「………!!!」

絶頂の余韻に浸ろうとしていた直後、わたしは身体の異変を感じた。
先程の快感とは違う別の波が、わたしの下腹部に押し寄せてくる。それが何であるかはすぐに理解できた。

「だっ、だめっ………!」

立ち上がろうにも腰に力が入らない。ならば横に、と思ったが周姫ちゃんの両腕がしっかりとわたしを抱きしめていて身動きが取れない。

「だめっ…!周姫ちゃん離して…!」

周姫ちゃんはまだわたしの股座に顔を埋めている。このままでは最悪の事態を招いてしまうことは容易に想像できた。

「…?」
「こ、このままだとわたし………ちゃうの……」

一度ならず二度までもこんな恥ずかしいことを言わないといけないなんて。しかしわたしの堰はもう決壊寸前だった。
形振りなど構ってられない。わたしは泣きそうな声で叫んだ。

「出ちゃうの……おしっこが出ちゃうのぉぉ!」
「……あぁ」

やっと把握してくれた。これで最悪の事態は回避でき―――


「いいのよ。遠慮無く出しなさい」

再び二本の指が恥部を貫いた瞬間、わたしの堰は決壊した。



「ああああああああ………!」

恥部から溢れ出る黄金の液体が、容赦なく周姫ちゃんの顔に降り注ぐ。

「お願い、離れてぇ……」

もう自分の力では止める事ができない。
だけど周姫ちゃんはわたしを離そうとしない。まるで、浴びることを望んでいるかのように。



最後の一滴が出終わった後、わたしはようやく解放された。

「………うふふ、みーちゃった。せっちゃんのお漏らし♪」

笑っていた。
顔にあんな粗相をしてしまったというのに、むしろ嬉しそうにしている。

「そんなに泣かないで。私、せっちゃんのだったら何だって受け止めてあげるわ」

半べそをかきながらわたしを、ゆっくりと引き寄せる。


「………好きよ」

唇が重なった瞬間、友達は恋人になった。





「それっ!」
「きゃっ!冷た〜い!」

波打ち際ではしゃぐ乙女達。
その美しい肢体を惜しげもなく晒して水と戯れていた。

………というのも、行為のあと二人は身体も髪も砂まみれで、周姫に至っては曹節の小水まで浴びているため、
とりあえず身体を洗おうと海へ入ったのはいいが、何時の間にか水遊びをしてしまっていた。

二人とも裸足で地面を歩くことすら初めてである。裸で外を駆け回るなんて考えたことすらなかった。

「…いいなぁ、周姫ちゃん胸大きくって」

そっと周姫ちゃんの乳房に手を伸ばすと、ふにふにと指を動かす。
…不思議。わたしも同じ物を持っているのに、なんで他人の胸ってこんなに気持ちいいんだろう。

「あら、私はせっちゃんの方が羨ましいわ」
「…?どうして?」

わたしの何処が羨ましいと言うのだろう。

「私ね、お尻が大きいのが嫌なの」

真っ白で柔らかそうなお尻なのに、本人は不満らしい。

「せっちゃんみたいな小さくて可愛いお尻に、私は憧れるわ」
周姫ちゃんはわたしの背中に手を回し、お尻を撫で回してきた。

「ひあっ、しゅ、周姫ちゃん」

自然と身体が密着する。そして―――

『んっ…』

もう何度目の接吻だろう。でも何度でもしたくなっちゃう。
別にいいよね、女の子同士で好きになっちゃったって。




「どう、ここは気に入ってくれた?」
「うん!また…連れてってくれる?」
「もちろん。もうここは私とせっちゃんだけの秘密のお城、ね?」
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうのが憎らしい。


「さぁ、そろそろ帰りましょうか」
二人は船へと戻り、乾いたであろう着物に手を伸ばした。―――刹那。

「きゃっ!」

突如吹き荒れた強い海風。水分が蒸発し軽くなった着物は、いとも簡単に風にさらわれた。

『あっ………』

宙を舞い、水平線の彼方へと消えていく着物。それをただ呆然と見つめる二人。









――――数秒後、ふたりの顔は深海の如く真っ青になった。

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