「みどりーー」  
幼いサキの声が廊下を木霊する。実はみどりはサキの呼びかけが聴こえて  
いないわけではない。こんな風に大きな声で自分を呼ぶ声に対して姿を  
現しても、ろくな目には遭わないだろうから隠れているだけだ。  
「みどりぃーーーーーーー」  
みどりが隠れている柱の陰まで、どんどん声は近づいてくる。  
どうか、どうか来ませんように…心臓の鼓動は高鳴るも、それが最高潮に  
達した時にサキの頭が柱を覗きこんだ。  
 
「ヒッ!!…お、お姉ちゃん」  
「あっ、いたいた。  
今からあたしとビデオでもみない?面白いの見つけちゃったの!」  
 
未だに心臓が音を立てている。しかし姉が言い出すのがミルキーごっこ  
ではなくて良かったとみどりはほんの少し安堵する。手を引かれてリビング  
ルームにやってくると、既にビデオはデッキに入っているようだった。  
 
サキがリモコンのスイッチを押す。画面に映ったのは、何処かのオフィスビル  
であった。従業員らしきOLが建物から出てきて、夜道を歩く。  
ここまでは普通のトレンディドラマ風であった。  
 
が、彼女は夜道で何者かに尾行されている事に気付いた。走り出そうとした  
彼女は何者かに捕まって、小汚い倉庫へ監禁されてしまう。  
そこで始まる、数人の男達による暴行。  
「……」「…………」  
二人は沈黙したまま、食い入るようにテレビに見入った。  
悲鳴と決死の抵抗も虚しく、女は下着を破かれて画面にモザイクが動き始める。  
荒い息遣いが聴こえはじめた時に、みどりは半泣きでサキに訪ねた。  
 
「ねえ…お姉ちゃん。これ、どこにあったの…?こわいよぉ…」  
「え、パパの部屋よ」  
「何でこの人達、女の人をいじめてるの?やだぁ、もうお部屋に帰るー!」  
 
みどりが片膝を立てて立ち上がろうとする。……が、  
「……ブーン」  
「ひいっ!」  
急に姉によって一瞬股に押し当てられる、振動する"見た事のない何か"。  
「これもパパの部屋にあったの。  
おとなしくして最後まで見ていないとこの棒でいじめるわよ」  
 
「うう……ひっく」  
脅されて、みどりはついに泣き出した。それに…パンツの下のあたりに感じる、  
むずむずとした感覚。テレビからは未だに女性の悲鳴のような声が聴こえてくる。  
まるで、今は暴漢にいじめられているのが自分のように思えた。  
恐怖のあまり太股を閉じ、両手で股を隠す。しかし嫌悪感は収まらない。  
「どう?面白いでしょ…。でもあれやると赤ちゃんできちゃうのよ!」  
嬉々とした瞳でサキは更に追い討ちをかけた。  
「い、いやぁーーー!!!!」  
ついに我慢の壁が決壊したのか、次の瞬間にみどりは大恐慌を起こして物凄い  
スピードで逃げていってしまった。残されたのは、つまらなさそうな呟きのみ。  
 
「…やりすぎたかなあ。折角本当のこと教えてあげたのに」  
 
その夜の深夜。  
「ふふ…よく寝てる……」  
すっかり瞼を腫らして寝てしまったみどりを見てサキは満足そうな笑みを浮かべた。  
隣の両親の部屋からは微かに二人の話声が聴こえてくる。しかし、何を言ってるかは  
よく彼女自身もよく理解できないのであった。  
 
『ああ、母さん…もう限界だ、早く入れてくれ……』  
『パパったら、まだ全然頑張ってない癖に何寝ぼけたこと言ってんの?』  
『あっ……ご、ごめんなさい!ごめんなさい!』  
 
おしまい  
 

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル