ポジティブになろうと決めました。
人が変わるには春は都合のいい季節です。私は今日、新しい学校で、
新しいクラスで別の新しい私に生まれ変わるんだ。
ポジティブになれば人生が変わります。過去の辛い出来事もすべて都合のいいように
解釈してしまえば心が軽くなります。
お父さんとお母さんのあれはただの背伸び体操。
オジさんが決められた場所でしか会えないのはそこが出島だから。
神様はいるにきまってます。ポロロッカ星人は私と友達になるべく、交信の信号を送ってくれます。
なんだか私がどんどん怪しい人になってく気がしましたが、
少なくとも前の自分と比べると格別にいい気分でした。
これが仮面をかぶった顔だとしても、今日からこれが私の新しい顔となるのです。
もう私を苦しめるものは何もなくなります。わたしはきれいな桜の木を見ながら学校まで歩いて行きました。
・・・・・桜の木で首を吊ってる青年がいました。
いま、せっかくわたしは新しい仮面をかぶったばかりだというのに、
彼を見た瞬間、その仮面がぼろぼろと崩れていくのを感じました。
両親の自殺未遂を何度も目撃したこと。オジさんが犯罪を犯し、服役になったこと。
転校するたびに私はいじめられてたこと。
昔の私が・・・。
「いけませんっ!」
わたしはその人を必至で止めようとしました。
「命を粗末にしてはいけません!」
彼は、私のおかげで一命を取り留めることができました。そしたら、彼が、
「死んだらどーする!」
・・・・どうやら彼は死ぬつもりはなかったようです。ただの太宰治ごっこだったようです。
びっくりしました。
しかもその人が私の新しいクラスの担任でした。さらにびっくりしました。
彼は不思議な人でした。ちょっとしたことでもすぐに絶望します。
昔の私もここまでではなかった気がします。
けどなぜでしょう、彼はどこか不思議な魅力があるような気がします。
ところでポジティブでいることも結構疲れますね。前よりはいいと思うんですけど、
なんだか頭がぐちゃぐちゃになって、最近不安定です。自分のキャラ位置がよく変わったりします。
そんなとき、彼を見るとなんだか癒されるというか、包囲力?
なんだか弱い自分をありのままさらけ出しても彼なら包んでくれそうな、そんな錯覚をします。
どうやら私は自分でもよくわかりませんが、彼に恋をしてしまったようです。
あぁ、自分にふさわしい人はこの人しかいないと、そう思いました。
そう思えば、なんだか私と彼はポジティブとネガティブ、相性抜群な気がして気がしました。
気のせいですかね?
ですが、これまた不思議に彼は他の生徒からもモテまくりでした。
やはりそれぞれが彼に不思議な魅力でも感じるのでしょうか。
各自、彼にアピールしています。もちろん私もあきらめたくありません。
けど、私は今までポジティブでイメージを通してきました。
そんな私が、いきなり彼に普通のアピールするのはなんかイメージが合いません。
他の人に怪しまれてしまいます。
そこで、私は別の方法で彼を振り向かせてやろうと思いました。
私はむかしの自身のトラウマのせいか人の心の隙間に入り込むのが得意です。
(そのせいでいろいろ他の人に迷惑をかけたこともあります)
彼はめったに人に心を開きません。
その心を無理やり私が入り込むのです。彼をわざと傷つけたり、
喜ばせたりして心を開かせ、そのスキマに入り込むのです。
そうやって、何度か彼の心に私の情報を埋め込んでいけばいつか彼は私にメロメロになります。
けど難しいですね。彼はそのスキマさえもなかなか開こうとしません。いつも途中で失敗します。
そんなこんなしてるうちに他の生徒さんが、先生にどんどんアピールしています。
最初は私が彼の一番近くにいたのに、いつのまにか私はどんどん出番、
もとい彼から離されてしまいました。
さすがに焦ったりしましたが、しかしまだまだどうなるかなんてわかりません。
ゆっくり確実にやっていけばいいのです。
ポジティブでいれば必ず願いはかなうのです。
だって、これが新しい私なんですから。