一方、部屋の前。
聞き耳を立て、中の様子を伺っていた周瑜夫妻だったが、ほっとした表情で扉から耳を離した。
「おさまったか…」
「お姉様が泣き出しちゃいましたけど」
「後は伯符ならなんとかできるさ。さて…」
後ろを向くと、大挙して押し寄せんばかりになっている人夫達に声を落として呼びかける。
「もう大事には至らないだろう。持ち場に戻っていいぞ」
「…大丈夫なのでしょうか…?」
「恐らくは、な。何かあってももう私一人でなんとかできるだろう」
人夫の一人が恐る恐る聞いてきたが、周瑜が言葉を返すと安心したように踵を返す。
そしてそれを合図に、人夫達は三々五々持ち場へ戻って行った。
周瑜夫妻はそれを見届けると、顔を見合わせてため息をついた。
「く…だ、大喬…っ!」
「だーめーでーす。まだまだ、この程度ではありませんよ?」
気がつくと、孫策はためていた。というより、ためさせられていた。
大喬に謝ろうと抱き寄せたことまでは覚えているが、そこからこうなるまでの過程が抜け落ちている。
もしかしたら、気付かないうちに何度か意識も飛んでいるかもしれない。
「私が焦らされた分、伯符様もたっぷり焦らしてあげますから…」
槍を両手で包んで優しくしごき、慈しむように舐められ、時には胸も使われ…
そして出そうになると根元をきゅっと指でつままれて止められる。この繰り返し。
綺麗に形容するなら快楽の悪循環とでもなるだろうか。要するに、さっきから寸止めされっぱなしなのだ。
柔らかさの中に高潔さを感じさせる普段の姿からは想像もつかない、淫らで蟲惑的な表情…
今までの夜伽の回数も決して少なくない。しかし、こんな顔で迫られたことは一度もなかった。
どれだけたまっていたのだろうか。孫策は恐怖するが、すぐに快楽で思考が中断されてしまう。
「ふふふ…はくふさまぁ…」
対する大喬も、呂律が怪しくなってきた。瞳も段々と霞んできている。
夫に対する様々な欲求不満を性欲にまとめてぶつけたせいか、感情が混濁し始めたようだ。
大喬のことを何も知らない人には、今の彼女の姿は娼婦にしか見えないだろう。
「こういうのは、どうですかぁ…?」
「ぅ、ぅぉぉ…っ!」
ぎゅっ。足の指が、絡み付くように孫策の槍を覆う。
彼の力ならはねのけるくらいたやすいはずなのだが、孫策は全く抵抗せず小さく呻くだけ。
寸止めの嵐で殆ど力を奪われているため、快楽に身を任せるくらいしかできることがなかった。
とはいえ、大喬が足でするのは今回が初めて。しかも咄嗟の思いつき、力加減など分かるはずもない。
結果、すぐに強過ぎる刺激を与えてしまい…