学校はいつもと変わらない。
だが、周姫にとってはもはや別物だった。
女物しかない下着に、学則に当たらない長さのスカート。
その下に確実に或る自身。
知られないか辺りを意味もなく見渡すこと数回。
誰もが授業開始前の僅かな休憩を楽しんでいる。
周姫も中に飛び込んでいきたいが、何かが妨害をする。
あまりにも現実離れしすぎて、挙動不審になっていたようだ。

「周姫、大丈夫?様子がおかしいよ?」

友人に言われ、心臓が止まった気がした。
彼女は何気なく言ったのだろう。
確かに、周姫はおかしい。
他人に知られないようにと努力してきたのに、そう疑問を持ってくれたのは純粋に嬉しい。
だが、相談するわけにも行かない。
固い笑顔で返答する。
自分でも固いとわかるのだ、彼女には違和感たっぷりに映っただろう。
休むという選択肢もあったが、根が真面目な彼女には無駄に休むことなど出来なかった。



「え…?これって…」

部屋にある鏡の前で着替えていたときのコト。
股にあったソレを掴む。
昨日までは確実にない。
晩にシャワーを浴びた時までには覚えがある。
ならば寝ている最中だろうか。
それにしても、誰かに付けられれたのか、何かの影響か。
判らないので対処の仕様がない。

「すご…い……こう、なってる…」

今は、興味が勝った。
理由は覚えがない。
何もかもがずれて、逆に一回転してしまったのかもしれない。
まざまざと見た事もない男性自身は、可愛らしく感じる。
本で見たり、話から予想するよりはかなり小さい。
…入らない位に大きい、と聞いていたのだが。
触る。

「んっ…」

秘所を触ったときのような感触。
体の軸が揺れた。
そのまま竿を触る。
少しだけ膨張し始めたのが理解できた。
ピクリ、と震える自身。
萎えていたソレが急に大きくなるのを、周姫は瞬きも忘れて見入っていた。


「お、おおき…」

上から見下ろすのと、鏡に映る自身。
膨張後は漫画やビデオでしか見たことがない。
…もしものときは、こんなのが入るのだろうか。
えもしれない恐怖と、興味が湧いてくる。
女性にも自慰があるのだから、男性にももちろんあるのだろう。
ベットの下の人には見せなくない本を取り出す。
貴憐な顔立ちから予想も出来ないが、周姫はどんなことにも興味を持つ性格である。
勉強から、スポーツ、ゲーム、果ては卑猥なコトまで。
本棚に詰まっている本は参考書を初めとして、ゲームの攻略本、漫画、小説、哲学書までもある。
今取り出したのは、男性と女性の淫らな行為を描いた本。
数多く読んだが、コレはその中でも一番のお気に入り。
お世話になったことも多々ある。

「…って、なにを言っているのでしょう、私は」

独り言に突っ込み、ベットに腰掛けながら本を開いた。
何処かのページに、知り合いが男もこんな事をしてるんだ、と言われたページがある。
きっとその項に書いてあるのが男性の自慰なんだろう、と思ったのだった。
すぐに見つける。
こういった本は単純に男性目的で書いているため、男性がメインになるコトは少ない。
だが、とある箇所で、一心不乱に自身を擦っている絵がある。
心臓が高鳴った。
震える手を自身に宛がい、慎重に上下運動を繰り返す。
初めて触れたときのように芯がぶれる感覚。
決して嫌いではないが、深みには嵌りたくないと意識を強く持たせる。
身体が熱くなり、下半身が伸びる。
周姫が自らを慰めている最中に感じる、達する寸前の感触に似ていた。

「っ、やぁ、やぁぁっ…!あああっ、んっっ!」

体中が震え、声は熱を持ってしまっている。
鏡に映る自身はすっかりこの行為に嵌っていた。
秘所を愛撫するのと似ているようで、どこかが違う。
限界まで伸び、自身の根元が熱くなってくる。
その感覚を更に欲し、擦る速度を上げた。

思考は、友達の女性。
周姫が彼女を貫いている画。

「…っ、ぁぁあぁぁ……」

手に包まれた自身が躍動した。
動きに驚き、周姫が下を覗く。
皮が剥かれた先端は綺麗なピンク。
すると、前部から液体が放出された。
勢いよく出た白濁液は、真っ直ぐに上へと飛び、数滴周姫の顔へとかかった。
残りは床へと落ちた。
白い液体を浴びたまま、呆然とする。
初めての放出の快感に加え、やっと今現在に対する疑問も浮かぶ。
その前に。
顔に付いた白濁液を指で掬い、口へと運ぶ。

「苦い、です…。やっぱり、本の通りでしたね…」

液体を飲み込み、苦さに顔を顰めるのだった。




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