血の気が引いた。恐れに、逃げようとしたががっしりと腰をつかまれて逃げられなかった。
「あ、や…いや…」
やめてと言葉に出来なかった。こんなに恐ろしいのに、未だ彼女は司馬師に嫌われるのを恐れていた。
「指のかわりにこれで触ってやろうか」
可憐な器官を引き裂くようにして、男の野蛮なものが立ち入ってきた。肉が千切れるような
鋭い痛みが走って、少女は悲鳴を上げた。

「い、嫌ぁぁーーーーーっ!!!!」
逃れられないとわかっていて逃れようとした。だが動けば動くほど痛みが彼女の体を襲った。
「痛い!痛いよぉ!!死んじゃう!!」
司馬師は嗜虐的な笑みをうかべ、一息で奥まで貫いた。
「――っっ!!!!」
ズン、と体に衝撃が響いた。突いた衝撃で膣口から溢れてきたのは目にも鮮やかな破瓜血だった。
「ほら、触ったぞ。どんな気持ちだ?」
「…ぁ……ぁっ……!」
「言葉にできないほど気持ちがいいか?ん?」
声が出ない。羊コは水槽に入れられた魚のようにひたすらぱくぱくと口を動かしていた。

ついさっきまで処女だった彼女の小さな器官は、今は咥えきれないほど大きな楔をいれられて悲鳴を上げていた。
司馬師が、耳元で囁いた。
「叔子、愛しているよ」
恐怖に引きつった声で、羊コは一言だけ呟いた。
「……お義母さま……!」

ずるりと引き抜かれ、完全に抜ける直前で再び突き立てられる。最奥に触れられるたびに
髪を振り乱して声を上げた。痛い。だが、その中に疼くような心地よさがあった。
「叔子はここも可愛いんだな。小さくて、温かくて、引き抜こうとすると寂しそうに纏わりついてくる」
そんなこと、自分が望んでしているんじゃない、と思いつつも、憧れの義兄に誉められ、羊コは笑みを浮かべる。
もう、少しも体に力が入らなかった。今の羊コは、男の欲望を晴らすための人形と全く相違なかった。
(義兄さまは…きっと、こんなことはいけないことだと…したくないと思って…)
(でも、私のためにしてくださっているんだ…)

「お義兄さま…ごめんなさい……!」
幾度となく貫かれ、全く動かなくなった羊コの口からそんな言葉が漏れた。
司馬師は動きを止めず、優しい口調で答える。
「謝ることはないだろう。俺は叔子が大事だからしてあげているんだ」
彼にも、そろそろ限界が近づいていた。誰にも汚されたことのない、まっさらなこの部位は司馬師の性感をも著しく高めていた。
先端を、子宮の入り口にぴったりと押し当てた。
「可愛い叔子にはいいものをやろうか」

そしてそのまま、勢いよく射精した。吹き出た白濁液は定めた狙い通りに穢れのない器官にそそぎこまれ、壁を打った。
「あっ、あっ、うぁっ!?」
その壁を打つ圧力に、腹の底から這い上がるような快感が羊コを支配した。
(何これ!?すごい気持ちがよくて……おかしくなっちゃいそう…!)
そしてそのとき、ふと羊コは義母の言葉を思い出した。
「中に射精すると赤ちゃんができるの」
(射精……私今、お義兄さまに射精されてる…!おなかの中、お義兄さまの赤ちゃんのタネでいっぱいにされてるんだ…!)

射精しながら、司馬師はぐいぐいと性器を押し当ててくる。その感触も相まって、羊コは産まれて初めての絶頂を迎えた。
「出来ちゃうぅ……お義兄さまと私の赤ちゃんできちゃう……!!ああっ、あーーーーっ!!」
ビクンビクンと体が痙攣した。つま先はぴんと伸ばされ、体は弓なりに反った。
そして、がくりと体から力が抜けた。

司馬師が全て出し終えて引き抜くと、すぐに精液と血の交じり合った液体が音をたてて、勢いよく溢れ出てきた。
それに気付いた羊コは出てきた分を手で掬い取り、再び胎内に押し込んだ。
指先で膣に栓をしながらもう片方の手で愛おしそうに自らの下腹部を撫で擦っていた。
消耗こそしていたが、穏やかな笑顔だった。
(……お義兄さまと私の赤ちゃん……)
羊コに背を向け、服を拾い上げ袖を通していた司馬師は、羊コのものとは対照的な笑みを浮かべていた。

それから暫くたったある日のこと。

「あなた、結局あれからうまくいったの?」
辛憲英が仕事の片手間に何気なく尋ねると、手伝いをしていた羊コが振り向いて答えた。
「はい、お義母さま。おかげで、前よりずっと仲良くなれました」
「そう、なら良かった。あなたの悲しんでいる顔なんて見たくないからね」
そういって微笑んだ彼女に、羊コも微笑みかえした。
辛憲英の座っている位置からでは見えないであろうが、彼女の右手は優しく自らの腹部を撫でていた。
「お義母さま、本当にありがとうございました!」

丁度それと同じころ。魏国の城内のある一室でのこと。
執務に勤しむ兄の姿を見て、何気なしに司馬昭は尋ねた。
「兄上、最近妙に機嫌がいいようですね。何かいいことでもありましたか?」
机に落とした視線を上げないままで、兄・司馬師は答える。
「面白い玩具を手に入れた」
「玩具…?」
その意図がわからずに眉を顰める弟のことなど気にもせずに、彼はククと笑った。
「純粋で、従順で、穢れのない……お前にもいずれ貸してやろう」
彼には、兄が何を見つけたのかはまったくわからなかった。だが、その底冷えのするような恐ろしさに唾を飲んだ。
「……はい、ありがとうございます……」
司馬昭は、わけもわからずにひきつった笑みを浮かべた。木簡を持つ手が、ひそかに震えていた。

おわり




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