「ん、ん・・・んー、ふぁ・・・」
ピピピ・・・となっている目覚ましを、手を伸ばして周姫は止めた。
「・・・いたぃ」
寝起きで急に伸ばされたお陰で、左腕の筋を痛めてしまったようだ。
腕をふにふにと揉みながら周姫は部屋を出、洗顔、歯磨等の支度を済ませる。
「お早う、周姫ちゃん。じゃあ行ってくるね」
「お早うございます。お父様、お母様。」
「お父様、お気をつけていってらっしゃいませ」
丁度、覆面を付けて出掛ける父を、周姫は玄関で送りだした。
「周姫ちゃん、ご飯は?サンドイッチだけど」
「あ、先に着替えてきます」
部屋に戻った周姫はパジャマを脱ぐと、タンスから下着を取り出す。
今日の下着は「SU(鄒デザインブランド)」の紫紺の上下セットだ。
右足を通し、薄い尻を包もうとしたところで周姫は固まった。
(だ、だめよ!こんな下着じゃ・・・また男の人に見られたら・・・)
周姫は急いでタンスをいっぱいまで引き出すと、別の下着を選ぶ。
(これもだめ、こんなの絶対だめ、こ、これなんか・・・だめよね・・・)
周姫は片端から捜すが、哀しいかな、どれもせくしぃなものばかりだった。
「うぅ、どうしよう・・・」
裸に黒靴下のまま、周姫はうなだれた。