ドクター×クレア 冬の感謝祭 ◆xdKTToiX3g
「ドクター、いつもお世話になってます」
朝一番にエリィからチョコレートをもらって、ドクターは今日が冬の感謝祭だというこ
とに気がついた。
真っ先に思い浮かぶのは、町外れで牧場を営むクレアの笑顔。
イベントといえば参加せずにはいられない彼女が、よもや今日を忘れはしないだろう。
ドクターはそう考えて、期待を抱えて仕事についた。
だが、いつもの時間に彼女は現れず、夕闇が町を覆い始めるころには、期待は落胆
に変わってしまった。
「エリィ、もうあがっていいよ。施錠は僕がしておくから」
助手に声をかけて、ドクターはため息をつく。
もう少しだけ待ってみたい。そう思い、ドクターは椅子にもたれた。
彼女と深い仲になって、もうしばらく経つ。お互いの気持ちは決まっている。いまさら
チョコレートのひとつやふたつでどうこう言う関係じゃない。
自分に言い訳するように考えて、それでもやはり落ち込んでしまう。
釣った魚にえさをやらないタイプなのかな。ドクターはそんなことを思う。かといって、
釣られた魚はまな板の上であろうと彼女の近くにいたいのだ。
気がつくとクレアのことばかり考えてしまう、ドクターはそんな自分に苦笑した。彼女
のことを考えるといてもたってもいられないなんて。
そんなことをつらつらと考えていると、入り口のドアが開く音がした。
「ドクター、いる?」
一日中待ちかねていた人物の声が聞こえた。
「良かった、鍵かかってたらどうしようかと思った」
笑顔で診察室に入ってくるクレアに、ドクターは自分でも笑えるほど安心する。
クレアが来たというのに椅子から立ち上がれないほど、身体の力が抜けてしまった。
重症だなと苦笑するドクターに、クレアは不思議そうに首をかしげた。目の前で金色の
髪がさらりと落ちる。
その髪に触れようとドクターが手を伸ばすと、クレアは少し微笑んで身を引いた。
微妙な拒絶に少しだけ違和感を覚えて、ドクターは首をかしげる。
「ドクター、今日は冬の感謝祭」
寒さのせいか照れのせいか、クレアの頬は子供のように赤い。その可愛らしさに、ドク
ターは微笑んだ。
「うん。だから待ってたんだ」
ドクターの素直な言葉に、クレアも恥ずかしそうに微笑み返す。
「約束してなかったけど……待っててくれると思ってた。エリィちゃんがいたら困るから
遅く来たの」
エリィがいても別に困ることはないじゃないか。そう思うドクターの前で、クレアは小
さなチョコを取り出して口の中にほおり込む。
そしてそのまま、ドクターの首に腕を回して唇を重ねた。外から来たばかりのひんやり
とした唇の感触が伝わる。
クレアの大胆な行動に驚いたが、ドクターの手は自然に彼女の腰に回り、自分のひざの
上に引き寄せた。クレアがドクターに馬乗りになるような形で、ふたりは正面から向かい
合う。診察室の黒い革張りの椅子は大きく余裕があるため、クレアは足を開いて、立ち膝
の状態でドクターに覆い被さった。
ふたりの舌の上で、チョコレートが甘く溶ける。クレアの舌がドクターの口内を優しく
愛撫するように動いた。
チョコレートと二人の唾液が絡まる音が、静かな診察室に途切れがちに響く。
彼女が自分からすることに慣れてないせいか少し物足りない気がしたものの、柔らかな
感触が心地よく、ドクターはされるがままでいた。
「えっと……味はどう?」
唇を離して、クレアは恥ずかしそうな顔でドクターを見つめた。
チョコレートはもちろん、この積極さもすべてあわせて感謝祭のプレゼントなのだろう。
こういうことに関してクレアは奥手だと、ドクターは思っていた。だからこそ、懸命な
彼女の姿がいとおしかった。
「おいしいよ」
そう言ってドクターは、もう一度キスをしようとクレアの頭を引き寄せる。
「あっ、やぁ、だめっ!」
クレアの抵抗にかまわず、ドクターは唇を交わす。今度はクレアの口内で、ドクターの
舌が絡まるように動く。
「……くふぅ…んっ……」
先ほどのクレアのキスとは正反対の激しいキスに、クレアは小さく甘い吐息を漏らす。
ドクターは空いた手で、クレアのオーバーオールの金具をはずした。全て脱がせるのも
もどかしくて、シャツのボタンを数個はずし、ブラをずりあげてクレアの胸に触れた。ク
レアの身体がびくりと動く。
クレアの胸は、あまり大きくない。本人は気にしているが、感度が良くさわり心地も良
い。ドクターに不満はまったくなかった。
すでにぷくりと盛り上がった先端を指の間ではさんで、円を描くように揉みしだく。
声が聞きたくて、唇を離すと、クレアの息は荒く、瞳は潤んで、クレアが確かに感じて
いることを伝えていた。
「あっ、はぁ……あん、んっ」
胸を揉みしだく指先と同じリズムで、クレアが短く声をあげる。
「クレアくんは、感じやすいね」
すべすべの乳房を、なで上げるように揉む。ドクターは掌いっぱいで、吸い付くような
感触を楽しんだ。
「そんなこと……あっ!」
先端をいきなり指でつまむと、クレアは言葉を途切れさせた。口を尖らせてドクターを
睨む。
「……ずるい」
「ごめん。でも気持ちいいだろう?」
クレアの言葉に苦笑しながら、つまんだ先端をぐりぐりと指で弄んだ。
とたんにクレアは、ぎゅっと目を瞑った。
「や、あ……んっ、ねぇ、ドクターの部屋……行こうよ……」
声を押し殺してクレアは喘ぐ。こういう時の彼女の顔が、ドクターは好きだった。自分
が確かにクレアに快感を与えているのだと確信できる、この瞬間が。
「お願い、ここじゃ、やだ……」
言葉とはうらはらに、クレアはドクターの上にぺったりと座り込んでいた。力が入らな
いらしく、クレアは無防備に身体を預けてドクターを見上げる。クレアの荒い息を感じる
たびに、背筋にぞくりと電流のようなものが走る。
二階の自室に行きたいのはやまやまだった。急患なりエリィなりが来る可能性は充分あ
る。
しかしクレアの無防備さに煽られ、ドクターは手を止めることが出来なかった。急患な
ど来ないだろう、今はそう思うことにする。
「本当にやめたいのかい?」
クレアの腰を持ち上げて、脱がせかけていたオーバーオールとショーツを、一気に下ろ
す。クレアの割れ目に指を這わせると、ねっとりとした蜜がドクターの指を覆った。
小さく上がったクレアの甘い声は、ドクターの心にほんの少し残っていた迷いを吹き飛
ばすのに充分だった。
「やめてくれと言う割には、いつもより感じてるみたいだね」
クレアの花弁を丹念に指で撫でる。
「ひうっ、うぁ……あ…あ……」
ドクターの白衣を握り締めて、クレアは声を出すまいと口をつぐんだ。
「他の人が来るかも知れないこの状況に、クレアくんは興奮するのかな」
「ち、違う……!!」
ちゅぷ、と音を立てて、ドクターの人差し指が、クレアの中に差し込まれた。
「あっ! やあっ!」
突然の事に、こらえきれずクレアは声を上げた。
続けて中指を差し込むと、クレアは耐えかねたようにドクターの頭をかき抱く。
二本の指でクレアの中をかき回し、親指でぷっくりとした蕾を刺激する。
クレアの中からあふれ出した蜜が、ねっとりと彼女の白い太ももを濡らした。
「クレアくんは、案外アブノーマルな趣味があるのかもね」
「そ、そんなの……ないっ……」
今にも泣き出しそうな声で、クレアは否定した。
「嘘だね」
そう断定して、ドクターはじゅぷじゅぷと指を出し入れする。
「ふぁっ……あ、ああっ!」
クレアの中が締まるのを指先で感じて、ドクターは意地悪く笑った。
「いつもより感じているみたいだよ」
ドクターは指を引き抜くと、ぐっしょりと蜜で濡れている掌を見せ付けた。クレアは真
っ赤になって、いやいやするように首を横に振った。言葉にならないといった風情だ。
もう充分彼女の準備が出来たようだ。
ドクターはすでに硬くなっている自分のモノを取り出し、避妊具をつけた。
クレアの腰を抱き寄せて一気に貫く。
「ああっ! やあっ! ド、ドクター!」
押し寄せる快感に、ドクターは思わず息を止めた。
クレアの中は蕩けそうに熱く、いきなりひどく締め付けてきた。思った以上にクレアは
昂ぶっているようだった。
これはもう、限界寸前だな。酔いがまわったような朦朧とした頭で、ドクターは悟る。
そしてそれは、予想外なほどすぐに来た。
「あっ、やあっ……!」
そう言ってひときわ強くドクターの頭を抱きしめて、いきなりクレアの身体から力が抜
ける。
いくらなんでも、こんなにすぐに絶頂を迎えるとは思ってもいなかったドクターは、ど
うすることも出来ずに、繋がったままクレアを抱きしめた。
クレアは今にも気を失いそうな顔をして、ドクターを見上げる。
その様子に、本当は今すぐにでも腰を動かしたい気持ちを何とか押さえつける。クレア
の中は絶頂を迎える前よりはマシだったが、いまだにドクターのそれを柔らかく包み込ん
で、強く締め付けていた。
「ドクター…ごめんね……早すぎだよね……」
少しの刺激でも感じるのか、甘い声を漏らしながら囁くクレアに、ドクターは微笑んで
首を横に振った。
「そんなことで謝らなくてもいいよ」
クレアは安心したように微笑むと顔を寄せて、唇が触れるだけのキスをした。そしてぺ
たりとドクターの胸に、力なく頬を寄せる。
限界が近い状態で繋がったままでいるのは辛かったが、こんなに弱々しく身を預けるク
レアに無理をさせたくはなかったので、ドクターは懸命に意識を別の方へもっていこうと
していた。
「……ドクター、私が動くから」
クレアの言葉に、ドクターは一瞬戸惑う。
そんなドクターにはお構いなしで、クレアはゆっくりと腰を上下させ始める。いきなり
与えられた快感に、ドクターは小さく声をあげた。
「ク……クレアくん」
いきなり与えられた快感に、ドクターは顔をゆがめた。
みっちりとドクターのモノを覆っている肉の壁が、さらにきつく締まりながら蠢く。
「はあっ……あ……」
しかし、先ほど絶頂を迎えたばかりのクレアは、身体に力が入らずに、動きが途切れが
ちになってしまう。
「ああっ……上手く…できない……はぁっ……ご…ごめんね……」
ドクターにすがりつきながら、クレアは何とか腰を動かそうとしていた。
「うぅ……くぅ……」
クレア自身もひどく感じていて、自分の身体がままならない様子だったが、それが焦ら
されているような刺激になりドクターに快感を与える。
潤んだ瞳が、上気した頬が、快感にゆがむ顔が、その全てがドクターを揺さぶった。
「クレアくん、ありがとう」
「きゃ……!!」
ドクターはクレアの尻をつかむようにして、身体ごと上下に揺さぶった。
クレアは声にならない声をあげて、ドクターにしがみつく。
ぎしぎしと激しい音を立てて、椅子が揺れた。
クレアは与えられる快感に耐えるように、ドクターをさらにきつく抱きしめた。しっ
とりと汗で濡れたクレアの胸に抱かれる格好になったドクターは、彼女の胸にいくつも
赤い痕をつける。
何度も何度も、先端がクレアの膣にぶつかる。彼女の奥の奥までを貫く感覚。
それに答えるように、クレアの中は急激にドクターを締め付けてきた。
「やぁっ! ドクター、もっと、ゆっくりっ……あっ!!」
クレアの抗議に耳を貸さずに、ドクターはさらに激しくクレアを貫いた。じゅぷじゅぷ
と濡れた音が、静かな診察室にやけに響いているような気がした。
もっと、もっと……そんな欲望だけが、ドクターを支配する。
そんなドクターに呼応するように、クレアはびくりと身体を震わせた。
ドクターのモノがさらに大きくなり、その感覚にクレアは声をあげた。
お互いの存在を確かめ合うように、二人は強く抱き合う。
「ドクター……ドクター!!」
「クレア……!!」
閃光を頭の裏で感じているような感覚に身を任せて、ふたりはすべてを解き放った。
「今日は君の方から誘ってくれて嬉しかったよ」
身体に力が入らずにいるクレアの髪を撫でながら、ドクターは囁いた。誘うという言葉
に、クレアは照れくさそうに頬を赤らめる。
「だって感謝祭だし……ほんとは、今日は私が全部したかったの。いつもしてもらってる
から」
内緒話をするようにドクターの耳に唇を寄せて、クレアが囁く。
だからあんなに頑張ってくれたのか。ずいぶんと積極的だったクレアを思い出して、ド
クターはやっと納得する。
「ドクターに触られるといっぱいいっぱいになっちゃうから、先手必勝と思ってたんだけ
ど……まさか、ここでしちゃうなんて考えたこともなかったよ」
クレアはもじもじと手を動かしてうつむいた。
恥ずかしいような照れくさいような気持ちで、ドクターはクレアを見つめる。言われて
みれば、いつになく焦っていたように思う。診察室でこんなことをしてしまうなど普段か
らは考えられず、リスクの大きさに背筋がぞっとする思いだった。万一誰かに見られて、
クレアに悪評がついたりしたら。そう考えただけで、ドクターは自分を許せなくなる。
「すまない、確かに軽率だった」
真剣な顔で謝るドクターの額に、こつんとクレアの額が当たった。
「……ドクターが悪いんじゃないよ。何かあったら二人の責任でしょ?」
クレアは事も無げに笑う。いたずらっぽい笑顔につられて、ドクターも笑った。
クレアの笑顔を見ていると、何があっても大丈夫だと信じられた。心を開くとはこうい
うことなのかなと、ドクターはぼんやり考えた。
「ところでね、今日のドクター、変だったよ。意地悪だった」
「意地悪って、何か言ったっけ」
行為の最中に、言葉で攻めたことだろうな、そう考えながらドクターはわざと問い返す。
「……言わせようとしてるでしょ。その手には乗らないからね」
クレアは真っ赤になって、そっぽをむいた。
「好きな子にかまってもらいたい時は、男は意地悪くなるんだ」
「……ユウ君じゃあるまいし」
「今日意地悪くなってしまったのはね、一日中クレアくんのことを考えて、焦れてたせい
かな。早く君に触りたくて仕方なかったんだよ」
こんなふうにね、そう言葉を続けて、髪を撫でていた手を首筋に這わせる。
クレアはくすぐったそうに身を縮めた。
「……そんなに待っててくれたんだ」
えへへ、とクレアは嬉しそうに笑って、ドクターの胸に顔を埋める。
「私も一日中、ドクターのこと考えてた」
クレアの言葉が嬉しくて、ドクターも微笑む。
このお返しは大変そうだと、春の感謝祭のことを考えて、ふと思う。
「春の感謝祭、お返ししなきゃね」
「手作りクッキー、おいしかったよ。期待してるから」
「クッキーはもちろんだけど……春は確か三倍返しが慣例だったよね」
その言葉の不審な響きに、クレアは妙に引きつった顔でドクターを見た。
「君がこれだけ頑張ってくれたんだから、僕も頑張るよ」
真面目な顔で頷くドクターに、顔を真っ赤にしてクレアは首を横に振った。
「し、しなくていい。頑張らなくていい」
その言葉にドクターは笑って、クレアを抱きしめた。
クレアの言葉はきれいさっぱり無視する方針で、ドクターは気持ちを決めていた。
さて、春はどうしようかな。
そんなことを考えながら、ドクターはクレアの耳に唇をよせて、囁く。
「とりあえず、二階へ行こうか」
ふたりの冬の感謝祭は、まだ始まったばかりだ。