ダークサイト 22〜42
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(クリフのこれからを見届ける程、悪趣味じゃないわ)
秋の月の最後の夕焼けが綺麗に浮かぶ頃、一人で山に登って自然の山の幸を取っていたクレアは籠を持って山を下る時にふと、
クリフの事を考える。ランの気持ちが何処に向いているのかを知っているクレアにとって、これほど残酷な横恋慕は無い。
だが彼女はこれに関して何も口に出す気は無かった。根本的にクリフ自身が決着とオチを着けなければ始まらないし、何より
これは他人の恋愛劇である。所詮は劇は劇でしかないからだ。
クレアは何時通りの荷物整理をすると何時もの通り日が沈む薄暗い頃に温泉に浸かり、薄めの涼しげなワンピースに着替え、
本当に何時通りの時間にダッドの店に飲みに行く、本当に何時も通りの日常の肉体労働に従事しているクレアの身体に染み
付いた自然のタイムスケジュール表である。
ダッドの店は言うに及ばない繁盛を見せている。ただ、看板娘は昨日の一件からかクレアを真正面から見ることは出来ず、
また何時ものような元気は無かった。
「………………」
そんな光景もお構いなしにクレアは一言も発さずに、ダッドの料理を口にしながらワインを口に含む。別につまらない訳ではなく、
静かに飲むのが好きだからだ。しかし、何処か雰囲気は違った。
「ダッドさん、クリフ見かけないね」
「ああ、今日は珍しくまだ帰ってきてねぇな」
何時もの常連客や例の牧場主は居るが、彼を見かける事はなかった。別に結果など興味も無かったが、何時もの雰囲気が
無いのも少し寂しいものだ。
「………………」
クレア自身も店仕舞いまで店におりボトルを一本開ける。だが結局、彼は店仕舞いにも戻ってこなかった。少々火照った
身体を抱えながら彼女は自分の牧場に帰ることにする。散歩がてらに夜のマザーヒルに続く道を歩き、身体を冷ましていた。
「!?……クリフ?」
闇に慣れた目が余り人通りの無いこの道の通りに人影を映し出す。それはシルエットから彼女はクリフと判断した。
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「やっぱりクリフだ……こんばんわクリフ、どうしたの?こんな所で……」
だがクリフは不安げな表情で無言で正面にクレアを見据えていた。これが何を意味しているかは、クレアは言葉にせずとも
理解するに足りた。だが、彼女は敢えて気がつかない振りをして彼に何時も通り接する。
「遅くなっちゃったけど、今から一緒に飲───!!」
「───!!」
だが彼に近づいて行った瞬間、クリフは彼女の胸倉と片腕を乱暴に掴んだ。クリフの行き成りの暴挙に流石のクレアも驚く。
だが、直ぐに気持ちを落着かせることは出来た。
「クリフ……何の真似かな」
「………………」
だがクレアの言葉を聞かず彼はワンピースの胸元を引っ張って破き、彼女のブラジャーと豊満な乳房が露になるが、クレアは
隠そうとはしなかった。クリフは掴んでいる片手を自分の方に引き寄せて文字通り荒々しく彼女の乳房を鷲掴みにする。
「痛っ……うぅっ……ク…クリフ、止めなさい……っ!!」
クレアの反応の声にも、彼の手は止まらなかった。しかしクレアも負けていなかった。抑えこまれていない方の腕を使って彼の
暴挙を止めようと必死になっていたのだ。
「……ク…クリフゥゥ…!!」
必死に抵抗を試みるクレアには、彼が自分に乱暴を働く理由が分からず困惑していた。自分と遊ぶチャンスはこの二日間、
いくらでもチャンスはあったはずだ。いや、今だってその絶好の機会があったはずなのだ……。
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腕力で若干勝るクレアは徐々に体勢を自分の優位の方に持ち込もうとするが、クリフも男である。一歩も引かずに抵抗して
クレアの動きを封じるのだ。力比べと言った方が一番正確かも知れない体勢の最中、クレアは一つ気が付く。
「どうしたのですか……何かあったのですか……?」
「!!?」
何とも最悪なタイミングで深夜何時もパトロールしているトーマス町長の息子ハリスの声が聞こえる。幸い懐中電灯を灯して
いなかったが、此処で彼に見つかったら事である。彼女はともかく、クリフが只では済まない。クレアの着ている服と、その
状況を見て何を連想させるか。いくら温和でマイペースなハリスでもその実は警官なのだ。ハリスの声にクリフも間違い無く
気が付いている筈である。
「………………」
だがあまりのタイミング最悪のハリス出現に、彼は足が竦んでしまっていた。今までの人生の中に警官が絡んで来る事など、
彼には無かったのだろう。
「………!」
一瞬の隙を突き、クレアは全体重をかけて自分の身体ごとクリフを茂みに押し倒す。物凄い音がするものの彼女はお構いなしに
茂みの奥まで転がり、クリフの口と身体を抑えてハリスをやり過ごそうとする。
「おかしいなぁ……争う声が聞こえたのだけれど……」
人影を確認したクレアがクリフと共に飛び込んだ茂みの辺りを探すが、予想以上に茂みは深く人の気配を感じることはハリスには
出来なかった。
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茂みの中程まで入り込んで探してみたものの結局、彼は二人を見つけ出すことは出来なかった。ハリスは如何にも『おかしいな』と
言わんばかりに首を傾けて、その場を後にする。
「………………」
立ち去ったのを確認しても、クレアは3分程じっと体勢を維持したままだった。直ぐに出てはハリスに見つかるからだ。
「……もう大丈夫かな」
押さえ込んだ手を解き、倒れているクリフを起こす。だがクリフはその場に座り込み、クレアを真正面に見据える事が出来なかった。
本気で襲って服まで破った女の子に、今こうして助けられているのだ。これが気まずく無い訳が無い。加えて全身から震えが起きて
それが止まらず、その場から動けなかった。
クリフの苦悩とは裏腹にクレアは彼を別段怒ってはいなかった。そればかりかそのクリフを優しい微笑みで見れるからだ。
「……私には、何があったのかは知らないわ。私を襲って気が晴れるのなら、私をここで汚しなさいノノ私はそれでも構わない」
静かに且つ冷静に、クリフを傷つけないように彼を諭す様に話し掛た。
「!?」
彼女はそっとクリフの傍に寄って、そっと彼の唇を奪った。静かな、ほんの触れる程度のキスであったが。
「ふふふ……恋愛に鈍感な君は気が付かないかも知れないけれど、私はクリフが好きだよ」
行き成りのクレアの言葉にクリフはどう答えて良いか分からず、彼女を見詰めるだけで震えが止まらないクリフを彼女は優しく抱き締める。
「好きな人に例え汚されても、私はレイプされたなんて思わないな」
優しく話すクレアの言葉は、クリフにはどう聞こえたのだろうか。レイプしかけた女の子から、こんな言葉が飛んでくるのは男として
幸せではなかろうか。それにも気がつかなかったら鈍感を飛び越えてただの大馬鹿者である。
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「悪いけど、クリフの上着貸してね。ブラジャー丸出しで歩くわけには行かないから」
破れたワンピースを脱いでクリフから特徴的な上着を受け取って羽織る。まるで『サ○エさん』のようにショーツがちらちらと見え、それに
加えてボディラインを隠さないその上着は無意識なのか胸の谷間を否応無く強調させる。下手をしたら直ぐにでも全開になってしまうが、彼女
自身は然程気にする程ではなかった。
「今からだと宿屋には帰れないだろうから、私の家に泊まるといいよ」
遅い時間になってしまったため、泊まる所の無い情けなく落ち込んでいるクリフの手を引いて、クレアは自分の家に彼を連れて行く事にした。
「何があったのかは私には分からないけどね、大体想像はつくよ……恋愛なんて、何度か振られて見ないと成長しないんだよ」
クレアはクリフの目を見て話すが、彼はクレアの目を見る事が出来なかった。未遂には終ったものの、彼はクレアをレイプ目的で襲ったの
だから。だが彼女はそんな事を気にしないのか、クリフに笑顔を向けて話す。彼自身、これに罪悪感に苛まれるのだ。
「お腹空いたでしょ……今日は私がクリフに御馳走してあげる。飲んで食べて嫌なこと、忘れましょう………」
クレアのこの言葉は、彼にはどう届いたのだろう?彼はアクションには目立って表してはいなかったが、瞳から一筋二筋涙が流れていた。
みっともない位零れる涙は止まる気配を見せず、ただただ自然に任していた。いや、拭うことを忘れるくらい、あまりにも無情で愚かな行動を
後悔させていたのだ。
「……泣く事は無いと思う……こう言う時こそ、笑うといいよ」
そんなみっともない状態の彼をクレアは励ましてくれる。笑って慰めるだけでも有り難いのに、自分に対する激励は言葉に表す事が出来ないほど、
クリフには有り難かった。
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「クリフ……今夜は私の言う事を聞いてね」
クレアの牧場に到着して自宅に招き入れた時、彼女はクリフにこう約束させた。傍から聞けば物凄い事を言っている様に聞こえるが、要は逃げ出す
のを避けるためだ。何とも楽しそうな表情で彼女はその場で借りた服をクリフに返し、ブラジャーとショーツと言う下着姿になる。我を戻した彼は
思わず目線を外すが、クレアは表情を変えずに
「顔を背けないで、ソファーに座って見てるの」
こう言い放つ。約束しているクリフはドキドキしながら彼女の下着だけの綺麗な肢体を見据えるのだ。だがクレアは下着姿のままで大小様々の食器を
幾つかをテーブルに出して自分とクリフが使えるように対称に並べ、冷蔵庫からワインを一本出して直ぐに飲めるように氷入りの冷水に浸した。彼女の
言う事を聞いてソファーに座って見ているクリフは、幾ら見ていろと言われても、動く度に揺れる彼女の豊満な乳房やショーツから薄く見える陰部は
男として嬉しい反面、その数倍照れてしまう。女の子を襲おうとしても、恋愛や女性に対してのその小心さは変わらないのだ。
「ふふ……食器の準備が済んだよ。後は料理を作るだけだけど、その前にちょっと私と遊んでね」
真っ赤になって見詰めているクリフにクレアはゆっくり近寄って彼の隣に座り、腕を後ろに回して後ろから肩を支えるように持つと、彼を自分の方に
寄せて流れに乗って唇を重ねてキスをする。
「恥かしがらなくても良いのに……力を抜いて…ね?」
元々上着をクレアに貸していたので上半身裸のクリフは、彼女の吐息と肌が直に触れる為か心地よく、何とも言えない感覚に包まれる。クレアは
身を乗り出して目を瞑ると彼のリストバンドやズボンを手際良く脱がしながら、彼女の唇は彼の胸板を優しく愛撫する。ゾクゾクするような感覚が
彼を十二分に支配していた。
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目線を合わして澄んだ笑顔でクリフを見詰めながら、クレアは身体を密着させながらゆっくりと口付けをする。唇を重ねて彼女の方からクリフの口に
舌を入れ、ゆっくりじっくり唇や口内を愛撫した。こんな濃厚な愛撫をされた事など無いであろうクリフは、それだけでもとろんとした表情を浮べて
息遣いも荒くなっていた。そんな反応のクリフを見て表情を変えずに右手で彼の下着の上から陰茎を摩るように上下に刺激し、左手で手持ち無沙汰の
彼の左手を握った。同時に口から下に流れるように首筋から胸板にかけてゆっくりと優しく唇で愛撫する。
「ふふふ……直ぐに大きくなったよ……気持ち良かった?」
彼はクレアの問い掛けに答える事は出来なかったが、表情でその答えが見えているようにクレアには見える。クリフの下着を少し下ろしてみると、彼の
陰茎は思った以上に隆起し、十分に勃起していた。彼女は焦らすように指先だけでクリフの陰茎を弄り、その部分の反応を楽しんでいた。
「言葉に出して感想言えなくても、ここが正直に答えてくれてるね」
本当に軽いタッチの上下に摩るだけのクレアの手コキに、彼の陰茎は少し痙攣にも似たリアクションを見せる。
「私が良いって言うまでイッちゃだめだよ……手でも触らないでね」
そんな反応にクレアは思わずニマッと何とも小悪魔的な表情を浮べて陰部と表情を見据え、強弱のコントロールを付けて十分に焦らして刺激した。
既に限界近かったのにクレアとの約束で我慢しているクリフの表情は、クレアの性的な加虐心の火に油を注いだのだろう。クレアは急に手を止めて
自分のショーツに手を掛けて下ろし、彼の横にもう一度座るのだ。
「じゃあクリフ、今度は私にするの。口で丁寧にしてね」
クリフは一瞬戸惑いの表情を垣間見せたが、彼はクレアの言う事を聞くしかなかった。クレアはソファーに座ると足をM字に開脚し、自分の手で肉裂を
広げて見せる。彼女の小悪魔的な表情とそこに広がる何とも淫靡な情景に、クリフはまるでマリオネットの如く彼女の座っている場所の下に座り、
恐る恐るゆっくりと彼女の肉裂に唇を添えた。
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「うふふ…そう、中々上手だよ……もっと舌を使って奥まで丁寧に……ね?」
後ろからクリフの頭を抑えるように手を添えて、恍惚な表情でクレアは舌だけを使って自分の肉裂を愛撫しているクリフを見据える。いままで女性経験
の無い彼は言われるがままゆっくりと丁寧に肉裂に舌を這わす。生で女性の艶っぽい吐息を肌で感じたのはこれが初めてなのだろう、ゾクゾクする感じは
スパイスのようにクリフを興奮させ、ボディタッチもしていないのに彼の陰茎は限界ギリギリまで張り詰めていた。
「あっ…あっ…いい……クリフ上手だよ……ふふ、じゃあ……クリフ座って」
クリフをもう一度ソファーに座らすと、おもむろに彼女は体を倒してクリフの陰茎を口に含み、実に丁寧にフェラを始めた。クリフは雑誌や成年向け
漫画でしか見たことの無い構図は驚きと共に、敏感に感じる快感は最高に気持ちが良かった。
「もう我慢出来なかったら、出しちゃっても良いよ……」
既に限界を超えているクリフは、この言葉が引き金になって抑えていたものが自分ではコントロールができなくなった。
「……きゃっ」
クレアの言葉の刹那、クリフは思った以上の白濁液でクレアの顔を汚す。だがクレアは自分が浴びた白濁液を手で触り、感触を弄って確認した彼女は、
恍惚な表情と実に甘い吐息と共に、
「……ふふ…いっぱ──い……気持ち良かったんだね……」
優しさと妖しさが交差する全身色香で包まれたクレアの雰囲気に、果てたばかりのクリフの陰茎が直ぐまた隆起し始めていた。味わった事の無い、
余りにも心地よいクレアのひたすらに甘く、そして恐ろしく妖しいその雰囲気に全身飲み込まれていくのを、鮮明に肌で感じる。
「……もうちょっと遊ぼっか……」
クレアは彼の精液を拭き取る事をせず、クリフの反応を見て彼女はもう一度誘う。色香に飲まれたクリフは首を静かにこくんと縦に振った。
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「クリフ……リクエストがあれば、聞いてあげる……貴方が私やランにしたかった事を……ね」
彼の気持ちを察しているクレアは、未だ恥かしがってそわそわしているクリフを優しくリードする。実に落着いてリードする様は、何とも恋愛経験豊富と
思える。彼はそんなクレアに思わずキスをして、ぎゅっと抱き締めた。
「うふふ……どうしたの?クリフ」
「あ…ありがとう……俺のために……」
だがクリフが話を続けようとしたが、彼女は口に指を添えて話を止めた。
「誰の為に…と言われたら貴方の為と答えるかも知れないけれど、私は私のためだよ……私はクリフが好きだからね」
そう言うと彼女は彼の顔と向き合い、小悪魔的な笑顔をクリフに浮べた。
「……じゃあさ、この間のお風呂での続きを……しようか」
クリフは恥かしそうにこう言うとクレアは微笑みで返答し、二人してソファーから起きると手を繋いで浴室に歩いて行く。
「ふふ……そんなに肩の力を入れないの。私しか居ないのに格好付けてどうするの」
未だ表情硬いクリフに彼女はこう言い置いた。浴室に入るとクレアはシャワーを手にとり、水温調整をすると子供のような笑顔でクリフに浴びせる。
「うわっ」
「あはは……じゃあ、クリフはシャワーを使って私に好きな事していいよ」
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クレアにシャワーを手渡されると彼はまず水流の勢いを弱め、自分の精液を浴びせてしまった彼女の顔を優しく洗う。メイクを施さなくても透き通る
肌を持つクレアは、美しいと感じる一方本当に農作業をしているのだろうかと疑問まで感じる。
「クリフは優しいのね……」
小さい声で呟くクレアの声を肌で感じながら彼は緊張で震えた手を用いて、彼女の汗と先程の争いで少し汚れてしまっている胸をシャワーで流しながら
手で洗い流す。何だかんだ言っても、露天風呂で見た彼女の大きくて形の良い胸の双丘が気になって仕方が無かったようにも思える。そんな初々しい
彼を優しい瞳で見詰めながら、クレアは心地よい吐息と共に軽く目を瞑った。
クリフにテクニックなんて物は無いが、彼も今まで生きて来て一度位はアダルトビデオやポルノ雑誌位目にした事は有るのだろう、頭で想像をしながら、
優しい力加減で彼女の胸を丁寧に揉むのだ。シャワーの水圧に加えてクリフの優しい手の握力は、クレアにとって最高に心地が良かった。
「んんっ……気持ち良いよ……もっとして欲しいな……」
甘い吐息と共に耳元でクレアは囁き、彼を褒めるように言い置く。何時もの同世代の気さくな感じのクレアはそこには無く、クリフにとって目の前の
彼女が実に艶っぽい『大人の女性』に思えて、自分を無意識にも淫靡な空間に優しく手を繋いで誘ってくれる様は、緊張の箍と自我を実に呆気なく
吹き飛ばすのに十分な力があった。
「もうちょっと……悪戯していいかな……?」
「ふふ……聞かなくたっても平気……思う存分していいわ……」
クレアの返答は彼の最後の箍をやんわりと外し、言葉を合図にクレアの胸の双丘に口をつけ、ポルノ雑誌の見様見真似で唇で愛撫を始めた。
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「んんっ…んんっ……ふふ……クリフ上手よ……」
丁寧にゆっくり舌を這わして、クレアの乳房を優しくマッサージをするように揉みながら乳首を愛撫する。手が震え緊張しながらの彼の愛撫は、それは
あまりに初々しく、這って来るような心地良い快感がゾクゾクと全身を掛ける。テクニックは無くても、クレアはこれが気持ちが良い。
「……ごめんクレア……俺、上手じゃないでしょ……?」
クレアの反応に多少なりと不安を感じたクリフは、顔を上げて彼女に一言尋ねる。
「……そんな事無いわ……十分気持ち良いよ」
そんな自身薄弱なクリフに対し、彼女は妖艶な微笑みで彼を見詰めながら彼が安心するように言い置いた。実際クレアは彼の愛撫がとても心地よかった。
「テクニックなんて関係ないのよ……そんなのは私にとってどうでもいいのよ……濃密か淡白か……それだけが重要だから」
話を続けると彼女は重なるように横に並ぶと、右腕を彼の背に回し、左手は彼の程良く隆起している彼の陰茎に伸ばす。上から被せるように抑えて上下に
苦しくない程に摩り、彼の首元に顔を近寄せる。
「貴方がどれだけ私を思って体を重ねることが……大事なのよ」
「ああ……っ!」
クリフの耳元で囁くようにアドバイスをしながら彼の耳を軽く愛撫して頬、首元を軽く舌で流れるように愛撫する。思わず声を上げる彼を横目で見詰めて
思わず微笑むともう一度唇を重ねてキス、クレアの方から舌を入れて濃厚なディープキスを交わした。
「ふふふ……そんなに自信が無いのなら……私の方から攻めちゃうぞ?」
小悪魔的な笑顔を見せてクレアは言った。彼女にとって控えめなクリフは、言い様が無いほど加虐心をくすぐるのだ。
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「……そろそろ、ベット行こうか……」
シャワーを浴びて軽く水を拭き取ると、逸る気持ちを抑えて手を繋いで自分のベットルームにクリフを連れて行く。彼をリードしたくて仕方がなかったのだろう。
クレアの寝室は電灯が付いていないから情景をうかがい知る事は出来なかったが、月明かりのみの照明で包まれて幻想的な空気で包まれ、入ってくる自然の風は
何とも気持ちよかった。部屋にクリフを入れると直ぐに彼女はドアを閉め、後ろから抱き締めるノいや、羽交い絞めと言うのが正しい体勢で彼を締める。
「えっ…えっ?……クレアさん!?」
「ふふ……やっぱり私我慢できないわ……」
身軽に動くクレアに翻弄されたクリフは、あれよあれよと言う内にたすきのような物で後ろ手を縛られてしまった。流石のクリフも冷汗を背中に感じる。
「やっぱり……優しくぅ……クリフの童貞を奪ってしまいたい……な」
だがそれ以上に、妖艶な雰囲気を帯びた甘く危険な吐息と共に後ろから囁くクレアの妖気に、完全に屈して飲み込まれてしまった。
頭の中で状況の理解が出来ても体が反応しきれていないクリフを、クレアはまるで押し倒すようにベットに寝かしておもむろに馬乗りになった。
「一度……女の私が男の子を襲ってみたかったのよねぇ……」
上から見下ろすクレアの表情は非常に嬉しそうな無邪気な少女の側面と、情熱と恍惚に彩られた大人の女性の側面はクリフにはどう映ったのだろうか。
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「………」
クリフは息を呑み、クレアの動向を静かに見詰めている。男だったら羨ましい状況であったとしても、今の彼には戦々恐々とした雰囲気だけが包む。
今の今まで優しく接していたクレアが、行き成り女王様に転じた状況は経験少ない彼にとって衝撃的なものなのだろう。
「クリフはこう言う状況の方が燃えるのかしら……もう破裂しそうだよ?」
張り詰めている彼の陰茎を手コキの要領で摩りながら、妖しい微笑を浮べて見詰めるクレアの空気に飲まれている彼は彼女の小悪魔的な言葉に返答は
出来ない。クレアは彼の反応を予想していたのか反応を見る事無く素股の状態になるように彼の陰茎の上に腰を落とすと、体を倒して胸板を舌で丁寧
に愛撫する。舌の感触と時折顔に触れる金髪のくすぐる感触は何とも気持ちが良いと感じるのが恐ろしい。
「ふふふ……愛撫してるだけなのに、君のここはいやらしく反応してるよ……」
クレアはまるで意地悪でもするように股間と太腿を動かして彼の陰茎を刺激する。股間に感じる快感と、同時に攻め立てる彼女の言葉攻めは、一瞬全て
を忘却する程のタイミングの合った見事な技だった。
「ふふ……夜は長いんだし、我慢出来なかったら出しても良いよ……」
だがその小悪魔的な表情には、かなり挑発的な意味合いが含まれていたのをクリフは男の本能で悟った。
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「そろそろ私も我慢出来ないわ……挿れるよ……?」
果てて間もないのに、執拗なクレアの攻めで直立不動になっているクリフの陰茎を手コキしながら呟く。完全に魅入られた彼はクレアに返答など
出来ない。そんな彼の心境を完全に掌握しているのか、クレアはそのまま腰を浮かして、自分の陰部に彼の陰茎をあてがい艶声と共に腰を沈める。
「……んんっ……ふふ……挿れただけで気持ちが良いよ」
そして意地悪でもするように、わざと締め付けて彼の顔を見下ろしている。彼はと言うとクレアの膣内が熱い位に感じ、彼女の意図した締め付けに
心地良い快感が全身を揺さぶるが、強引に奪われてしまったと言うような、声を上げて感じる様は男としたら結構情けないと思えてしまう。
「くっ…クレア……さんっ!」
「クリフ手がお留守……さあ、貴方も下から腰を動かすの!」
乳房に彼の手をを添えて触らせると、クリフの腰の辺りに手を支えて上下に自分の腰を激しく動かす。キツイ位の締め付けと激しい腰の動きに加え、
クレアの艶かしい喘ぎ声は経験無いクリフからすれば正に即効性の媚薬、頭の中が徐々にホワイトアウトする。
「んんっ!あんっ!……クリフ手が離れてるっ……私の胸をっ…手で愛撫するっ……んああっ!ああっ!」
クリフの腰の動きの波長に合わせて打ち寄せる全身に感じる心地良い快感に浸りながら、恍惚な表情と共に艶っぽい嬉声で喘ぎつつリードする様は
彼にはどう映ったのだろう。
「ク…レア…さんっ」
びくんびくんと痙攣にも似た震えを感じた刹那、クリフは地に傾けているクレアを手で思い切り抱き寄せ、身体を密着させて下から腰を叩き付ける
様に腰を動かして押し上げた。
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「ふふっ…んんっ…ああんっ……やっと…あんっ…その気に……なったじゃない……」
幻惑されるような艶っぽい吐息と共に、耳元で囁くように褒めると上になったままクリフに身体を委ね、彼が動かす腰の動きに合わせてクレアも腰を
動かしてクリフの心臓の鼓動を感じながら、感じる心地良い快感を思いっきりの嬉声を上げて応える。
「あんっ!ああっ!んああっ!いいっ!いいよクリフっ!奥に当たるっ!奥に当たるうぅっ!!」
クレアの喘ぎ声に後押しされた彼は徐々に動きを早め、全てをかなぐり捨てるように一心不乱に限界以上に張った陰茎をクレアに突き立てた。彼女に
よって情欲の川に流された彼は、そのまま一気に絶頂に登りつめている。
「ク…クレアさん……もう限界っ!出しちゃいそう!」
「んんっ……な…中にっ…ぁあっ…出して…良いよぉ……っ!」
彼女の返答を聞いたクリフはそのまま獣の如く遮二無二腰を動かし、陰茎に痙攣を感じながら限界間近の怒張を激しく突き立てた。
「クレアさんっ……もうだめっ!」
「そのままっ……出してぇっ!……うあっうあぁああっ!!」
クリフが果てた刹那、クレアもびくんびくんと痙攣した後ぐったりと完全に身を預けてしまった。しかし表情に苦しそうな様子は全く無く、達成感
とも取れるような恍惚とした表情で彼と向き合っていた。
「ふふ……貴方の熱いのが奥で出た時、思わず気を失いそうになっちゃった……」
呼吸の整わないクリフを他所に、クレアは一言こう言う。何だかんだ言っても結局は掌の上で弄ばれていたなと、クリフはしみじみ実感した。
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行為が終りもう一度シャワーを浴びた後、クリフは着替えて先程クレアが食器を用意していたテーブルの座席に座っていた。まともに食事すら取って
いない彼の為に、クレアは食事を用意するのだ。実は彼女はランと互角の料理の腕を持っており、彼は密かな楽しみにしているようだ。
深夜にも関わらずオムライスにシチュー、サンドウィッチにワインとクリフの好きな物ばかりを用意したのは流石なものである。
「……………」
だが問題があるとすれば、彼女がインナーにエプロンを着けただけの格好で作業していた事だった。一度正気に戻ると奥手な様子は変わらない。
「あれだけ激しく私を抱いたのに、恥かしがって無くても良いのにねぇ」
照れている彼をからかうように一言言い置くと、彼の前に先程の料理の品々を丁寧に配膳する。まるで小さい子供に母親が優しく配膳するように。
「さぁさ、いつまでも照れてないで御飯食べると良いよ。遅い時間だけど、お腹空いているでしょ?」
クリフの横に立ってワイングラスにワインを酌すると、何時も見せる笑顔を浮べて彼を見詰めていた。そこには先程の妖しい魅力に包まれた淫靡で
小悪魔的な雰囲気のクレアの姿は無く、何時もと変わらない優しく気さくなクレアがそこには居た。そんなものを見ると、女と言うものはつくづく
不思議なものだとクリフは思う。
「私はちょっと着替えてくるよ……クリフは御飯食べていてね」
クリフが料理に手を付け始めた頃、その様子を見届けた彼女はエプロンを外して自室に戻っていった。
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日付も変わった深夜にも関わらず、比較的『重い』内容の御馳走も空腹と言う事もあって飛び切り美味しかった。味付け方も即興な感じを微塵も
感じさせず、盛り付けも一つ一つ心が篭もった優しい印象を受ける。それを感じただけでも、ランに振られた腹いせにクレアを夜道で襲って綺麗
なワンピースをボロボロにしたり、もっと男として素直に喜んで彼女を抱けなかったのかと心が痛む。考えれば考えるほど、彼の手は止まる。
「……あれ?クリフ……美味しくなかったかな」
後ろから聞き慣れたクレアの声を背後から感じ、クリフは思わず後ろを振り向くと彼は一瞬絶句する。
「!?……ク…クレア……さん!?」
「クリフ、私でもこの制服は似合ってるかな?」
無邪気な笑顔と共にキッチンに戻って来た彼女の姿は、クリフでも知っている胸を強調させる服装で有名なアン○ミラーズの女性接客員用制服を
身に纏っていたのだ。この有り得ない状況に最早クリフは何も言葉を紡ぐ事が出来ないでいた。
この手のボディラインを強調させる服は背筋を伸ばして歩くと女性の場合、腰を振るような独特で何とも魅惑的な姿に見える。モデル体型の持ち
主ののクレアはその色香を十二分に発している。生でこの制服を見たことの無いクリフからすると、非常に刺激が強かったのだろう。
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驚いているクリフを他所に、彼女は彼の横の席に座って優しい笑顔で彼を見詰める。彼のワイングラスが空になるとグラスの半分位までワインを
丁寧に酌をするのだ。だが彼はクレアが気になってしょうがない。アン○ラと言えば胸を強調している前掛けエプロンと、本当に際どい位の丈の
短いミニスカート、こんな現実味の無い服なんて実際見る事なんて無いのだろうなと思っていたクリフは、思いもよらない状況で彼女が着るなんて
予想も出来なかたのだろう。ガーターストッキングとどう言う訳かちらちらと見える赤いレースのショーツは思った以上にドキドキする。
「ワインは一杯あるし、御飯も足りなかったら言ってね」
その上彼女は何時もと変わらない気さくな雰囲気。彼女の心境を窺う前に、酒よりもこのギャップのある状況に酔いそうだった。
「御飯は足りると思うよ。ごめん、こんな夜中に悪いね……」
「え?…ううん、そんな事無いよ。今日は本当に最初からクリフと飲みたかったんだから」
感謝の気持ちと共に申し訳ない気持ちを述べると、クレアは変わらない表情で返答する。
「クリフが私を襲おうとした時、抵抗しないで貴方に身を委ねてしまおうって少し思っちゃった。ここに至った状況は私にも責任があるから」
クレアの言葉に、彼は食事の手を止め彼女の言葉を聞き入った。
「好きな子が……他の女の子に告白すると分かっていて、止められなかった私は情けない……」
「え……?」
一瞬クリフの思考回路が止まる。想像も出来なかった言葉に彼は何と言って良いのか分からなかった。
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「ふふ……何でもないわ……男の子と二人で飲むお酒は、やっぱり美味しい……」
クリフの横で手酌して、チーズをつまみながらワインを口に含むクレアの姿は何とも悲しげにも見える。女性の心を読む術など持ち合わせては
いないが、純粋に酒を楽しんでいる様には少なくとも彼には見えなかった。
「最初っから無理矢理にでも……首にロープを巻きつけてでも誘えばよかった……そしたら、もっと早くからクリフと遊べたのに」
ワイングラスを見詰めながら、少し残念そうな口調でクレアは言う。
「………………」
「ふふふ……そんなに御飯美味しそうに食べてくれたのクリフだけかな。料理した甲斐があるよ」
自分のグラスに注がれていたワインを飲み干すと、席を立ち食事の終ったクリフの前に置かれている、ワイングラスを除いた空いた食器をこれも
丁寧に退かして片付けた。見た目とは裏腹にクレアは非常に家庭的な女性にも彼には見えた。
「……クレアさん……俺……」
「どうしたの?クリフ」
そんなクレアの姿を見た彼は、思わず席を立ち上がりそっと呟くように言う。だが後に続く言葉が見つからないのか、喋れないでいる。
「お願いが……あるんだ……もう一度……もう一度貴女を抱きたい」
突然のクリフの『お願い』に少しまじまじと彼を見詰めたクレアだが、優しい笑顔を彼に向けて、
「いいよ」
静かに頷いた。
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「……クリフが誘ってくれるなんて、思わなかったよ」
クレアは食器を流し台に置くと彼女はオレンジ色のミニスカートに手を掛け、たくし上げて赤いレースのショーツを彼に見えるようにする。軽く
挑発的な表情と共にクレアがこの仕草をすると、ぐっと艶っぽい雰囲気になるのだ。
「……身体触るよ」
そんな彼女の雰囲気に酔ったのか見た目にも緊張しながらクレアに近寄り、ぎこちない位に聞こえる彼の言葉に彼女は静かに頷いて返す。
「うん」
返事を目で見て耳で感じたクリフは、スカートをたくし上げている彼女の右手をそっと離して手を握り、そっと唇に自分の唇を重ねる。ほんの
触れる程度の口付けが、クレアには何処と無く心地のよい感じがする。
「唇が震えてて可愛いノノほら、胸だってここだってノノ触っていいんだよ」
さり気無くリードしてくれるクレアに心の中で感謝しながら、クリフは彼女の乳房を肩に力が入りつつも掌で感触を味わうように触れる。一度だけ
成り行きで女性経験をしても、逆レイプ同然の状況では心情は童貞のままなのである。
「………………」
そんなまだ初々しい彼の様子をクレアはまるで母性本能と言うべきか優しい表情で彼を見詰めている。
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丁寧な手付きでクレアの乳房に触れて撫でるように揉む。掌に感じる彼女の乳房の感触は改めて思うと柔らかく、それでいて心地良かった。
女性を抱いたのは今日が始めてで、逆レイプ的な初体験の彼にとって、同世代の女の子の双丘に触れる事が出来るだけでも感激ものだったのだろう。
「ふふふ……私にしたい事遠慮せずにすればいいのに……私のオッパイがそんなに気に入ったの?」
甘く妖しい吐息と共にクレアは微笑みを浮べながら、彼の欲情を煽るように耳元で囁く。何だかんだいっても、クレアにリードされてしまうのだ。
それでも包み込むような優しさは、彼にとってこれ以上に無い『媚薬』になってくれる。クレアが口に出さずとも、その雰囲気だけでクリフを意図も
簡単にマリオネットの如く無意識にも操られる。彼の手が徐々に下に流れ、たくし上げられたスカートから見える赤いレースのショーツに、不器用
ながら手を入れて摩るように彼女の陰部に触れる。
「んんっ……クリフの指が暖かいよ」
クリフの指の感触を味わい身震いしながら囁く。そしてお礼と言わんばかりにクレアの空いている腕を彼の背に回し、身体を密着させる様に彼を
抱き寄せた。クリフは彼女の行動に少し驚くが変わらない妖しい表情で、
「身体を密着させるのも、好きな人となら心地良いんだよ」
唇で彼の耳を愛撫しながら、吐息と共に囁いた。