『離してくさだい』と、言うその声に洋コの足が止まる、そちらの方をくるりと向けば絡まれているのは蒼く長い髪の女性だ。
周りの人は遠巻きに眺めるだけで助けようともしない、そういえば最近治安が乱れてきていると言うのを聴いた記憶がある。
洋コはそこに向けて歩き出した。
「いいじゃねぇか、俺たちと遊ぼうぜ」
そう言って陸抗の手をつかんでいた男がいきなり真横に吹っ飛んだ。
相方は驚きその原因を見た、そこに立っているのは一瞬女性かと思うほど綺麗な顔立ちをした青年だった。
腕を見ると人一人を吹っ飛ばせるほどの力は無いと思われるぐらい細かった。
「てめぇ!!なにしやがんだぁ!!」
そう叫んだ男は次の瞬間指を一歩も動かせなくなるほどに恐怖を感じた。
その男は自分に向けて鋭く、研ぎ澄まされた殺気を向けている。
「女性に無理やり迫るのは醜い男性のすることですよ」
(副音声:てめぇらこの人に手を出してんじゃねぇよ殺すぞコラ)
柔らかい口調で微笑みながら言っているが、裏の意味が分かった男にとっては恐怖でしかない。
ふっと洋コは殺気を収めた、陸抗の前であまりこんな自分を見せたくないからだ。男は弾かれたように逃げ出した。
洋コは陸抗の方を向き直り手を取って歩き出した。
「ここに居ると目立ちますから離れましょう」
二人は茶店があったので入ることにした、歩きつかれたのでしばしの休憩タイムだ。
洋コはさっきのお礼を言われて、少し照れて顔が赤くなっているし陸抗もかっこいい洋コを見れてこちらも赤くなっていた。
今日の出来事などについて話していたがふと話が途切れたのでさきほど買った髪飾りを渡すことにした。