君主の命令に逆らえないのが兵士である
君主が黒と言えば黒になり
白と言えば白になるのだ
「またか……」
温かい陽気の春先
我等が軍師殿は自らの能力を高めるため
配下武将とその兵士達にいろいろやってみるよう命じていた
俵引き 防衛訓練 謀反心育成
と、実用的(一部おかしなものもあるが)な訓練を武将達は編み出し各々の成長に取り組んでいた
「おい!貴様!!手を休めるな」
「はいっ」
突然の怒声に思考は現実に戻り作業を再開する
回りでは筋肉トレーニングや敏捷性の強化だかを行っている
回りは、である
「さっさと次のページにいかぬか」
訓練の中なぜか董白様だけは優雅に読書をしていた
俺はページをめくったり、飲み物を運んだり、要は雑用をしている
と、ここで董白様が右手を出してきた
右手の場合は飲み物の入ったカップを渡し……
「貴様………私を馬鹿にしているのか?」
「はぁ」
「はぁ では無い!なんだこれは!」
「それは董白様が日頃から愛飲しておられる温州蜜柑のジュースでございます」
「馬鹿者!今日はリンゴジュースの気分だ!」
やってしまったか…
そう脳裏に思い浮かべ背中に嫌な汗が流れる
元々この部隊「董白様親衛隊(命名は董白様)」には数百人の直属の兵士がいた
だがその数百人の戦士達は董白様の機嫌を損ね
大変な目にあい真っ青な顔をして故郷に帰っていくのだ、中には帰れなくなった人もいるようだが
そして最後の一人が俺なのだ
「さて、どうしてくれようか」
董白様が怯える俺をジロジロと見て
スッと椅子から立ち上がると「ついてこい」と一言言って歩き出した
ついたのは人気の無い陣の中であった
「まぁ座れ」
そう言って地べたに俺を座らせ見下ろす閻魔様…
口を開けば死刑宣告がくるのは容易に予想できた
「わかっておるな、そなたの行動は重罪」
人生オワタ 武将カードは払い出されますか?などと考えていた、しかし
「本来ならば死刑、だが今日は少し……ほんの少し気分がいい」
何故か言い直し続ける
「貴様、そこで自慰をしろ」
豚を見るような目で俺を見て言い放つ
「…………マジっすか」
「当然だ、さぁ脱げ、私を楽しませろ」