
 
「く、あ…」  
 
まといが望の肉棒の括れを唇で扱き、たっぷり唾液を乗せた舌が裏筋や先端を這い回る。  
望の感じる部分を的確に攻める奉仕に、先程の自慰観賞で高まっていた肉棒はすぐに追い詰められてしまう。  
 
「常月さん!これ以上…は…!」  
 
「大丈夫です、いつも飲んでますから」  
 
「…え?」  
 
「気付いてなかったんですか?  
私、ずっと先生が寝ている間に、先生のこれを口でしてあげてたんですよ」  
 
喋っている間も手で望自身を愛撫することは忘れない。  
幹をしごきながらぶら下がった袋を優しく揉む。  
 
―そんな、夢精だと思っていたのに…常月さんが…  
 
「だから、好きなだけ出してください…んむ…ん…」  
 
言うだけ言って再び望をくわえる。  
奥まで、そして口をすぼめて吸引する。  
その時に裏筋に触れたまといの舌が、望にとって止めとなった。  
 
「あっ…う!」  
 
望が小さく声を上げる、まといの口内では肉棒が跳ね、白い樹液を吐き出している。  
 
「ん…んっ…ちゅう…」  
 
白濁液を舌で受け止め、さらにすべてを吸い出すように吸引する。  
 
「あ、ああ…っ!」  
 
射精中の敏感な肉棒を吸われて、望は自然と情けない声が出る。  
 
「んっ…こくん…」  
 
少し上を向きながら喉を鳴らして精液を嚥下する。  
そして笑顔さえ浮かべて望を見上げるまとい。  
 
「たくさん…出ましたね…」  
 
僅かに口端から零れた精液を舐め取ったまといが、ゆっくりと後退する。  
 
「先生、次はここに…」  
 
次にまといが起こした行動に望が息を呑む。  
まといは仰向けに寝転がって両足をM字に開く、  
まるで赤子のおしめを替えるような格好。  
V字に開いた指で淫唇を広げると、蜜が零れた。  
 
「先生…早く、ください…」  
 
(いいじゃないか、ヤッちまえよ。)  
望の中の何かが囁く。  
 
―な、何を…生徒とそんなことできるわけが…  
 
(そうです、今一線を越えたら、引き返せなくなってしまいます!)  
別の声が叫ぶ。  
 
(やれよ!)  
(いけません!)  
二つの声が望を責め立てる。  
 
―私は…!私は…!!  
 
その時、望の中で何かが切れた…  
 
「わかりました、望みどおりしてあげます。  
その代わり、私の自由にさせてもらいますから。」  
 
「せ、先生…?」  
 
まといが僅かに困惑する、望の手には、普段首吊りに使っている縄が握られていた…  
 
 
数分後、居間には縛られて床に転がされたまといの姿があった。  
両手首を腰の後ろ辺りで固定し、  
はだけた着物から露出した乳房の上側と下側を腕ごと縄で縛り、  
その縄を繋ぐように胸の谷間に縄を通す。  
丁度、胸を強調するような形に縛られている。  
 
「どうですか?気分は」  
 
「先生、どうして…?」  
 
まといが当然の質問をぶつける。  
 
「私がこういう男だからです。」  
 
―この状態で犯せば、彼女は私を嫌う…  
 
「それに、君もまったく抵抗もせずに…本当はこういうのが好みなんじゃないですか?」  
 
「そんな…こと、ただ先生が…」  
 
目を伏せて口ごもるまといを見て、望の良心が悲鳴を上げる。  
 
「では、しますからね。」  
 
―早く終わらせよう  
 
そう判断した望は痛む良心を押さえ込みながらまといの両足の間に割って入り、肉棒の先端をあてがう。  
 
そのまままといの腰に手を添え、一気に貫く。  
予想どおり抵抗はなく、奥まで肉棒は埋没していく。  
 
「ひぃっ…!ああっ!」  
 
まといが感極まったような声を上げる。  
 
「常月さん…?」  
 
「すいません、入れられただけで…イッてしまいました…」  
 
「…絶望しましたよ、君がこんなにいやらしい娘だったなんて…」  
 
「先生と、してるからです」  
 
「…!」  
 
まといの言葉に返事に窮してしまう、望にとって予想外の反応だった。  
 
「先生…先生も、気持ち良くなってください…」  
 
縛られ、肉棒に貫かれたまま体をよじるように腰を振る、  
それは艶めかしく、望の理性を溶かしていった。  
 
「ひぅ…ぁあ…」  
 
まといの動きに誘われるように望は腰を振り始める。  
すでに二回の絶頂を迎えた膣が、望の肉棒を包み込み、柔らかく締め付けていく。  
 
室内には望の荒い息遣いと、まといの小さな悲鳴のような声、そして…肌のぶつかり合う音だけが響いていた。  
 
快感に、あるいは絶頂に体を捻ろうとしたまといの体が縄と擦れる。  
 
まといの膣が肉棒を昂ぶらせ、自ら生徒を犯している背徳感が心を昂ぶらせる。  
限界は、すぐにやってきた。  
 
「常月さん…もう…!」  
 
望が発した予告は、ある意味で間違っていたのかもしれない。  
相手の限界に気付いたまといが、足を望の腰に絡ませる。  
 
「え、あっ…!」  
 
抜こうとした所への妨害に体勢を崩し、  
抜くどころかさらに奥へと押し込んでしまう結果となった。  
そして、まといの膣奥で、望は二度目の絶頂を迎えてしまう。  
 
「くっ!」  
 
「あっ…せんせいっ…!」  
 
望は奥歯を噛み締めて絶頂を堪えようとするが無意味だった。  
先程の口淫の時よりも激しい射精が、まといの胎内を満たしていく。  
この時、まといもまた深い絶頂へと意識をさらわれていった…。  
 
 
〜〜〜〜  
 
 
行為を終えて上半身の戒めを解かれてひとり居間に残された後も、  
まといは動かずにただ荒い息を続けていた。  
赤く擦れた縄の跡が痛々しい。  
 
「常月さん、風呂が沸きましたから、帰る前に汗を流していきますか?」  
 
やがて着衣を整えた望が居間へと戻ってくる。  
 
「はい…でも…」  
 
「でも?」  
 
体を起こして頷くまといと、僅かに眉間にシワを寄せる望。  
 
「体が動かないので手伝ってください…」  
 
「…仕方がないですね、わかりました。」  
 
そう答えながら  
 
―私も甘いな  
 
と、心の中で呟いていた。  
 
沸かしたばかりの風呂に二人で浸かる。  
望は気恥ずかしさからまといの方を向くことができず、まといはそんな望の背中に抱きついている。  
背中に当たる乳房の感触が望にはひどくくすぐったかった。  
 
 
しばらく無言の時間が続き、その沈黙をまといが破る。  
 
「先生、先生は本当に縛るのが好きなんですか?」  
 
「そ、それは…」  
 
「答えてください」  
 
望は不意の質問にまといの方を見る。  
自分の肩越しに見えたまといの目からは、  
嘘を吐いてはいけないと思わせるような、確かな強さがあった。  
 
「すいません、実は…」  
 
あまりにあっけない陥落。  
それは望本人の弱さから来たものであったが、  
まといと体を重ねたことで彼女の想いの強さを知り、どこか惹かれるものがあったのもまた、事実だった。  
 
「やっぱり、嘘だったんですね。私、先生のこと…信じてましたから」  
 
まといが望から手を離して湯槽へと沈む。  
 
「どうかしましたか、常月さん?」  
 
思わず振り向く望、それを待っていたように浮上したまといが望の唇を奪う。  
 
一瞬…触れるだけのキス。  
 
「な、何をするのですか!?」  
 
望が慌てて背を向けるとまたまといがしがみ付く。  
 
「まったく…君という娘は…油断もスキもありませんね」  
 
望の言葉には先のような硬さはない。  
 
 
「と、ところで常月さん…」  
 
「まといです」  
 
望が照れ隠しに話題を逸らそうとするがまといに遮られる。  
 
「常つ…」  
 
「まとい、です」  
 
そんなやりとりが数回。  
またしても望は先に折れてしまう。  
 
「…まといさん」  
 
「はい」  
 
まといが抱き締める手に力を込める。  
当然望の背中に当たる乳房の感触も大きくなるが、なんとか無視して話を続ける。  
 
「ええと、たまには制服を着てちゃんと登校してください。  
さすがに今のままではあまり体裁が良くないですから」  
 
「わかりました」  
 
素直に返事をするまといと、それを聞いて頷く望。  
しかし、まといに背を向けていた望は、  
彼女が悪戯っぽく笑ったことには気付けなかった。  
 
 
〜〜〜〜  
 
翌日、望は少しだけ晴れた気持ちで学校へ出勤できた。  
昨夜風呂の後帰宅したまといは、今のところ望の後をつけていない。  
当初の作戦とは違ってしまったが、  
少なくとも制服を着てきちんと登校する約束を交わせたのは大きい。  
…と、まといが教室に現れるまではそう思っていた。  
 
「おはようございます。」  
 
朝のHR直前に教室にやってきたまといを見て、その場にいた全員が凍り付く。  
望は教師たる責任をもってまといに声をかけた。  
 
「常月さん…その格好は…?」  
 
「どうしたんですか?ちゃんと先生の言い付けどおりですよ」  
 
まといはたしかに制服を着ていた。  
しかし、上半身には昨夜望がしたように縄が巻かれ、  
首には鎖の垂れた首輪が付けられている。  
まといに何かあったのは明白だった。  
 
「先生…私、先生のためなら何だって平気ですから」  
 
望に擦り寄ったまといが呟き、さらに声に出さずに『昨日のお返しです』と言ってにっこりと笑ってみせる。  
 
凍り付いていた教室内がざわめきだし、その矛先は望へと向かう。  
 
「先生!どういうことですか?きっちり説明してください!」  
 
望達を取り囲んだ生徒の中から千里が進み出る。  
 
「虐待…?むしろ調教って感じよね」  
 
『ついに本性をあらわしやがったなこの犯罪者w』  
 
すでにピンチの望をあびると芽留がさらに責める。  
 
「訴えてやる!」  
 
―ああ…今の台詞は説明しなくても誰だかわかる…  
 
「生徒を調教するなんて…先生!見損ないました!」  
 
「…普通ですね」  
 
「普通って言うなっ!」  
 
「待ってください!」  
 
奈美がいつもの台詞を叫んだところで、教室の入り口から声がかかる。  
 
「先生はすばらしい方です。生徒を調教なんてするわけないじゃないですか」  
 
やってきたのは可符香だった。  
 
「風浦さん…じゃあ、これはいったい何よ!」  
 
早速千里が突っ掛かる、『これ』と指差した先には望にすがり付くまとい。  
 
「やだなぁ千里ちゃん、これは個人授業だよ」  
 
―何ですかその春本のような発想は  
 
呆れる望をよそに可符香は続ける。  
 
「見てください、今のまといちゃんを。  
とても満たされた幸せそうな顔をしています…  
これが先生の教育の賜物なのです!」  
 
皆の視線の先には望にしがみ付いたままで熱い吐息のまといがいた。  
 
―世間では、それを壊れ  
 
続く可符香の言葉が望の思考を停止させる。  
 
「先生は、希望者全員に、生徒の性質にあった特別授業を行ってくださいます」  
 
本日、最大のどよめき。  
 
「まあ…そういう事なら」  
 
最初に千里が納得し、教卓の出席簿を手に取る。  
 
「か、勝手に決めないでくだ」  
 
望は思わず口を押さえる、目を見開いた千里が見ていることに気付いたからだ。  
望は反論もできずに教卓に突っ伏す。  
 
「しっぽプレイがあるなら」  
「男同士のを見学したいんですけど」  
「あ、真夜ちゃんも参加するんだね」  
『ったく どうしようもないエロ教師だな むしろ狂師か?』  
「とか言いながら参加するのね」  
『うるせえよ パンツ見せキャラ』  
「訴えてやる!!」  
 
望がちらりと覗き込むと、千里が希望者を集めて出席簿に書き込んでいる。  
 
「ちなみに、今日まといちゃんを縛ったのは私ですよ。  
昨日お二人がなさっているのを見ただけですが、うまくできました」  
 
真横からの声。  
先程までまといがいた場所に可符香がいる。  
 
―…見てたんですか…  
あれ?常月さんは?  
 
まといがいない。  
望が屈んで教卓の下を覗くと、体育座りのまといが少し足を開く姿が見えた。  
パンツの代わりに、縄。  
さらに、ちょうど良い場所に刺激を強めるための結び目があった。  
 
「絶望した…どこから突っ込んでいいのかわからない状況に絶望した…!」  
 
眩暈がしそうな惨状のなかで望は力なく呟く。  
 
「私から…お願いします」  
 
まといはそのままの姿勢ですでに濡れ始めた秘所を広げる。  
 
「夢オチで、お願いします!」  
 
遠めから見れば、いつもと変わらないように見えなくもない喧騒の中で、  
望は一人叫ぶことしかできなかった…。  
 
 

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