今にも溶け出してしまいそうな、陽炎に揺らいだ道を歩く。
炎天下にジリジリと体中が焼け付いていくのを感じる。
こんな暑い日に出歩くあたしは馬鹿だ。くそ暑いったらありゃしない。
ツインテールに揺った髪先が頬と露出した素肌をちくちくと刺激して不快だし。
この無駄に馬鹿デカい胸を無防備にもノーブラでキャミソール一枚に収めて来たのも失敗だったかもしれない。
暑さに汗ばんだ肌にキャミソールが吸い尽くし、乳首のぽっちりとした形を浮き上がらせている。
ふと、うだるような暑さの中足を止めて自分の胸に視線を落とした。
薄いピンク色のキャミソールを高々と押し上げ、その真ん中にまるで飾りのように浮き出た乳首。
このくそ暑い真夏に堂々と道の真ん中で乳首を浮き上がらせている自分は変態か?
どこか現実を直視した気がして幾らか鼻白んだが、それでも気にせずまた胸をゆさゆさと揺らして歩き出した。
右手には黒い紙袋を下げ、機嫌良く振りながら道を進む。
街のど真ん中を歩きながら乳首を服から浮き上がらせる程あたしは今興奮している。
だって仕方ない。
家で待っている可愛い玩具に楽しい楽しいご褒美を買ってきたんだから。
真夏の日差しに辛そうに顔を歪めながらも、嬉しそうにれい子はほくそ笑んだ。
「帰ったわよ」
ガチャリ、と鈍い金属音を立てて鍵を外した後わざとぶっきらぼうな声を出してドアを開ける。
部屋の中は冷房が付けられているのか適度に冷えている。汗ばんでいた肌が急激にひんやりと落ち着いて行った。
なのにその心地よさとは裏腹に身体の奥はますます熱く火照り出した。
早く、早くご褒美をあげたい。
あの可愛い子達に泣くまでよがらせご褒美を与え、喜ばせてあげたい。
「百合川」
そしてあたしの奥まで満たして濡らしてぐちゃぐちゃになりたい。
れい子の声に反応したのか電気の消えた薄暗い部屋の奥からヒタリ、と静かな足音が響いた。
そのままヒタヒタと小さな足音がこちらへ近付いてくる。
「みどり、電気を付けなさい」
玄関で紙袋を下げたまま憮然とした口調で命令する。
それとほぼ同時にカチッと言う小さな音がして部屋の電気がつけられた。
部屋が明るくなった瞬間れい子はニッ、と口角上げる。
目の前には全裸に小さなショーツ、巨大な胸を突き上げているこれまた小さなエプロンを付けたあどけない少女の姿があった。
緑色の髪の毛を肩まで垂らし手にはややぐちゃぐちゃになっている洗濯物を抱えている。
れい子は全身くまなく眺めると、紙袋を投げ捨て少女の胸に手を延ばす。
「みどり、ちゃんと洗濯物は畳めたかしら?」