曖昧な思考は、ぐいと足を広げられる感覚で途切れた。
いつの間にか身を起こしていた全jが、両手で大きく大虎の足を開いている。
突然晒された秘所を隠そうと両手を伸ばすが、足を更に引っ張られてバランスを崩した。

「朱公主の事ばっかり考えてる大虎には、お仕置きが必要みたいだね」
全jの瞳にちらりと浮かぶ嗜虐的な気配に小さくこくりと喉が鳴る。
「あんまり濡れてない気もするけど、大丈夫でしょ」
そう言うや、既に膨れ上がり屹立する怒張を素早く秘裂に押し当て、ぐっと腰を押し付けるようにして挿し入れた。
ずくっ、と背筋に無理矢理捻じ込まれた痛みと、それ以上の電気めいた感覚が走る。
「ちょ、何すんの!痛い!」
抗議とばかりに振り上げた両手は素早く掴み取られ、そのまま上半身が持ち上げられる。

「だから言ったろ?お仕置きだって。ちょっとくらいは僕だけを見ててもらわないとね」
座位のような形になるにつれて自分の体重で深く刺さる感触に、早くも繋がった隙間から蜜の滲む気配がした。

「それに、すぐ良くなるよ」

手を止めていた両腕を解くと、素早く大虎の腰へ絡めて素早く突き上げ始める。
「んな、訳、な……あっ、はっあ、んーむぅっ」
間近で笑みを浮かべる男の目に、そして体全体を揺さぶる強い突き上げに、それ以上の抗議の言葉は紡げない。
最初は軋むように動きに抵抗していた内部も徐々に柔らかく、ちゅくちゅくと溢れる愛液が男の股をも濡らす。

「は、やっ、あ、にゃぁうっ、は……」
たぱたぱと揺れる乳房は全jの胸板で潰され、くねるように形を変える。
ああ、なんだかさっきの月みたい。
落とした視線が認めた輪郭に薄らに浮かんだ笑みも、再び口付けた全jの荒い舌使いに歪む。
柔らかく湿った肉が擦れ合う音が二つ、不規則なリズムで重なっていく。


キシキシと寝台が揺れる。
すっかりと濡れそぼった結合部から響く音は粘ついたものに変わり、
滴る蜜が互いの内股も、そして寝具すらもしっとりと湿らせる。
全jの首に手を回し、縋りつくようにしながらただ動きに任せて腰を揺らす。
「っ、ぅぁ、は……ぁん……」
もう上げる声も苦しげな息と化し、一つ体が揺れるごとにびくびくっとわなないた。

そんな大虎の様子に、全jの動きも徐々に昇りつめるための小さな抽送へと移りゆく。
「だい、こっ……もう……?」
一度強く唇を吸ってから呟くと、大虎も俯いたままこくんと頷いた。
それを見て、両手でしっかりと体を抱き竦めてにちにちと内を擦り上げ、揺さぶる。
「ぅ、ひ、はや、あぁぁぅっ……!」
大虎の指が肩を強く握り、腰を揺するリズムと違う脈動で体が、乳房が、幾度も跳ねた。

果てた様子を確認してすぐ、全jは大虎を寝台に横たえて自分の股間へ手を伸ばす。
子は作らない。
そういう約束が以前より交わされていたから、間違っても中で果ててしまう訳にはいかない。
ぬるついた根元を指で強く押さえ抜き取ると、すぐに堪えていたものが溢れた
片膝立てて放った精がびちゃりと音を立てて果てたばかりの大虎の頬を、髪を、白く汚す。
顔から胸、腹へと途切れ途切れの精の線を描き終えると、全jは天井を仰ぎ長い息を吐いた。
「ぅ……んふ、美味しい、よ」
震える指で白濁を掬い取り、口へと運んだ大虎の声に、一つ笑顔を返して全jは体を寝台に委ねた。


「ねえ」
「何だい」
「子供……作ろうか」
余韻に浸るように枕に顔を埋めていた全jが、がばと頭を上げる。
「そりゃ、いいけど……どういう風の吹き回しかな」
「どういう意味よ」
くると体を回し、夫に背を向けた状態でゆっくりと囁いた。
「ただ……未来の月も、こんな風に綺麗なのか。子供に見てほしいだけよ」
全jは小さく息を吐き大虎を片手でぐっと抱き寄せた。
「そうだな」
「じゃ、もう一戦ね。ほら、さっさとしな!」
振り向いた表情は、いつもの勝気な女のそれ。
力を無くしかけた肉棒を鷲掴みにされた全jが浮かべる笑みは、いつもと変わらない。
その事が、少しだけ哀しい気分を忘れさせてくれた。


もしかしたら……わたしと、あの子の。子供同士なら、仲良くなれるのかな。

それは、月の光の中にだけ、秘められた思い。


【終】


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