もうどのくらい走っただろう。ゆっくりと走るのを止め、辺りを見回す。
「ここは…何処なのかしら」
私が入ったのは学校の教室のはず。もう校庭を横断するぐらいの距離を走ったはずなのに、出口はおろか壁すら見えない。
あれほど騒がしかった文化祭の喧騒も、今は全く聞こえない。
そう、まるで…私だけ別世界に隔離されて、幽閉されているみたい。
「そうだ、尚香さん!」
そういえば、先に入った孫尚香はどうしてるんだろう。
「尚香さん!何処にいらっしゃるんですか!」
歩きながら孫尚香の名前を呼ぶが、その声が届く様子は無い。
「きゃっ!?」
突然何かに足を取られ、そのまま転んでしまった。
「いたたたた…な、何ですか?」
足を取られた、いや足を掴まれたような感覚―――掴まれた?
「………」
先ほどの光景が蘇る。
見てはいけないと分かっていても、私は恐る恐る下を向いた。
「何…これ…」
それは、先ほどより受け入れがたい光景。
地面から伸びた手が、左の足首をしっかりと捕らえていた。
それほど強く掴まれてるわけではないのに、いくら外そうとしても指1本、動かすことが出来ない。
1本だけではない。
私の周りから似たような手が2本、3本と現れ、私を取り囲む。
「え?えぇ!?」
瞬く間に私の四肢はその“人の腕の形をしたもの”に捕らえられてしまった。
「は、放して!放してください!」
身動きを封じられた私の身体の上を、見たことも無い異形の生き物が這いずり回る。
やがて1本の腕が、私の胸の上で動きを止めた。
「きゃあっ!?ど、どこを触ってるんですか!」
引き剥がそうにも自分の腕はびくともしない。
指達が対になってブラウスの隙間に指を入れる。そして―――
ビリビリビリッ!
先程のゆったりした動きから、今度は物凄い力でブラウスと中の下着を引き裂く。
私の身体を守っていた布は左右に破り捨てられ、中からそれまで押さえつけていた乳房が勢いよく飛び出した。
「いやああぁぁっ!!」
物の怪達の手によって、剥き出しになった乳房が形を変えていく。
まるで感触を楽しむかのように、豊かな乳房を揉んだり引っ張ったりして弄んでいる。
「誰か、誰か助けてぇ!」
大声で助けを呼ぶも、その声は闇にかき消され届くことは無い。