鎧を脱ぎ捨て、布団の上に座る大男。
彼は飛将軍と呼ばれ、敵から恐れられる人物。
無双の人、呂布。
少し前まで愛馬と共に戦場を駆けていた。
もちろん結果など勝利の外にない。
我がいる土地で反乱を起こしたのが運のつきだな、と思い口が歪む。
…所詮は小物たちだった。
少しは訓練してきたらしいが、こちらは正規の軍だ。
敵う筈もない。
と、思考に異物が入る。
部屋の扉が開かれ、誰かが入ってきた。

「あらぁ?帰ってたの?」

呑気な声がするが、呂布は何も言わない。
彼女の自室も此処だったからだ。
胸を大きく開け、普段から男性を蠱惑する服装を厭わない女性。

「…厳氏か。ああ、ちょっと前にな」
「ふーん。怪我もなく、ね。ほんとに人間、アンタ?」

拗ねた顔。
彼女からすれば、あの強さは人ではないと言われて久しい彼がそんな表情をするのが驚きだった。
そんなコトに気がついたのか、彼は表情を作り直す。

「当たり前だ。何を言っている」
「ま、どっちでもいいけど。怪我しないのは強い印よ」
「…フン」

じわり、じわり、と厳氏が呂布に近づいてくる。
それをとめる気配はない。
やがて、彼の隣に座った。
魅惑的な指が身体の下から、顎へと丹念に弄っていく。

「ねぇ…もう、何処にも行かないんでしょ?」

頭一つ分小さい厳氏が、下から視線を送った。
蜘蛛のような、猫のような。
…無駄なコトを。
戦場の空気に中てられた彼にはそんな事をする必要もない。
怒張は彼女の指が体に触れた瞬間に滾り、今か今かと布の下で出番を待っている。

「…最近ご無沙汰じゃぁない?」
「…」
「アンタもこんなに大きくして…あたしと繋がりたくない?」
「…」
「えっち…しましょ、ね…?」




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