己の下で女が蠢いている。
「あ…あっ…へい、か…陛下ぁ…っ…」
いや、揺れていると言うべきか。己の動きに応え揺らめいている。
周りを覆うように、髪が流れ落ちた。

女の手が縋り付いてくる。
「んっ…陛下…もっと…下さいませ…あぁ…」
己を飲み込む部分が熱く締まり貪欲に絞り上げる。
体は正直だとはよく言ったものだ。いや、正直というよりは饒舌か。

動きを速めると絞りが強まり声が高くなる。
「うぁっ…はぁ…あっ…お許しをっ…もうっ…おゆ…るしをっ…あああっ!」
ひときわ高い声を上げ一層強く締まった所に吐精する。
その全てを呑み込んだ女の体は糸が切れたように弛緩した。

気をやったのはいいが意識までやってしまったかと思っていると女が目を開けた。
潤んだ目を此方に向け、掠れた声で「陛下」と呼び掛ける。
「何だ?」
「いえ…わたくしなどの元へお運び頂きける御厚情、誠にありがたく…」
「これで孕むかは分からぬが、良い子を産めよ」
長々と続きそうな口上を遮り、全ての女に等しく掛けている言葉を遣る。
「はっ…はい!有難う御座います!」
何故か感激したらしい女にはそれ以上構わず身を横たえる。

そう、子は武器だ。
息子は家を盛り立て、娘は力ある者へ嫁ぐ。子の多きこそ力だ。
皇帝たる者に太子がいない、あっても一人だけ。それでは滅びて当然だ。
曹家の轍は踏まぬ。天下を手に入れるのは我が司馬家だ。

明日はどの女に我が子を宿そうか。
考えるでもなく思いながら、眠りに落ちた。




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