「あ、あ、あ! いいっ、きもちぃい!」
女の嬌声が響く。 堕落しきった、快楽を貪ることしか考えられない牝の声が。
「気持ちいいのか!? 俺が、孫元宗がか!」
「イッちゃう・・、また・・! きちゃううぅぅん!」
「イクぜ・・!俺を、飲み込め!」
相手の男、孫元宗は女の中に注ぎ込んだ。 何度目の放出であろうか、女の尻の周り一面に白濁液がこびり付いていた。
「あ、あぁぁ・・・。あついの、おいひいのぉ・・・。」
女は、男の味に打ち震えた。
快楽を得ることになんの罪悪感もない。
女にかせられた首輪が引っ張られた。
「ひょ、躾のなってない牝犬よ、ひょひょ。」
女には首輪に、菊門からは尾が生えていた。
犬の尾を模したものの先端に、尻の穴に張りやすいように糸につながれた玉を菊門が咥え込んでいる。
「ひょ、イク時は宣言しろといったはず、ひょひょ。」
女は頭を地べたに着け、媚びた。
「わ・・わたくしぃ・・あん・・りく・・ようへつわぁ・・きょう、じゅうどめのぉ・・くぅん・・ぜっちょうぉ・・むかえまひたぁ・・。」
陸坑、字を幼節。
対外的には、皇帝に対する不敬により将の任を解かれたとだけ伝えられていた。
真実は、誰も知ることは無かった。
*
「陸坑殿、貴方は今どこにいるのでしょうか。」
夜明けの光を受けながら、呟く。
眉目秀麗な男であった。
「ごほっ・・。 」
男は咳き込んだ。 口を押さえた掌には血がついてる。
「やはり、持ちそうにありませんか・・。」
冷静に、だが悲しそうに言った。
「羊コ殿。 お体に触ります。 ここは中原よりましとはいえ、冬になれば冷え込みますゆえ外には出ることは・・」
「分かっています、社預。」
社預という男に咎められ、羊コは屋敷に戻った。
最後に一度だけ、呉の方向を見遣った。
「ままならぬものですね。」
その言葉は、恐らく全てのものに対してのものだった。
敵でありながら、愛してしまった者達が居た。
その者達は、お互い国の為に戦い国の為に死んだ。
心は分かり合いながら、肉体は一緒になることは出来なかった。
愛し合うものと手を繋いで歩く、そんな平凡な幸せの形を手にすることができなかった。
儚く美しいものであると人は言おう。
だが、当人達は苦しみの中であったのだ。
ままならぬ。
正に言葉の通りの人生であった。
終